生まれたことを誇る物語   作:クランレイア

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な、なんだかグダグダになったような…?
やっと原作キャラが出てきますが、コーラル城にはまだ着きません


寂れた光王の隠れ家を目指す

 

千年前の世界へとやって来たルイチェル、ラゾットーチェ、フェルマジェリカ、フェンディーラ、セレーディア、イルーダ、エーテルナの七名。

1日経過した翌朝、ルイチェルの作った朝食を食べながらフェルマジェリカが言った。

 

「ねえ、これから先、ローレライの英雄とその一行とかに会う確率が高くなるのよね」

「?そりゃそうだろ、彼らの後を追いかけるようなもんなんだからな」

「なら、呼び方を統一しない?様付けしたり、ファミリーネームで呼んだらマズい人もいるわけだし」

 

そう言われて顔を見合わせたのはフェンディーラとラゾットーチェだ。

セレーディアやイルーダはそれに一理あると頷くが、ルイチェルは困ったように微笑んだ。

 

「あの、それは分かるんですけど、どうやって決めるんですか?私、慣れるまで言い間違えそうでちょっと怖いんですが…」

「やぁね、そんな難しいことじゃないわ。名乗る時に名前とか短くしたりするだけよ、私ならルーリィ・バーミリアっていう風にね」

「…つまり、愛称で呼べばいいと」

「そゆこと」

 

フェルマジェリカの説明にエーテルナが言えば、彼女は茶目っ気たっぷりにウィンクして見せた。

それに安堵した様子のルイチェルに、ラゾットーチェはフォークに巻いたパスタを口に運び、咀嚼して飲み込んだ後にフォークの先を上に向けながら言った。

 

「なら、俺はゾット・カーディルになるか?…なんだか言い慣れないな」

「私は変わりませんけど、皆さんフェンって呼んで下さいね〜。あ、様付けや敬語は無しですよぉ、特にアルス」

「ゔっ…わ、分かっ…た、フェン」

「では、ログホースも統一した方が良いだろう。人によって呼び名が違うからな」

「あ?そんなのアルスで良いよ、アルス・ログホース」

 

こうしてあっさりと決まっていく呼び名にルイチェルは困ったように微笑んだまま、隣に座るエーテルナは黙々とナスとトマトのパスタを口に運んでいた。

そして食べ終わる頃を見計らったかのように、室外から爆発音と悲鳴、警報音が宿屋の内部にまで響き渡った。

突然のことに驚くとイルーダ、フェルマジェリカ、セレーディアの軍人組がすぐに武器を手に構える。

遅れてラゾットーチェとフェンディーラもそれぞれ武器を構え、五人に守られるようにルイチェルとエーテルナが立つ。

耳を澄ませば、聞こえてくるのは怒号と獣の唸り声、そして今だに続く爆発と破壊音である。

扉の近くにいたラゾットーチェが外の様子を窺いに行くと、数分と経たずに彼は慌てて戻ってきた。

 

「マズいぜ、軍港に魔物が押し寄せてる!このままじゃお陀仏だ!」

「そんな…!?」

「見て見ぬ振り、は出来ないわね…。ルイチェルとゾットは怪我人の介抱を、エーテルナは二人の護衛よ」

 

ラゾットーチェの言葉にルイチェルは口元を覆い、思案していたフェルマジェリカが指示を出す。

それを聞いた三人が頷くとセレーディアが大剣を手に言った。

 

「アタシとイルーダが前衛、フェン、が中距離から援護射撃、ルーリィは後方から譜術を任せるよ」

「任されましたぁ」

「第四音素しか使えないのが玉に瑕だけど、そこは大目に見てよね!」

「戯言は良い、行くぞ!」

 

イルーダの言葉に全員が武器を構え、あの音素自動型二輪移動式譜業を武器とするエーテルナだけはアイテムの入った袋を手に宿屋の外へと飛び出した。

 

そこで見た景色は、まさに阿鼻叫喚だった。

炎を上げる複数の連絡船、魔物に襲われて逃げ惑う作業員、応戦しようとするキムラスカ軍の兵士、そこかしこに広がる魔物と人間の倒れる姿。

幸いなことなのか、未だに負傷者のみで亡くなったモノがいないのだが、それでもその景色は地獄と言えた。

初めて見るソレに唯一メンバーの中で一般人のルイチェルは口元を抑え、彼女により近い立場であるエーテルナも絶句する。

医師故に見慣れた光景であるラゾットーチェは眉を顰めつつ、すぐ近くで倒れる作業員に駆け寄ると応急処置に入る。

 

「しっかりしろ、あんた!今助けてやるからな!ルイチェル、広範囲の治癒術を使え!!」

「っわ、わかった!」

「テルーは周りの様子を見とけ、まだ襲ってくる筈だ!」

「…ん、了解」

 

腰に付けられていた大き目のウエストポーチから簡易的な医療道具を広げ、意識を失っている重傷者へと手当を開始するラゾットーチェ。

彼の言葉により呆然としていたルイチェルは我に返り、千年後から愛用しているシルバーロッドを構えると瞳を伏せて詠唱を始める。

その隣に立つエーテルナはアイテムの袋を手に、注意深く周囲の様子を探った。

彼女の武器である音素自動型二輪移動式譜業は非常に目立つ為、今この場で出すことは出来ないがエーテルナ本人も一応、格闘術の心得がある。

…最も、力があまりある方ではないので音素自動型二輪移動式譜業と合わせた結果、我流となり足止め程度しかできなくなってしまっている。

 

「紡ぎしは慈愛、母なる御手を翳す光の奇跡に今名を与うる…フェアリーサークル!」

 

その間にルイチェルの詠唱が完了し、純白の光が乱舞しながら複雑な魔方陣を展開。

祈るように差し出された手と同時に魔方陣が広がり、淡く発光した後に消えると薄い翅を生やした小さな何かが周囲を翔け巡り、光の粒子を降らせて消える。

すると光に包まれた負傷者の傷が癒えていき、苦痛に歪められた表情も安らかなものに変化していた。

同時に魔方陣の中にいた魔物へとダメージが入り、傷も浅くないものを負っていく。

フェアリーサークルは範囲内の味方の傷を徐々に回復していき、状態異常を解除する第三音素を利用した中級治癒術である。

なおかつ、範囲内の敵に中級風属性譜術に相当するダメージを与えるという、攻撃手段を持たないルイチェルにとって本当に数少ない攻撃術だ。

ちなみに本来、他の者がフェアリーサークルを発動させようとするならば風のFOFが必要となるが、ルイチェルを含む千年後の面々は世界に残るごく僅かな音素を使って譜術を行使していた為、恐ろしく音素コントロールが良い。

その結果、今いる時代の人々と違って単独でFOF技を行使することも可能となっているのを、本人達はまだ気付いていない。

付近の人々が回復したのを見たルイチェルは更に治癒術の詠唱を開始し、ラゾットーチェも周囲にいる動ける人々に声をかけて負傷者を集めるように指示を出す。

突然現れた彼らを不審に思う軍人達も、味方を治療してくれる様子を見てすぐに信用したらしくどんどん運ばれてくる。

それをただ見過ごす魔物達でもなく、背を向けて逃げようとするキムラスカ軍や整備士達に向けてその鋭い牙を向けるが、それをトンファーを手にしたイルーダが間に割り込んで防いだ。

 

「貴様らの相手は、この俺だ!紅蓮連脚!」

「続けていくわよ!氷結の槍よ、彼の者を貫け!フリーズランサー!!」

「喰らえ!幻龍剣!」

 

魔物の牙と鍔迫り合いをしていたイルーダが上へと弾き、第五音素を瞬時に収束させると炎を纏い、敵を力一杯打ち上げるとそれに追撃する。

その打ち上がった敵目掛けて即座に詠唱したフェルマジェリカが第四譜術を発動、氷の槍が空中で身動きが取れない魔物を貫いていく。

二人が攻撃をしている隙を狙った別の魔物が襲いかかるが、それを許すほどセレーディアは生易しくない。

魔物の死角から容赦なく剣を突き立て、技を繰り出した後に此方へ来ようとしていた敵へと向かって蹴り飛ばす。

飛ばされた魔物がぶつかり、団子状になったところで長銃を構えていたフェンディーラがにっこり笑いながら言った。

 

「打ち上げまぁす、トラクタービーム!」

 

「…うわぁ、えげつねぇ…」

「フェン、使える譜術、弱くても中級だったはず…」

「あの人ほんと規格外だなおい」

 

無邪気にも思える笑顔のまま、とても詠唱とは思えない言葉と同時に放たれたのは本来、この世界で使用されることはない無属性のトラクタービーム。

膨大な音素を身の内に宿し、操ることができるフェンディーラだからこそ使える譜術の一つだ。

ちなみに彼女が使用するトラクタービームは光属性の中級譜術となる。

地面から現れた幾つもの光輪によって空中へと打ち上げられた魔物達を、術を発動した張本人が長銃で追撃をしていく。

それを手当しながら横目に見ていたラゾットーチェとエーテルナが話している。

ルイチェルは近くへと運ばれた人々に向けて治癒術の詠唱をしている最中だ。

すると上空から幼く見える少女を乗せた魔物が現れた。

船が破壊されているのを見て安堵はするものの、思ったよりも善戦している軍人達を見て少女は下がった眉を顰めた。

ぐるりと軍港内を見て、その元凶が七人の人間であることに気付く。

治療をする二人と護衛が一人、そこから少し離れたところで防波堤のように魔物達を遠ざける四人。

その中の一人を見て、少女は大きく目を見開くことになる。

 

「い、おん…さま…?」

 

ぽつりと呟かれた言葉は魔物の羽ばたきにより掻き消され、少女の瞳には海のように鮮やかな青髪の女しか映らない。

姿形が似ているわけでも、何処かが同じわけでもない。

でも少女は直感的に、本能的にそう思った。

故に、彼女は突飛な行動に出る。

高度を落とした魔物から少女は飛び降り、そのままフェンディーラに抱きついたのである。

 

「イオンさま!!」

「っえ…?」

 

今まさに魔物向けて発砲しようとしたフェンディーラはたたらを踏み、突然現れて抱きついてきた少女に目を見開く。

本人的に全く見知らぬ相手なのだが、その告げた名には聞き覚えがある。

ND2016に亡くなると預言(スコア)に詠まれていた幼い導師であり、その後二年もの間も導師となったレプリカの名でもあったからだ。

しかしその二人は男性で、自分とは髪の色も似ても似つかぬ翡翠だったと記録されていた為にフェンディーラは困惑する。

後方にて譜術を詠唱していたフェルマジェリカは即座に詠唱を中断、フェンディーラに抱きついたままの少女目掛けて刀を抜こうと駆け出す。

それとほぼ同時にマロンペーストの茶髪を結んだ男がやって来て少女に言った。

 

「っこれは…どういう事だ、アリエッタ!」

「ヴァン総長…ごめんなさい、アッシュに頼まれて…」

「えっとぉ…その、離してもらえますかぁ?」

 

急にやって来た男に警戒し、足を止めるフェルマジェリカと魔物達が撤退した事でようやく少女の方を警戒する事が出来るようになったイルーダ及びセレーディア。

険しい表情のまま少女と話す男に困惑しながら声を掛けるが、フェンディーラの主張は無視される形となる。

 

「ヴァン師匠(せんせい)!!」

「ルークか…」

 

何故なら、その場に紅髪の青年がやって来たからである。

男が告げた名に七人は個人差はあるが驚愕する。

ルーク…古代イスパニア語で聖なる焔の光という、千年後には英雄として伝えられる人物。

彼らにとって最も重要なキーパーソンとも言える人物の登場に動揺するが、軍人であるイルーダとフェルマジェリカ、セレーディアはすぐに真剣な表情へと戻す。

ラゾットーチェやフェンディーラも即座に動揺を隠すのだが、一般人だったルイチェルには難しいことだった。

しかし、治療の為に遠く離れていたのが幸いしたようで、誰もルイチェルの動揺には気付くことはなかった。

…先程から触れなかったエーテルナは、元々興味がなかったので「そうなの?ふーん…」程度の反応しか示さなかった為、割愛する。

その間にも男や青年達が話していく中、置いてけぼりをくらっていたフェンディーラが少女の方を見る。

フェンディーラの視線に気付いた少女は薄桃色に頬を染めるとはにかんだ笑みを浮かべ、とんでもない行動に移す。

バサバサッとすぐ真上で羽ばたく音がしたかと思うと、フェンディーラと少女は遥か上空にいたのだ。

 

「え、」

「「ぇぇええええええええええっっ??!!」」

「この人と、整備士長はアリエッタが、連れていきます。返して欲しければ、イオン様とルークが、コーラル城に来い……です」

「え?え??あの、私関係ないですよね?」

「来なければ…整備士長を、殺す……です」

「無視ですかぁ?!」

 

突然の暴挙に絶句するフェンディーラに続き、一拍間を置いてからラゾットーチェ、フェルマジェリカの叫びが響き渡る。

空飛ぶ魔物、フレスベルグに体を掴まれているフェンディーラを一瞥し、少女は軍港で此方を睨む面々に一方的な要求を大声で告げた。

その際、フェンディーラが戸惑いながら少女に声を掛けるも呆気なく無視されて終わる。

そして言いたいことを言った少女はフレスベルグに合図を出し、軍港の外へと飛び去ってしまった。

…勿論、フェンディーラを掴んだままである。

少女とフェンディーラを乗せた(または掴んだ)フレスベルグの後を、もう一匹別の魔物が一人の男性を捕まえて追いかけていく。

あれが恐らく少女の言っていた整備士長なのだろう。

呆気にとられて見送ってしまったルイチェル達だったが、我に返ったセレーディアが怒りに拳を震わせながら空を睨んで怒鳴った。

 

「ふっざけんな!フェンを返しな糞ガキぃいいい!!」

「くっ急いで追いかけるぞ!」

「は、はい!」

「あーもー!どうしてこうなんのよ!!」

「こっちが知りたいよ!!」

「…同感」

「あ、おい!待てよ!!」

 

遠くまで響いたであろうセレーディアの怒号によって、我に返ったイルーダが悔しげに表情を歪める。

彼の言葉に慌てたようにルイチェルも頷き、フェルマジェリカは乱雑に髪をかき乱すと愚痴を零すが、それはラゾットーチェとエーテルナにも言えたこと。

六人は装備を手早く整えると、声をかけられたことにも気付かずに軍港を後にするのだった。

 

 

 

 




今後、たまにスキットや戦闘掛け合いをあとがきでやろうと思います。
何かあればアドバイスして頂けると嬉しいです。
あと、イルーダのトンファーでの技はオリジナルが多くなるので、登場回でその都度説明していきます。

・紅蓮連脚
炎を纏って敵を打ち上げて追撃する特技
飛燕連脚の炎バージョンと思えば分かりやすい
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