IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
夜になり、昼間の海水浴を楽しんだ生徒たちは旅館でくつろいでいた。
その生徒の内の一人、セシリアは鼻歌を歌いながらある部屋に向かっていた。その理由は一夏が夕食の席でセシリアにマッサージをする約束をした。
「♪~」
セシリアが一夏の部屋へ近づいていると、一夏の部屋の前に箒、鈴、シャルロット、ラウラ、簪の五人が聞き耳を立てていた。
「何をなさってますの?」
「しっ!」
鈴が指を立て、黙るように促す。すると襖越しに声が聞こえてきた。
《最近してないから結構たまってんだろう。》
《そんなことは・・・・・・・・・あっ!》
《ほらやっぱり。特にここなんか・・・・》
《ぐぅっ!そ、そこは・・・・》
「な、な、な、なんなんですのこれは!」
セシリアも箒たち同様に聞き耳を立てるがその時六人の重みに耐えきれず、襖ごと六人は倒れる。
「・・・・・・・・・・・何やってんだお前ら。」
箒たちが見た先には一夏のマッサージを受けている千冬の姿があった。
「まったく貴様らは、なにをしているかと思えば。」
千冬と一夏は椅子に座り、箒たちは正座をさせられていた。その中でセシリアとシャルロットは足が痺れ始めていた。
「ま、マッサージだったのだな。」
「しかしよかった。」
箒の言葉の後にラウラが言った。
「何を勘違いしたんだ?」
「それはだな、モガッ!」
「な、なんでもないわよ/////////」
「おほほほほ////////」
ラウラは言おうとするがそれを全員で阻止する。
「ま、とりあえず俺は飲み物買ってくるよ。喉乾いているだろうし。」
一夏はそう言うと部屋を出て行った。
「やれやれ、余計な気をきかせてくれるものだ。さて、お前たち、あいつのどこがいい?」
『っ!?』
「気づいてないとでも思ったか?明らかに好意丸出しの行動が出ているぞ。」
千冬は頬杖付きながら言う。
「わ、私は幼馴染として・・・・」
「わたくしは、その・・・・代表候補生として、指導を・・・・」
「アタシは幼馴染のよしみとして・・・・・」
「そうか。ではそう伝えておこう。」
「「「結構です!」」」
「まあ茶番はさておき。オルコット、お前は織斑に指導される側だろう。」
「うっ!」
「むしろ織斑の方が幼馴染のよしみで動いている気がする。」
「「うぅっ!?」」
痛いところを突かれる三人。
「お前らはどうだ?」
「僕は一夏の優しいところですかね。誰にでも優しいんですけど・・・・・・・・その、そんな一夏がほっとけないというか・・・・」
「確かにあいつは誰にでも優しいな。そしてなによりそれがあいつのいい所でもあり悪い所でもあるな。」
千冬はシャルロットの言葉に共感する。
「貴様はどうだ?」
「強いところです。力だけでなく、心も。」
「そうだな。あいつは一流に劣らずとも勝らない腕を持っている。今のお前たちからすればアイツは一流のようなものだ。志も、あの師の人たちから学んだのだろう。更識、お前はどうだ?」
「助けてくれたところです。一夏は、私を私として見てくれた。」
「まあ、お前と一夏には似た境遇があるからな。」
千冬はそう言うと冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
「織斑が来たら飲むつもりだったが、まぁ早く飲んでもいいだろう。」
千冬は缶の栓を開ける。
「お前たちに聞くが、アイツが欲しいか?」
『く、くれるんですか?』
「やるか馬鹿者。」
『え~。』
「せいぜい励めよ、ガキ共。」
旅館の人気のない場所で一夏はキャスターと話していた。
「キャスター、反応はあるか?」
「いいえ。でも昼間に回収した海水を軽く調べたけど、魔術の痕跡が残ってたわ。」
「じゃあ・・・・・」
「でも今日じゃないわ。二日後、満月の夜にあいつは実行するわ。」
「二日後?なんでだ?」
「満月ってのはね、月から供給される魔力が多いの。おそらくあのキャスターはマスターがいないわ。」
「わかるのか?」
「多分ね。なにより、あいつのあの魔術工房、魔力供給のための道具が多かったわ。普通のサーヴァントはマスターからの魔力供給で何とかなるけど、人間を使った魔力供給は術式を発動させる場合が多いわ。でもあいつ自身の工房にはそれがなかった。つまり・・・・」
「マスターがいないって結論になったってわけだ。」
「そういうこと。」
一夏はキャスターの言葉に納得する。
「だとしても、そんなの雀の涙程度だろ?」
「いいえ、宝具を一回開放できるほどの魔力を供給されるわ。体を維持する分に問題ないわ。」
「そうか。だとしたら俺はアイツと明日出会ったのなら・・・・」
「倒したほうがいいわね。それに海にだけど霊脈の溜まり場があるわ。それにあいつには海魔使役しているわ。時間をかけて地面にまで伸ばせば・・・・・」
「出来ちまうか。」
キャスターは頷く。
「厄介だな・・・・・・・まぁ、何も起きないことを祈るな。」
「同感よ。」
翌日、浜辺では企業側からのISのテストが行われていた。
「専用機持ちと篠ノ之はこっちに来い。」
千冬の言葉に従い、一夏たちは集まる。
「篠ノ之、お前に―――――」
「ち~~~~~~~~~~~ちゃ~~~~~~~~~~~~~ん!」
その声を聞くと千冬はため息を吐く。
(なにしてんだ、あの人?)
((((((馬鹿だから気にするな。))))))
サーヴァント一同口を揃えて言った。
束は千冬にダイビングハグをしようとするが千冬のアイアンクローがそれを阻止する。
「やかましいぞ、束。」
「う~、ちーちゃんの愛は痛いねー。もしかしてツンデレ?」
「ふんっ!」
千冬は手の握力を更に上げ、束の頭から聞こえてはいけない音を立てる。
「ノォウ!ちーちゃん、人の頭から出ててはいけない音が出てるよ!」
「安心しろ、それはお前の幻聴だ。」
「幻聴じゃないから!」
数分後、束は地面に手を付き、息を荒くしていた。
「あ~、本当に死ぬかと思ったよ~。」
「それで、何の用だ?」
「おおー、そうだったそうだった!」
束は甦る。
(バカってあう言う回復力があるんだね。)
((((((一夏、成長したね。))))))
一夏を褒めるザーヴァント一同。
「さあ、空をご覧あれ!」
束がそう言うと空から八面体の物体が舞い降りる。そして八面体が解放され、中から紅いISが姿を現した。
「これが箒ちゃんの専用機、紅椿!」
「これが・・・・・・私のIS・・・・・」
箒は紅椿を見入る。
「じゃあ早速最適化と初期設定を終わらせよ!早く早く!」
「は、はい。」
箒は束に促され紅椿に搭乗する。
(イチカ、今のホウキは危険な状態です!)
(わかってはいるけどこっちからは何もできない。正直あいつに刺激を与えてやりたいところだが・・・・・・)
一夏がそう思っていると箒の最適化と初期設定が完了する。
「それじゃあ箒ちゃん、さっそくテストをしてみようか!」
「は、はい!」
箒は束に促され紅椿を動かす。
「っ!」
「どう、箒ちゃん?箒ちゃんが思った以上に動くでしょ?」
「・・・・・・・・ええ!」
箒は紅椿の性能に魅入られる。
(これは・・・・・)
(完全に危ないですね。)
一夏と箒が思っていると山田先生が走って一夏たちの方へとやって来た。
「織斑先生、大変です!」
山田先生は千冬にディスプレイの内容を見せる。
「っ!全員注目!これより現在行っている作業を中断!専用気持ちは臨時会議室へ!ほかの生徒は部屋で待機!これに反した者には処罰を下す!以上!」
その時、私は予想だにしていなかった。
まさかあんな化け物を使役する人間がいることに。
そして、私の新しい力を得たことによる慢心が、こんな悲劇を生むことになるとは・・・・
「ぐはっ・・・・・・・・・・」
「い、いちかぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」