武昭が山田と出会って数日経ったある日の事………
「うーん、たまには、こんな自然を感じるのも良いもんだなぁ……」
武昭は自分の街から少し離れた山に来ていた。
「こうやって山中を歩いていると父さんの学校を思い出すな、その時の俺はまだ小さかったけど。
そういや母さんと父さんが会ったのって父さんが高校生の時だって話してくれたっけ……ん?」
武昭が山中を歩きながら昔の事を思い出していると一台の黒い車が来たので
見つからない様に近くの木陰に身を隠した。
(なんで、こんな山中をあんな車で来るんだ?……あっ、誰かを連れて出てきたぞ)
様子を見てると黒服の男達が車の中から目隠しと猿轡をした2人の女の子を連れてきた。
「コッチの子が当主様の娘の一人か」
「あぁ、別働隊が連絡してる筈だ。大切な娘を返して欲しかったら当主の座を降りろってな」
(ふーん、よくあるお家争いって奴みたいだな……まぁ見て見ぬふりは出来ないよな)
状況を理解した武昭は男達に見つからない様に、その場を離れた。
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一方、男達に娘を拐われた家では父親ともう一人の娘が話していた。
「お父さん!簪ちゃんの命と当主の座、どっちが大切なの!?」
「刀奈の言いたい事は分かる……だが、今のこの時期に私が当主の座を降りると
他の分家筋から後継者を選ぶ事となり、お前が望まぬ者と婚姻を結ぶ事となるだろう……」
「そんなの構わないわよ!私がそうする事で「ふざけるな!」父…さん?」
「私は当主である前に一人の父親だ……娘の幸せを願って何か悪いのか?」
「父さん………けど、このままじゃ………」
「お話中、すみません」
父親と刀奈が話してると一人の男性が部屋に入って来た。
「これはこれは松吉(まつよし)家の玲斗(れいと)殿ではないですか。
本日はどんなご用件で訪れたのですか?」
「えぇ、本日ココへ来たのは娘さんの事で来たのですよ」
玲斗が、そう言うと刀奈が機嫌悪そうに尋ねた。
「なんで貴方がその事を知っているのかしら?」
「それは私達も裏の人間だからですよ。それで当主様、わたくしに命じてくれれば
すぐにでも、娘さんを助け出す事が出来ますが?」
「それを命じて助け出して来て、何が望みだ?」
「私の望みは当主様の娘……刀奈様と婚姻を結びたいのです」
「ふざけないで!私が結婚する相手くらい自分で見つけるわよ!!」
「ですが、こうしてる間にも娘さんの身に危険が迫っているかもしれませんよ?」
玲斗は刀奈の全身を舐め回す様に見回した。
「悪いが、直ぐには返事が出来ぬ。だから少しばかり時間をくれ」
「えぇ、私は構いませんよ。それでは良い返事が来る事を期待してますよ」
玲斗が部屋を出ると刀奈が父親に駆け寄った。
「お父さん!あんな奴の言う事に従うって言うの!?」
「私だって、あんな悪評の流れてる奴などに頼む事などしたくはない。
だが……簪も私の大切な娘なんだ………」
「お父さん………(お願い誰か簪ちゃんを助けて……)」
刀奈は妹の無事を願っていた。
今回は更識姉妹が登場しましたが、殆どが楯無さんでした。
今回の話は自分が考えたオリジナル設定があります。
それでは次の話をお待ち下さい。