仮面ライダーディケイド—姫将軍と世界の破壊者—   作:オレの「自動追尾弾」

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義の巻
第一話 ディケイド、天宮に立つ


「武者頑駄無………ねぇ……」

 

天宮の首都、『破悪民我無(バーミンガム)の街』を夏海やユウスケ達、それと先ほど訪ねてきた生物と歩きながら、士は呟いた。

 

「ああ。アンタらみたいな人間の住むトコは、『天馬の国』っちゅー異世界でな。この天宮には、人間は全くと言ってええほどおらんで。たまに観光客が来る位か?」

「ふーん………」

 

士のつぶやきが聞こえたのか、先ほど『武ちゃ丸』と名乗った武者頑駄無がそう説明した。

 

「それにしても、アンタの服が変わったのは驚いたなぁ。」

「ああ、士は世界を渡る度に服装と役割が変わるんだよ。でも、今回は何だ?」

 

武ちゃ丸の言うとおり、士の服装は変わっていた。

 

士の今の服装は、頭に黒い鉢金の付いた白く長い鉢巻きを巻き、黒い鎧や手甲、足甲を着た上から青く、裾には金色で波を思わせる模様が刺繍された陣羽織を着て、普段通り首からマゼンタカラーの二眼レフのトイカメラをぶら下げていた。

 

「まるで武士みたいな格好ですよね?何の役なのでしょうか?」

「さぁな。だが、これだけは確かだ。俺なら何をやらせても完璧にこなせる。」

 

遠くに見える巨大な城、『烈帝城(れっていじょう)』をそのカメラに収めながら自信満々に言う士に、ユウスケはやれやれと呆れた。

 

「………あ、そういえば、武ちゃ丸ちゃんは何で写真館、というか茶店に?」

「へ?………あ、あーーーそうや!人を捜してたんやッ!!」

 

士たちに破悪民我無を案内していたせいか、本来の目的を忘れていたらしい武ちゃ丸。慌てて辺りを見回し、目的の人物を探し始めた。

 

「人って、誰を………?」

「こんな所にいたんですか『隊長』ッ!!」

「隊長?」

 

武ちゃ丸に夏海が聞こうとするが、それを突然大声で遮られた。

表れたのは、左右に飛び出た台形の大きな吹き返し(兜の左右に出た部位)と前立てをした兜をかぶった、真っ黒な光沢のある仮面から目が透けて見える翠色の武者だ。

 

「おお射鳴刀(イナクト)、ちょうど良かった!そっちは見つかったか!?」

「いえ、コチラは………つーか、そちらさんは………?」

 

射鳴刀と呼ばれた武者は武ちゃ丸に問いかけるが、武ちゃ丸は首を振る。射鳴刀はため息をつくと、士たちに視線を向けた。

 

「射鳴刀、この人ら頼む!ワイはその辺探してくるわ!!」

「あ、た、隊長〜〜〜!?」

 

射鳴刀の声を聞かず、武ちゃ丸は駆けだしてしまった。射鳴刀はため息をつくと、士たちを見つめた。

 

「全くあの人は………で、お宅さんらはどちらさんで?」

「ん?ああ、実は俺たち、色々な世界を旅していて、天宮には来たばかりなんだよ。」

「そうか………俺は武者丸総隊長率いる夢者遊撃隊(ムシャユウゲキタイ)一番隊隊長・射鳴刀だ。よろしく。」

 

シュッ、と右手で敬礼のような挨拶をする射鳴刀。ユウスケと夏海は射鳴刀の仕草に苦笑しつつ、ユウスケは射鳴刀が訪ねてみた。

 

「………そう言えばお前ら、人捜ししているって言ってなかったか?何だったら俺たちも…」

「あー、お気遣いには感謝するが、大丈夫だ。多分、すぐに見つかるだろうからな。」

 

ユウスケの申し出を丁重に断る射鳴刀。マスクのため顔はよく見えないが、その声から呆れているように聞こえた。

 

「まったく、あのお方はすぐに………」

「?」

「まあいい。そんな事よりお前、この辺案内しろ。」

「………初対面のやつに、ここまで上から目線でモノ言われるとは思わなかったよ。何なのお前?てか、勝手に人の事撮らないでくれる?」

 

士の態度に眉を顰める射鳴刀。当の士は気にしない様子で、射鳴刀をカメラに収めていた。

そんな士の態度に怒ったのか、夏海は士の背後に立つと、親指を立てて士の首筋に突き刺す。

 

ゴギッ

「ッ!?あっははははははははははははははははははは!お、おい夏みかん!?あははははははははは」

「士くん、いきなりそんな態度はないですよ!」

「え!?な、何だいきなり!?」

「あ、気にしないで。いつもの事だから。」

「どんないつも!?」

 

「光家直伝・笑いのツボ」を突かれて苦しそうに笑い転げる士に射鳴刀が驚く。ユウスケはにこやかに射鳴刀を安心させるのであったが、当の本人は相当困惑した様子であった。

 

「…と、とりあえず、この辺を案内しながらでも探せるから、お前らが心配する必要はないぞ?」

「そうですか。」

 

未だ苦しそうに笑う士と、士を介抱するユウスケを余所に、射鳴刀は夏海にそう話した。

 

「さてと、そんじゃあどこから案内したらいいか―――」

 

 

 

 

 

「キャァ――――――――――!!」

「「「ッ!?」」」

 

射鳴刀の考え事は、突如響いた衣を裂いたような悲鳴により中断された。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

ようやく復活した士を連れた射鳴刀たちが悲鳴の聞こえた方までかけて行くと、そこではベレー帽を被り、青い顔の目元は赤いマスクで隠した男数人が、短刀片手に町民を追い回していた。

その背後では、白い長髪を後ろで髷のように縛った、コウモリを思わせる姿で、左目になにやらスコープらしき装置を着けた怪人が、男たちに指示を送っているようであった。

 

「あれは………何で『グロンギ』がこの世界に!?」

 

 

 

グロンギ。

『クウガの世界』にいた、古代の戦闘民族。リント(人間)を狩ることで己の強さを証明し、一族の頂点を目指していた。

 

 

 

グロンギの姿を見たユウスケたちは驚いたが、射鳴刀は悔しそうに呟いた。

 

堕悪触過亜(ダークショッカ―)………こんな時に………!!」

「ダークショッカー……?」

 

射鳴刀の呟きに士が首を傾げるが、グロンギと戦闘員たちを倒すのが先決と判断して、懐から『ある物』を取り出す。

 

 

 

だが、士の出番はある珍事により遮られる事になった。

 

 

 

 

 

「そこまでだ!堕悪触過亜ッ!!」

「「「?」」」

「「「?」」」

「今のは………」

 

突如として、高らかに響き渡る声。士やグロンギたちは不思議に思うが、射鳴刀は顔を引きつらせた。

見上げれば、ある茶店の屋根の上に人影が一つ。

 

蒼い短髪に勝気な翠色の眼、磁器のような白い肌を持ち額には紅い五角形のクリスタルが白毫のごとく輝き、袖が無く丈が短い、白と青のミニスカ風の着物に肘から先を隠すような袖を垂らし、少し底が厚めの下駄を履いた少女が、手を腰に当ててグロンギたちを見下ろしていた。

 

「……何だ、アイツ?」

「あんな短い丈で高い所に……恥ずかしくないのでしょうか?」

「姫様………」

「え?」

 

少女の登場に士たちが呆れていると、射鳴刀が頭を抱え呟いた。当の少女は、そんない鳴刀たちに目もくれず、射鳴刀たちが『堕悪触過亜』と呼ぶ一団をジッと睨んでいた。

 

「貴様ら堕悪触過亜の数々の蛮行、見逃して貰えると思っていたか!この蒼蘭(ソウラン)が相手になろうぞ!!」

「……フン、貴様ガ最近、我ラニ楯ツイテイルトイウ’’じゃじゃ馬’’トヤラカ。」

 

蒼蘭と名乗る少女をグロンギが鼻で笑う。蒼蘭は構わずに屋根から飛び降りると、戦闘員たちに向かい拳を構えた。

 

「イイダロウ。コノ『堕悪強魔(ダークゴオマ)』様ニ歯向カッタ事ヲ、後悔サセテヤル!」

 

堕悪強魔がそう叫ぶと、戦闘員たちは一斉に蒼蘭に向かい駆けて行った!

蒼蘭は徒手空拳で戦闘員をなぎ倒して行くが数が多く、次第に押されていった。

 

ドガッ

「イーーー!」

「何!?」

 

その時、蒼蘭の背後で断末魔が聞こえたかと思うと、戦闘員が一人、短剣を振りかざした状態のまま崩れ落ちていき、さらにその背後には、いつの間に移動したのか、士が手刀を構えて立っていた。

 

「お前は……?」

「ったく、んなムチャな戦い方、見ていらんないぞ。」

「何を!?」

 

士の一言が癪に障ったのか声を上げる蒼蘭に対し、士はやれやれとため息をつく。

 

「何ダ?オ前ハ?」

 

堕悪強魔は怪訝な声を出す。対して、士は不適な笑みを浮かべると、『手のひら大の白いカメラを思わせる形の機械』を手にし、それを腰に当てる。

すると、その機械からベルトが伸びて士の腰にがっちりと固定、さらに左腰に薄い本のようなものが表れた。士は腰の機械―――『ディケイドライバー』の左右のレバーを引いて中央のバックルを90度回転させると、腰の本のようなもの―――ライドブッカーを開いて、中から一枚の「仮面の戦士が描かれたカード」を取り出し、それを堕悪強魔に、まるで印籠でも見せつけるかのように向けて、こう告げた。

 

 

 

「通りすがりの仮面ライダーだ。」

「!?」

「変身!!」

 

 

 

士はそう叫んでカードを反転させると、ディケイドライバーに装填した。

 

 

 

 

 

[KAMEN RIDE―――]

 

 

 

 

 

認識音が鳴ると、士は再び両側をスライドさせる。

 

 

 

 

 

[―――DECADE!]

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

音声と共にディケイドライバーにバーコードを思わせる紋章が赤く浮かび上がる。

それと同時に、士の周囲に銀色の影が9つ躍り出て、それが士に重なり合うと、士の全身を黒い装甲が包み込んだ。最後に、赤い長方形の板が7枚出現すると仮面に突き刺さり、仮面の眼が緑色に輝く。それと同時に装甲の一部がマゼンタカラーに染まり、変身が完了した。

 

 

 

世界の破壊者、仮面ライダーディケイドが、天宮に降臨した瞬間であった。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

―――ついに、ディケイドがこの地に来ましたか。

 

 

 

 

 

その様子を、大空よりも高い所から見下ろす存在があった。

 

 

 

 

 

―――さて、我が弟子の『落し物』を彼に渡す事は、吉と出るか、はたまた………

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「ディケイド……だと………!?」

 

ディケイドに変身した士に、蒼蘭と射鳴刀は驚く。堕悪強魔と戦闘員たちも驚愕するが、堕悪強魔はすぐにフン、と鼻を鳴らす。

 

「ソウカ、貴様ガアノディケイドダッタカ…貴様ヲ葬リ去ッタラ、堕悪触過亜デノ俺ノ地位ハ、確実ナモノニナル!」

 

堕悪強魔はそう意気込むと、ディケイドに向かい飛びかかった。ディケイドは蒼蘭を小脇に抱えると、その場から跳ぶ事で回避し、そのまま夏海やユウスケたちの所に着地した。

 

「お、おい!もっと他に持ち方あるだろ!?」

「文句言うな。っつうか、お前軽すぎないか?肉食え、肉。」

「何だと!?」

「貴様!姫さまに対して無礼だぞ!」

 

ディケイドの返答に蒼蘭は文句を言うが、射鳴刀は二人のやり取りに怒鳴りつけた。

 

「あのー、さっきから姫さまって、この子もしかして……」

「何ヲゴチャゴチャト!」

 

堕悪強魔が叫ぶと同時に、戦闘員たちがディケイドに迫る。ディケイドは暴れる蒼蘭を夏海とユウスケに預けて逃がすと、戦闘員を数人、拳で薙ぎ払った。

 

「待て。」

「……どうした?『姫さま』のトコに行かなくていいのか?」

 

てっきり蒼蘭の所に行くと踏んでいた射鳴刀であったが、どこから出したのか、刃に龍の装飾が施された長巻を構え、不敵に鼻で笑っていた。

 

「あの方は、俺なんかがいなくても大丈夫だ。今は、堕悪触過亜の侵攻を食い止める。後、お前には聞きたいことが出来たからなぁ、『世界の破壊者』さん?」

「………やれやれ、もうこの世界にも広まっていんのか。ホント―――」

 

ディケイドは溜息をつくと、腰に備わったライドブッカーを手に持ち、剣の状態に変形させた。

 

「人気者は辛いぜ!!」

ザシュッ

「イーーー!」

 

そのまま、ライドブッカーで戦闘員を斬り捨てる。射鳴刀も長巻を振るい、5人まとめて薙ぎ払った。

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「離せ!離せこの無礼者!」

 

一方、蒼蘭を連れて走るユウスケたち。未だじたばたと暴れる蒼蘭相手に、ユウスケと夏海は困ったように苦笑していた。

 

「ちょ、ちょっと、暴れないで下さいよ!」

「煩い!大体、何者だお前たち!見た所天馬の人間のようだが、私にこんな仕打ちをして、ただで済むとでも……」

 

 

 

「ゾナーーーーーーーーーー!」

どみょん

「「むぎゃッ!?」」

 

 

 

「………え?」

 

蒼蘭が何か叫ぶより前に、突然ユウスケと蒼蘭を「赤くて丸い何か」が押しつぶした………

 

「え、えええーーーーー!?そ、蒼蘭ちゃん、ユウスケ、大丈夫ですか!?」

「な、何とか……」

「重い~~~」

「ゾナ?」

 

赤くてまるっこい何か………いや、よく見ると鳥っぽく見えるそれの下から顔を出した蒼蘭とユウスケ。すると、トタトタと何かが駆けてくる足音が聞こえた。

 

「コラゾナー!いきなり何飛び出して―――って姫さま!?」

「あ、武ちゃ丸ちゃん………」

 

駆けてきた武ちゃ丸は、赤い鳥(ゾナーというらしい)の下敷きになった蒼蘭の姿を見て驚く。蒼蘭の方も、武ちゃ丸に気が付いたようだ。

 

「む、武者丸!ちょうど良かった!早くコイツを降ろしてくれ!!」

「おーゾナー、姫さま捕まえてくれたんか!偉い、偉い♪」

「ゾナ♪」

「いや、早く降ろせーーー!!」

「む、武ちゃ丸、俺からも頼む………」

 

蒼蘭を放っておいて、ゾナーの頭を撫でる武ちゃ丸。ゾナーが嬉しそうにしている下でユウスケが発する苦しそうな声に気付いた武ちゃ丸は、急いでゾナーをどかせた。

 

「………まったく、何でこんな目に……」

「いや、姫さまが’’また’’城を抜け出したバチが当たったんやろ?」

「またって言っても、今週はまだ5回目だぞ?」

「ほぼ毎日やろそれ!!」

 

蒼蘭と武ちゃ丸のやり取りを見て、ユウスケと夏海は苦笑していた。どうやらこの蒼蘭という()は、俗に言う『お姫さま』という身分なのだろうが、相当なじゃじゃ馬姫なのだろう。

 

「あ、こんな事をしている場合じゃなかったんだ。早くしないと、あのでぃけいどとか言うやつに堕悪触過亜全滅させられる!」

「ってコラ!逃がさないで姫さま!ゾナー!」

「ゾナ!」

ガシッ

「ああ!離せ!ゾナー!!」

 

ゾナーに再び捕まって足をじたばたさせる蒼蘭。蹴られそうになったユウスケはさっと避けたが、人に当たっては危ないと判断し、仲裁に入る事にした。

 

「ええと、取りあえず君も落ち着いて、さ?」

「せやで姫さま。姫さまともあろうお方がはしたない…」

 

ユウスケや武ちゃ丸に言われ、蒼蘭はむぅ、と押し黙った。気のせいか顔が若干赤くなっている。自分でも恥ずかしい事に今更気付いたようだ。

 

「………ゾナ?」

「ん?どーした?」

 

その時、何かに気付いたらしいゾナーが空の方を見上げた。つられてユウスケと武ちゃ丸も上を見上げると―――――――――

 

 

 

 

 

「な………何ですか………あれは………!?」

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

一方、堕悪触過亜たちと交戦するディケイドと射鳴刀。戦闘員は全て倒し、残るは堕悪強魔のみとなった。

 

「オノレ、ディケイド………!」

「そのセリフ聞くと、無性に腹が立つな………」

 

ディケイドはそういうと、ライドブッカーを構えて堕悪強魔に斬りかかった。

堕悪強魔はそれをヒラリとかわすと、伸びてナイフのようになった爪をディケイドと射鳴刀に振るい、その胸を切り裂く。

二人は胸から火花を上げて倒れこむが、すぐに立ち上がって堕悪強魔を睨む。

 

「こいつ、思ったよりやるな……」

「だな。…よし、コウモリにはコウモリだ!」

 

ディケイドはそう言うと、ライドブッカーから一枚のカードを抜き出し、ディケイドライバーに装填した。

 

[KAMEN RIDE―――KIVA!]

 

電子音が鳴り響くと共に、ディケイドの全身を銀色の鎖―――カテナが巻きつき、それがはじけ飛ぶと、その下から現れたのは、ディケイドライバーをそのままに、コウモリを模した仮面の戦士、D(ディケイド)キバの姿だ。

 

「姿が変わっただと!?」

「コケオドシヲ!」

 

堕悪強魔は嘲笑うように爪を振るう。Dキバはそれを避けると、ライドブッカーから更に一枚カードを取り出し、ディケイドライバーに入れた。

 

[FORM RIDE―――KIVA!GARULU!!]

 

再び電子音が鳴ると、Dキバの眼が青く染まり、左腕も青い獣を思わせる腕に変化、更に、狼の頭を象った剣―――ガルルセイバーが現れ、Dキバの左手に収まり、Dキバ・ガルルフォームへの変身が完了した。

 

Dキバは手にしたガルルセイバーを方に乗せた構えをとると、一瞬で堕悪強魔との距離を詰めて斬りかかった。堕悪強魔は爪で数回鍔迫り合い(相手が爪であるため、鍔迫り合いと言って良いのかどうかは疑問であるが)をし、Dキバが数m下がる。すると、Dキバはガルルセイバーを顔の前に構えた。

 

 

 

瞬間―――

 

 

 

アオォーーーーーーーン!

「!!?ガッ!アアアアアーーー!?」

 

ガルルセイバーの狼の顔の形状になった鍔の口が開き、咆哮を上げた!ガルルセイバーに備わった音波砲・ハウリングショックである。

その咆哮が放たれた瞬間、堕悪強魔は耳を押さえて苦しみだした。

 

「……成程な。コウモリは超音波を発して、その反響で餌や障害物の位置を探るという。やつはコウモリの能力を持っている分、今みたいな音波攻撃に弱いって訳か。」

 

射鳴刀が感心したように分析した事を呟く。Dキバはふ、と笑い、ライドブッカーからコウモリを模したキバの紋章が描かれたカードを取り出し、右手の人差指で、軽くトントンと叩いた。

 

「一気に止めだ。」

[FINAL ATTACK RIDE―――KI・KI・KI・KIVA!!]

 

カードを装填し電子音が鳴ると同時に、Dキバのマスクの口(クラッシャー)が開き、そこにガルルセイバーを噛ませると、Dキバは空高く跳躍。

 

「………!?」

 

苦痛から脱した堕悪強魔は、頭上のDキバが自分に大技を放とうとしている事に気付いたが、時既に遅し、Dキバは口に構えたガルルセイバーを振るい、堕悪強魔に一直線に迫る!

 

 

 

ザシュゥゥウッ

「ゴDie――――――ッ!!」

 

金色の刃が堕悪強魔を切り裂き、必殺技『ガルルハウリングスラッシュ』が決まると、堕悪強魔は蒼い狼の影と断末魔を残し、爆発四散した!

 

 

 

「これが………ディケイドの力…」

 

堕悪強魔を倒し、Dキバから元のディケイドへと戻ったのを見ながら、射鳴刀が呟いた。

 

(もし、仮にこいつが本当に世界の破壊者であるなら、ここで殺すべきなんだろうが……今はまだ様子を見ておくか……)

 

長巻を握る手に力を入れるが、今の戦いを見て『世界の破壊者』という肩書のみでは判断せず、今はまだ様子見と考え、長巻を収めた。

変身を解こうとしたディケイドだが、ふと、何かを感じ取って空を見上げた。射鳴刀も同じ方を見上げると、そこには………

 

 

 

 

 

「な……!?」

「何だ、………あれは………!?」

 

 

 

 

 

空に、九つの光がクルクルと回りながら浮かんでいた………!

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

同じ頃、ユウスケたちもその光を見上げていた。

光は、中央の一つの周囲を残りの八つが取り囲んでいる形で浮遊しており、宇宙から落ちてきた隕石等ではないことが安易に予測できた。

 

「何やあれ?不自然なまでに規則正しい並びやな……」

「あの光………まさか、堕悪触過亜の仕業か!?」

「その考えも否めませんね……」

 

町人たちも浮遊する光に気付いてざわめき立つ中、武ちゃ丸たちが光に警戒しながら考えを巡らせる。

そんな時、急に光の回転が速くなったかと思うと、それぞれがばらばらの方向に散らばって行った。そのうちの三つは―――

 

 

 

 

 

「―――って一直線にこっちに飛んできますけどーーーーーー!?」

「なぬ~~~~~!?」

 

何故か、ユウスケたちの元に急降下してきた!

四人と一羽は慌てて逃げようとするが、既に光は目の前。逃げ切れるわけがなく、その光に対し、反射的に手を出す四人。そして―――

 

 

 

 

 

パシィッ

「………え?」

「何……?」

「な、何や?」

 

ユウスケ、武ちゃ丸、そして蒼蘭の手に、何かが収まった。

 

見てみれば、蒼蘭の手には中央に赤く丸いクリスタルが埋め込まれた、横に長い八角形の厚い銀色のプレート状のものが握られており、

武ちゃ丸とユウスケの手には、ビリヤードの玉よりも小さい位の透明な丸い宝石が収まっていた。

 

「……義?」

「ワイのには、孝、やな………?」

 

そして、その珠にはそれぞれ文字が浮かび上がっていた。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「忠…?」

「信……か?」

 

同じ頃、ディケイドと射鳴刀も、ユウスケたちと同じ珠を受け取っていた。

 

 

 

 

 

この珠の意味は?

 

そして、堕悪触過亜とは何者なのか?

 

次回を待て!!

 




蒼蘭姫のイメージは、キャラはSEED初期のカガリ、服装はエクシアといった感じです。

射鳴刀はコーラサワーにモモタロスを足したようなキャラの予定でしたが、何か現時点だと加賀美っぽい……
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