IS インフィニット・ストラトス 英霊を従える者 作:ザルバ
「そうだ織斑、お前に専用機が支給される。」
「あ、やっぱり。」
休憩時間に千冬が一夏の耳に入れておくべき情報を入れる。
「いいな~、専用機。」
「私も欲しいな~。」
周りがそんなことを言っていると一夏は言った。
「俺の場合は専用機と言うより実験サンプルのデータ収集だろうな。ホルマリン漬けよりかは遥かにマシだけど。」
『あ・・・・・・・』
一夏の言葉の重みに一同黙り込んでしまう。そんな中、セシリアが一夏に話しかける。
「安心しましたわ。まさか訓練機で相手されるのかと思いましたわ。」
「そうか。だがMs.オルコット、たとえ訓練機であろうと俺は全力で君と対峙するまでだ。それが相手への敬意と思っている。」
「・・・・・・・・・・ふん!」
放課後になると一夏は二本の短めの棒を振っていた。朝は問題なく転移魔術を使えるが放課後になると話は別。特に生徒会長の目がある。
一夏はアーチャーを今までの経験でイメージし、相手にしながら対戦している。
「くっ!ぬっ!」
イメージと言えど一筋縄ではいかないサーヴァントを一夏はよく理解している。そんな光景をたまたま見ている人物がいた。一人は楯無、もう一人は簪である。
(あの動き・・・・・・・間違いなく経験をしている動きね。身辺調査をしたけど特に何も出てこなかったわ。あったとしても先日の槍兵さんだけ。学園に何かしたような様子もないし・・・・・・・・一体何なの?)
(すごい・・・・・・・・・まるで本当に戦っているみたい。)
一夏は後ろに二回バク宙し回避する行動を取る。
「くっ!(やっぱりイメージでも強い・・・でも!)」
一夏は空想のアーチャーに向け駆け出し、棒を十字に振るう。一夏はしばらく動かず、振り切ったままの姿勢で制止していた。
「・・・・・・・・・・・・また・・・・・・・・負けたか。」
一夏はそう言うと姿勢を正した。
「はぁ~、わかっていたけどやっぱりまだ勝てない。常に最強の自分を想像しても。それを形にできないとダメなのにな。」
一夏はそうぼやきながら寮の方へと歩き始める。
((常に最強の自分を想像・・・・・・・・・・・?))
二人は一夏の言っている意味が分からなかった。
そして時間は過ぎて決闘当日。時間が迫っているにも関わらず、一夏の専用機まだ来ていなかった。
「来ないな・・・・・・・」
「ああ・・・・・・で、箒。なんでここにいるんだ?」
「お、お前のことが心配でな・・・・・・・・・・・・その・・・・・・・」
そんな箒に一夏は微笑みながら頭を撫でる。
「ありがとな、箒。」
「な、撫でるな!」
箒は一夏の手を退ける。丁度そのタイミングで山田先生が走りながら来た。
「織斑君織斑君!」
(あの大きな胸・・・・・・・敵を作るのが好きなようですね。)
霊体化しているセイバーから邪な気が来るのは気のせいだと一夏は自分に言い聞かせる。
(坊主、女性の扱いを失敗するとトンデモナイことになるから気を付けろよ。)
「(わかってるよ、ランサー。)落ち着いてください山田先生。教師が慌てては生徒に示しがつきませんよ。」
「そ、そうですね・・・・・・・・・・・て、こんなことしている場合じゃなかった。織斑君の専用機が来たのでこちらに急いでください。」
「わかりました。」
一夏は山田先生に付いて行くと格納庫の前に千冬がいた。
「来たか織斑。時間がないためブッツケ本番だが・・・・・・・・・・・いけるか?」
「どんな状況でもベストを尽くす。それが俺のするべきことでしょ?」
「わかっているならいい。」
格納庫の扉が開けられ中にあったのは銀色の機体であった。
「これが織斑君の専用機・白式です。」
「白式・・・・・・・・(あれ?こいつどっかで・・・・・・・・・・そうだ。夢でコイツと・・・・・・・・・・俺は何を・・・・)」
「織斑、時間がないから早く搭乗しろ。」
「はい。」
一夏は白式に背中を預ける形で搭乗する。
「気分は悪くないか?」
「問題ありません。」
「よし。山田先生。」
「はい。」
一夏はゲートにまで移動する。
「箒。」
「なんだ、一夏?」
「行ってくる。」
「っ!・・・・・・・・・・・ああ、行ってこい。」
箒は微笑み手を振る。
「織斑一夏、出る!」
一夏はゲートを勢いよく出た。
最初に目に映ったのは試合を観戦しようと多くの生徒で埋め尽くされている観客席。そしてアリーナの中で自身のIS,ブルー・ティアーズを身に纏っているセシリアの姿があった。
「あら、逃げずに来ましたのね。」
「逃げれば恥だからな。そちらに何か言い分はあるのかな?」
「ええ。最後にチャンスを上げますわ。」
「チャンス?」
「ええ。頭を下げて謝っていただければわたくしも許して差し上げますわ。」
「こちらは謝る要素はないのだがな・・・・・・・・・・・・残念だが、そのありがたいご提案は蹴らせてもらう。」
「そう・・・・・・・・・・・・・でしたら。」
セシリアは一夏にライフルを向ける。一夏は武器を検索し、右手にコールする。
「(ブレード一本とは・・・・・・・・・・投影魔術を使いたくなってきた。)準備は?」
「問題ありませんわ。」
試合開始のブザーが鳴り響いた瞬間、セシリアは一夏にレーザーを放つ。
「ふっ!」
一夏はブレードを振り、レーザーを掻き消した
「なっ。!」
「っ!」
「うそ・・・・」
「バカな・・・」
「・・・・・・・やるわね。」
「すごい・・・・・・・・」
その光景を間近で見ていたセシリア、モニターで見ていた千冬、山田先生と箒、学園に設置されているモニターで見ていた更識姉妹は驚愕する。
「どうした?まさかそれでお終いか?」
「ふ、ふん!マグレですわ!さあ踊りなさい!ブルー・ティアーズの奏でる交響曲で!」
「あいにくだが、社交ダンスは習ってないので踊れないな!」
「すごいですね織斑君。まさかレーザーを斬るなんて・・・・」
「ああ・・・・・」
「織斑先生?」
千冬はモニターに映る一夏を見て思った。
(先ほどの動きと言い今の動きと言い・・・・・・・・・良すぎる。まるで戦場を駆け抜けたかのような戦いだ。相手の視線だけで狙っているところの把握は出来たとしてもその正確な箇所までは無理だ。だがアイツはそれをいとも簡単にやってのけた。今オルコットが使っているビット兵器に対しても舞う様に避けている。お前はどこでそれを・・・・・・・・・・いくらいろんな武術を習っているとはいえそこまでできるものなのか?)
千冬はただ目の前にいる一夏に疑問しか持てなかった。
(くっ!どうして当たりませんの!)
セシリアもまた戦闘で焦っていた。自分よりはるかに経験で劣る一夏に対して一発もレーザーが当たりもしない。どの攻撃もまるで分っているかの様に避けられてしまう。
(ならば!!)
セシリアはミサイルを二基放つ。一夏は急停止しある程度引き付け回避しようと試みる。
(かかりましたわ!)
セシリアはビットのレーザーでミサイルを破壊し、煙幕を作る。
(くっ!してやられた!)
一夏は下手にそこから動けなかった。
「もらいますわ!」
セシリアはビットとレーザーライフルを併用して集中砲火する。
「ロウ・・・・・っ!(しまった・・・・・・・ここで魔術を使ったらいけないんだった!)」
一夏はいつもの癖でアイアスを使おうとしてしまうが、何とか踏み止まった。
(クソ・・・・・こうなったら致命傷の部分だけは防いで他は捨てる!)
一夏は土煙から来るレーザーを防げるだけ防ぐ。
(止めるな・・・・・・・・・・・動きを止めるな!ただひたすら剣を振るえ!)
一夏の嫌悪振りが徐々に土煙を晴らしてゆく。
(なんてことですの!たかが剣の振りであそこまで・・・・・・・・・・・油断していましたわ。ですが・・・・・・・わたくしの勝ちですわ!)
セシリアはもう一度ミサイルを二基放つ。セシリアは一夏にミサイルへ意識が向かないようにビットのレーザーを放つ。
(しまっ・・・・・・・・!)
一夏が気付いた時には避けられない距離に来ていた。
「クソッたれ!」
刹那、一夏にミサイルが直撃する。
(クソ・・・・・・・・・こんなところで負けるのか・・・・・・・・・・・・・・いや、まだだ!まだ俺は・・・・・・・・負けられない!俺のサーヴァントたちには今は勝てなくても絶対に勝ちたい!勝つまで・・・・・・・・・・まだ人間には負けたくない!)
一夏の思いに応えるように、白式が輝いた。
「一次移行・・・・・・・・・・・まさか貴方初期設定で戦っていましたの!」
セシリアが驚くのも無理はなかった。初期設定はいわば生まれたての子供の様な物。満足に動かせるかどうかすら怪しい。にも関わらず、セシリアは苦戦を強いられた。
〔フォーマットフィッティングが完了しました。確認ボタンを押してください。〕
一夏はその音声ガイドに従い素直に押す。
〔白式・Fate、起動します。〕
土煙が晴れるとそこには名前の通り白いIS、白式・Fateがいた。一夏の周りには九枚のカードが浮遊していた。
「もしやそのカードがビット兵器でして?でしたらこのわたくしに勝機はありますわ。」
「・・・・・・・・・・・・いや、これはそんなんじゃない。ランサー、力を借りるよ。」
一夏は浮遊しているカードの一枚を手に取り、叫んだ。
「クラスカード
槍兵〈Lancer〉 」