IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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13 すれ違う思い

「バーサーカー。」

 一夏がIS学園の森の中でバーサーカーを呼ぶとバーサーカーは実体化する。バーサーカーは体が大きいため部屋の中では実体化できない。そのため人気のないこの場所で呼ぶしか他になかった。

「昨日はありがと。はいこれ。」

 一夏は大きめのクッキーを手渡す。

「■■■。」

 バーサーカーはそれを受け取ると口に入れる。

「おいしい?」

 一夏が尋ねるとバーサーカーは頷く。

「よかった。」

 昨日の子供を救出した話はニュースとなった。子供たちに記憶はなく、気づけば毛布にくるまれていたと、ニュースでは取り上げられている。またなぜか子どもたちにポケットに宝石が入ってた話があったが一夏は心当たりがあった。

 昨日IS学園を離れる際にバーサーカーに学園の警護を任せたのだ。ギルの場合は基本頼むことはない。

「ま、どこにいたのかはわかるんだけどね。」

「?」

「あ、バーサーカーはいいからね。じゃあ。」

 一夏はそういうとその場を後にした。

 ちなみに楯無さんは生徒会室で書類と仲良くしています。

 

 一夏はゲイボルクの威力がどれほどのものかを知るために整備室に来ていた。

「さてと、槍兵〈Lancer〉。」

 一夏は白式を展開するとランサー形態へと変え、装置にセットしゲイボルクの威力を図ろうとする。

「・・・・・だれ?」

 一夏は声のする方を向くとそこには同じ一年生のネクタイをしていた。

「え~っと、俺は織斑一夏だ。君は?」

「・・・・・・・・・・更識簪。」

「更識って・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・知ってるんだ。」

「あ、あ~・・・・・・・まあ、ちょっと。」

 一夏は気まずい表情になる。

「なにかあったの?」

「ちょっと・・・・・・・・・・・・な。(たぶん名前からして姉妹なんだろうけど言えない。楯無さんが男にあんなみだらな格好をしただなんて・・・・・・・・)」

 一夏は心の奥底に収めた。

「さっき名字が同じだから反応したんだけど・・・・・・・・君は何て呼んだほうがいいかな?」

「・・・・・・・・・・・簪でいい。」

「わかったよ、簪。」

「・・・・それで何をしようとしているの?」

「ゲイボルクの威力を知りたいんだが・・・・・・・・・・簪さんは何か方法を知らないかな?」

「・・・・・・・・・・・・貸して。」

 一夏はキーボードを簪に貸す。簪はキーボードを操作し、ゲイボルクの威力を見る。

「はい・・・・・・・・・て、え!」

「ど、どうかしたのか?」

「なに・・・・・・・・・・・この威力・・・・・・・・戦術兵器並みだよ、最大出力が。」

「まじか!」

 一夏は本心から驚いた。

「うわー、10%にしといてよかった。セーブ掛けたいんだけど・・・・・」

「やってあげる。何%?」

「最大出力10%で。最悪人を殺しちまうかもしれないからな。」

「・・・・・・・・・・わかった。」

 簪はキーボードを操作しセーブをかける。

「・・・・・はい、できたよ。」

「ありがと、簪さん。今度何かお礼するよ。」

「・・・・・・今じゃなきゃダメ?」

「・・・・・・・・・・・・・はい?」

 一夏は簪が言っている意味が分からなかった。

「・・・・・ちょっと聞きたいことがあるの。」

「まぁ・・・・・・・・・・答えられるなら。」

 一夏と簪は向かい合うように座り、簪は話し始めた。

「私の苗字からも分かるけど生徒会長の妹なの。私の家はちょっと特殊で、お姉ちゃんの本当の名前は言えないんだけど私の家の当主になると“楯無”という名前を襲名するの。お姉ちゃんは今までのどの“楯無”よりも優秀で、まさに天才。一人でISを作り上げちゃったの。そんな姉を持っているから私は周りからいつもお姉ちゃんと比較されてきた。

 そんなに頑張ってもね、あの人の妹だから当然、できて当たり前って誰も私を見てくれていなかった。唯一見ていてくれたのは本音。いるでしょ、あなたのクラスにいる布仏本音。あの子、私の付き人のようなものなの。

 あるひね、お姉ちゃんが私に言ったの。

“あなたは無能なままでいなさい”

 って。なんか、私が今までしてきたことに意味がないみたいなこと言われちゃってさ、その時からなのかな?お姉ちゃんとは距離が開いた・・・・・・・・・・ううん、私から距離を開けたの。織斑君は・・・・・・・そういう経験ない?}

「・・・・・・・・・・あったな。」

 一夏はまるでかつての自分を見ているような心境であった。

「俺もさ、そんな経験あったよ。でもある人が教えてくれた。その人にお前はなれないって。」

「・・・・・・・・・どういうこと?」

「俺にそのことを教えてくれた人は俺たちを職人と例えた。俺たち職人はそれぞれ自分のスタイルに合った作品を作り上げる。それは誰かの作品を模倣するときもあるが、結局はオリジナルを作り上げる。贋作者になったとしても所詮、贋作は贋作。本物に限りなく近づけたとしても贋作に他ならない。わかるか?」

「つまり・・・・・・・・・・真似ようとしても完璧には無理ってこと?」

「そういうことだ。その人の過ごした時間、経験、喜び、苦痛、苦労、理念、成長に至るすべての過程を模倣したとしても贋作なんだ。だからきっと楯無さんは

“あなたは私のようにつらい経験や重荷を背負わなくていい。あなたらしく生きなさい”って言いたいんだろうな。言葉の綾ってやつだ。」

 一夏はそういうと簪の頭を撫でた。簪は涙をぽろぽろ流し始めると、一夏に抱き着いた。

「ごめん・・・・・・・・・・・ちょっとこのままにして。」

「・・・・・・・・・いいぞ。」

 一夏はそう言いながら頭を撫でる。

(相変わらず貴様は誰にでも優しいな、一夏。)

(ギル・・・・・・・・・・・そういうギルはどうなの?)

(なんのことだ?)

(子供たちに宝石・・・・・・・・・・・あれってギルでしょ?)

(さぁ、どうだったか忘れたな。我はあの日、夜空の月を見ながら飲んでいたからな。ただ・・・・・・・・・・)

(ただ?)

(子供はいつの時代も宝だ。穢れを知らぬが故にその価値は輝く。我が宝物庫に永遠と入れることのできない財だ。)

(宝物庫に入れる必要はない。)

(なに?)

(子どもは生きているからこそ輝く。宝物庫にいればきっとその子の価値はなくなってしまうからね。)

(そうだな・・・・・・・・・・・一夏、やはりお前は我が認めるに値するな。)

(英雄王に言われるとは光栄だね。)

(当然だ。天上天下いかなる国の王などの言葉よりも我が贈る言葉ははるかに価値がある言葉だ!)

 

 そして月日は流れ、クラス対抗戦当日。

 一回戦の対戦相手が発表された。

 一年一組 織斑一夏 VS 一年二組 凰鈴音

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