IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
「で、どうなんだよそっちは?」
「お前が思っているほど楽な生活でも楽しい生活でもないぞ。なにより、厄介な人物がいるしな。」
「厄介な人物?」
一夏は親友の五反田弾の実家で弾と一緒に将棋を打っていた。
「四六時中俺のことを監視しておるストーカーさん。」
「うへー、そら息が詰まる生活だな。そういや鈴がそっちに転入してきたんだろ?」
「ああ。まあ、俺が勝ちそうになったけど。」
「勝ちそうになった?何かあったのか?」
「これを言ったら俺もお前も一生監視生活だ。そうなりたいなら言っても構わないが。」
「遠慮します!」
弾は全力で拒否をする。
「そういや衛宮さんまた爺ちゃんと料理対決していたわ。」
「あ~、厳さんの料理はあ・・・・・士郎さんといい勝負だからな。」
「まあな。でもあれで家事も出来て戦える。理想の旦那じゃねぇか?」
「それに見合う人って人物がいたらな。」
「それもそっか。」
「そうだ。そして王手。」
「ちょっ!そこで王手かよ!」
弾が焦っているといきなり部屋の扉が開いた。
「お兄、ご飯で来たから降りてこいって。・・・・・・・・・・て、一夏さん!」
「お、久しぶりだな、蘭。」
蘭は一夏の顔を見て顔を赤くする。そして自分の格好を見て扉に自分の姿を隠す。
「そういや来る前に連絡するの忘れてたな。悪い。」
「い、いえっ!こちらもそのことに気づかなかったのが悪くて・・・・その・・・・/////////////」
(妹よ、その純粋な気持ちをいつまでも持ち続けてくれ。)
弾は蘭を見ながらそう思った。
「ま、まぁ俺たちは先に降りておくから蘭は少しして降りて来いよ。な。」
「へ?・・・・・・・・・・・・あ、ああ!う、うん、そうする。」
蘭はそう言うと自分の部屋の方へと戻って行った。
弾の家は食堂なので賄いを昼に貰える。一夏と弾が食事を取っていると蘭が白いドレスに着替え茶を運んできた。
「どうぞ。」
「悪いな、蘭。」
「いえいえ、気にしないでください。」
二人がそう話していると人が来た。
「いらっしゃいませ~。」
「悪いな嬢ちゃん、今日は客じゃねぇんだ。」
「お、狼(ろう)さん!」
入ってきたのは槍突(やりつき)狼こと、ランサーである。ちなみに槍突狼はランサーの偽名。名前のところは“犬(けん)”にする予定であったがランサーが断固拒否したため狼にした。
「おう、狼。今日はどうしたんだ?」
「サバが釣れたから差し入れに来たんだよ。」
ランサーの手には釣り竿、肩にはクーラーボックスを掛けている。
「すまねぇな。てかお前、よくあんな長い時間機械みてぇに動かずにいられるな。」
「まぁ、俺も釣りが好きだしな。」
(それでエサが昆布ってのもすごいけどね。)
一夏はそのことを言いたかったがあえて言わないように心の内に留めた。
「そういや坊主、せ・・・・アルトリアが後で修行だってよ。」
「りょーかい。」
「修行?なんなんですか一夏さん?アルトリアさんと何をしているんですか?」
蘭は一夏に問いかける。
「ああ、アルトリアさんは剣が上手でな、剣の指導をしてもらっているんだ。」
「ええっ!あの人得意なんですか!でも私が知っているのは女の子を誘拐しようとしたのをバイクで止めたくらいしか・・・・・・」
「あ~・・・・」
まだ一夏がIS学園に入学する前にセイバーが働いているところの近くで少女誘拐未遂事件が発生した。その際にセイバーが近くのバイク所有者に許可(カリスマスキルB・発動)をもらいバイクを運転。ライダーに劣らない騎乗スキルBで追跡、そして車のエンジンをバイクを用いて壊し、誘拐犯を見事撃退したという話。ちなみにこれでセイバーの存在がテレビに報じられ、カフェの売り上げが向上した。
「あの人はまるで騎士なんだ。ISを使う人の中には剣道じゃ太刀打ちできない相手がいるからな。狼さんにも槍を教わっているんだ。」
「「えっ!」」
弾と蘭はランサーを見て驚く。
「以外か?」
「ええ・・・・」
「まぁ・・・・・いつも花屋、喫茶店、魚市場とかで働いているところを見るくらいですし。」
「ま、そーだな。でもまぁおれも少し海外で暮らしていて槍の使い方がうまくなったんだよ。」
ランサーがそう言っている間に一夏は食べ終える。
「ごちそうさまでした。厳さん、ありがとう。」
「おう。」
「じゃ、俺行くわ。」
一夏は席から立ち上がる。
「あ、あの一夏さん!」
「なんだ、蘭?」
「そ、その・・・・・・ISに乗るってどんな感覚ですか?」
「う~ん・・・・・正直、怖かったかな?」
「怖かった?」
「ああ。大きい力を持つと舞い上がっちまいそうになるんだけど・・・・・・・・・・・それで大事な何かを失うんかじゃないかと思うと怖いって思ったんだ。」
「・・・・・・・・・」
「参考になったか?」
「へ?あ、はい!参考になりました!」
「そっか。よかった。狼さん、行こっか。」
「おう。じゃあな、厳さん。」
一夏とランサーは五反田食堂を後にした。
「くっ!」
「その程度ですか、一夏!」
セイバーは一夏を横に八の字を描くように振るい一夏を押してゆく。
(一撃一撃が重い・・・・・・だけど!)
一夏は右足を地面にめり込むほど踏み込むと剣を受け止める。
(っ!肉体を強化せずよくぞ耐えましたイチカ。しかしその足ではすぐ次には・・・・)
一夏は後ろに跳ぶ勢いを利用しセイバーに土を掛ける。
(そうきましたか!下を持って上を制す。いい判断です。)
一瞬の隙を作ると一夏は後ろに二・三度跳び距離を取ると詠唱する。
「強化、開始(トレース オン)」
一夏は肉体を強化し一気にセイバーに接近し、身体を一回転させ一撃を与える。セイバーはそれを受け止める。
「ぐっ!(この前与えた一撃を仕掛けてきましたか・・・・・・学習が早いことはいいことです。)」
一夏はセイバーに剣を押し付ける。その時に亀裂音が二人の耳に入る。
しかし、二人はそんなこと構うことなく剣を振るい、ぶつけ合う。叩く度に互いの剣にヒビが入る。
「はぁああああああああああ!」
「うぉおおおおおおおおおお!」
互いに一歩も退くことなく剣を振るう。二人は一旦距離を取ると同時に動き出し、渾身の一撃をぶつける。そして一夏が弾き飛ばされ、一夏の剣が砕ける。破片が一夏の体を傷付ける。
「がぁあっ!」
一夏は地面に盛大に倒れる。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・イチカ、よくぞ頑張りました。私たちのマスターとして誇りと思います。しか・・・・・っ!」
セイバーはそれより先の言葉は出なかった。それはセイバーの剣が砕けたためである。一夏の剣自体は一夏自身が作ったものだが、セイバーのはアーチャーが作った物。アーチャーが投影した剣を砕くということはそれほどまでの力と複製ができたからである。
(明らかにイチカの成長は早い・・・・・・・・だがシロウと彼は違うのに・・・・・・彼もまた剣の属性なのか?いや、ランサーのゲイボルクも複製できていた。ということは・・・・)
「――イバー、セイバー。」
「っ!何ですか一夏。」
「何ですかって・・・・・さっきから呼んでも返事しないから。」
「すみません、イチカ。」
「ま、それより今回も負けたから次は勝つよって言いたかっただけ。」
「え、ええ・・・・・私もあなたの乗り越えるべき目標の一つであり続けるためにも負けるつもりはありません。」
「そっか、なら俺も頑張るよ。そろそろ戻ろう。門限が近いし。」
「そうですね。あっ!怪我は治しておいてください。怪しまれてしまうので。」
「りょ~かい。」
「一夏、私だ。少しいいか?」
「箒?」
一夏が自室で札にルーン文字を書いている作業中に箒が部屋の扉をノックしてきた。
「なんだよ帚?何か貸してもらいたいのか?」
「そうではない。今度学年別トーナメントがあるだろう?」
「ああ。」
「その・・・・・・・・だな・・・・・・・わ、私が優勝したら付き合ってもらう!」
「・・・・・・・・・・・・・・はい?」