この素晴らしい世界に安寧を!   作:阿良良木歴

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このダメパーティに救済を!

「「かんぱーい!!」」

 

冒険者ギルドの飲食スペース。そこでオレとカズマはジョッキを合わせた。飲酒は20歳とか細かい事を気にしなくて良いのは、異世界の利点だよな~。

 

「へぇ、じゃあカズマはもう結構冒険者やってんだな」

 

「最初は労働者だったけどな。それにしてもユウマは流石だな、今日来てそのままジャイアントトード討伐してきたんだろ?」

 

「まあね~。どっかのアホの子が散々足引っ張ったけどな」

 

チラリと隣を見ると恨めしげな目付きでオレを見る駄天使ーーもといライト。流石にカズマや他の人の前じゃ駄天使なんて言えない。

 

「カズマとそちらの方は、昔馴染みなのですか?」

 

「そうそう、故郷が一緒なのね。それでそっちのお二人さんの名前は?」

 

そう言うと、黒いとんがり帽子を被り左目に眼帯をつけたロリッ娘が立ち上がる。

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者!!」

 

「ちゅうにおつ。てか本名は?」

 

「失礼な!偽名も渾名も言ってないのです!!」

 

「……マジ?」

 

「マジです」

 

「…………良い名前だな」

 

「そう思ってるなら視線をこっちに向けるのです」

 

視線を向けずに隣の髪の色が青……いや、水色か?の女の子に話しかける。

 

「そんであんさんはどちらさん?」

 

「私はアクアよ。アークプリーストをしているわ」

 

「へぇ~。じゃあライトと同じ職業か」

 

「「一緒にしないで(ください)!!」」

 

ハモるなよ。

 

「誰がこんなムノーと一緒ですか!」

 

「はぁ!?アンタこそ欲に塗れた乞食みたいなもんでしょ!」

 

そのまま壮絶な口喧嘩へと発展していく。あ、おい。放送禁止用語を叫ぶな。周りの人の食事が止まっただろ。

 

「あの2人も知り合いなのですか?」

 

「みたいだな。仲のいい事で」

 

「「仲良くない!!」」

 

息ぴったりじゃん。

 

 

***

 

 

その後カズマが場を収め、なんとか食事再開。で、飲酒が初めてだったライトが盛大に吐いた。その被害を被ったアクアとめぐみんがライトと一緒に風呂に入りに行ったので、今はカズマと2人で飲み直していた。

 

「つうかもうパーティメンバーが3人か。それに上級職だし、クエストもサクサク出来んじゃねぇの?」

 

「ユウマはアイツらを舐めてる。訳に立たないアークプリーストと1日1発しか魔法が打てないアークウィザードで、どうやれば勝てるんだよ」

 

「……すまん」

 

「謝るなら、どっちか貰ってくれよ」

 

「オレも欠陥物件抱えてるから無理」

 

「「……はぁ~」」

 

2人で大きく溜息をつき、酒を煽る。もっと役に立つ仲間が欲しいのはどっちもだったようだ。オレも明日パーティメンバー募集の張り紙を作ろうか。

 

「パーティメンバーの募集はまだやっているだろうか?」

 

「え?あぁ、はい!まだ募集してますよ、オススメは出来ませんけど!!」

 

声を裏返しつつ返答するカズマ。美人で歳上はコイツ的にはきついんだろうな。顔はカズマの好みそうな感じだし。

 

だが、どうにもこの人マトモそうな雰囲気じゃない。カズマはまだ気付いてないみたいだけど、元の世界で交友関係を広げまくっていたオレにはわかる。コレはマズイ奴だと!

 

「じゃあオレはこれで。カズマしっかり面接しろよ」

 

「お、おう」

 

美人という事に気を取られあたふたするカズマを置き去りにそそくさと帰路につく。街の灯りは少ないが、その分星と月が夜道を照らす。若干ふらつく足取りで今日泊まる予定の馬小屋を目指す。と、道の真ん中で仁王立ちする幼女な獣人。何故かオレをドヤ顔で見つめている。厄介事の匂いがプンプンすんぜぇ~!

 

「……」

 

「……っておい!!」

 

てなわけでスルー。しかし、回り込まれてしまった。チッ、そう上手く逃げれないか。

 

「なんですか、近寄らないでください。守衛呼びますよ」

 

「それはむしろ妾のセリフじゃろうが!!」

 

うわぁ~、のじゃロリとかキャラ立ちすぎだろ。影薄いカズマに少し分けてやれよ。にしても金髪で褐色、更には狐耳とか何を目指してんの?

 

「まったく、妾の様な絶世の美女を目の前に何の反応も示さんとは……。アレか?お主は俗に言う草系男子か?」

 

「人をいきなり植物にすんじゃねぇよ。そう言うなら草食系だ。つか何が絶世の美女だ、褐色ロリ」

 

「なぁっ!?妾はこう見えて20じゃ!!ロリではない!」

 

「……っていう設定なんだな。さっさと家帰ってマミーと一緒に寝てろよ、身長伸びないぞ」

 

さっさとここから抜け出そう。足早に立ち去ろうとするとまた回り込まれ、目の前にギルドカードが突き出される。

 

『タマモ・ナインテイル age20』

 

「……」

 

異世界ってスゲー。

 

「これで信じるか?」

 

「ああ、ずっと夜更かしばっかやってたんだな」

 

「妾の身長に言いたいことがあるなら言ったらどうじゃ!!」

 

「みみっちい」

 

「やかましいわ!!」

 

騒がしい奴だ。

 

「んで、ホントに何の用だよ」

 

「簡単な話じゃ。お主のパーティに入れろ」

 

「断る。じゃあな」

 

「は?」

 

呆然とする褐色ロリを尻目に馬小屋へ向け歩き出す。そのまま何事もなく到着したので制服の上着をシーツ代わりにして寝る。明日はマトモそうな奴をパーティに勧誘しよう。

 

 

***

 

 

「……で、どうしてこうなった」

 

今日も何かしらのクエストを受けようとギルドに顔を出したら、ライトとタマモ、そして妙にオドオドした赤目黒髪の少女が和気藹々と食事をしていた。他人のフリをしたい、全力で。

 

「あ、ユウマ!こっちこっち!!」

 

空気読めよ駄天使ぃ!!おいそこの褐色ロリ、全力のドヤ顔すんじゃねぇ。腹パンすんぞ。

 

「どうどう?パーティメンバー集めたよ!これで少しはボクのこと見直してくれた?」

 

「ふざけんな、よく人を見て判断しやがれ!つーかなんで褐色ロリがここにいる?昨日断ったろ!」

 

「なにもパーティメンバーはお主1人では無かろう?ライトとナナシ、多数決で妾は採用になっただけじゃ」

 

「しるか!それよりもそこのナナシ、さん?は、オレ初めて見るんだけど!?」

 

そう言って目を向けると、ビクッと肩を震わせ目を背けながら自己紹介をした。

 

「な、ナナシと言います。職業はアークウィザード……です」

 

言い切った後にチラリとオレを見たかと思うと、涙目になりながら顔を明後日の方向に向けた。そんな顔怖いですかね!?

 

「上級職だしナナシさんはまあいい。だが褐色ロリ、テメェはダメだ」

 

「なんじゃ、職業までは見とらんのか。妾はソードマスターじゃぞ?」

 

「なん……だと?」

 

「そしてボクはエレメンタルマスター!!」

 

「うるせぇ!そんなこと知って……。おい、今なんつった」

 

「なに?難聴系主人公気取り?似合わないよ?」

 

「ちっげぇよ!なんで役職変わってんだよ!?」

 

「だってぇ、アクア先輩と一緒の職業なんて御免だしぃ。だから朝一で転職してきた」

 

「……転職にかかった費用は?」

 

「昨日のクエスト報酬全部!」

 

「このアホの子がぁ!!」

 

「みぎゃぁ!?」

 

アイアンクローで締めあげた後にすぐさまクエストボードに飛び付き昨日と同じジャイアントトード討伐を受ける。

 

「おら行くぞ。ついでにお前らの実力も見させてもらう」

 

「いいじゃろう。妾の実力を見ればお主も納得しよう」

 

「が、頑張ります」

 

痛み出した頭を無視しつつギルドを後にする。せめて実力だけはマトモであって欲しい。

 

 

***

 

 

まあ無理だってな、オレもわかってたさ。でもさ、コレは無いんじゃないかな。街を歩きながら、ガラスに映る自分の姿を見る。

 

黒焦げになったタマモを左手で抱き抱え、右手で背中に負ぶさる粘液塗れのナナシを支える。そして裾をつかむのは同じく粘液塗れのライト。なんだこれ、オレはいつから保育士にジョブチェンジしたんだ?クエストはクリアしたからいいけど。

 

まずタマモ。確かに攻撃力は高い。が、何故か敵の急所を外し痛めつける。悪趣味この上ない。しかもなんか嗜虐的な笑み浮かべてるし、正直怖い。そして防御力が欠片もない。

 

んでナナシ。上級魔法が使えるらしいが、テンパりまくる。打つ方向に仲間がいたら確実に当てるほどに。最終的に何を血迷ったか爆裂魔法を放ち魔力切れで戦闘不能。

 

果てはライト。エレメンタルマスターにジョブチェンジしたにも関わらず敵に殴りかかりあえなく捕食。お前は何がしたいんだ。

 

結果、ナナシの電撃魔法がタマモに直撃。戦闘不能になり更にはテンパったナナシが爆裂魔法で戦闘不能&捕食。結局オレがまた全部倒すハメになった。

 

真上で燦々とオレらを照らす太陽を睨みながら、心の中で叫ぶ。

 

どうしてこうなった!!




ギャグって難しいです。

もっと頑張ります。
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