IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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27 天秤の彼女と動き出す闇

「ここは・・・・・・・・・・・・座?」

 一夏は目隠しをし、天秤を持った人が描かれた扉の目の前にいた。

「このクラスは・・・・・・・・・・・・なんだ?」

 一夏はわからないが、扉を開ける。するとそこに椅子に座っている三つ編みの金髪の女性が机にポッドとカップをセットして、にこやかに待っていた。

「おや、ここに来るとは座にアクセスできる人間ということですね。」

「え・・・・・・・・・・・・・・ええ。」

 一夏は女性の言葉にとりあえず答える。

「立ったまま話すのはあなたが疲れると思うので、どうぞお座りになってください。」

「は、はい。」

 女性に促され、一夏は座る。

「紅茶は飲まれますか?」

「ええ、頂きます。」

 女性はカップに紅茶を淹れる。

「あなたはどうしてここに来たかわかりますか?」

「いいえ、全く。」

「そうですか。どうぞ。」

 女性はカップに入れた紅茶を一夏に差し出す。

「いただきます。」

 一夏は紅茶を飲む。

「・・・・・・・・・・・おいしい・・・・・・」

「よかった。」

 女性は微笑む。

「少し気分を害することかもしれませんが、聞きたいことを聞いてもよろしいですか?」

「ええ・・・・・・・・・・・でもなにを?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジルについてです。」

「っ!」

 一夏は女性の言葉に反応する。

「・・・・・・・・やはり、彼は私の死んだ後で変わってしまったのですね。」

「ええ、そしてサーヴァントになっても・・・・・」

「そうですか・・・・・・・・・・・私はかつて、フランスのために戦いました。神を信じ、好みをフランスに捧げましたが、コンピエーニュの戦いで私は捕らえられ、そして引き渡され、火炙りされました。」

「・・・・・・・・・恨まなかったのですか?」

「ええ、恨みませんでした。私の生涯に満足していると言えば、満足はしていません。信じたものに似裏切られ、殺された。これは変わらない事実です。ですが、それまでの過程に成し遂げてきたものがあります。片田舎で過ごしていたであろう私と、ここにいる私。どちらも正しかったのです。ただ、望んだ結末と違った、それだけなのです。」

「・・・・・・・・・・・・・あなたはすごい。死してなお、恨みを抱かないなんて。」

「いいえ、すごくはありません。例え恨んだとしても恨みは新たな戦争を生んでしまう。それは仕方のないことですが、それによって次の犠牲者を出してしまう。敵にも、味方にも。だから私は恨みません。」

「そうか・・・・・・・・・・・でも俺は・・・・・・」

 一夏は俯き、拳を作る。

「そういえば・・・・」

「?」

「あなたのお名前を聞いていませんでした。良ければ教えていただけませんか?私のクラスはルーラーです。」

「俺の名は織斑一夏です。」

「イチカ・・・・・・・・・・・いい名ですね。」

「どうも。」

「一夏、あなたにお願いがあります。」

「お願い?」

「ええ、ジルをどうか解放してあげてください。私の死後、彼がああなってしまった。そして今もその恨みがあるのであれば、その呪縛から解放してください。」

「・・・・・・・・・・・・わかりました。俺にできる範囲でやってみます。」

「ありがとうございます、イチカ。」

 ルーラーは手を差し出す。一夏はそれに応えるように握手する。

 

「ん・・・・・・・・・」

 一夏は目を覚ます。そこは見慣れた風景の自室であった。

「ルーラー・・・・・・あなたの願いを、叶えて見せます。」

 一夏は窓の外の風景を見ながらそう言った。

 

 一方その頃、街に買い物に出ている一人のIS学園の生徒が道端でぎょろ目の男に話しかけられていた。周りはその光景が見えていないかのように素通りする。

「いいですか、正直にお答えください。あなたはIS学園の生徒ですか?」

「はい・・・・・」

「この夏に水がある場所に学校側で行きますか?」

「はい・・・・・」

「では、どこで行うか知っていますか?」

「旅館の名前だけ・・・・・・・・確か、花月荘って名前でした・・・・・」

 男の問いに対し女子生徒は虚ろな目で答えていた。

「よろしい。あなたは正直な子だ。これを差し上げましょう。」

 男は女子生徒の手に金を握らせた。

「本来金を見れば我が聖処女のことと関連付けてしまいますが、今回は忘れましょう。では、わたくしが見えなくなったとしても、貴方は私を覚えていない、会ってもいない。よろしいですね?」

「はい・・・・・」

「結構。それでは。」

 男は霧のようにその場から姿を消した。

「・・・・・・・・・・・・・あれ?わたしなんでここに・・・・・あれ?このお金なんだろう?・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、いっか。」

 女子生徒は何事もなかったかのようにその場を後にした。

 その近くの建物の屋上で、男は秘かに微笑んでいた。

「ふふふ、ジャンヌ、ようやく貴方を開放する時が来ました。我が元にあなたを戻すまでもうしばしお待ちくださいませ。そして必ずや、あの織斑一夏という輩めを殺して差し上げましょう!最高のクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥルを、あなたに差し上げましょうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

 

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