IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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26 体は■■で出来ている

 一夏が部屋で魔術鉱石の修行をしていると扉がノックされた。

「はい、少し待ってください。」

 一夏は魔力を流すのを止め、巧妙に魔術鉱石を隠すと扉のロックを外し、扉を開ける。

「やあ、一夏君。」

「・・・・・・・・・・・」

「何か言ってよ!」

「いや、ここはあえて見えるけど見えないと思ってあげる優しさをと。」

「悲しくなるからやめて!イジメよ!」

「うるさいですよ。こんなところで騒いだら他の人に迷惑ですよ。」

「あなたのせいでしょ!」

 一夏と楯無が漫才を玄関でする。

「ま、ここで騒ぐのも何なんで部屋にどうぞ。」

「そうやってお姉さんを襲うつもりかしら?」

「ここで全てをお見せしましょうか?」

「ちょっ/////////じょ、冗談よ////////」

 楯無が自分で吹っかけておきながら照れる。

 楯無は一夏に促され、部屋に入る。

「それで、何か用ですか?用がないなら窓からどうぞ。」

「扉から返してよ!ここ二階だけど落ちたら痛いから!」

「大丈夫です。あなたはギャグキャラ的立ち位置なので例えフリーフォールスカイダイビングをしても死なない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はずです。」

「そんなわけないでしょ!死ぬから!普通に死ぬから!」

「茶番はこのくらいにして――――」

「誰のせいよ!」

「―――――何か用ですか?」

「なかったことにしたよこの子!ま、まあいいわ。」

 楯無は咳払いをして仕切りなおす。

「一夏君、私と戦ってくれない?」

「(前にキャスターとライダーと話したことが現実になった・・・・)なぜですか?もしかして俺を負かして皆の前で勝利を噛み締めるため?」

「いいえ、違うわ。率直に言うとあそこでの出来事を包み隠さず話して欲しいの。」

「っ!」

 一夏は少し動揺する。

「いい反応ね。正直あの場で言っていた君の言葉で一度は踏み止まったけど、ここの生徒会長として知っておきたいの。それにあの男、ジル・ド・レェの名前は引っかかるの。かの悪名高き青髭と同じ名前なんてどんな趣味してるのかしらね?何か知っているんでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「沈黙は肯定と受け止めるわ。でも君のことだからどんなにお願いしても話さないでしょう。それで考えたの。君を納得させる条件をね。」

「それが勝負ですか?」

「ええ。もちろんかけ事のことは私と君だけの秘密。表向きは私のわがままに付き合ってもらったって話よ。」

「なるほど。あなたも人が悪い。言い返せば千冬姉に暴露するつもりでしょう。あなたは生徒会長として、そして唯一の男性としての俺を警護する目的でここを出たといえばどうとでもなる。」

「そういう事。わかってくれたかしら?」

「嫌と言えない状況を作る、つくづくあなたという人は悪女ですね。まあいいでしょう。ただし、そちらが負けた場合、もしくは引き分けの場合は俺の意思で話そうと思う時がない限りその事については喋らない。いいですね?」

「ええ。不文とはいえ約束は守るわ。私の誇りにかけてね。」

 楯無はそう言うと部屋を出ていこうとする。

「一夏君、たとえどんなものを使おうと、私は負けないから。」

 楯無は一夏に背を向けながらそう言うと部屋を後にした。

「・・・・・・・・・アーチャー、ごめん。」

「気にするな。」

 アーチャーが実体化する。

「こうも早くに来るとは思わなかった。」

「仕方がない。しつこい奴はどこまでもしつこい。ここで叩き潰しておくのが得策だ。」

「なるほどね。」

 一夏はそう言いながら冷蔵庫の炭酸水を取り出し、飲む。

「それで、どのカードを使うつもりだ?」

「使わないよ。」

「なに?」

「今回は俺自身の力で、どこまで戦えるか知りたい。それにこのカードのこともあるしな。」

 一夏はクラスが書かれていないカードを取り出す。

「なんとなくだけど、これは使ったとしても白式に何の変化はないと思う。」

「勘か?」

「ああ、勘だ。」

「そうか。君が決めたことなら私は止めはしない。が、言ったからには責任を持てよ。」

「わかってる。」

 

 対決当日。アリーナは関係者以外貸し切りの状態になっていた。

 関係者は箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪、本音、虚、千冬、山田先生のメンツである。

「全く、あいつには本当に世話を焼くな。」

「ですがこういう機会もあってもいいと思いますよ。織斑君自身、どこにいるのか再確認するのにも。」

「まあそうだな。」

 山田先生の言葉に千冬は納得する。

「みんな、一夏は勝てると思うか?」

「わかりませんわ。生徒会長のISもそうですが、学園最強と誇るのであれば相当の実力を持っていることには変わりありませんわ。」

「アタシもセシリアと同意見ね。無謀に戦うことはしないわ。」

「僕ならここにいるメンツ全員でかかるかな?入念な作戦を立てて倒したほうが現実味があるし。」

「同感だな。前衛に箒と鈴、中衛にシャルロット、後衛にセシリアと簪と私だ。」

「でもお姉ちゃんのISって攻めにも防御にも使える武器があるから難しいかも。」

 箒たちもそれぞれの反応をする。

「お姉ちゃ~ん、楯無お嬢様が勝つと思う~?」

「わかりませんね。一夏君との勝負は悪魔でお嬢様の個人的なものです。ですが・・・・・・・・・この勝負、今までにない戦いになるかもしれません。」

 一同がグラウンドを見つめる中、一夏と楯無はISを展開しないまま対峙していた。

「一応聞くけど一夏君、今回は何のカードを使うつもりなの?」

「これです。」

 一夏は書かれていないクラスカードを出す。

「何も書いてないじゃない。」

「ええ、そうです。でも今回は俺自身の実力を使わせていただきます。」

「っ!・・・・・・・・・・・・・わかったわ。(やはりあの力はあの時の人たちの力と類似したものだったのね。でもそれを使いこなすなんて・・・・・・・・・・・ただ者じゃないわよ、一夏君)」

 二人は同時にISを展開する。

「クラスカード。」

 一夏はクラスカードを読み込ませるが白式・Fateに全く変化はない。

(やはり変化はないか・・・・・・・)

 一夏はそう思いながら雪片をコールする。

(基本武装は雪片一本・・・・・・・・・これ作ったバカは誰・・・・・・・・・・て、束さんか。全く何考えてんだか。)

 一夏は束に呆れながらも楯無のISを見る。手にはランスが一本、腰には水色透明のカーテンがマウントされていた。

(ランサーってところか。どんな小技で来るか見ものだな。)

「一夏君、準備はいいかしら?」

「ええ、そちらは?」

「私はいつでも大丈夫よ。」

「そうですか。では・・・・・」

 一夏は大きく息を吸う。一同その行為の意味が分からなったがすぐにわかった。

「我が名は織斑一夏!七人の師より教えを受けし者!貴様の名を名乗れ!それが戦いの合図だ!」

「っ!IS学園生徒会長兼更識家当主、更識楯無!」

 楯無が言うと一夏は一瞬で姿を消し、楯無の左隣で剣を振りかぶっていた。

「っ!」

 楯無は咄嗟に右に飛び、ランスで防御を取る。振りかぶった雪片が見事に当たり、楯無は吹っ飛ばされる。

「くぅ・・・・・・・・!」

 楯無は体勢を立て直し、一夏の方にランスを構える。が、そこに一夏の姿はなかった。

(どこに・・・・・っ!?)

 気づけば楯無より上の一で構えていた。

「舐めんじゃないわよ!」

 楯無はランスに仕込んでいるガトリングを放つ。

「ちっ!」

 一夏は舌打ちをしながら雪片を盾に後退する。

(一瞬で距離を詰められた。油断したら一気に倒されるわ。)

(零落白夜を決めるにはいいかと思ったんだが・・・・・・・・甘かったようだな。)

 一夏は地面に着地するとジグザグに進みながら接近する。

(連続瞬間加速!ただでさえ体の負担がかかるのに簡単にやってのけてる!)

(休む暇を当てない!)

 一夏は横に八の字を描くように剣を振るい、楯無を追い詰める。

(くっ!この私が押されている・・・・・・・でも!)

 楯無はバク宙をし一夏より上に位置するとランスを振る。

「甘い!」

 一夏は片足を地面にめり込ませると雪片を振り上げる。楯無のランスと一夏の雪片がぶつかり合う。一夏の足元にヒビが大きく入る。

「くぅぅ・・・・・・・・・・・」

「ぁぁぁ・・・・・・・・・らぁああああああああああ!」

 一夏は力押しに楯無を吹っ飛ばす。一夏は追撃しようとするが、目に入った蒸気に気づく。

「お返しよ。」

 楯無は指を鳴らす。すると一夏の周りにあった水蒸気は爆発した。

「ぐぁっ!」

 一夏は逃れようと後ろに飛んだが少し喰らってしまう。

「くっ!(ランサーとキャスターを同時に相手にしているみたいだな、おい)」

 一夏が体勢を立て直すと楯無が螺旋回転するナノマシンを纏ったランスを突いてくる。

「はぁあああああ!」

 一夏は雪片の地肌で攻撃を逸らすとそのまま楯無に雪片を振る。が、シールドエネルギーは発動することなく、楯無に雪片が入る。

「なにっ!」

「残念、デコイです。」

 水のデコイで一夏は拘束させられる。

「ごめんね。でも負けられないから。」

 楯無は一夏にガトリングを放つ。一夏は避けることができず、モロに食らい倒れる。

「これで止めよ。」

 楯無は一夏にランスを突こうとする。

 ――――けられない・・・・・・・・・・・・・負けられない!俺はまだ、負けられない!

 一夏の思いに応えるように、白式が光り始める。

「っ!」

 楯無は危機を感じ一夏から距離を取る。

「どうやらそのカードの真骨頂のようね。さて・・・・・・・・どんな能力かしら?」

 光が止むとそこには先ほどと変わらない一夏の姿があった。

(もしかして発光することが能力?いいえ、そんなはずないわ。なら!)

 楯無は一夏に接近し、再度ランスを突こうとする。

「体は・・・・・・・・・・・・・・■■で出来ている!」

 ガァァン・・・・・・・・・

「なっ!?」

『っ!?』

 そこにいる誰もが驚愕した。一夏の右手には雪片、左手にはスパークを放ちながらも同じ雪片が握られていた。

「はぁああ!」

 一夏は楯無を押し返すと手にセシリアと同じスターライトmkⅢをコールする。

「そんな!わたくしと同じ武器を!」

 一夏は当たり前のようにレーザーを放つ。

「くっ!」

 楯無は水のカーテンを使い防御する。一夏はスターライトmkⅢから右に赤い長槍、左に金の短槍をコールする。

「はぁああ!」

一夏は赤い長槍と金色の短槍を交互に扱い楯無を攻める。

「くっ!でも甘いわよ!」

 楯無は一夏にランスを突くが一夏は赤い槍先で受け止める。すると螺旋回転していた水が突如として解かれた。

「っ!?」

 楯無は一夏から距離を取る。

「まだだ!」

 一夏は金の短槍を振るう。楯無は水のカーテンで防ぐが、切られた部分が機能しない。

「っ!(何なのこの槍!斬られた部分のナノマシンが機能しない。他の水で補おうにも補えない・・・・・・・・・まるで、ケルト神話に出てくるディルムッドみたいじゃない!)」

 楯無は一夏が使うISの武器が過去の神話に出てくる物が多いことから少しばかり神話について調べていた。偶然にも楯無はケルト神話に出てくるデュルムッドを覚えていた。

「まだだ、まだ終わりじゃない!負けられない!」

「くっ!」

 楯無は一夏の気迫に押されて、距離を取る。一夏は左の腰に鞘に納まった刀をコール、楯無に向かい八艘の船が宙に浮く。

「船?」

「いくぞ!壇ノ浦・八艘跳!」

 一夏は一気に八艘の船を駆け、抜刀、楯無をすれ違いざまに斬る。

「ぐうっ!」

 楯無は下に降りる。

(このまま戦っても埒が明かない。なら・・・・・・)

 楯無はランスに水を集中させる。一夏も同じ舞台に立ち、ある剣をコールする。

「・・・・・・・・・・・・・綺麗。」

 山田先生が思わず口にした。

 その剣は、かのアーサー王が手にした剣の贋作であった。しかし贋作であれどそこにあるのは夢。そこにあるのは希望。そこにあるのは願い。

 一夏はその剣を上に構える。するとアリーナ全体のシールドエネルギーがその剣に集中する。

「いくぞ・・・・・・・・・・・更識楯無!約束された(エクス)――――」

「はぁああああああああ!」

 楯無は一夏にランスを最大出力で突く。

「勝利の剣(カリバー)――――――――――――――――――――!」

 一夏も約束された勝利の剣と楯無の攻撃がぶつかり合う。二人の攻撃は衝撃波を放ち、見ている千冬たちにも影響を与える。

『くっ!』

『きゃっ!』

 互いの攻撃が止むとそこに立っていたのは一夏であった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の勝ちです、楯無さん。」

「ええ、そうね。」

 一夏のシールドエネルギーは1、楯無は0であった。

「まさか倒されるなんて思わなかったわ。どう、生徒会長になってみない?」

「面倒なので遠慮します。それに俺が勝てたのも本当に奇跡ですよ。さっきの武器、約束された勝利の剣は多くのシールドエネルギーを消費しますし、正に諸刃の剣ですよ。」

「え、そうなの?」

「まあ正直、これがなかったらですけど。」

 一夏はクラスカードを手に取る。そんな一夏に千冬たちが来る。

「全くお前らは・・・・・・・・・模擬戦をするのは構わないがグラウンドが荒れ地のようになったぞ。」

「「すみません。」」

「しかし、いい試合をしたな。ん!」

 千冬は徐々に出てくるクラスカードの絵に目が行った。クラスカードに描かれている絵は一夏の体に刻まれている令呪であった。

「っ!」

「あ、これ俺の体に刻まれている奴だ。」

 クラスカードにカード名が記された。

 カード名は、“織斑一夏〈Master〉”であった。

 

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