運命を覆す伐刀者   作:蒼空の魔導書

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【運命を覆す伐刀者】新年初投稿!

新作の予告短編の執筆と秋アニメの影響でプレイし始めたDies iraeにハマった所為で新年の初投稿が月末寸前になってしまいました。(土下座)

香純ルートと螢ルートクリア!次はマリィルート行くぜ!ジークハイル!!(更新しろ!)


そして活動報告で行った五十話達成記念のキャラクター人気投票、結果発表!

栄えある一位に輝いたのはぁぁあああ————この三人!

黒鉄一輝 1票
エーデルワイス 1票
更識楯無 1票

で~す!投票してくれたバルバロッサ・バグラチオンさん!ご協力ありがとうございました!!

幸斗「って一人しか投票してくれたユーザーいねぇじゃねぇかよ!!」

はははは!まあ気にすんな!

てなわけで【学内選抜戦編】の終了後にやる番外編はこの三人をメインにした特別編に決定です!皆さん楽しみにしていてください!!



空戦騎士の反逆譚(トリーズナリィ)その1

時は一年と約半年前に遡る。

 

破軍学園一年、風間重勝十五歳(重勝の誕生日は3月15日なので今年度はまだ誕生日を迎えていない)。禁技指定級の伐刀絶技【光翼ノ帝剣】を完成させる為に日本の極寒の地、北海道にやって来ていた彼は———

 

「うん、博多も嫌いじゃねーが、やっぱラーメンは北海道に限るな」

 

札幌市のラーメン屋で味噌バターラーメンと餃子を食っていた。

 

重勝は今極寒の山奥にあるという厳しい環境で修行が可能な場を紹介してもらう為に自分が破軍学園に入学したのと同時期に北海道の魔導騎士学校【禄存学園】に入学した元傭兵団西風の仲間の一人と待ち合わせをしているのだが・・・その待ち合わせ人は経った今店の入り口の暖簾を潜りズカズカと入店して来てカウンター席に座っている重勝の隣の席に腰を掛けた。

 

「重勝・・・テメェ俺をこんな真昼間にこんなニンニク臭ぇ所に呼び出しやがって、何の嫌がらせだコラ」

 

「ん?ああ、やっと来やがったのか。久しぶりじゃねーか【千夜】」

 

「ちょっ!?コラッ!餃子食いながらこっち向くんじゃねぇテメェ!ニンニク臭ぇ!!」

 

再教育プログラムを修了して以来会っていなかった昔の仲間に久闊を叙する重勝であったが、太陽の光とニンニクが大の苦手であるこの褐色肌白髪頭のグラサン野郎は重勝が餃子を食しながら至近距離で話し掛けてきた為に自身の口を手で塞いで煙たがりながら文句を口にしている。

 

滲み出る不良感漂うこの男は元傭兵団西風【夜襲部隊】の《紅い牙(サングエ・ツァンナ)》———現在は禄存学園一年Cランク、《夜天の断罪(ナハト・アハト)》の二つ名を持つ学園でも三本の指に入っている実力者、名を《串崎千夜(くしざき せんや)》という。

 

「ハハハ、相変わらずだなお前。能力の特性の所為で弱点多いのは知ってるけど、少しは克服するよう努力したらどうなんだ?昼間引き篭もってばかりだと周りからネクラ呼ばわりされるぜ」

 

「余計なお世話だタコ!日中でも戦闘に支障が無ぇように鍛えてっから問題ねぇよ」

 

「んじゃこれも平気だな。俺の驕りだ食え」

 

「んぎゃぁぁあああ!?俺の口の中に餃子放り込むんじゃねぇ!口がニンニク臭くなるがぁぁアアアアアッ!!」

 

「プッハハハハ!駄目じゃねーかよ」

 

「テメェ覚えてやがれ・・・何時か目に物を見せて・・・うぷ・・・」

 

千夜はかなり弄られやすい体質のようだ。重勝に不意を突かれて悪戯に嫌いなニンニクがたっぷり詰まった餃子を口の中に放り込まれ、その匂いで苦しみ悶えながら爆笑する重勝を恨めしい目で睨みつけて眼前のカウンター机に突っ伏してしまっている。

 

「それよりも千夜、お前この前通信で相談した時良い修行場所を知っているって言ってたな?メシ食い終わったら早速案内してくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーメンを食い終わり、千夜がニンニク地獄から生還した後。勘定を済ませた重勝は不機嫌に不貞腐れる千夜の案内で北海道最高峰の山群———大雪山連峰の一角に存在する氷結洞の入り口にやって来たのであった。

 

「この洞窟を抜けた先に禄存が管理しているクソ寒くて広い旧自然訓練場がある」

 

猛烈な吹雪が吹き荒れる中、千夜が心底面倒臭そうな顔をしながら洞窟の入り口を指さして重勝に概要を簡単に説明をする。

 

「禄存の創設当時に超武闘派だった初代学園長のジジイが学園の生徒共を千尋の谷に突き落として子を育てるライオンに倣って超過酷な自然環境に放り込む為に造ったイカレた訓練施設なんだとよ。旧自然訓練場までの道中には自然環境を利用した罠(トラップ)が大量に仕掛けられていて野生の人喰い狼《オホーツクヴォルフ》の群れなんていう奴等の縄張りなんてものまで有りやがるし、施設に着いても其処は氷点下80度のこの国じゃ有り得ねぇ極寒地獄で、あまりに危険な場所である為に現在では禄存の理事長の許可無しには学園関係者でも立ち入る事は許されねぇ危険地帯となってやがるんだよ」

 

「ふーん、幸斗がいい腕試しができると喜びそうな施設だな・・・あのさ、今その旧自然訓練場を使っている奴って居るの?」

 

「冗談、ここはもうほぼ閉鎖されていると言っても過言じゃねぇよ。こんなわざわざ自殺しに行くような施設を使う物好きな奴なんて《鋼鉄の荒熊(パンツァーグリズリー)》の筋肉ダルマ野郎ぐらいなもんだぜ」

 

重勝の質問に対して馬鹿馬鹿しく呆れるように千夜は両腕を組んで返す。まあ言いたい事は分らなくもない、死ぬ気で鍛練を積むのと身を弁えずに死地に足を踏み入れるのとでは大きな違いがある。例外的な猛者は居るようだが大体はそんな危険地帯に足を踏み入れたくはないであろう。

 

「へっ、そりゃあ好都合だ。俺の新伐刀絶技は幸斗の龍殺剣程じゃねーけど規模がでかいからな、できるだけ人は居ねー方が被害を気にしなくて済む」

 

「施設の使用許可は事前に取っておいてやったぜ、感謝しろよな」

 

「グラッツェ。じゃあ俺は行くけどよ、お前はこれからどうするんだ?なんだったら一緒に来るか?」

 

「パスだ。俺は帰って寝る、あばよ」

 

千夜は重勝の誘いを断って踵を返した。だが別にそれは旧自然訓練場に入れる実力が無いからではない、重勝と同様に元西風の団員である千夜は旧自然訓練場以上に危険な環境に身を置いた経験など何度もある。

 

「クソッ!何で吹雪いてんのに陽が雲に隠れてねぇんだよ!地面に積もった雪に日光が反射して来て身体がジリジリするぜ。何の嫌がらせだこのクソ天気、マジでムカつくぜ!!」

 

彼が断った理由は見ての通り気分が最悪なので誘いに乗る気になれないのだ。大雪山連峰の本日の天候は吹雪、それも顔に猛烈な礫が降りかかって来て痛い程の悪天候だ、にも係わらず天の雲は空を覆い尽くしている訳ではなく途切れ途切れに間からお日様が顔を覗かせて来る。嫌いな真昼の太陽がまるで自分を揶揄って楽しんでいるような気がして腹が立っているようであり、千夜は制服のズボンの脇ポケットに両手を突っ込んで悪態を吐きながら去って行くのだった。

 

「つれねーな、暗い洞窟とか好きだろアイツ?元西風の同期同士、久しぶりに再会したってのにさ・・・」

 

千夜が去って行った方角を見つめてやれやれと右掌を上向きに肩の上に翳す重勝。久々に会った仲間同士だというのに頼み事が終わるや否や、やけにアッサリと去って行ったので少々寂しく思ったのだろう。

 

「まっ、気乗りしねーってんなら仕方ねーか・・・よしっ、んじゃ行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷結洞の中に足を踏み入れた重勝が最初に目にしたのは視界いっぱいを埋め尽くす無数のクリスタルの輝きであった。

 

「こりゃあまた想像を裏切ったメルヘンチックな洞窟じゃねーか・・・」

 

無数の氷柱が下に伸びる天井に、ゴツゴツとした内壁に、凍り付いた道に其処ら中で鎮座して輝くクリスタルのような氷の塊が外から射す光を反射させて行く道を照らす幻想的な光景に重勝は眼を奪われながらも呆れていた。氷獄への一本道と言う割りには予想に反してファンタジーだったからだ。

 

「まるでロープレのダンジョンだな、人喰い狼よりも氷の精が住んでいそうだぜ」

 

そう言って彼は洞窟中で道を照らす無数のクリスタルを見回しながら奥に向かって歩き出した。この幻想的な景色を見ていると此処が危険地帯に向かう為の道だとは思えなくなるが、油断は禁物だ。

 

「っ!!?」

 

最初の曲がり道に足を踏み出した瞬間、危機感知能力と空間認識能力が鋭い重勝は何か嫌な予感を感じ取って後ろに跳び退く。すると重勝が跳び退く直前に居た場所の真上の天井から伸びていた無数の氷柱が根本から離れ、万有引力の法則に従って落下し、凍り付いた道を刺し穿つ。

 

「自然環境を利用した罠が大量に仕掛けられている・・・ね・・・さすがはイカレた武闘派のジジイが造った訓練施設、やっぱ一筋縄じゃいかねーか」

 

粉微塵に砕けて身体に降りかかった氷粉を払いながら氷柱に穿たれて凹凸の路面と化した目の前の曲がり道を目の当たりにして苦笑する重勝。そう簡単に通り抜けられる道ではないと実感し、周囲に気を張り巡らせて何が起こっても冷静に対処できるように警戒しながら氷結洞の奥へと進んで行く。

 

道中に仕掛けられた様々な罠が道行く重勝を阻んだ。天井に小さく空いた穴から降り積もったらしき雪を踏めば底に氷の剣山が仕掛けられている落とし穴が空き、坂道を上れば道の先から球状の巨大な氷塊が転がって来て、鏡のように前に立つモノを映し出す氷板が迷路のように複雑に立ち並ぶ空間が視界と方向感覚を狂わせて黒き少年を惑そうとする。

 

「未来(さき)を指し示せ、重黒の砲剣(グラディウス)」

 

だが彼は傭兵時代【漆黒の剣聖】と恐れられ現在は破軍学園の無敵の序列一位(エース)と称されている伐刀者、この程度の罠など障害になり得ない。異常なまでに鋭い危険察知能力で落とし穴を回避し、転がって来る氷塊を顕現させた霊装を振るって砕き、行く者を惑わす鏡の迷路は砲撃で氷板を纏めて撃ち抜いて進むという反則技を行使して通過して行くのだった。

 

そうしながら暫く進むと道が途切れ、その先は厚い氷壁で閉ざされていた。

 

「おいおい、行き止まりか?・・・いや、風を感じるな」

 

氷壁の向こう側にはまだ道が続いている・・・壁の僅かな隙間から空気が流れ込んで来る感覚でそう察したその時——

 

『ハァ、ハァ・・・まだだ!・・・お前等なんかに・・・やられるかよっ!!』

 

「ん?」

 

———なんだ?この壁の向こう側からかなり疲労気味の男の声がしたな。しかも聞こえて来た言葉から察するにかなりヤバそうな状況になってるみてーじゃねーかよ。

 

目の前の壁の向こう側で誰かが危険な状況に遭っていると判断をした重勝は左手に持つ砲剣の切っ先を行く道を塞いでいる氷壁へと向けた。

 

「ハァァッ!!」

 

切っ先から重力エネルギーの砲撃が撃ち放たれ分厚い氷壁を撃ち抜いた。強引に道を開通させた重勝はそのままその先の空間へと駆け出して行く。

 

「・・・こりゃあまた・・・なかなか面倒な状況になっているな」

 

彼が足を踏み入れた空間の真下には奈落の闇が広がっていた。今重勝が立っている場所を含む空間の三方端に存在する出入り口から氷の橋が真っ直ぐに伸びており、空間の中央でY字に交わる分岐点となっている。橋の下は底が見えない程深く、もし足を踏み外して落下でもしたら一般の非伐刀者はもちろん飛行能力を有していない伐刀者も無事では済まないだろう。

 

奈落の闇の上に架かっている氷の橋の幅は狭いわけではないので普通に歩いて通過する分には余程のドジを踏まない限り落ちる事は無い・・・しかし、この橋の上で戦闘行為をする場合は話は別だ。

 

「オレは来年の七星剣武祭で優勝して七星剣王になる(予定の)男、【壱道歩】だぁっ!お前等みたいな野良犬なんか敵じゃない!纏めて掛かって来いよっ!!」

 

中央の分岐点の上ではSFアクション映画に登場しそうなレーザーソード型の霊装を手に数匹の白い逆立った体毛が目に付く狼に包囲されている小柄な少年が威嚇するように威勢よく自分を包囲する狼達を挑発するように発破をかけていた。

 

少年———歩は身体中傷だらけで呼吸も激しく乱れており、かなり追い詰められている戦況であるというのは素人の眼にも明らかだ。栗色の髪に氷粉を被り、見ようによっては少女と間違えそうな童顔を疲労で若干歪ませている姿は痛々しく、かなりの長期戦を演じていた事が窺える。しかも——

 

———アイツが着ているあの制服・・・もしかして禄存の生徒じゃねーか?おいおい千夜のヤロー、テキトーな事言いやがって、【鋼鉄の荒熊】ぐらいしか此処に来ないんじゃねーのかよ・・・。

 

歩がコートの下に身に着けている衣服が禄存学園の制服であるという事から重勝は歩が禄存の生徒だという事に気が付いて嘆息する。記憶が正しければ確か千夜は禄存のエース【鋼鉄の荒熊】レベルの実力者でなければ危険地帯に認定されている旧自然訓練場に足を踏み入れる人間はいないと言っていた筈なのだが・・・。

 

「そういや千夜の奴、この氷結洞の道中に【オホーツクヴォルフ】とかいう名前の人喰い狼が縄張りを張っているとも言ってやがったな・・・となるとあの禄存の奴を襲っている白狼共がそのオホーツクヴォルフってわけか」

 

「ガウゥゥーーーンッ」

 

重勝が両腕を組んで冷静に状況を分析していると数匹のオホーツクヴォルフの内の一匹が鋭い牙を剥いて満身創痍の歩に跳び掛かった。

 

「はぁっ!」

 

それに即座に反応した歩がレーザーソードを一閃、跳び掛かったオホーツクヴォルフはその牙を獲物に突き立てる事もできずに身体を横一文字に両断されて奈落の底の地獄へと落ちて行った。

 

———へぇ~、なかなかの反応速度じゃねーか。剣筋も悪くねーし、こりゃあ助っ人は必要ねーかもな・・・。

 

などと心の中で重勝がフラグを立てたところで歩の足下に亀裂が生じる。

 

「ってゲッ!?やべっ!!」

 

それにいち早く気が付いた重勝は身体に掛かる重力を制御する伐刀絶技【零か無限(ゼロ・オア・インフィニティ)】を発動し橋の下に飛び降りた。それと同時に歩を包囲するオホーツクヴォルフ達が一斉に歩に襲い掛かって行き、歩はそれを迎え撃つ態勢に入るものの、気合い入れに脚にチカラを籠めた瞬間亀裂が生じた足下の氷床を踏み抜いてしまい——

 

「———えっ!!?」

 

硝子のように無数の破片となって崩れ落ちる氷の破片と共に歩は奈落の闇へと落下して行く。

 

「う、うわぁぁあああああっ!!!」

 

「よっ・・・とっ!」

 

「・・・・・アレ?」

 

突然の悪夢に眼を閉じて悲鳴を上げる歩であったが、その直後に感じた浮遊感に違和感を覚えて眼を開いて呆けながら見上げると、視界に映ったのは鼻筋に横一本傷痕のある黒髪の少年の顔であった・・・そう、歩は氷橋の下を飛翔する重勝の右腕で脇に抱えられ、九死に一生を得たのだ。

 

これが、破軍学園最強の【無敵のエース】風間重勝と禄存学園最弱の【雑魚騎士】壱道歩の偶然にして必然なる出会いであった・・・。

 

 

 

 

 




幸斗「新年一発目なのにオレの出番がねぇぇええええっ!!?」

しばらくは重勝の過去編なので幸斗の出番は先ですね・・・マジでうちの主人公黒◯一護状態だな・・・。

幸斗「シゲの過去をいつまでやる気でいるんだよ?」

結構長めの過去なのでざっと4・5話を予定しています・・・もしかしたら予定より1・2話増えるかも・・・。

幸斗「あ~、退屈だぜぇ~」

スマンな、コレが終わったら思う存分に最終戦で暴れさせてやるから我慢してくれ。


それから【魔法少女リリカルなのはStrikerS】を原作ベースにしたPV風予告短編【新作予告 THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡】は読んでくれましたか?

幸斗「初っ端からこの作品以上の原作ブレイク・・・いや、木っ端微塵じゃねぇかよ!」

本編の投稿開始は春を予定しています!

読者の皆さん!これからも【運命を覆す伐刀者】をよろしくお願いします!!



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