IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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最初に言っておきます。
長いです、グダグダです(全体的に)



25 日常

 一夏が目を開けると、また白い空間にいた。いつの間にか椅子に座り、目の前には顔がはっきり見えない白い人がいた。

「やあ、久しぶりだね。」

「そうだな。で、おまえは誰だ?」

「それを答えるにはまだ早いよ。」

 白い人は手を頭の後ろで組みながら話す。

「ねえ、君に聞きたいけどいいかな?」

「どうせ断っても一方的に話すのだろ?」

「わかってるなら話が早いや。それじゃあ聞くけど、何のために力を求める?」

 白い人の問いに一夏は嘘偽りなく答えた。

「自分の手が届く範囲の人間を守りたいからだ。」

「へ~。でも子供たち救えなかったよね。」

「っ!」

 一夏は白い人の言葉に反応する。

「手が届いても、救えない。力がっても、救えない。思いがあっても、救えない。何も救えてないじゃん。それでも、“手が届く範囲の人間を守りたい”のかな?」

「ああ、そうだ。」

「でも実際できてないのに!」

「それは!・・・・・・・・・・・・・それは・・・・・・」

 一夏は俯く。

「本当の君は何を求める?全ての悪を破壊する力?全ての人を守る力?それとも・・・・・・・・・・・人を殺す力?」

「っ!?」

「気づいたみたいだね。そう、力は結局、力のままなんだ。なのに君は力を求める。その先に何がある?恨み?憎しみ?負の輪廻?」

「俺は・・・・・・・・・・・俺は・・・・・・・・・・・・」

「答えが出ない?」

 一夏はその言葉に頷くことしかできなかった。

「そう、その通り。今の君は君自身が何なのかすらわかってない卵。卵の殻を破れてない状態だ。自分がなぜそんなことを思うのかすら、考えたことはないんじゃないのかな?だけど・・・・・・・・・・・・・」

「?」

「もしその答えに辿り着いた時、君の生き方は決まる。どちらを選ぶ?ただ戦うマシンになるか、それとも信念ある人間になるか。」

 白い人がそういうと視界が暗くなってき始めた。

「今日はここまでだ。また会う時は・・・・・・・・・・・・・・・・答えを知る時だ。」

 

 箒の日常

「ふー、今日は買うものが少し多かったな。」

 箒は筆記用具などの必需品を買いにショッピングモールで買い物をした帰りであった。

 学生が使う道具は何かと重い。しかも時期は梅雨が終わって間もない時期であるため、照り付ける太陽が体力を奪う。

「少しあそこで休むか。」

 箒はレトロな喫茶店に入る。

「いらっしゃいませ。」

 箒の目にまず映ったのはカウンターに一人、黒い肌に白髪の若い男性であった。

「え、えっと・・・・・・・・・」

「ん?・・・・・・・・・・・・ああ、すまない。この肌と髪は旅をしていてこうなったのだ。安心しろ、私も日本人だ。」

「そ、そうなんですか。」

「ああ。席に座りたまえ。」

「は、はい。」

 箒は店員に促され、席に座る。カウンターの男はメニュー欄を手に取り、箒の方まで持ってくる。

「何か決まったら呼んでくれ。私はカウンターにいる。」

「わ、わかりました。」

 男はカウンターの方に戻る。

「あの、他の店員さんは?」

「ああ、今は休息時間に入っている。なにしろこの時間帯は客が来ないのでな。」

「そうですか。あの、お名前を伺ってもよろしいですか?」

「構わない。私の名前は衛宮士郎だ。君は?」

「篠ノ之箒です。それと、もしかして一夏が言っていた士郎さんとはもしかしてあなたのことですか?」

「おや、一夏を知っているのか。だったら話は早いな。確かIS学園といったかな?そこで彼はどんな様子だ?」

「え、ええ。そうですね・・・・・・・・・・・・私が知っているころと変わらず、まっすぐで、強い奴です。私とは違って・・・・・・・・」

 箒は表情を曇らせる。そんな箒に士郎は紅茶を差し出す。

「あの・・・・・・・・・・・・まだ頼んでいませんよ。」

「私からの奢りだ。紅茶を淹れるのは得意分野なのでね。」

「はぁ・・・・・・・・・・・いただきます。」

 箒は紅茶を飲む。

「・・・・・・・・・・・・おいしい。」

「褒めてくれて何よりだ。それよりも先ほどの会話の中で何か悩みがあったみたいだが・・・・・・・・・・・良ければ話してはくれないか?幸いにも今は私と君しかいない。」

「・・・・・・・・・・・では、いいですか?」

「構わない。」

 箒は士郎に話した。自分が姉との関係が悪いこと、自分の県道をストレスの発散に使っていること、その際に相手から言われたことを。

「そうか・・・・・・・・・・それで、君はその時どう思った?」

「・・・・・・・・・・私は、何をしているのかと思いました。好きな剣道をそんなことに使って、結局自分で自分を汚しています。人に偉そうに言えません。私自身、どうしたらいいのか・・・・・・」

「そうか。だが、君はまだ若い。今からでもやり直せる。」

「ですが・・・・・」

「君が言いたいことはわかる。だが、君自身が自分の過ちに気付けたことは大きなことだ。過ちに気づくことなく、ただ我が道を進めば後悔しか残らない。」

「後悔・・・・・・・・・ですか?」

「そうだ。君自身がどうしたいかはこれから決めろ。見たところまだ若干十五、十六しか生きていないと思うが、まあ、多少の誤差があるとはいえど、そのくらいしか生きていないのだ。せいぜい悩むことだな。」

「・・・・・・・・・・・・・はい。あの・・・・・・・・・・・また来てもいいですか?」

「ああ、構わない。そのほうが店の貢献になるからな。」

 士郎はそう言うとカウンターに戻った。

 セシリアの日常

「日本の骨董品というものを買うのにはこういった店がよろしいと聞きますが・・・・・・・」

 セシリアは慣れない道を地図と睨めっこしながらやって来たのは一夏が住んでいる地域の骨董店。普段のセシリアならこんな庶民染みた場所には来ない。なのになぜこんなところに来ているのか?

 それは日本の美術品に興味があるからだ。たいていの美術品はそれを専門とした店舗があるが昨今の贋作技術の向上によってプロでも騙されてしまうほどの物が出回っている。

 そういう店に信用がならないセシリアは一夏にいい骨董店がないか聞いたところ紹介されたのがこの店である。

 セシリアが店を見て第一に思ったのはさびれながらもどこか懐かしいと思ってしまうような店の雰囲気であった。そして何より目立つのがレジカウンターで一人読書をしている長髪に長身の眼鏡を掛けた女性。大きな胸に引き締まったウエストはまるでモデルのようであった。セシリアも自分のスタイルには自信があるが負けてしまっていると思ってしまうほどであった。

(お、落ち着くのよセシリア・オルコット。ここには日本でいうところの“ホリダシモノ“を買いに来たのですから。)

 レジの店員に動揺したセシリアだが平静を保った。

「おや、いらっしゃいませ。どうぞゆっくりしていってください。」

「は、はい。」

 レジの店員はセシリアに形式的に挨拶をする。セシリアはそれに答える。

(しかし骨董店とは色んな物があるんですわね。日本の物から他国の物まで。バラバラにありますわ。)

 始めてくる骨董店にセシリアは新鮮な気持ちになる。

(しかし・・・・・・・・・・・・どれが本物なのでしょう?贋作の中には本物とほとんど変わらないものもありますが、中には酷い物もあると言いますし・・・・・・・・・・これはわたくしの目が試されますわ。)

 セシリアはいくつか品を見ていると、一つの花瓶が目に留まった。形は卵のように滑らかで、口先が例えるならラッパであり、半分青と白の花瓶はどこか人を引き寄せる。

(まぁ・・・・・・・・・・・・なんてきれいな花瓶でしょう。たとえ贋作であったとしてもこれは良い品ですわ。)

 セシリアは花瓶を手に取るとレジに向かう。

「これを下さい。」

「わかりました。」

 レジの店員は本を置き、会計をする。ふとセシリアは名札に目が止まった。

(石蛇美天(いしへび びてん)さん・・・・・・・・・・変わったお名前ですね。石の蛇・・・・・・・・・・なぜかメデューサを連想してしまいますわ。)

 セシリアがそう思っていると美天はセシリアに声をかける。

「30万円になります。」

「あ、はい。カードは使えまして?」

「ええ、使えますよ。」

 セシリアから美天は黒カードを受け取り、会計をすると、瓶を新聞紙で放送する。

「一応聞きますが、ご自宅に郵送なされますか?」

「え?・・・・・・・・・・・ええ、そうしてくださいませ。」

「ではこちらにご記入をお願いします。」

 美天はセシリアに郵送用の用紙を差し出す。

「日本語が達者のようなので説明は不要かと思われますが、こちらにご住所とお名前、郵便番号を記載してください。郵送にかかる費用は追って連絡します。」

「わかりましたわ。」

 セシリアは美天に言われたとおりに書いた。

「確かにお預かりしました。毎度ありがとうございます。」

 美天は礼をする。そしてセシリアはIS学園に帰って行った。

 

 鈴の日常

「あ~、退屈ねー。」

 鈴は一人海岸を歩いていた。本来なら一夏と出かけたかったが生憎一夏は不在。いつもの修行に行っている。学園にいても退屈なのでとりあえず外に出ることにした鈴。

 が、金を使いたい気分でもないので海岸をとりあえず散歩していた。

「ん!あそこにいるのって・・・・・・」

 鈴は海岸で釣りをしている一人の人物に近づく。

「狼さん、釣れてる?」

「ん?おお、誰かと思えば久しぶりじゃねぇか、嬢ちゃん。」

 鈴が話しかけたのは狼であった。鈴は狼の隣に座る。

「そういえばさ、釣りって楽しいの?」

「ん~・・・・・・・・・・暇だからしてるってのが正解だな。」

「何その理由・・・・・・・・・・・・・というかさっきからずっと動いてないけどそれって大変じゃないの?」

「うんにゃ、全く。俺はこうしてじっとしていても平気だ。」

「見た目によらないね、狼さんは。そういや餌って何なの?」

「見るか?」

「うん。」

 狼は竿を引き、釣り針に掛かっている餌を見せる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?昆布?」

「おう、昆布だ。」

「そんなんで釣れるの!?」

「まあな。」

 狼は再び餌を海へ入れる。すると餌に魚がかかった。

「おっ!来たぜ!」

「嘘っ!」

 狼が竿を引くと餌に喰らいついていたのは鯖であった。

「よし、また鯖ゲット。」

「またって・・・・・・・・・・・何匹釣ったの?」

「あ~・・・・・・・・・・七匹だな。一匹いるか?ビニール袋あるぞ。」

「・・・・・・・・・・・・・じゃあもらうわ。」

 狼はビニール袋に鯖を入れる。

「ありがとうね、狼さん。」

「いいってことよ。それとこれは勝手な思い込みだが・・・・・・・・・・・・・・・一夏の坊主に鯖味噌でも作ってやるのか?」

「なっ///////////か、考えすぎよ!」

 鈴は顔を赤くしてその場を立ち去った。

「全く、若い奴はいいね~。」

 狼はそういうと再び釣りを始めた。 

 シャルロット・ラウラの日常

「シャルロット、やはり寝巻がないのはいかんのか?」

「ダメだよ、ラウラ。裸で寝るなんて。冬なんかだったら風邪を引いちゃうよ。」

 シャルロットとラウラはモノレールに乗ってショッピングモールへ向かっていた。理由はラウラの日用品を買うためである。ラウラは一般常識がことごとく欠けているためシャルロットが何度かサポートをしてきたが、毎朝のラウラの寝間着を着ないことに関しては今回のような機会を使う他なかった。

「ねえラウラ、なんで学生服なの?私服は?」

「そんなもの持っていないぞ。これがだめなら学園に戻って軍服に着替えるが。」

「ダメだって。それに軍服なんか来たら本国に迷惑がかかっちゃうよ。それに落ち着いて買い物もできないから。」

「なるほど・・・・・・・・・一理あるな。」

 シャルロットの言葉にラウラは納得する。

「下着もそうだけど、まず上の階の秋服コーナーから買いに行こ。」

「む?なぜ秋服を買うのだ?秋になって買えばよいのではないのか?」

「ダメだよ。秋になって買ったとしてもすぐ冬が来ちゃうんだから。早めに備えておかないと。」

「なるほど。確かに船上ではいつ補給が滞るかわからないため、予めの予備のストックは必要だな。」

 ズレながらも納得してくれたことシャルロットはホッとする。

 

「結構買ったな。」

「仕方ないよ。ラウラったら私服だけじゃなくて下着も少ないんだから。僕がいないと買わなかったでしょ?」

「否定はしない。」

「・・・・・・・・・・」

 シャルロットは額に手を置く。

「まあ・・・・・・・・・とりあえずあそこのカフェに入ろうか。」

「そうだな。」

 シャルロットとラウラはカフェ・@クルーズに入る。カフェの雰囲気は開放感あふれる作りになっている。

「いらっしゃいませ。席に案内いたします。」

 二人は店員に促され、席に座る。

「ここは開放的だな。スナイパーが狙撃するには絶好の場所だ。が、退避路の確保が難しいな。」

「もー、そんなこと今は考えないの。」

 二人がそんな話をしていると買い物から帰った店員が店に入ってくる。

「あ、アルトリアちゃんお帰りなさい。」

「ただいま戻りました、店長。」

 二人はふとその店員の方を向く。二人の目に映ったのはスレンダーでありながらもカッコ良さがありながらもアホ毛が出ている金髪のメイド。神は後ろを三つ編みでお団子にしてまとめている。

(うわ~、綺麗だけどかっこいいな~。)

(あのメイド・・・・ただ者ではないな。動きからして相当の実力者だ。)

 アルトリアの見た目に感心するシャルルっとに対し、ラウラはアルトリアの実力のほうを見ていた。

「それよりも店長、もうそろそろ査察官お方がお目見えになると聞きますが、残り二人の補充はどうですか?」

「う~ん、ちょっと厳しくてね。それと査察官じゃなくて本社の方の人だから。」

「そうですか。」

 アルトリアは店内を見渡す。するとシャルロットとラウラに目が止まった。

「ちょっと勧誘してきます。」

 アルトリアはそういうとシャルロットとラウラの方へ歩いてゆく。

「失礼、私はアルトリア・セイバーと申します。」

「は、はぁ・・・」

「こんにちは。」

「出会っていきなりなのですが、きょう一日バイトをしていただけませんでしょうか?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」」

 

「と、言うわけでありまして本日本社の人が店内の様子を査察するため人手が必要なのです。」

 店内の事務室でシャルロットとラウラは店長と一緒にアルトリアの説明を聞いていた。

「もちろん、本日の働いた分のバイト代はお出しします。制服も店の方から貸し出すのでそちらにとっても問題はないかと思われます。」

「ふむ・・・・・・・・・・確かに軍では経験できないことだから私はしてみたいぞ。シャルロットはどうだ?」

「え~っと・・・・・・一応聞きますけど僕が着る服は・・・・」

「ごめんねー。今メイド服と執事服しかなくてね。シャルロットちゃんには悪いんだけど・・・・・・」

 店長が謝罪の言葉を述べる前にアルトリアが割って入る。

「でしたら私のメイド服を貸しましょう。」

「え!でも―――」

「安心してください。私はこの店の方針で男装することもあるので慣れています。」

((男装するってどういうこと!))

 シャルロットとラウラは内心ツッコミを入れた。

「ああ、気になるよね?アルトリアちゃん見た目がかっこいいから男装が似合うの。男装をしてもらう日があるから男装に慣れているの。」

「それに私は気にしません。動きやすい服装なのでいざ強盗犯が逃げ込んだとしても対処します。」

「「あはは、ないない。」」

 店長とシャルロットはジョークを返すように受け答えする。

 そしてラウラはメイド服に、アルトリアは執事服に着替える。

「うんうん、似合ってるね二人とも!じゃあ接客お願いね。私はこれを店先に出してくるから。」

「あの・・・・・・・・・・・・それは何ですか?」

 シャルロットは店長が抱えている看板を指さす。

「ああ、これ?これはアルトリアちゃんが執事服を着るときに出す看板なの。お客さんの中からの要望でね、これがあると売り上げがすっごく向上するの。」

「へ、へ~。」

「あ、それとだけどアルトリアちゃんお接客にはツッコミを入れないでね。あの接客がお客さんを引き寄せるのもだから。」

「はい?」

 シャルロットは店長が言っている意味が分からなかった。

 

「いらっしゃいませ、お嬢様。お席へ案内します。」

 シャルロットが店に来た客を席に案内する。

「ご注文の品が決まりましたら店員にお声をお掛けください。」

「わ、わかりました。」

 シャルロットは一礼して離れる。

「ねえねえ、今の子、かわいくなかった?」

「思った思った!すっごいかわいいね!」

 客がそうしゃべっている中、シャルロットは本社からの人に気づいた。

(あ、あそこで手帳に記している人が本社の人だ。一般人を装っているけど観察眼が強いからわかりやすいね。ん?)

 シャルロットはあることに気付いた。お客の中にジュースをテーブルに溢しているお客がいることに。

「そこの女性二人、マナーを守りなさい!ジュースをこぼしているではないですか!」

「す、すみません!」

(せ、セイバーさん!)

「嘆かわしい!男ならお替りの一つでもしないのですか!」

「そんな小食で戦えるのですかサラリーマン!」

「ごはんか雑誌、どちらか一つにしなさい!」

(お、思いっきりお客さんを叱ってるよ!あれでいいの!でもなんでか逆らえないカリスマ性が・・・・・・・)

 この店に通う人ぞ知る“ご指導アルトリアさん”である。

「シャルロット、メイドとはああいう事をするのか?」

「違うからね、ラウラ。あの人だけに許されているだけだからね。」

 ラウラとシャルロットが話していると次のお客が来た。

「いらっしゃいませ。お席へご案内します。」

 今度はラウラが接客した。

「すまぬな。」

 長髪で正に侍のような男がラウラに言った。

「あ、お侍さんだ。」

「お侍さん?なんですかそれ?」

 メイドの一人が言ったことが気になるシャルロット。

「個々の常連さんでね、噂では道場の師範をしているんだって。で、しゃべり方と好きなものからお侍さんってあだ名が付けられているの。」

「なるほど。」

 シャルロットはメイドの言葉に納得する

「ご注文は?」

「ふむ・・・・・・・では抹茶ケーキと抹茶シェイクを。」

「かしこまりました。」

 ラウラは注文を受け、カウンターへ向かう。

「あそこの侍が抹茶のケーキとシェイクをご所望だ。」

「ああ、あの人ね。はいはーい。」

 厨房のコックが作り始める。

 そんな時、店に三人の覆面を被った黒づくめの男が来た。

「お前ら動くな!大人しくしていろ!」

 男たちは店内の客に銃を向ける。

「すみません、お客様。どうか今はこの人たちの言葉を聞いてください。」

 アルトリアは冷静に対処する。

「え?なにこれ?」

「気にしないで、シャルロットちゃん。たまにあるから。」

「あっていいの!」

「このご時世だから。」

 店長は普通に対処する。外では警察が包囲していた。

「お前たちは包囲されている。おとなしく投降しろ。」

 警察が形式的交渉をする。

「あ~、ドラマと同じ交渉だね~。」

「だねー。」

 お客の数人がそんな話をする。

「小次郎、これを。」

「すまぬな、セイバー。」

「「へ?」」

 いつの間にか木刀を小次郎に投げ渡したアルトリア。アルトリアの手にも木刀が握られていた。

「お、おいお前ら!なにを・・・・」

「「だまってやられろ!」」

 一瞬の内に小次郎とアルトリアは子分二人の意識を刈り取り、ボスの武器を持ってる手を叩き無力化する。

『お~。』

 客全員が二人に拍手する。

「全く、また銀行強盗でしょう。あそこの銀行は警備が甘いです。」

「ガードマンにも交戦権を認めさせるべきだな。」

 二人がそんな半紙をしているとボスの一人が自棄になる。

「こ、こうなったらみんな道連れだー!」

 体に巻き付けた爆弾とコードレス式のスイッチを手に取る。

「はっ!」

 アルトリアが木刀を振るいコードを切断する。

「秘剣・燕返し!」

 小次郎が燕返しをボスに叩き込んだ。それによって一気に無力化された。

 

「で、何か言い分は?」

「「ありません。」」

 一夏の部屋でセイバーとアサシンは説教されていた。

「まあ今に始まったことじゃないけどもう少し節度を持って行動してね。」

「「はい。」」

「まぁ、シャルとラウラを救ってくれたはいいけど。でも今日は二人ともおかず一品減らします。」

「「のぉ~~~~~~~~~~~~~~~~!」」

 楯無の日常

「ふぅ・・・・・・・」

 楯無は生徒会室で書類作業を一通り終え休息を取っていた。

「お疲れ様です、お嬢様。」

「ありがとう、虚ちゃん。」

 同じ生徒会で三年の虚は楯無に茶を出す。

「・・・・・・・・・」

 楯無は一枚の資料に睨めっこする。

「またですか、お嬢様。」

「・・・・・・・・・・・ええ。やっぱり気になるわ。調べても彼の強さがわからない。師としている人すらも。」

 楯無が見ているのは一夏に関する資料であった。そこには一夏が誘拐されたことまで記されているが、その日以降の一夏のことに関してはわからないことが多い。

「簪ちゃんとの仲を戻してくれたことには感謝しているけど・・・・・・・・・・やっぱり気になるわ。それに・・・・・」

 楯無はあの日のことを思い出す。

「青髭の名で知られているジル・ド・レェ・・・・・・・・・・・まさかね。」

「お嬢様、それはもしやあの・・・・・」

「ええ。正直、私が見たものは今までの常識を破壊したわ。それに、あの化け物を倒した三人。彼らはとてつもない強さを持っていたわ。正直、私でも敵わないと思うわ。」

「お嬢様がそこまで言うほどの人物なのですか?」

「ええ。」

 生徒会室に重苦しい空気が流れる。

「こうなったら・・・・・・・・・・・直接戦って彼の本質を見極めてみようかしら。」

 楯無は“実力行使”と書かれた扇子を広げる。

 

そんな頃一夏は―――

「ほらほら坊や、そんなことじゃ簡単に撃ち落とされるわよ。」

「くっ!」

 いつもの訓練を行う場所で一夏はキャスターと飛行魔術を使いながら魔術のぶつけ合いをしていた。

「これなら!」

 一夏は片手を突き出す。すると手に魔法陣が現れ、キャスターに向け魔力弾が放たれる。

「あら、少しは上達したようね。でも・・・・」

 キャスターも同じように手を突き出すが一夏とは違い手の魔法陣とは別の小さい四つの魔法陣が陣を巡回していた。

「まだ甘いわ。」

 五つの陣から魔力弾が放たれる。一夏が放った魔力弾は相殺され、残り四つが一夏に命中する。

「ぐぁっ!」

 一夏はそのまま地面に落ちる。

「今日はここまでね。魔法陣が簡易展開ができるようになったのはいい兆候よ。それに、魔術鉱石も複雑なのができるようになってきたしね。力のコントロールと集中力、この両方を備えているわ。」

「キャスターに言われると嬉しいね。実感が沸くかな。あ、そういや最近部屋で籠りっきりの作業してるって聞いたけど・・・・・・・・・・・何かあったの?」

「魔術道具もそうだけど、ちょっとネットで私好みの依頼があってね。」

「以来?」

「貴方の姉のフィギア、商品化するためのプロトタイプを作る募集があったの。」

「あー。」

 一夏はキャスターの言葉に納得した。キャスターは一見怖い感じではあるが中身は優しい。そして何より趣味がかわいい。プロの人形師に負けないといっても過言ではない。

「でもそれって本人の許可・・・・・・・・・」

「ちゃんとあなたの姉にも収入が入るから大丈夫よ。」

「そっか。でもなんか不安だな・・・・・・・」

 一夏の予想通り、カルト的人気で一時の経済効果を生んだのは別の話。 

簪の日常

「くぅ・・・・・」

「おりゃ!」

 第三アリーナで一夏と簪はいつもの訓練を行っていた。今回は簪が一方的に一夏を攻める訓練だ。

「もっと腰を入れろ!動きが短調だ!」

 一夏は簪を押し返す。簪は一夏から距離を取ると周りながら薙刀を振るう。しかし一夏は一歩も動くことなく全てを受け止め、流す。

(さっきから打ち込んでも全く効いていない・・・・・・・・・・・・ただ打ち込むだけじゃダメ!この武器の性質を活用するべき!)

 簪は薙刀の振動を一夏に当たる瞬間だけ最大にする。

「おっと!」

 一夏は片足を後ろに下げ耐える。

(お、機転を利かしてきたな。だがそこから後が・・・・・・・甘い!)

 一夏はかんざしが長刀を引く瞬間を狙い、手元を叩く。すると簪の手から薙刀が落ちる。

「あっ!」

「ほい!」

 一夏は石突で簪を倒す。

「はい、今日はここまで。」

「う~、まただ~。」

 簪は悔しがる。

「しかし気づかないか?」

「何が?」

「半人前とはいえ、足を動かさせたことだ。」

「・・・・・・・・・・・・・あっ!」

 簪はようやく気付く。

「ま、機転からの応用が使えていないからそこがこれからの課題だな。」

「うん。」

 一夏は簪に手を伸ばし、簪はその手を掴み立ち上がる。

 

 一夏と簪はアリーナの観客席側のベンチで休息を取っていた。

「一夏ってすごいね。何でもできちゃう。」

「すごくないぞ。俺にだってできないことはあるからな。」

 一夏はそう言うとスポーツドリンクを飲む。

「なんかさ、こんな表現、変かもしれないけど、一夏が正義のヒーローに思えたことがあるんだ。あの無人機のISが来た時も。」

「ん?何であれが無人機ってわかったんだ?」

「一夏が・・・・・・王〈Gill〉を使ったときにバラバラになった破片があったでしょ。あれ、見ていたんだけど血とかそういうのが無かったから無人機って思って。」

「そうか。それとこのことは口外するなよ。」

「うん。」

 簪はスポーツドリンクを飲む。

「簪、ちょっと話を聞いてくれるか?もしかしたら気分を害するかもしれないが。」

「うん・・・・・・・・・・・いいよ。」

「わかった。これはある男の話だ。その男は、自分を救ってくれた人の夢を受け継いだ。その夢は受け継いだであると同時に願いであった。その夢は“正義の味方”になること。

 一見、バカかもしれないが本人は本気だった。男は世界から戦争をなくすために世界と契約し、正義の味方となった。男は異なる時代、異なる国で何度も、何度も戦った。

 戦う度に人を殺した。殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、世界から戦争がなくなることを信じて戦い続けた。」

「でもそれって・・・・・・」

「そうだ、不可能だ。それにその男は決して報われることはなかった。殺した数の倍の人を救ったが、男は世界から拒絶され、殺された。けど殺されたとしてもまた戦い続ける。

 そしていつしか男は、志を失った。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・その後、どうなったの?」

「男は偶然にも過去の自分が生きている時代に呼ばれ、タイムパラドックスを起こすことを決意した。」

「タイムパラドックスってそれは歴史を・・・・」

「ああ、そうだ。男は今の男自身を殺すために、過去の自分を殺そうとした。そして、その男は過去の自分を追いつめた。が、過去の男は未来の男に負けられないと決意を固め、未来の自分に打ち勝った。」

「なんで?なんで未来の男は過去の男に負けたの?」

「ああ。こう思ったそうだ。

“ひどい話だ。古い鏡を見せられている。こういう男が、いたのだったな?”ってな。」

「・・・・・・・・・・・」

 簪は黙ってしまう。そんな簪に一夏は問う。

「正義の味方として生きるのと、生きないの。どっち正しいと思う?」

「・・・・・・・・・・・・・・どっちも正しい。けど・・・・・・・・・」

「けど?」

「願った結末と違っただけ。それだけなんだと思う。」

「ああ、その通りだ。正義のために自分を捨てる、言葉を着飾ったとしても決して自分自身は幸せにならない。けど、そこに“笑顔”があるなら、その道を通せる。その人はそう信じて戦うんだ。」

「笑顔・・・・・・・・・・・・か。なら私は、自分のためだけの正義を通そうかな?」

「いいんじゃないか。完全無欠にはなれなくても、自分が信じる正義を通してみろ。」 

 一夏の日常

「一夏、今日は私とです。」

「よろしく、ライダー。」

 一夏はいつもの場所でライダーと対峙していた。一夏の手にはライダーと同じ鎖付きの短剣が握られていた。

「いきます。」

 一瞬にしてライダーは一夏の目の前から姿を消し、一夏を後ろから刺そうとしてくる。

「ふっ!」

 一夏は反転し鎖を使い防御をするとそのまま鎖をライダーの腕にからめる。

「はぁ!」

 一夏はライダーを地面に叩きつけようとするがライダーは体勢を立て直し脚から着地する。着地した地面にはヒビが入り、土が宙を舞う。

「はぁあああああ!」

 ライダーは腕を大きく振り、鎖を振りほどく。

「くっ!」

 吹っ飛ばされた一夏は苦衷で体勢を立て直し着地する。その隙をライダーは逃さず接近し、蹴りを喰らわせる。一夏は咄嗟にガードをするがそれでも宙に浮いている分吹っ飛ばされた。一夏は木々の方まで吹っ飛ばされたが体勢を立て直し木に足を付く。

「強化、開始(トレース オン)!」

 一夏は身体能力を強化し、一気にライダーと距離を詰め、蹴りを喰らわす。

「おうらぁ!」

「くっ!」

 ライダーは腕を十時に組み、攻撃を防ぐとそのまま押し返す。一夏はバク宙を一回転して着地すると左の短剣を地面に突き刺し、右の短剣を左に持ち替え一気にライダーに接近する。

ライダーは体を反らし回避するが、一夏は右手で鎖を引っ張る。引っ張られた鎖から短剣を引き寄せ、ライダーに掠らせる。一夏は右手で短剣を掴むと回し蹴りをライダーにぶつけようとするが、ライダーは腕でガードする。ライダーはそのまま一夏の足を掴み、ぶん投げる。

「はぁあああああああああああ!」

 ライダーによって一夏は投げ飛ばされる。一夏は体勢を立て直そうとするがライダーが既に一夏の体に鎖を巻き付けていた。

(しまった!)

「ふっ!」

 ライダーは一夏を思いっきり地面に叩きつける。

「がはっ!」

 一夏は背中から叩き落された。

「一夏、私の勝ちです。」

「ああ・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・だな。」

 

 キャスターの魔術で治療を受けている一夏。側ではライダーが食事のためにシートを広げていた。

「やっぱりまだ勝てないな。」

「当然よ。英霊にしろ反英霊にしろ、そう呼ばれるほどの実力を兼ね備えているのですもの。」

「ですが一夏は実力が確実に上がっています。」

「そうか?」

「「そうよ/です。」」

 二人は口を揃えて言う。

「坊やの実力はかなりのものよ。たった三年でここまでの成長、正直私も驚くわ。」

「ええ。何より武器と言える物の投影が格段と上がっています。アーチャーとはまた別の、英雄になるのかもしれません。」

「よしてくれ。俺は英雄になんてなろうとは思わないんだから。」

「そう言うとますます英雄としての素質があるわね。」

「まあ、そんな話は後にして食事にしましょう。」

 ライダーの言葉に賛同し、二人は弁当を食べ始める。

「まあ、あなたが英雄になるかは置いといて、学園で厄介な奴がいるわね。」

「ああ、生徒会長。」

「そうですね。彼女はあの夜の出来事を見ていましたし、何より脅してくるでしょ。」

「そうなったら坊やはどうするつもり?」

「う~ん・・・・・・・・戦って黙らせるかな?」

「そうね。」

「賢明です。」

 一夏の言葉に二人は賛同する。

「賛成するんだ・・・・・」

「当然よ。口で聞かないなら体で味合わせてやるのが筋よ。」

「同感です。よく言うじゃないですか。聞き分けの悪い子には体で覚えさせると効果的だと。」

「うん、二人がお母さんのような感じだってのは分かった。まぁ、伊達にIS学園生徒内最強と名乗っているんだから、あの人には悪いけど実力を測らせてもらう。」

「あら、いいじゃない。」

「そうですね。」

 何かと腹黒い三人であった。

 

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