「おーいアリア」
まさか俺の人生でこんな美女を起こす日が来るなんて思っても見なかった。
「ん〜…後ごひゅん…」
「5分も待ったら朝メシ冷めちまうぞ?」
揺さぶっても起きる様子が全くない。
「ん〜…連れてってぇ」
両手を伸ばし抱っこのポーズをしている。
「ハァ…マジか…絶対寝ぼけてるだろ?」
「ん〜抱っこぉ」
「ったく…」
アリアの背中と膝に手を回し、いつかの体育倉庫の様に抱き抱えた。
「うわ…軽っ!?ちゃんとメシ食ってんのか?」
あの時はアリアの体型は気にしていなかったが、こうしてゆっくり見てみると肉付きがあまり良くない。
「ちょ!?あんた何してんのよ!」
「お…目ェ覚めたみたいだな?言っておくがアリアが抱っこしろって言ったんだからな?」
「なっわ…私が?」
「だから俺は悪くないからな?」
腕の中で暴れなくなったアリアをそのまま朝メシの並ぶテーブルの前に座らせる。
「わぁ…これあんたが作ったの?」
「おう、1人暮しだしな」
豆腐の味噌汁、白米、鮭の塩焼き、ほうれん草のお浸し、だし巻き卵と和風な朝食を久しぶりに誰かと喰べ始めた。
相当俺の作った朝日メシが気に入ってくれた様で、物凄い勢いで完食した。
「ご馳走様ん〜美味しかったわ、実家のシェフの料理より美味しかったわよ」
「お粗末…ん?アリアの実家にはシェフがいるのか…何処かの貴族みたいだな」
食器を片付けながらアリアとの会話を始めた。
「みたいじゃなくて貴族よ私は」
「え?まじで?」
「えぇ、私の本名は神崎ホームズアリアよ」
「ホームズ…シャーロックホームズの事か!?」
「そうよ!4代名シャーロックホームズよ」
「マジかよ…」
昨夜のアリアより驚いて言葉が出ない。
「名探偵シャーロックホームズに独眼竜伊達政宗のコンビって…何かスゲー組み合わせだな…」
「確かに最強って感じよね♪」
「アッハハ確かに…あっ、7時58分のバス出ちまったけどいいのか?アリア」
このバスに乗り損なうと遅刻決定になってしまうが、俺はムスタングで登校するため問題ない。
「あんたはどうするのよ?」
「俺は…ん?」
『え!?』
同時に2人のケータイが鳴った。見てみると武帝高校からの周知メールで、内容は7時58分発のバスがバスジャックにあった事を知らせるメールだった。
「政時ッ何か乗り物ある!?」
「あぁ今そいつで登校しようと思っていたんだ…下の車庫にある」
急いで1階に降り駐車場にむかった。
「こ…これあんたのバイク?」
「あぁそうだムスタングって言うんだ、ほらヘルメット」
アリアにヘルメットを被らせムスタングに乗ったのを確認し、エンジンを掛けバスを追いかけた。
「今回の事件も多分キンジを襲った武偵殺しの仕業に違いないわ、また銃積んでるやつがいるかもしれない…気を付けて」
「キンジのチャリジャックの次はバスかよ…まったく暇人だな…」
「政時ッ!バスが見えて来たわ、チッ…やっぱり銃つきの乗り物も一緒よ!!」
「じゃあバスの何処かに爆弾が仕掛けてあるかもな…念のためレキに救援要請してくれ」
「わかったわ…」
アリアがレキと連絡している間に、武偵殺しの玩具との間合いを詰める。
「レキ周知メールみてもうこの近くにいるみたいよ!」
「流石だな!同じSランクとして負けてらんないな」
ムスタングの主力のMP7A1を出し、バスと並走しながら走る車に狙いを定める。
「こ、こんな物をつんでいたのね?このバイクとあの武偵殺しの玩具は差ほど変わりないわね…」
「いや…こっちの方が恰好いい!!」
こちらの射程圏内に入った車に鉛玉を浴びせる。穴だらけになった車は、フラつきトンネルの入口にぶつかり爆発した。
「大丈夫かアリア?」
「えぇ平気よ、それよりバスに乗り込むわよ!」
「了解!」
バスの入口に合わせる様にムスタングの速度をあげ、入口の隣に来ると扉が開きアリアを先に中へ入らせる。
「政時ッあんたはどうするの?」
「大丈夫だ!悪いなムスタング…今まで世話になった…」
ハンドルから手を離しバスに飛び乗る。無人になったムスタングはバランスを崩し、地面と激突し炎上した。
「大丈夫政時?」
「あぁ問題ない、皆大丈夫か?」
バスの中はあの車による銃撃のせいか、窓ガラスが割れボロボロになっている。バスに乗っている武偵は腕など抑えているが、それは弾丸を防弾制服が弾いた事による打撲のようだ。その他に泣いている女子武偵に自分の防弾制服を羽織らせる。
「大丈夫だから泣くな…なぁアリア手分けして爆弾を探すぞ、俺は外を探すからアリアは中を頼む」
「わかったわ…ってあんた!!防弾制服は!?」
「ん?ちょっとな」
バスの天井の窓から上に上がり、爆弾が仕掛けてありそうな場所を見るがどこにも見当たらなかった。
「アリアー中にあったか?」
「中には無いわね…」
「ん〜…車体下か?…」
ベルトのワイヤーを括りつけ逆さまになり車体下を覗くと、C4が仕掛けられていた。
「オイオイ…この量…バスと戦車を間違えてんじゃないのか?」
「政時見つかった?」
アリアもバスの上に登って来たようだ。
「見つかったから中に戻れ!!危ないぞ!」
「防弾制服着てないあんたの方が危ないわ!!私と変わんなさい!」
「俺は大丈夫だから早くッ…ん!?」
長いトンネルに響くバス以外のエンジ音が、後方からこちらに近づいてきている。
「もう1台いやがったか!?」
目に入ってきたのは銃の付けられた先程とは違う車だった。だが銃口は防弾制服を着てない俺ではなく、アリアの方に向いていた。そしてフルオートで弾丸がアリアの頭目掛け、飛んでいく。
「アリアッ!!逃げろ!!」
急いでワイヤーをよじ登って行き、アリアを庇う。
「カハッ…」
正面から弾丸を受け呼吸が苦しくなるが堪え、スチェッキンを取り出し車に全弾ぶち込み車が爆発したのを観て意識が遠のいた。そして最後に聞こえたのはヘリの音、銃声と何かが水に落ちる音と爆発音だった。そこで俺は完全に意識を失った。
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