IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者   作:ザルバ

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3 動き出す物語

「おらおらおら!どうした坊主!その程度か!」

「くっ!」

 広い平地。周りを木々が囲んだこの場所は療養施設を作る場所としても最適である。ある一点を除いては。

 今この場に一夏とランサー、そしてキャスターがいた。キャスターは二人の戦闘を見ていた。

(坊やの動きもよくなっているわね。でもまだ荒削りなところもあるわ。第一、八・・・・・・・・・いえ七人の先生から教えてもらうなんて。それも休みなしに。ま、アーチャーが休ませるときは休ましているんだけど。)

 キャスターは一夏に呆れながらも棍棒で訓練している二人を見ていた。

「おら!」

 ランサーが一夏の足元を右手に持った棍棒で払おうとするが一夏は跳んで回避する。棍棒の威力で地面がえぐり取られる。

「おらっ!」

 一夏は棍棒を振り下ろす。ランサーは強引に左手を使い振り上げ受け止める。一夏は左に弾き飛ばされる。

(ぐっ!強化、開始(トレース オン!))

 一夏は肉体を強化し地面に着地すると同時に走り出す。その瞬間、地面の土が吹き飛ぶ。

「逃がすか!」

 ランサーも一夏を追いかけようと走り出す。高速と言っても過言ではない二人の走りは常人には捉えられないものであった。

「そらぁっ!」

「うおりゃぁあ!」

 互いに走りながら突き合う。が、手数とパワーではランサーが勝り、徐々に一夏の身体に棍棒が当たる。

(一か八か!)

 一夏は急ブレーキを掛け急停止する。ランサーは思いもよらぬ行動にそのまま走り続けるがすぐさま急ブレーキを掛けUターンをしようとする。その瞬間、一夏は棍棒を槍投げの要領で投げると再び走り始める。

「っ!」

 ランサーの目に写ったのは棍棒。その後ろには一夏。一瞬でその行動の意味は分からなかった。しかし一夏が機転を利かした戦術で斬るのは予期していた。

「喰らえっ!」

 一夏は走りながら跳ぶとそのまま棍棒の方に脚を向けキックする。走りの威力と体重がとてつもない威力を生む。

「ちぃっ!(やる様になったじゃねぇか!だがよ、そんなもんで負けたら英雄になんざなってねぇんだよコッチとら!)」

 ランサーは棍棒で受ける。避けようと思えば避けることもできた。しかし、正面から来る渾身の一撃を繰り出す相手に対しランサーのプライドがそれを許さなかった。

「うぉおおおおおおおおおお!」

「はぁあああああああああ!」

 ぶつかり合う二人。時間を重ねる毎に二人を中心に地面にヒビが入る。

「うぅう・・・・・・・・・・・・・・・・・うぉおおおおおおおおおおおらぁあああああああああ!」

「ぐっ!」

 力勝負でランサーが一夏を押し返した。一夏はそのまま地面に倒れる。一夏が起き上がろうとした途端、目の前に棍棒が突き付けられていた。

「勝負ありだ、坊主。」

「・・・・・・・・・だね。」

 ランサーは一夏に手を差し出す。一夏はその手を握り立ち上がる。

「キャスター、どんくらいだ?」

「大体5分ってとこかしら?」

「おー、前より30秒も伸びたか。ちったぁ成長していて何よりだ。」

「そらどうも。」

 秒単位の世界。英霊と戦うということはそれほどまでの世界である。

「ほら一夏、こっちで治療を受けなさい。ランサーは魔力で荒れ地にしたところを直して。」

「わーてるよ。」

 ランサーはそういうと荒れた地面を直しに行った。

「ほら、一夏。」

「ああ。」

 一夏はキャスターの下まで行き、治療を受ける。

「体に大分負担がかかっているわね。でも怪我が最初の頃より少なくなっていいわ。」

「でも最初っからガチで戦闘って誰も思わないよね。」

「貴方を強くする方法は基礎でもなく経験。体に直接教えた方が早いわ。」

「うん、わかっているけど何度か死ぬかと思ったよ。」

 一夏には基礎を教えるよりも体に刻んだ方が早い。現代兵器を扱うよりも早く身に付くからである。

「で、キャスター。やっぱりここってダメなのか?」

「ええ。残念だわ。霊脈はあなたの家よくもよく集まっているわ。もちろんあなたの家の霊脈も拠点としては問題ないわ。でもね、土地自身が汚染されているとダメになってしまうの。」

 訓練として使っているのは先日産業廃棄物が不法に投棄された土地であった。除染処置をすれば問題ないのではあるが広範囲に及ぶ汚染と時間がかかるため、国会でも踏ん切りが付かない状態である。

「まあ、訓練できるからいいけどね。」

「そうね。それにあのウサギが協力している分楽だし。」

「あ、名前で呼んであげないんだ。」

「当然よ。アイツは危ないわよ、色々と。」

 そう、サーヴァントたち全員は束と面識がある。

そもそも、きっかけは朝食の時であった。一夏が全員分の朝食を作り一緒に食事をしようという話を持ち出したことにある。流石に一夏一人しかいない家で寂しく食うのは心許い。が、サーヴァントに本来食事と言う者は必要ない。だが一夏はその姿勢を崩さず、結局みんなで食事を取るということになったのだがここで問題が起きた。

 モグトリアである。誰よりも食事のペースが速い彼女は結構食べる。流石に食費が速いペースで減るのは千冬には誤魔化しきれない。ギルの“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”に収められている至高の食材で対処しようにも限りがある。では解決策として何が妥当か?

 結果、自分の食扶ちは自分で稼げ。

 それしか策はなかった。が、ここでまた問題が発生した。戸籍問題である。戸籍が無ければ履歴書も書けない。履歴書なしの職などたかが知れ、給料も少ない。とても食費を賄えるとは思えない。偽の戸籍が必要である。じゃそれができる人は誰か?

 結論、篠ノ之束である。

 サーヴァント全員の承諾を得た上で束には全員を紹介した。その際に一夏が交渉(脅し)をした。

“もし束さんが裏切れば俺はこれをワールドワイドでバラ撒くから。”

 手に持っているのは千冬のものを物色している束の写真(千冬が中3の頃)

 それを見て束はダイビングをするが華麗に一夏に回避された。

“どうしていっくんがそんなもの持ってるの!”

“いつも物色してたから何かの役に立てようとフィルムカメラに”

 ギルはその時、“あの時宝物庫に入れさせた木箱の中身はそれか”と納得していた。

 そういうわけでサーヴァントの一部は働いている。

 セイバーは喫茶店、アーチャーはカフェ、ランサーは花屋、ピザ屋、ライダーは骨董店。残りは職に就いていない。と言うか就けないのが二人いる。

「ランサー、終わった?」

「おう、終わったぜ。」

 一夏の言葉にランサーは答える。

「じゃあ転移魔術で家に戻りましょう。アーチャーが朝食を作って待ってるわ。」

「そうだな。」

 キャスターの手に魔術で三人は家に戻った。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・』

 織斑家のリビングで束は一夏と一夏のザーヴァントたちの前で正座していた。

「束さん、今なんと?」

「だ、だからね、いっくんはISを動かせるんだよ。」

「はい。」

「で、IS学園に・・・・・・・・・・行ってくれないかな?」

「ギル、天の鎖(エルキドゥ)。」

「ま、待って待って!神をも律する宝具は流石の束さんも死んじゃう!」

「まあ、当然の結果よね。」

 キャスターが束に呆れる。

「篠ノ之束、一応聞くが何故だ?」

 アーチャーの問いに束は正直に答える。

「えっとね、いっくんがサーヴァントと大事な仲なのは重々承知しているよ。でもいっくんがいつかISを動かせることが分かったらサーヴァントたちの存在もいずれ分かっちゃうし・・・・・」

「篠ノ之束、私を誤魔化せると思うな。正直な意見を言え。」

「・・・・・・・・・・はい。正直に言うと箒ちゃんを守ってほしいです。」

「成程・・・・・・・・・・姉としての頼みか?」

「・・・・・・・・・・うん。箒ちゃんには迷惑を掛けちゃったからね。」

 束には後悔の表情が表れていた。

「・・・・・・・・・・・・・はぁ、全く、君と言う者は正直なると言うことをしないのがいけない。一夏、マスターは君だ。君はどうする?」

「・・・・・・・仕方ないだろ。ここまでされて断れって言ったら可哀そうだし、何より、手が届く範囲を伸ばせるなら乗ってやるよ。」

「いっくん!」

「ただし!」

「っ!」

「もし裏切れば・・・・」

「う、裏切れば・・・・・・」

「これを箒に見せる。」

 そこには箒のものを物色している束の姿があった。

「NoOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」

「ひょい。」

 ダイビングをしてくる束に対し一夏は天の鎖(エルキドゥ)を投影し、束を縛る。

「なんでそんなものを!」

「前に道場のトイレ借りようとした時に見かけてフィルムカメラに収めました。」

「い~~~~~~~~~~~~~~や~~~~~~~~~~~~~~~!デジタルじゃない分誤魔化す要素ゼロ~~~~~~~~~~~!」

「そういうわけなんでよろしくお願いします。」

「ううぅ・・・・・・・・・・わかりました。」

 束は縛られながらも納得した。

「それはそうと束さん、俺がIS使えること発表したら日本代表候補生の人とかにどういう影響がきますかね?」

「へ?ちょっと調べてみるね。」

 一夏の拘束から解放され束は投影型キーボードを操作する。

「え~っと、日本代表候補生・更識簪ってのがいて、今自分のISを作りかけているって。完成具合は外見だけなら完璧だけど中身はほとんど出来ていないよ。」

「成程・・・・・・・・じゃあ人員全員をこっちに割かず、必要最低限だけを割くようにって進言しておいてください。」

「オッケー。じゃあ束さんはラボに戻るから。」

 そういうと束は窓から出ていこうとする。

「まて、篠ノ之束。玄関から出ろ。」

 アーチャーに首根っこを掴まれる束。流石にサーヴァントに逆らうほど愚かではなかった。

「・・・・・・・・・・はい。」

 

 

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