IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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12 海魔の森

「じゃ、今日はここまでだな。」

「ええ・・・・・・・・・」

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 第三アリーナで普通に立っている一夏に対し箒、セシリアは肩で息をしながら立っていた。

「じゃあ俺は先にピットに戻る。」

 一夏はそう言うとピットに戻り着替え始めた。その時、アーチャーからの念話が入った。

(一夏、緊急事態だ!)

(アーチャー?どうした?)

(先ほど街を散策していたのだが森の方へと歩く子供の集団がいた。先頭にはキャスターの姿があった。)

(人目は!)

(認識疎外の魔術をかけているのであろう。このままだと・・・・・・)

(アーチャーが機会を見て足止め。セイバー及びランサーも加われ。キャスター、ライダー、アサシンは子供たちを安全な場所まで移動した後にキャスターに忘却魔術を!俺も行く!)

(待て一夏。いくら君でも危険だ。)

(もしマスターが近くにいるなら俺が拷問してでもそいつに令呪を使わせてやる!)

(・・・・・・・・了解した。しかし一夏、踏み外すなよ。)

(ありがとう、アーチャー。)

 一夏はすぐさま着替えると荷物を置き、急いで校門の方へと走り出した。その姿を陰から見ている人物に気づくことなく。

 

 人気のない森には禍々しいものが立ち込めていた。

 悪意、恐怖、死者の魂などっと言ったものが巡回しているといっても過言ではない。

「さぁっ!子供たちよ!今私の魔術を解いてあげましょう!」

 男のキャスターがそういうと少年たちは正気に戻る。さっきまでいた場所とは違い、見知らぬ場所、見知らぬ男が目の前にいた。

「子供たちよ!私とゲェ~ムをしましょう!鬼ごっこです!私が鬼ですよ!もし捕まれば・・・・・」

 男のキャスターは一人の少年を掴む。

「こう・・・・・・・します!」

 キャスターは少年の頭を潰さんとばかりの力を込める。キシキシと音を立てながら握る。少年はうめき声を上げながら苦しむ。

「ふっふふう、いいですね~。子供が苦しむ声を聞くのはっ!」

 男のキャスターがそう言っていると何かが突き刺さる音がした。男のキャスターは手に傷を負っい、地面には剣が突き刺さっていた。

「ぐぅぅ・・・・・・」

 男のキャスターは傷を負った手を抑える。その際に少年は男のキャスターから解放される。

「私は正義の味方じゃないが・・・・・・・マスターからの命令だ。子供を救え・・・・・とな。」

「全く、胸糞悪い。こんな奴が現界しているなんて話。」

「ええ。ジル・ド・レェ、あなたの顔はもう拝むことはないと思っていましたが・・・・・・・・・・まさかこんな形でまた出会うとは。」

 木の上からアーチャー、木の陰からランサーとセイバーが姿を現した。

「ガキ共、よく聞け。」

 ランサーはゲイボルクを向こう側に差す。

「この槍が向いている方向に振り向かず走りやがれ。いいな、振り向かずに走りやがれ!殺されたくなかったらな!」

 子供たちはランサーの言葉に従うかのように走り出す。

「そうはいきません。」

 男のキャスターはヒトデ状の海魔を大量に召喚すると子供たちのほうへと襲わせる。

「させっかよ!」

 ランサーがゲイボルクで薙ぎ払い、アーチャーが剣を射るがいくつか後ろに飛び越えてしまう。

「はぁああああ!」

 セイバーが剣で斬る。

 その時であった。一人の少年が転んでしまう。その少年を狙うかのように海魔が襲い掛かってくる。

「しまっ!」

「くっ!」

「間に合わねぇ!」

 アーチャーは剣を射ようにも少年に突き刺さってしまう恐れがあるため剣を射れない。誰もがダメかと思った瞬間であった。

少年は目を瞑る。が、痛みはやってこなかった。少年は恐る恐る目を開けるとそこには左手に黒鍵を手に海魔を刺している一夏がいた。一夏は海魔を投げ捨てると少年に言った。

「坊主、走れ!」

 一夏の言葉に従うように少年は走り出した。

「ごめん、アーチャー。」

「いや、むしろ今のは正解と言えよう。正直私でもあれはダメかと思った。」

「そっか。んじゃやることは決まってるな。」

 一夏はジル・ド・レェの方を向く。隣にセイバー、アーチャー、ランサーが並ぶ。するとジル・ド・レェはセイバーの顔を見て狂ったように叫んだ。

「おお・・・・・・・・・・おお・・・・・・・ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!ジャンヌ――――――――――!我が愛しの聖処女よ!再び巡り合えたことに感謝いたします!」

「くどいぞ、ジル・ド・レェ!私はジャンヌではない!」

「ヲヲヲ、サーヴァントとして召喚された際にまたしても、記憶を失ったのですね!嘆かわしい・・・・・・・・・・神は何故彼女に試練を与えるのでしょうか!・・・・・・・・・・・・いや、この世に神などいないのかもしれません。しかし!私はあなたを生き返らせるためならばどんなことでもしましょう!」

「子供を殺してでもか!」

「セイバー、こんな奴の言うことに耳傾けんな!」

「同感だ。」

「みんな、マスターとして命じる!子供たちが逃げ切れるまでの時間を稼ぐぞ!」

『わかりました!/了解した!/おうよ!』

 四人は戦闘態勢に入る。

「ふっふっふ、ジャンヌ以外の不届き者どもめが!今私とジャンヌの感動の時間をも壊すというのであれば、私はそれ相応の歓迎をしましょう!」

 ジル・ド・レェは手に持つ書を上に掲げ、海魔を更に召喚する。

「はぁあああああ!」

 セイバーが風王結界のエクスカリバーを振るい薙ぎ払う。

「はっ!」

 アーチャーが干将と莫耶を舞うように切ってゆく。

「おら!どらぁ!」

 ランサーがゲイボルクで薙ぎ払い、切り裂く。

「ふっ!はっ!はぁあ!」

 一夏が黒鍵を両手に投影し海魔を次々と切り裂いてゆく。

 三騎のサーヴァントとマスターが次々と倒すが倒しても倒してもキリがなかった。

「っ!マスター!」

「どうしたアーチャー。」

「ここに誰かがいる!」

「なっ!・・・・・・・・・・・くそっ、付けられてたか。すまない、みんな。」

「今は気にすんな!ガキどもを逃がすのが優先だろ!」

「ランサーの言う通りです。我々は今ここで奴を・・・・・・・・・・・・っ!」

『っ!』

 セイバーが最後まで言うことはなかった。

(マスター、聞こえますか?)

(キャスターか?子供たちは無事か!)

(ええ。記憶の処理もしました。今日は撤退を。そちらの人目もありますし。)

「(わかった。)ランサー、そこのゲテモノ燃やせ!」

「あいよ!」

 ランサーは親指を歯で少し切ると人差し指に擦り付け、ルーン文字を描き海魔の一体を燃やす。すると燃焼性がいいのか海魔は次々と燃え始める。

「なっ!火!火ですと!ジャンヌにとって忌まわしい火を使うとはこの愚か者めが!ジャンヌのマスターの顔はしかと覚えましたぞ!」

 ジル・ド・レェはそういうと霊体化して姿を消した。

「どうする、マスター?」

「撤収。あとはそこにいる人が何とかするでしょ!」

 一夏はそう言うとその場からすぐさま離れた。セイバーたちも霊体化して姿を消した。

 陰から見ていた人物、楯無は一人その場に残って文句を垂れていた。

「あ~、もうっ!面倒ごとばかり押し付けて!」

 楯無は自身のISを展開し消火作業に入った。

 

森から大分離れた公衆電話付近では子供たちが寝ていた。一夏はアーチャーと共に子供たちに投影した毛布を掛けていた。

「キャスター、大丈夫なんだよな?」

「ええ、心配しなくても大丈夫よ。」

「そうか・・・・・・・・・・よかった。」

 一夏は安心した。

「さて、公衆電話を使ってあとは警察に任せますか。」

 

 後日、一夏は放課後廊下を歩いていると向こう側から楯無が近づいてきた。二人は横に並ぶ。

「織斑君、昨日のこと聞きたいんだけど?」

「昨日のこと?何のことですかな?」

「とぼけるつもりかしら?」

「でしたらなぜあなたがそれを知っているのですか?まさか外出届も出さずに生徒会長が夜間無断外出をしたというなら生徒に示しがつきませんよ。」

「くっ!」

 楯無は苦虫を噛み潰した顔になる。

「お互い、“Win Win”といきましょう。せ・ん・ぱ・い。」

 一夏はそう言うと自室の方へと戻っていった。

「お嬢様、ここにいましたか!」

「う、虚ちゃん!」

「まだ書類が残っているんですから生徒会室に戻ってきて下さい!」

「いや、ちょ、ま、いぃぃいいいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!」

 何やら断末魔のような声が聞こえた気がする一夏だが空耳と思った。

 

 

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