IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
「どうだった、キャスター?」
「全く駄目ね。結界を何重にも張っているか、それかもっと地下深くで魔術を行っているかもしれないわね。でも、早く見つけてあげないといけないわ。」
「ええ、キャスターの言う通り早く見つけなければ最悪の場合、私たちがいた冬木での悲劇を再び起こしてしまいます。」
1026号室で一夏は女性陣からの報告を聞いていた。
一夏はセイバーから元いた世界に起きた聖杯戦争について聞いていた。そしてその中でもひどい話であったのが第四次聖杯戦争の被害と、そして四次のキャスターとマスターによる虐殺である。
「まあ、そっちはキャスターたちに任せるとして坊主、どうするんだ、その生徒会長さんの事は?」
ランサーが問うと一夏は答えた。
「とりあえず保留。それに、千冬姉に証拠を突きつけたし、後は脅しの材料をいくらでも・・・・」
一夏は黒い笑みを浮かべる。
「ですが一夏、相手はしぶといと思われます。お気をつけてください。」
「ありがとう、ライダー。」
「一夏、自分御庭での不始末は自分で着けるべきだな。」
「ギル、貴方と言う人は!」
「まあまあ、セイバー落ち着いて。」
一夏がセイバーを宥める。
「明日も朝が早いから俺は寝るよ。みんなには悪いけど日替わりで・・・・・・」
「皆まで言わなくてもいいぞ、一夏。」
「■■■■。」
「ありがとう、アーチャー、バーサーカー。」
一夏はサーヴァントたちに礼を言うと眠った。
一夏は夢を見た。そこは空が写る水面。周りには枯れた木にベンチが一つ。どこかわからない空間である。
「あれ?ここは・・・・」
「ねえ、なんでいるの?」
一夏は声を掛けられた方向に顔を向ける。するとそこにははっきりとは顔は見えないが白い人がいた。隣には白い長髪の女の子もいた。しかし女の子はまるで人形のように突っ立っているだけであった。
「そこの女の子は・・・・・・」
「ああ、彼女?今はまだ君と会ってないから直接的繋がりが無いんだ。」
「会ってない?繋がり?」
「いずれ分かるよ。君自身の本来の力もね。」
「それはどういう・・・・」
「おっと時間だ。またいつか会おうね。」
「お、おい!」
一夏が手を伸ばした途端、眩い光が一夏を照らした。
「ん・・・・・・・夢・・・・・・・・・なのか?」
一夏はベッドから起き上がる。夢のはずなのに鮮明に覚えている。なんとも不思議であると一夏は思ったが、すぐに気持ちを切り替え動きやすい服装に着替える。
「キャスター。」
「ええ、わかってるわ。アサシン、今日は貴方よ。」
「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・」
森の中をアサシンと同じ物干し竿を持ちながら走っていた。いつもなら広い平野を掛ける一夏だが今回は違う。アサシンの本領を発揮する場での戦闘によって気配察知能力を養うことが目的だ。
「っ!」
一夏は真上を見るとそこには木の枝を足場に物干し竿を構え、突っ込もうとしているアサシンの姿があった。
「くっ!」
気づいた時にはすでにアサシンは態勢が整っている。一夏は物干し竿でその攻撃意を受け止める。
「気配を察知できるにはまだまだ精進が必要だな。」
「知ってるよ!」
一夏は押し返す。アサシンは飛ばされるも態勢を整え着地すると一瞬の内に森に溶け込む。
「っ!(落ち着け・・・・・・・・アサシンは隠密行動に特化したサーヴァント。暗殺の基本概念にとらわれるな。考えるな、感じろ。五感を研ぎ澄ませ。)」
一夏は詠唱せず、自身の感覚を研ぎ澄ませる。
肌で感じる空気の流れ、聴覚で感じる草木が揺れる音。触覚と聴覚を極限まで研ぎ澄ませる。
(そこだ!)
一夏は一気に駆け出し物干し竿で突く。そこにはアサシンがいた。
(捉えた!)
「(見事。が、詰が甘い。)秘剣・燕返し!」
「しまっ!」
一夏は燕返しの射程範囲に入ってしまい見事にカウンターを喰らった。
「ここまでであったな、一夏よ。」
「ああ・・・・・・・・・また負けた。」
「いやいや、お主もなかなかやる様になったではないか。まさかアサシンである拙僧が存在を察知されるとは。」
「でも一撃も入れられないんじゃまだまだだよ。もっと精進しないと。」
(やはり気づいておらぬか。お主は今、とてつもなく成長している。)
アサシンはそう思ったが一夏の成長の妨げになると思いあえて口にしなかった。
「今日はここまでとしよう。早く戻らねば皆に怪しまれるぞ。」
「そうだな。ISを使えるようになってもいいことばかりじゃないな。こればかりはどうしようもないけど。」
「おはよう、箒。」
「おはよう、一夏。昨日お前の部屋に変態がいたという話を聞いたんだが・・・・・・・・」
「ああ、あながち間違いじゃない。悪戯好きの人が入ってた。もっとも、千冬姉にすぐ報告したけど。」
「そ、そうか・・・・・・・・・・・よかった。」
「ん?もしかして俺がそっちの趣味に目覚めたかと思ったか?」
一夏は箒をからかう。
「そ、そんなわけないだろ!」
箒は一夏に拳を突くが一夏はそれを避ける。
「おっとっと、こわいこわい。じゃあ早く食堂行こうぜ。」
「わ、わかっている!」
スタスタと箒は歩き始める。一夏もそれに付いて行く形で歩き始めると、セイバーが念話で話しかける。
(一夏、あまり意地悪するのもいかがなものかと?)
(いいんだよ。それに箒はどこか壁を作っちまうからな。こうして自然と壁をなくすようにしておかないと後から大変になっちまうからな。)
(まったく、貴方と言うお方は。)
セイバーは一夏のやり方には呆れたが、ちゃんと意味を成していることでそれ以上は言わなかった。
一夏と箒は対面する形で食事を取っていると女子三人が話しかけてきた。
「お、織斑君。隣いいかな?」
「おう、いいぜ。」
その言葉を聞くと女子一同パッと表情を明るくする。周りでは羨ましがる声が聞こえてくるがそんなことは気にしない。
「なあ、朝そんなんで足りるのか?」
一夏は女子たちの朝食の量を見て思ったことを口にした。
「わ、わたしたちは・・・・・・・・・・・ね。」
「う、うん・・・・・・・」
「お菓子よく食べるし。」
その言葉を聞いて一夏は何となく察した。
「もし体重を気にしているならいいダイエット方法があるが聞くか?」
一夏のその言葉に女子一同頷く。周りの女子たちも耳を傾けた。
「朝は体力を多く使うだろ?それにはエネルギーが必要だ。でもそんな少ない量だと必要以下のエネルギーしか得られない。だったらどうするか?朝はカロリーが高いものを取るんだ。学校にいるから朝から多くのエネルギーを使うだろうし、それに体育の授業に少食だと倒れちまうからな。外国にも朝と晩の食事を逆にしてダイエットに成功した人もいるぞ。」
一夏のその言葉に一同感心をする。
「一夏、私は先に行っているぞ。」
箒はそういうとトレイを戻しに行った。
「ねえ、織斑君。篠ノ之さんと仲良しなの?」
「ああ。幼馴染なんだ。アイツぶっきらぼうに見えるけど根は優しいんだ。仲良くしてやってくれ。」
「もちろん。でもちょっと目つきが怖いかな?」
「あ~、剣道する時はまず心から負けてたらいけないからそのせいなんかもな。」
そんな話をしていると食堂に千冬の声が響き渡った。
「さっさと朝食を取れ!遅れた物にはグラウンド十周をさせるぞ!」
アリーナの平均周囲は5km。十周となるとフルマラソンを軽く超える。そんな千冬の言葉を聞き一同は朝食を急いで食べるのであった(一夏以外)。
二限目の授業後の休憩時間。一夏は自分御席で次の授業の準備をしていた。そんな時に一夏に一人の女子が近づいてくる。
「ちょっとよろしくて?」
「ん?おやおやこれはイギリス代表候補生のMs.オルコット。」
「まあ、わたくしのことをご存知のようですわね。」
「昨日の自己紹介の時に知りました。」
一夏に話しかけてきたのはイギリス代表候補生のセシリア・オルコットであった。
「貴方はラッキーですわ。エリートであるこのわたくしと同じクラスメイトになれて。」
「本当にラッキーですね。」
「・・・・・・・・・・・バカにしていますの?」
「いえいえまさか、そんなことはありませんよ。」
一夏は手を振り、否定する素振りを見せる。
「まあ、わたくしは優秀です故、貴方が分からないところを教えて差し上げましょう。幸いにもわたくしは試験官を倒しましたし。」
「ならば私と同じですね。」
「はい?」
一夏の言葉にセシリアは間抜けな声を上げる。
「今なんと?」
「ですから私と同じと申しました。」
「・・・・・・・・・・・わたくしだけと聞きましたが。」
「それはきっとタイミングがズレたのでしょう。貴方が試験を行った人私が試験を行った日は大きく日にちの差があります。きっとそのせいでしょう。」
その時チャイムが鳴った。
「くっ、逃げなくってよ!」
(授業中にどこに逃げろと?)
一夏が言いたい疑問にセイバー頷いた。