IS in宇宙警察機構   作:北方守護

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第39話 何かの気配

1組のクラス代表決定戦が終わった次の日の朝のHRで……

 

「それでは、1組のクラス代表は織斑一夏君になりました! あっ、一繋がりでいい感じですね」

 

「えっ?……」

山田先生にそう言われた一夏は何処か気の抜けた表情をしていたが、それを理解し始めると直ぐに慌てていた。

 

「先生!ちょっと待って下さい!俺は昨日負けたんですよ!?」

 

「それに関しては(わたくし)から説明いたしますわ」

手を挙げたセシリアは、そう言うとユックリと立ち上がった。

 

「確かに昨日の試合では私が勝ちました……

ですが、それは織斑さんの自滅という形です……

だからこそ織斑さんをクラス代表に据えて、その立場に見合った実力をつけてもらいます!」

 

「よっ!さすがセシリアーわかってるねぇー!!」

 

「学園内に2人しかいない男性の1人を代表にするなんて良いよー!」

 

「お前ら静かにしないか……まぁ、理由はオルコットの言葉もあるが

私は決定戦を行うとは言ったが()()()()()()()とは言ってはいない」

 

「えっ?それって……アァーッ!?

千冬の言葉に一夏は、その時の事を思い出して確認し直すと大声を出した。

 

「分かったか織斑?だからお前が1組のクラス代表だ、まぁもう決まった事だから諦めろ」

 

「そんな……まぁ、受けたからには頑張るしかないか」

 

「それでですが織斑さん、これから放課後には私とISの特訓を行いましょう

今のあなたでは、クラス代表としても、そんなに実力がないのですから」

 

「おい そう言う話は休み時間にでもしろ これから授業を始める」

千冬が言うと皆は授業を開始した。

 


その日の放課後……

 

武昭は簪が機体開発をしてる開発室に来ていた。

 

「ふーん!これが簪が開発してる機体か」

 

「うん……名前は打鉄 弍式(うちがね にしき)って言うの……」

 

「打鉄弍式か……それで今はどれ位出来てるんだ?」

 

「うん……本体の方は8割方出来てるんだけど、武装とプログラムがまだなんだ……」

そう言った簪は何処かションボリとした表情になっていた。

 

「なぁ、簪が自分でどこまで出来るか頑張るのは良いけど、そろそろ誰かに手伝ってもらっても良いんじゃないか?

これ以上やってて体を壊したりしたら、それこそ出来るまで時間がかかるぞ?」

 

「武昭……うん、分かった……私の我が儘でこの子が完成しなくなるのは可哀想だもんね……」

 

「そうだな簪、それで俺に何か手伝ってほしい事はあるか?」

 

「う、うん……今はまだ良いかな?武昭には機体が完成した時の相手をしてほしいの」

 

「そうか、じゃあ俺が今出来る事は……」

 

「機体を作る時の資材とかを運んでほしいの……ごめんね力仕事をやらせて……」

 

「バーカ、俺が自分から手伝うって言ったんだ、簪がそうしてほしいなら俺は構わないよ」

 

「ありがとう………エヘヘ」

武昭に頭を撫でられた簪は頬を染めてはにかんでいた。

 

「アッ、ここにいたんだ探したよ武昭」

2人が話してるとシャルロットが開発室に入ってきた。

 

「おぉ、シャルロットかどうしたんだ?」

 

「うーん……ただ武昭に会いたかっただけだよ?」

シャルロットは武昭の横に座った。

 

「そういや、名前がデュノアに変わってたけど……なんでだ?」

 

「それも話そうとして探してたんだ……」

シャルロットは事情を説明した。

 

その説明によると……

 

シャルロットの父親がデュノア社の社長だとセレナから聞かされた。

デュノア社の経営が悪くなっている事をセレナが知った。

社長に連絡をして事情を聞いて手を貸す事にする。

それでシャルロットが武昭と知り合いだと知りデュノアの娘として学園に行かせる。

 

「そうだったのか………」

 

「だって、私のお父さんだから手伝える事があるなら出来る事をしてあげないと」

 

「それで……シャルロットさんは……どういう指示を受けてきたの?」

 

「簡単に言うと男性操縦者達の機体データと身体データの入手だよ」

 

「そうは言ってもなぁ……俺の()()()()I()S()()()()()()()()

武昭はブレスレットを見せた。

 

「けど、何かお父さんからは……無理しなくても良いようにって感じてるんだよね……」

 

「それって……失敗しても……良いって事?」

簪の言葉にシャルロットはうなづいた。

 

「多分、別の目的があるのかもしれないな……」

 

「別の目的って?」

 

「うーん……そういや、デュノア社が経営悪くなった理由って何なんだ?」

 

「お父さんが言うには新しい機体開発がなかなか進まないからって……」

 

「なぁ簪、機体開発ってそんなに金が掛かる物なのか?」

 

「私はよく分からないけど、この子を企業から引き取った時に予算を聞いたけど、それなりだったみたいだよ」

 

「そうか……何か引っかかるんだよなぁ……」

 

「武昭、何が引っかかるの?」

 

「幾ら機体開発が進まないからって、そんなに資金を使う事が無いだろうと思ったんだよなぁ……」

 

「けど、僕がここに来る事になった理由は、それだったんだよ?」

 

「そうだとしても元々デュノア社は第二世代の開発をしてたんなら開発費がどれだけ掛かるか分かりそうな物だけどな」

武昭の言葉を聞いた簪とシャルロットはアッとした表情になった。

 

「じゃあデュノア社の経営悪化に機体開発は関係してないって事!?」

 

「違う違う関係はしてるだろうけど、それ以外の原因があるかもしれないぞって思うんだ」

 

「武昭が思ってる原因て何?」

 

「まぁ、俺みたいなIS開発の素人がパッと思いつくのは……開発費の横領か?」

 

「確かに……そんな事があったとしたなら額にもよるけど経営悪化の原因になるかも……」

 

「ちょっと待ってよ……だとしたら、なんでお父さんは僕をIS学園に入学させたの?!」

シャルロットは自分の中で()()()()()を考え震えていた。

 

「落ち着けシャルロット、俺の予想だから真実とは限らないけど、今迄の話を聞いて大まかな予想が出来たんだ」

 

「その……予想って……」

 

「幾つかあるけど、まず経営悪化の件は誰かが横領をしている考えに当たったんだ………

次に父親がシャルロットを学園に送ったのは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?……武昭、データ収集をしなくても良いって……」

 

「多分だけど父親は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「武昭……その話からするとお父さんは、その行動が失敗しても良い様に指示したみたいだよ?」

 

「あぁ、父親はシャルロットのする事が成功するとは最初から考えていなかった……

失敗する事が望みだった」

 

「待って……武昭……何となく私も分かってきたよ……」

 

「父親はシャルロットを()()()()()()()()()()()()()

 

「何かに巻き込みたくないって……何なの?」

 

「多分……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「大丈夫!?シャルロット!!」

シャルロットは武昭の話を聞いて膝を崩したが簪が慌てて支えた。

 

「父親は経営悪化を起こしてる何か……まぁ今はXとしておくけど……

そのXをどうにかする為にシャルロットを学園に送った。

その理由としては……俺が簪と会った時の件と同じかもしれない」

 

「そっか……お父さんが何かをする時に弱点としてシャルロットを狙うかもしれないんだ……」

簪の言葉に武昭は黙ってうなづいた。

 

「じゃあ、お父さんがそういう理由で僕を学園に送った事情は分かったけど……

その後、お父さんはどうなるの?」

 

「……もしかして、そのXと一緒に捕まるか、もしくは……死ぬかもしれない……待てシャルロット、どこに行く?」

武昭の言葉を聞いたシャルロットは慌てて、そこを出ようとしたが止められた。

 

「決まってるよ!フランスに戻るんだよ!?」

 

「今から行ったところでどうなる?逆に捕まってアキレス腱になる可能性の方が大きい」

 

「そうかもしれないよ……けど!僕にとってはたった1人の父親なんだよ!?助けに行かなくてどうするの!!」

シャルロットは涙を流しながら訴えた。

 

「はぁ……シャルロットは幾つか間違ってる事がある……まずは俺の言った事が事実とは限らないという事

更に事実だとして、行って何が出来るんだ?」

 

「そ、それは……だったら、どうしたら良いの?……僕は何が……」

 

「だからこそ、それが間違ってるんだよ……シャルロットは1人じゃないんだ……

()()()()()()()

武昭はシャルロットのそばに行くと両手を肩に当てて優しく微笑んだ。

 

「え?……けど、これは僕の事で武昭には関係ないんだよ?……」

 

「あのなぁ、ここまで聞いて関係無いって事は無いだろ?……おっと……あぁ、今は好きなだけ……」

その話を聞いたシャルロットは武昭に抱き着くと そのまま胸の中で泣いていたが武昭は優しく背中を叩いて簪は優しく見ていた。


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