IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
小さい頃からみんなと変わった力が使えた。
ハサミや針、スコップと言った物の偽物を作ることができた。
でも、全く使える物じゃない。叩けばすぐに粉になって消えてしまう。その物に触れ、理念を鑑定し、骨子を想定し、材質を複製し、技術を模倣し、経験を共感し、年月を再現し、全てを理解して、そこに表すことでそれは完全に限りなく近い贋作を生み出させた。
贋作とはいえ本物にと瓜二つ。自分でも驚くほどだ。でも銃や機械は作っても使えない。たい焼きみたいなものができるだけでいわば張りぼて。
でもこれがあると、家計の助けになる。必要な物があれば、可能な限り作り出せる。
もう一つ、変わった夢を見ることがある。
いつも同じ始まりをする。
金色の杯が目の前に現れると俺は手を伸ばす。すると杯が輝いて、気づけば八つの絵が描かれた扉に囲まれていた。
騎士、弓兵、槍兵、騎手、暗殺者、魔術師、狂戦士、王が描かれた扉。どの扉に入っても同じ部屋・・・・・・・・・・・・・・・じゃなかった。王様の部屋だけは豪華な品であふれかえってた。でも大抵、壁のない部屋に輝く星が部屋を照らし、その部屋の主と対面する形で椅子が置かれている。最初は話すのに戸惑ったけど日々積み重ねることによって心を通わしていった。そしてその人の本当の名前を聞くことができた。
騎士はアルトリア・ペンドラゴン。
槍兵はクー・フーリン。
騎手はメデューサ。
暗殺者は佐々木小次郎。
魔術師はメディア。
狂戦士はヘラクレス。
王はギルガメッシュ。
皆調べたら有名な人ばかり。アルトリアはあのアーサー王だ。
でも一人だけ、知らない名前があった。
弓兵のエミヤシロウ。調べても名前は出てこなかった。
そんなある日、シロウに自分が持つ力について話した。するとシロウは聞いて来た。
“君はその力をどこまで使う?”
俺は答えた。“自分の手が届く範囲までの人を救うために使う”、と。
“では聞こう。君の関係者が乗った100人の船と知らぬ人300人が乗った船があるとする。さて、君はどっちを救う?”
俺は迷わず答えた。“100人の方を救う。だって、どんなに言葉や偽善で語っても関わってきた方の方が大事に思えるから。”
するとシロウは笑い始めた。俺はそれにちょっとイラッとした。
“いやスマン。世界や人が違えば答えも違うのだと思ってな。”
俺はシロウが言っている意味が分からなかった。でも、俺の答えに納得してくれたことだけは何となくわかった。シロウは俺に言った。
“もし君が危機に瀕した時、私たちは君の助けとなろう。この言葉を君に刻ませる。”
そう言ってシロウは俺に額に指を突いた。何を刻んだのかが俺は知らない。けど、頭の片隅で大事だとは理解していた。
そして第二回モンド・グロッソの日。その日は千冬姉が二回目の優勝を飾る日だった。
でもその日、俺は誘拐された。手を後ろに縛られ、身動きできない状況。誘拐犯五人とISを持っている人三人がテレビを見ていた。俺は悔しさの余り、唇を噛み締めていた。
すると誘拐犯たちが騒めき始めた。テレビを見てみるとそこには決勝戦に出ている千冬姉の姿があった。誘拐犯の一人が俺に近づくと、蹴りを繰り出した。何度も、何度も蹴られ、口から血が出た。
「おいおい、床を地で汚すなよ。掃除屋に頼む金ができたじゃねぇか。」
「どうせ金がたんまり入るんだ。それにここってよくマフィアが処刑に使う場所だからしみこむ血が一つ増えるだけだよ。」
誘拐犯たちが高笑いする中、一夏は小さな声で呟いた。それは無意識であるが、意味のある言葉だった。
「解析(トレース)、開始(オン)。」
—―――材質、コンクリート。
—―――含有物、人間の血液50L
何故そのことが分かったか一夏にもわからなかった。でも、一つだけ言えることがあった。これだけあれば出来る(・・・・・・・・・・)ということが。
「眠りし血よ、我が意の下に動きたまえ。」
その瞬間、コンクリートにしみ込んだ血が陣を描くように染み出してきた。
コンクリ―の表面落ちを仮に落ちしたとしても、中にしみ込んだ血は落とせない。あるところでは、ドライヤーで違った場所に熱を当てると血が染み出た話がある。
「おい、なんだよこれ?」
「なんで血が・・・・・」
「てかこれ・・・・・・・・・・・紋章?」
誘拐犯たちが見る中、一夏は陣の中心に移動する。
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が身やどりし■■を。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すどに五度
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)
――――――告げる
――――告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善となるもの、我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
一夏が詠唱を終えると光り輝く陣の淵から八人の人影が姿を現した。
『問おう。』
「「「貴方が―――」」」
「君が―――」
「お前さんが―――」
「其方が―――」
「貴様が―――」
『私の/俺の/我の/拙僧のマスターか?』