生き残りをかけて~生存者達の記録~   作:Archer SHO

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超お久しぶりでございます。

何も言い訳はいたしませぬ(^^;

それではどうぞ!!


石川翔編 第1章
石川翔編 第1章 第0話


俺は世界がこうなる前、関東の高校で陸上をしていた。種目は長距離走だった。特に理由もなく長距離走を選んだけど、まさかそれがここまで役に立つとは思っていなかった。

 

世界が終わってしまったあの日、誰よりも臆病な俺はクラスメートや友達、家族すら見捨てて一人で逃げた、逃げてしまった。

 

あれから二年が経ったけど、悪夢を見ない日はない。悪夢なんて見ない、そんなものとうに乗り切ったってやつもいるけど、俺には到底ムリそうだ。ほぼ毎日悪夢で目が覚める。それを紛らわす為に、俺は安全な学校を出て、外に行く…

 

ーーー

ーーーーー

 

「今回はA班とC班が待機、B班、D班が物資調達だ。」

 

『了解!』

 

その場にいた者が揃って返事をする。まるで軍隊みたいだ。

 

今指示を出したやつは出戸勇治(でどゆうじ)、ここ聖トマス学園のサバイバーグループのリーダーだ。彼はこうなる前、国防軍に所属していたらしい。

 

そしてA班だとかいうのは、物資調達班のこと。ちなみに俺はB班のリーダーだ。といっても2人しかいないが。

 

「ねぇ翔(カケル)、今日はどこ行こっか?」

 

話かけてきたのは同じ班のメンバーの一人である、谷町夕美(たにまちゆうみ)だ。

 

「そーだな、今日は中心街の方まで行ってみるか。」

 

「そうね、あっちの方ならまだ色々ありそうだしね」

 

ここだけを聞くとまるでデートの約束でもしてるみたいだが、実際に行うのは命を懸けたサバイバルだ。

 

ここに避難してから2年になるが、その間俺たちはここからそう遠くない場所にあるスーパーの在庫保管倉庫から食料品や水を持ち帰っていた。が、そろそろ倉庫の備蓄の方も限界を迎えようとしていた。

 

そのためこれまで近寄りもしなかった中心街の方にまで遠征をしなければならなかった。

 

「…ねぇ、そろそろじゃない?」

 

谷町が小声で言った。

 

「かもな。でも今日じゃない」

 

ーーー

ーーーーー

 

…これはある計画が関係している。

 

俺たち物資調達班はもちろん食料の備蓄が底を尽き始めていることを知っている。

 

しかし出戸のやつは俺たち以外の、正確には避難民たちには伝えず、すぐに悟られないよう少しずつ配給の量を減らしている。

 

これまで、この学園はそれなりの量の食料と武器、そして出戸率いる警備隊による恐怖政治によって成り立っていた。

 

だが、その土台の基盤の中で最も大きな意味合いを持っていた「食料」が底を尽きはじめている。

 

このコミュニティは終焉へと向かっているのだ。

 

……俺はこんな場所で死にたくない。それは谷町も同じだった。だから数週間前から脱出の準備を進めている。そのための物資もある程度は揃ってきた。不足はないはずだ。なんなら今日、今すぐにでも脱出できる。

 

だが俺は決心がつかなかった。ここを出て、2,3週間はきっと大丈夫だろう。食料的にも燃料的にも。

 

…だけどその後は?

 

先の見えない未来ほど怖いものはない。

 

ゴールの見えないレースほど苦しいものはない。

 

結局のところ俺は2年前から変わっていない。

 

感染者たちと戦えるようになっても結局のところ心の奥底は臆病なままだ。

 

俺は石川翔(いしかわ かける)、誰よりも強がりで、誰よりも臆病で、この世を未練がましく生きる生存者(サバイバー)だ。




最後まで読んでくださりありがとうございました!
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