IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
「現在、ここから2キロ離れた領空でアメリカ・イスラエルが軍事目的で開発され、強奪された“銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を我々が対処することになった。」
「織斑先生、そのISの情報の開示を要求します。」
「よろしい。ただしこの情報を漏らせば少なくとも二年間の監視と委員会からの裁判があるため覚悟しろ。」
セシリアの要求が通り、情報が開示される。
「武装が広域殲滅を想定して作られてるって話だけど・・・・・・・・・・・・わからないとどうしようもできないわね。」
「ええ。それに短時間で片づけなければなりませんわ。」
「となると高速型だよね。私の山嵐を使っても全弾落とされる可能性が高いし。」
セシリアたちが資料と睨めっこする中、一夏は千冬が言った気がかりなことがあった。
「織斑先生、先ほど強奪されたと言いましたが誰がやったかわかっているのですか?」
「・・・・・・まあ、疑問に思うのは最もだがこの情報に関してはにわかに信じがたいものもある。これを見ても誰も信じないだろうがな。」
千冬は強奪時の映像を見せる。
「っ!」
その映像には堂々とジル・ド・レェが写っていた。箒たちもその映像を見るが飛ぶ血しぶきに悲鳴、そしてジルの不吉な笑い声に顔色を悪くする。
(福音を奪ったの奴だ。だがなんでだ?サーヴァントにしてみればISなんてEランクの宝具で十分な相手だ。なのに何故・・・・・・・・)
一夏は考えるがそんな状況を打ち破る人が現れた。
「その作戦に物申す!」
天井から束が姿を現した。
「なんだ、邪魔するなら帰れ!」
「ちょっと待ってちーちゃん!今回の出来事に束さんは無関係だけどこの作戦に箒ちゃんの紅椿が適しているんだよ!」
「なに?」
千冬は束の言葉に喰いつく。
「箒ちゃんのISはなんと第四世代!高速軌道を展開装甲で可能にしたんだよ!」
「全くお前は・・・・・・・・・やりすぎるなとあれほど言っただろう。」
千冬は呆れ、眉間を揉み解す。そんな中、束の言葉にセシリアたちは唖然としていた。
が、一夏はクラスカードを床に広げ考えていた。
(アーチャーの固有結界は使えない。そもそも地理的に不利だ。
バーサーカーも十二のストックがあっても無理だ。それにスピードが足りない。
ランサーは遠距離でも行けるがアーチャーよりも距離が短い。それに一回の消費が大きいな。
キャスターは防御が甘い。それに詠唱に時間がかかる。
ライダーはパワーもあって宝具も強力だが・・・・・・・間合いを詰めないといけない。それに速くても防御が難しい。
アサシンはジャマーシステムがあるが、決定打がない。
ギルの宝具は数だけ打つけど、威力が引くのもある。それにあの剣は確実に仕留められるとは言えない。
俺のカードもダメだ。となると・・・・・・・・・)
一夏は騎士〈Sayber〉のカードを手に取る。
「これが妥当だな。(それに・・・・・・・・セイバー自身の宝具も対城級。カリバ―ビームをかすらせれば結構削れる。)」
一夏は使うカードを決めた。
「それでは十分後に作戦を開始する。二人とも、シールドエネルギーを充電しておけ。」
「「はい!」」
十分後の浜辺で箒は自身の持つ紅椿に慢心していた。
「箒、慢心するなよ。」
「何を言っている一夏。私はいたって普通だぞ。」
「・・・・・・・・・」
一夏は箒に見えないように刀を投影する。
「箒、持ってみろ。」
「?ああ・・・・・」
箒は一夏が投影した剣を手に取った。
「っ!」
そのとき何故か今まで以上に刀が重く感じられた。それはいつの扱い慣れている刀と大差ない重さであるにもかかわらず、重く感じられた。
「重いか?」
「ああ・・・・・」
「昔千冬姉が言っていた。
“その重さは、命を奪う重さでもある”ってな。蜂起が今手にしているISも同じだ。」
「私は・・・・・・・・・・」
「浮かれていたと聞いているのならYESだ。だが今気づいたなら気を引き締めろ。一瞬の油断が死を招く。俺はそう教わったからな。」
一夏はそう言うと放棄とっ反対方向を向いた。
(皆、何があってもここにいるみんなを守ってくれ。)
((了解しました、一夏/イチカ。))
(了解した、一夏。)
(わかったぜ、坊主。)
(わかったわ、坊や。)
(わかった。)
(■■■。)
サーヴァントたちが返事をすると同時に千冬からの指示が飛ぶ。
『織斑、篠ノ之、作戦開始だ。』
「はい!クラスカード、騎士〈Sayber〉!」
「こい、紅椿!」
二人はISを展開する。
一夏のISは期待カラーが青になり、胸部・腰・両腕の部分に銀の装甲、右手には風によって認識が阻害されている剣が握られていた。
「一夏、私の背中に。」
「ああ。」
一夏は箒の背中に掴まる。
「一夏、さっきはありがとう。」
「ん。」
一夏は短く返事をする。
「行くぞ、一夏!」
箒は上昇し、福音の元へ飛ぶ。
(速いな。けど・・・・・・・・・・セイバーの背中で感じた早さとは違う。)
「このままいくぞ!」
「ああ。」
箒と一夏は急接近し、福音を黙認できる距離まで近づいた。
(一発で決めるってのは正直無理だ・・・・・・・・・・・・・なら!)
一夏は剣を構え、風を刀身に纏わせる。
「風王鉄槌(ストライク・エア)!」
一夏が放った一撃が福音に命中する。
「このまま一気に攻めるぞ、一夏!」
「ああ!」
一夏は反撃しようと福音に接近する。その時セイバー形態の保有スキルが発動した。
〈警告。保有スキル・直観(A)が警告。〉
「っ!?」
一夏は風王決壊を身に纏わせ後ろに下がる。すると福音からいくつものレーザーが放たれる。
「くっ!」
「箒、俺の後ろに!」
「わかった!」
箒が一夏の後ろに位置すると一夏は剣を前に突き立てる。
「風王結界(インビジブル・エア)!」
一夏の風王結界によって当たるレーザーは極端に少なくなった。
「箒、悪いが時間を稼いでくれ。その間に最大にて最強の一撃をあいつにぶつける!」
「わかった。だが早くしろよ。」
箒は一夏にそう言うと福音に接近戦を仕掛ける。
(落ち着け・・・・・・・・・この剣は仮初とはいえセイバーの剣。その身を国に捧げながらも孤独となり、それでもなお理想を抱き続けた彼女の剣。俺は彼女のような強い心は持てない。だが・・・・・・・・・・)
一夏は持ち手を強く握る。
(俺なりの道をここで示す!)
刹那、剣を纏っていた風がなくなり、金色に光る刀身が姿を現した。
「いくぞ、銀の福音!」
一夏は一気に福音に接近する。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
福音は一夏に向け無数のレーザーを放つ。
「しまった!一夏!」
「(このまま突っ切るには・・・・・・・・・・・あれしかない!)装甲・・・・・・パージ!」
一夏の胸・腰・両腕の装甲が一気にパージされ、レーザーを防ぐ。しかしすべては防げずいくつかは直撃する。それでもなお一夏は接近を止めない。
「喰らぇええええええええええええええええ!」
一夏は剣を突くと一気にエネルギーを開放、カリバービームを放った。
「―――_______」
福音のシールドエネルギーは一気に削られ、待機状態になる。その最中、中から黒い何かが海面に落ちた。
「やったな、一夏。」
「ああ・・・・・・・・・・」
「どうかしたのか?」
(おかしい・・・・・・・・・・・・手ごたえが一瞬無くなった。まるで狙ってたかのように・・・・・・・・・・・・・・でもなんでだ?さっきのは間違いなく海魔。何のために・・・・・・・・・・・・)
一夏が深く考えていると箒が耳元で大きな声を出す。
「一夏!」
「うおっ!なんだよ・・・・」
「さっきから呼んでいるのに返事がないからだ。それと、さっき何か海に落ちなかったか?」
「そうか?俺は見て・・・・・・・・っ!」
「どうかした・・・・・・・・・」
一夏と箒が見る先には、まるで小さな島のように蠢いている海魔達がいた。
「な、なんだあれは!」
(なんでこんな堂々と・・・・・・・・・・・・さっきの出シールドエネルギーはほとんどなくなった。帰りの分しか・・・・・・・・・っ!してやられた!)
一夏はジルの策略にまんまと嵌まってしまった。
「箒、早くこれを持って戻れ!」
「お前はどうするのだ!」
「ここであれを・・・・・・・・・・・・・・っ!」
一夏たちが見る海魔達の上に、ジル・ド・レェが現れる。
「お久しい方も、お初目にかかるお方もいますね。」
「な、なんだお前は!」
「これは失礼を。わたくしめはキャスター。真名をジル・ド・レェと申します。」
「ジル・ド・レェ?」
「左様。フランスでは青髭として名が知れたものでございます。そこに折る不届き者に裁きを下したくここに参上しました。」
「不届き者?」
箒はジルが言っている意味が分からない箒。しかし一夏は両腕を部分解除すると手に剣を投影する。
「箒・・・・・・・・・・・・・・・・早く逃げろ。俺が時間を稼ぐ。」
「一夏?」
「ふっふっふ。いやはや、あなたのその仲間を思う気持ちは深く感銘を受けます。しかし・・・・・・・・・・・・貴様のようなものが我が聖処女のマスターなどあってはならない!」
「あってはならない・・・・・・・・・・・・・・・・ふざけるな!それはこっちのセリフだ!なんであの子たちを殺した!お前はなんで関係もない子供たちをお前は殺した!」
「い、一夏?」
「箒・・・・・・・・・・・・・・・早く行け!」
「っ!あ、ああ・・・・」
箒は一夏の言葉に従い旅館の方へと戻っていった。
「ふっふっふ、仲間を助けるとは流石ですね。さて・・・・・・・・・・・先ほどの戸井ですが、簡単でございます。子供たちの生命力から生成される魔力はわたくしの体を維持するための奪ったのです。それに、こ奴らには魔力は不要。この螺湮城教本(プラレーティズ・スペルブック)によっていくらでも召喚が可能なのですから。」
「じゃあ・・・・・・・・・・・・・・なんであんな状態で生かした!」
「簡単です。
子供の悲鳴は、私にとっての極上の楽しみですから。」
キャスターが不敵な笑みで言った途端、一夏の堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけんなぁあああああああああああああああああああああ!」
一夏はジルに向かい急接近する。しかしジルは海魔の触手を伸ばし一夏に攻撃を仕掛ける。一夏はそれを切り裂いてゆくが無限に再生する海魔たちの前に一夏は苦戦を強いられていた。
「はっはっは!愉快、愉快ですぞ!この状況で馬鹿の一つ覚えのように戦うあなたの姿は愉快ですぞ!」
「こっちはちっとも愉快じゃねぇよ!」
一夏は半ば怒りに任せて剣を振るっていた。そんな時であった。
「一夏!」
「っ!箒!なんでこっちに来た!」
箒が一夏の元に戻ってきたのだ。その瞬間、キャスターが不敵な笑みを浮かべた。
ゾク・・・・・・
一夏の背筋に悪寒が走った。
(まさか!)
ジルは箒を獲物を見る目で見ていた。
刹那、海魔達が箒に向け触手を伸ばす。
「ほうきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
一夏は箒の前に立つ。
グササササッ
「かはっ・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
箒は目の前の光景が信じられなかった。体をいくつもの触手で貫かれた一夏の姿が目の前にはあった。一夏は口から血を吐き、刺された際の血が箒の顔にかかっていた。
「ほう・・・・・・・・・・・・・き・・・・・・」
触手が一気に引き抜かれ、一夏の体から血が噴き出た。
「ごはぁっ!」
一夏は先ほどよりも多くの血を吹き出す。
「い、いちかぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」