仮面ライダーディケイド—姫将軍と世界の破壊者—   作:オレの「自動追尾弾」

3 / 7
第二話 烈帝城の攻防

「―――ついにディケイドが来たか…」

 

とある、真っ赤な壁に『正面を向いた単眼(モノアイ)の鷲』のレリーフが飾られた、大きな円卓のある広い部屋。

そこの上座に座る男は、頬杖をつきながらほくそ笑む。

 

闇のような漆黒の鎧に赤いマントのような外装をつけたその武者頑駄無は、円卓に座る面々、と言っても、実際に座っているのは2~3人で、残りは立体映像ではあるが、彼らに目をやった。

 

『―――それで、今後の行動は?』

「フム………ディケイドはかつて貴様ら『大ショッカー』をつぶしたと聞くが、当面は様子見だ。『タイタン』たちは、そのまま『天馬(ペガサス)の国』の侵攻に当たってくれ。獣羅将・堕悪殻魅碇(ダークカラミティ)、ディケイドの方は、お前に任せる。」

 

黒い武者頑駄無が呼び出すと、円卓の一つに座っていた一人の大柄な武者が立ちあがった。

緑青色の鎧に身を固め、両肩からは大きな角や牙を思わせる形の大砲が四本伸び、両腕は肘から先が異様に大きく、右腕には三本の爪が、左腕には獣の顔を思わせる形の楯と二連装の銃が付いていた。

 

「は、我が配下、堕悪怪人軍団にお任せを。ちょうど、調整を兼ねて出撃させたい者がおります故に。」

 

殻魅碇がそう言うと、立体映像の一つ、カラスのような黒い鎧の武者が声を上げた。

 

『けっ!何だよ、殻魅碇!オメーだけ楽しそうな作戦じゃねえか!!』

『そう言うな、剣羅将・堕悪嶺陀亜(ダークレイダー)。お前は俺たちと『天馬の国』の侵攻と言う大事な作戦があるのだぞ?』

 

嶺陀亜と呼ばれた武者はへいへいと気のない返事を返す。黒い武者は立ち上がると、円卓に座る面々に宣言した。

 

「例え相手が『世界の破壊者』であろうと、我々の目的は揺るがない!『大ショッカー』や『スーパーショッカー』が成しえなかった『全次元征服』の夢を、我ら『堕悪触過亜』がやり遂げるのだ!!」

「は!」

「必ずや!!」

「大首領・堕悪魔星大将軍(ダークマスターダイショウグン)のご期待にそぐわぬ様、全力で。」

 

大首領―――堕悪魔星大将軍の宣言に、円卓の武者たちは力強く返事をした。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

堕悪強魔を倒した士たちは、烈帝城へ招かれていた。

何でも、堕悪触過亜を倒した「仮面ライダー」にこの天宮を収める大将軍が興味を持ち、是非とも会いたいと言ってきたそうだ。

なお、蒼蘭は途中で武ちゃ丸と射鳴刀に連行されてどこかに行ってしまいこの場にはいない。

 

「それにしても、その大将軍って人に会えるなんて………」

「何か、緊張しますね………」

 

烈帝城の謁見の間で、たくさんの家臣たちがジロジロと見てくる中、正座する夏海とユウスケは、緊張して周りをきょろきょろと見ている。そんな二人と対照的に、士はあぐらを組んでカメラを弄っていた。

 

「そんなきょろきょろするな。むしろその大将軍とやらは感謝するんだな。この俺に会える事に。」

「………お前のそういう性格がうらやましいよ。」

 

それこそ殿さまのように堂々とした士と態度に呆れるユウスケ。夏海が今にも『笑いのツボ』を突こうとするが、ちょうどその時、奥のふすまが開き、家臣が一人あらわれて叫んだ。

 

珀神丸大将軍(ビャクシンマルダイショウグン)さまの、おな~~~~~り~~~~~!」

 

それと同時に周りにいた家臣たちが一斉に頭を下げる。いきなりの事で戸惑うユウスケたちだが、奥からあらわれた白く神々しい武者を見て、背筋を伸ばした。

 

「―――皆さん、頭を上げてください。初めまして、私が珀神丸大将軍です。」

 

珀神丸大将軍が笑みを浮かべて挨拶すると、夏海たちは会釈をした。

 

「おう、わざわざ来てやったぞ。」

「士君………」

 

一方、あくまで姿勢を崩さないで気楽に挨拶する士。夏海は今度こそ『笑いのツボ』を突こうと親指を立てるが―――

 

 

 

 

 

ゴンッ

「え?」

 

夏海が親指を突きさすよりも先に、士は背後から何者かに殴られ、畳に首から下をめり込ませていた……

 

「貴様!大将軍様の前で何という無礼を!!」

「げ、撃さん、私は気にしていないので………」

 

士を殴った初老くらいの武者頑駄無は怒鳴ると、大将軍のもとに歩み寄った。

 

「いえ大将軍、いくら客人とはいえあのような無礼では……」

「しかし、射鳴刀や武者丸さんの話では、異世界から来たという事ですので、少し勝手が分からなかったのかも……」

「いえしかしですな……」

「………またやっとるんかいな」

「お二人とも、話が始まりませんよ。」

 

しばらく言い争っていた二人だが、部屋に入ってきた射鳴刀と武ちゃ丸にツッコまれ、咳を払った。すると、頭に漫画のように大きなタンコブをこさえた士が畳から這い出てきた。

 

「ったく、いきなり殴るやつがあるか………?」

「士君が失礼な態度だったからですよ。」

「……お前、撃さんの拳骨喰らってよくすぐに立ち直れるな………」

「あ、蒼蘭ちゃん……」

 

ふと、背後にいた蒼蘭が呆れ顔で士を見る。夏海たちが振り返ると、頭にタンコブをこさえた蒼蘭がいた。

 

「お前もか……」

「……まあ、な。」

 

察したらしい士が蒼蘭に同情の眼差しを送ると、先ほどの武者が話し始めた。

 

「……見苦しい所を見せたな………ワシは頑駄無流師範、撃鱗将頑駄無(ゲキリンショウガンダム)じゃ。」

「ええと、どうやら街に現れた堕悪触過亜を対峙してくれたようですね。それに―――」

 

大将軍はチラリと蒼蘭の方を見るが、視線に気づいたらしくそっぽを向かれてしまった。

 

「妹が、蒼蘭がご迷惑を………」

「え?」

「い、妹ぉお!?」

「ほう………」

 

大将軍の意外な一言に思わず声を上げる夏海とユウスケに対し、士はタンコブを擦りながら呟き、気になっていた事を聞く事にした。

 

「礼には及ばない。それより、さっきから気になっていたんだが、あの堕悪触過亜って連中は何者なんだ?」

 

あくまでなれなれしい態度を崩さない士に再び撃鱗将が怒鳴ろうとするが、大将軍に制されて押しとどまった。

 

「……堕悪触過亜は、半年ほど前からこの『天宮』と『天馬の国』に侵攻を開始した巨大な悪の軍団です。8年ほど前に同じく侵攻してきた『堕悪闇軍団(ダークヤミグンダン)』と、異次元から来たという『大ショッカー』と言う組織が統合して生まれたそうです。」

「大ショッカーだって!?」

 

思わぬ所で『大ショッカー』の名前を聞き、ユウスケは声を上げた。士たちも声を出さないまでも驚いていた。射鳴刀は三人を見て、聞いてみた。

 

「何だ、お前ら知っているのか?」

「いや、知っているも何も………」

「………俺は昔、その『大ショッカー』の大首領をやっていたんでな。」

「何やと!?」

 

士の告白に驚く天宮一同。

話によれば、士は騙されていたとはいえ自分以外のライダーを滅ぼしてしまい、大幹部たちの思惑通りに全次元世界計画に利用されてしまったという。

最終的に蘇ったライダーたちと共闘し壊滅させたが、後に残党が『スーパーショッカー』を作り上げたりしたが、それも士たちの手で滅んだそうだ。

 

「そのような事があったとはな………」

「大ショッカーが絡んでいるなら、俺たちも動かない訳にいかないな。それに、」

 

士は、懐から先ほど空から降ってきた『信』の文字が浮かび上がった珠を取り出す。

 

「こいつの事も、『堕悪触過亜』を追っていれば分かるかもしれないしな。」

「一応、武者丸隊長の珠を『鎧工廠(ヨロイコウショウ)』の努貫丸(ドッカンマル)殿が城の研究施設で解析中だが、少し時間が掛かるそうだ……」

 

射鳴刀が説明すると、大将軍が士たちに向き直った。

 

「私たちも、出来るだけのお手伝いは致します。武者丸さんや射鳴刀も、ご協力をお願いできますか?」

「何言うとるんですか、大将軍さま。」

「そんなの、当り前ですよ。」

 

大将軍の問いに、武ちゃ丸と射鳴刀は頷く。

 

「………」

 

そんな中、蒼蘭は黙って部屋を出て行ってしまった。

 

「………随分無愛想な妹だな。」

「すいません……少々難しい年頃でして………」

 

申し訳なさそうに言う大将軍だが、ユウスケは何か放っておけないらしく、蒼蘭を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

部屋を出た蒼蘭は、城の庭を歩いていた。

 

「まったく、兄上も撃さんも………」

 

小石を蹴りながらぶつくさと呟く蒼蘭。すると、松の木の陰から声をかける者がいた。

 

「―――何時にも増して不機嫌だね、姫さま?」

「ギン………」

 

木の陰から出てきた、銀色のポニーテールを結わいた黒い身体と緑色の目の女性、ギンは、気さくに蒼蘭に笑いかける。

 

「また街でひと悶着あったんだって?何か、今大将軍さまと話しているお客人も何か関係しているみたいだけど。」

「………ふん、あの連中は関係ない。」

「………まだ諦めてなかったのかい?」

 

呆れるギンだが、蒼蘭はそっぽを向いたままだ。ちょうどその時、追いかけてきたらしいユウスケがこっちにかけてくるのが見えた。

 

「おーい!」

「………お前か。えーと、小野寺………」

「ユウスケだよ。小野寺 ユウスケ。アレ?今誰かといなかった?」

 

近づいてきたユウスケは、ふと周りを見ながら聞く。蒼蘭も言われてから気付いたが、既にギンの姿はなかった。

 

「(もういない……)気にするな。それより、何か用か?」

「いや、黙って部屋を出て行ったから、ちょっと気になって。」

 

理由を話すユウスケであるが、当の蒼蘭はプイとそっぽを向いてしまった。

 

「………私の事はほっといてくれ。」

「あ、ちょっと……」

「言っておくがなあ、私はお前たちにも武者丸にも守られるつもりはない。自分の身は自分で守れる。」

 

そう言うと、蒼蘭はそのまま歩き去ろうとする。だが、

 

 

 

ボフンッ

「ぶ!?」

「へ?」

 

突然、蒼蘭の顔面に『丸い何か』が落ちてきた。しばらくもがく蒼蘭であったが、顔に貼りついた「それ」を引きはがした。

 

張り付いていたのは、バスケットボールくらいの大きさの球状の身体に薄い黄緑色の体色をしており、大きな口とつぶらな黒い目、そして大きな翼と爪を持った足の、奇妙な鳥であった。

どうやら気絶しているらしく、ピクピクと羽を動かしていた。

 

「な、何だコイツ?」

「と、鳥……かな………?」

 

目を回すその鳥を見て、首を傾げる二人。その時だ。

 

 

 

 

 

「ギギィーーー!」

「ギギィーーー!」

ドォン

「な………!?」

「何!?」

 

突如として、空から赤い身体と黒い仮面の武者が十数体、2人の目の前に降ってきた!

 

「何だこいつらは!?」

赤兵奴(アヘッド)……堕悪触過亜の雑兵だ。」

 

疑問を思わず叫ぶユウスケにこたえる蒼蘭。すると、左手が針になった蚊を思わせる姿に縞模様のマントと編み笠を被り、堕悪測定鏡をつけた浪人風の怪人が舞い降りた。

 

「貴様、ディケイドの仲間だな?」

「………だったらどうした!?」

「まさか、この城に堂々と侵入してくる狼藉者がいようとはな、堕悪触過亜!!」

 

蚊の怪人はユウスケに睨みつけると、バカにしたようにニヤリと笑う。

 

「貴様の命、この堕悪吸裂樟(ダークキュレックス)がもらいうける!者ども!かかれぇ!!」

「「「ギギィーーー!」」」

 

堕悪吸裂樟が命じると、赤兵奴たちは刀を抜いてユウスケと蒼蘭に襲いかかった。

ユウスケは赤兵奴を数体いなすと、蒼蘭を庇うように手を広げ、下がらせた。

 

「下がってて!」

「断る!第一、お前も危ないだろう!」

 

赤兵奴が迫る中で叫ぶ蒼蘭だが、ユウスケは安心させるように蒼蘭に笑いかけた。

 

「大丈夫。士と同じように、俺にも戦う力はあるからね!」

「何?」

「お見せしよう!」

 

そう言うと、ユウスケは腰に手を当てる。すると、ユウスケの腰に銀色のベルト『アークル』が現れる。赤兵奴たちがたじろぐのに目もくれず、ユウスケは左手を腰に、突き出した右手を左から右に流す動作をし、叫んだ。

 

 

 

「変身!」

 

 

 

叫ぶと同時に、右手を左手に合わせるようにした後に、両手をまるで何かを迎え入れるように開く。すると、胸、腕、足、頭部の順でユウスケの身体を赤い鎧が覆い、頭部にクワガタムシを思わせる金色の角を持った戦士へと変貌させた!

 

人間(リント)の戦士―――仮面ライダークウガが、烈帝城の庭園へ現れた!

 

「貴様も仮面ライダーだったのか!」

「いかにも!!」

 

堕悪吸裂樟の問いにクウガは答えると、赤兵奴を蹴り倒していく。

 

「ユウスケ……アイツ、結構強いんだな………」

 

ユウスケに押しやられた木の陰で、思わず少しバカにしたように聞こえなくもない呟きを漏らす蒼蘭。

ふと、蒼蘭はクウガの腰に巻かれたベルト、アークルを見た。

 

「あの形………」

 

蒼蘭は、懐から先ほど士や武ちゃ丸たちの持つ珠と共に降ってきた八角形のプレートを取り出し、アークルのバックルと見比べた。

 

「これと似ている………?」

 

蒼蘭はまさかと思いながらも、抱きかかえていた鳥を脇に置いて、そのプレートを腰に当ててみた。すると、

 

ガシャンッ

「え!?」

 

当てた途端、プレートの左右から合計8つの四角いパーツが鎖と共に伸び、それはベルトとなって蒼蘭の腰に巻かれた!

 

「え?え!?何これ!?」

「姫ーーー!」

 

戸惑う蒼蘭だが、後ろから声をかけられて振り返ると、士と射鳴刀が駆け寄って来ていた。

 

「堕悪触過亜か?」

「……見ての通り、ユウスケが戦っている。」

「だな。いくらアイツでも、この数はキツイだろ。」

 

そう言って、ディケイドライバーを巻き、カードを構える士。だが、

 

ドォオン

「ぐあッ!?」

「士!?」

 

突如として、何かが士を跳ね飛ばし、変身を妨害されてしまう!

 

「今のは!?」

「ヴウウウ~~~~~………」

「……もう一匹いたのか!?」

 

そう言ってみた先には、兜と堕悪測定鏡を装備し、胴体がイノシシの頭部のような形をした堕悪怪人・堕悪強怒暴騨(ダークシールドボーダー)が唸り声を上げていた!

 

「めんどくせえなあ………変身!」

[KAMEN RIDE―――DECADE!!]

 

士はすばやくカードを装填してディケイドに変身すると、突撃してくる堕悪強怒暴騨をタックルの要領で受け止めた!

 

「姫さま、お下がりください!ここは俺が!」

 

長巻を構えて赤兵奴を斬り伏せながら叫ぶ射鳴刀。

 

「………」

 

残された蒼蘭は、悔しげに歯を噛み占める。

 

何時だってそうだった。いつも周りの者たちは、自分を戦いの場から遠ざけようとする。

自分にも、あんな力があれば、そう思った事は何度もあった。

 

蒼蘭がそんな風に悩んでいると、ふと、先ほど脇に置いたあの奇妙な鳥が目を醒まして起き上った。

 

「う~~~ん………あれ?ここは………?」

「………え!?喋った!?」

 

起き上って喋った事に驚く蒼蘭。そんな蒼蘭の叫び声に驚いた鳥は蒼蘭を見る。そして蒼蘭の腰に巻かれたベルトを見て、更に驚いた。

 

「え………えええーーーーーー!?ちょ!?ちょっと!?何でアンタが『八角の金帯』を持ってるのよーーーーーーー!?」

「?『八角の金帯』って………これの事か?」

 

自分の腰に巻かれたベルト―――この鳥の言う事が正しければ『八角の金帯』という名前らしいそれを指して、問いかける。鳥ははあ、とため息をつくと、羽を羽ばたかせて蒼蘭の目線の高さまで飛んできた。

 

「……まさか、アンタみたいなのが『八珠の武将』に選ばれるなんてねえ……ま、選ばれちゃったのはしかたないか………」

「『八珠の武将』?おい、さっきから何の話を?」

「アンタ、名前は?」

 

蒼蘭の質問に答えず、逆に鳥は蒼蘭に質問をしてきた。

 

「質問を質問で返すな!……後、私は蒼蘭だ。」

「蒼蘭、ね。私は『宝珠隼(ジュエルファルコン)』よ。」

「……随分と大それた名前だな。隼より鶏の方が似合うんじゃないか?」

 

余計なお世話よ!と宝珠隼と名乗るその鳥が叫ぶと、今まで傍観していた堕悪吸裂樟が近づいてきた。

 

「女、お前も俺の標的なんでなあ。恨まんでくれよ?」

「こいつ……!」

「何かヤバそうね……蒼蘭、話は後よ。早速だけど、アンタには戦ってもらうわ。」

「え?」

「そのための「力」をあげるわ。」

 

宝珠隼はそう言うと、蒼蘭の腰に巻かれた『八角の金帯』に向けてその大きな口を開く。すると、開かれた口から光が現れ、『八角の金帯』の中央の宝石に吸い込まれた。

 

「何だ!?」

「蒼蘭!?」

 

堕悪吸裂樟やクウガたちが困惑した声を上げる。蒼蘭自身も驚いているが、宝珠隼は至って冷静に説明し始めた。

 

「蒼蘭、金帯の中央の『頑駄無宝珠(ガンダムジュエル)』に手を当てて!」

「え?え?」

「そんで、ポーズを構えて、『装着!』って叫ぶの!」

「え?わ、分かった!?」

 

言われたとおりに中央の『頑駄無宝珠』を回転させるように手を当てると、宝珠は輝きを増し、蒼蘭の周囲を3つの光の輪が廻り始めた!

 

「え、えっと………」

 

多少戸惑いながらも、両手の指先を伸ばし、右手を斜め下、握った左手を腰に当てたポーズを取り、叫んだ。

 

 

 

「装着!」

「行くわよ!」

 

 

 

蒼蘭の叫びと共に、光の輪は蒼蘭の身体を包みこみ、蒼蘭に戦う力―――鎧を纏わせる!

 

肩には円錐(コーン)型の突起がついた肩当て、腰の金帯から下はスカート状の腰当てを身につけ、足は白と赤のブーツが包み込み、腕には丸みを帯びた手甲が装備され、蒼蘭の頭部は二つの“V”が合わさったような形の金色の前立てがついた兜を被っていた。

最後に宝珠隼が蒼蘭の胸に飛んでくると、宝珠隼を中心に胸当てが現れ、装備された!

 

「こ、これは………?」

「これは『八珠の鎧』。八つの『頑駄無宝珠』を司る鎧よ。」

「ええい、そんな鎧が何だ!赤兵奴ども!!」

 

自身の身に纏われた『八珠の鎧』を見ながら呟く蒼蘭。だが、そんな蒼蘭に堕悪吸裂樟に命じられた赤兵奴が数体襲ってきた!

 

「さあ、いっちょやってみようか!」

「え?あ、ああ!」

 

宝珠隼に言われ、蒼蘭は一番近くにいた赤兵奴に向けて殴りかかった!

 

バキッ

「ギギィ!?」

「お?結構効いてるか?」

「あったりまえでしょ!この鎧で強化されたアンタの身体能力は、こんなもんじゃあないわよ!」

 

胸の宝珠隼が得意げに言うと、蒼蘭はパンチとキックを組み合わせて赤兵奴を次々と倒して行く。

 

「な、何かよく分からないけど、結構やるじゃん、蒼蘭!」

「姫さま……」

 

他の赤兵奴や堕悪強怒暴騨と戦うディケイドたちは、その戦いぶりを見て感嘆を漏らす。

 

「お、おのれェーーー!!」

 

堕悪吸裂樟は怒ったように叫ぶと、蒼蘭との距離を一気に縮め、左手の針で突き刺そうとする!

 

「蒼蘭、右から来る!」

「!」

「何!?」

 

だが、宝珠隼が叫んだ事によりその攻撃は回避され、堕悪吸裂樟は逆に腹へ拳を入れられてしまう。

 

「あ、あの妙ちくりんな鳥……」

「隙を与えないで!このまま攻めきるのよ!」

「おう!」

 

そう言って再び堕悪吸裂樟に殴りかかる蒼蘭。だが、堕悪吸裂樟は被っていた編み笠を右手に持つと、上の部分を蒼蘭に向けてその拳を受け止めた!

 

「痛!?固!?笠、固ッ!?」

 

想像以上に固い編み笠に手を振る蒼蘭。堕悪吸裂樟はほくそ笑むと、左手の針で突いてくる!

 

「く………!?」

 

笠で防御しつつ針で突き刺す戦法を取る堕悪吸裂樟に苦い表情をする蒼蘭。すると、宝珠隼が口から光弾を放って笠に直撃させると、小さな爆発が起こって堕悪吸裂樟は吹き飛び、蒼蘭は距離を取った。

 

「奴に素手じゃあ不利ね………蒼蘭、ちょっと金帯に手をかざしてみて。」

「分かった。」

 

言われた通り金帯に手をかざすと、中央の頑駄無宝珠が輝き、光の柄が現れた。蒼蘭がその柄を掴んで引き抜くと、それは楕円形の鍔がついた細身の刀であった。

 

「これは……」

「『玉刀(ぎょくとう)臨望龍剣(リボリュケイン)』。それがその刀の名前よ!」

 

臨望龍剣を握り、感覚を確かめる蒼蘭。そんな時、吹き飛んだ堕悪吸裂樟が左手の張りでこちらに突っ込んでくる。蒼蘭は臨望龍剣の腹で針を受け止めると、刀身を左手で持って押し返し、袈裟がけに斬りかかる。堕悪吸裂樟は笠で受け止めると、笠で刀を脇に逸らして蒼蘭の胸目がけて針を突きだす!

 

「姫さま!?」

「………!」

 

胸を貫かれた蒼蘭を見て悲痛の声を上げる射鳴刀と、息をのむクウガ。だが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………!?」

「―――ニヒヒヒヒ、残念(じゃんねん)でした!」

 

堕悪吸裂樟の針は蒼蘭の胸―――即ち宝珠隼の口で噛まれて、それ以上の進行を阻まれていた!

蒼蘭は逸らされた臨望龍剣を振り上げると逆手に持ちかえ、切っ先を堕悪吸裂樟の針に突き立てて切り離した!

 

「グアア!?」

「すまん、宝珠隼!」

 

蒼蘭は胸の宝珠隼に感謝すると、刀を持ちかえた。

 

「お、おのれ小娘が………!」

「俺たちも決めるか。」

「ああ!」

 

赤兵奴がある程度減ったのを見たディケイドが言うと、クウガも答えて堕悪強怒暴騨を睨む。

ディケイドはライドブッカーからカードを一枚取り出すと、ディケイドライバーに装填、電子音が鳴り響いた。

 

[FINAL ATTACK RIDE―――DE・DE・DE・DECADE!]

 

電子音と共にディケイドとクウガが跳び上がると、ディケイドと堕悪強怒暴騨の間に10枚のカードの幻影が現れ、ディケイドはそれを通過するたびに加速し、クウガと共に堕悪強怒暴騨に飛び蹴り―――ディメンションキックとマイティキックを放った!

 

ゴガァッ

「ヴウァアアアア!?」

 

ダブルライダーの必殺キックを同時に喰らった堕悪強怒暴騨は吹き飛び、空中で光を放ち始め、そして………

 

 

 

「死ンジーーー!!」

ドォオオン

 

断末魔の叫びと共に爆発四散した。

 

「堕悪強怒暴騨!?」

「こっちも行っちゃおうか!?」

「ああ!今こそ、兄上や撃さんに隠れてこっそり練習していた『アレ』を使う時が来た!」

 

堕悪吸裂樟が驚く中、蒼蘭は臨望龍剣を地面に深く突き刺した。同時に、肩鎧の円錐状のパーツが背面に移動し、周囲からジェットエンジンに似たエネルギーを発射し、それに乗って蒼蘭は堕悪吸裂樟に向けて臨望龍剣を地面に突き刺したまま突っ込んでいく!

 

「!?あ、あれは武者丸隊長の技!?」

 

射鳴刀には、蒼蘭がやろうとしている事が分かった。

臨望龍剣は地面との摩擦熱で刀身が真っ赤に熱せられ、高熱(ビーム)と化し、その刀身が慌てて笠を構える堕悪吸裂樟に叩きこまれる!

それは、かつて武者丸が最も得意とした技の、蒼蘭風アレンジ版。その名も―――

 

 

 

 

 

炎凰灼熱斬(エンオウシャクネツザン)ッッ!!」

ズバァアアッ

 

 

 

 

 

高温の刀から放たれた一撃により、堕悪吸裂樟はその笠ごと真っ二つに斬り裂かれた………!

 

「ぜ………!?」

 

自分が斬られた事が信じられない堕悪吸裂樟。だが、膝を着くと、両手を上げて、

 

「ゼ~~~~~~苦トォッ!!」

 

そう叫び、爆発したのであった………

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「ほう………堕悪強怒暴騨で消耗させ、堕悪吸裂樟で止めを刺す作戦であったが、まさか、かのような想定外(イレギュラー)が起こるとはな………」

 

この戦いを城の屋根の上で見ていた堕悪殻魅碇は、顎を擦りながら呟いた。

 

「戻って情報の整理だな。あの娘、放ってはおけん………」

 

そう言うと堕悪殻魅碇は、背後に出現した『灰色のオーロラ』の向こうに消えていった。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

堕悪怪人たちを倒した士たちは変身を解き、蒼蘭から宝珠隼が離れると、鎧は光となって消えた。

 

「蒼蘭、さっきの鎧は……?」

「いや、私もよく分からないのだが………」

「………どうやら、この丸鳥が知ってそうだな。」

 

士は蒼蘭の傍らに飛ぶ宝珠隼を指さして言う。宝珠隼は少し怒ったように士を睨むと、翼をバサバサと羽ばたかせて抗議した。

 

「誰が丸鳥よ誰が!!私は宝珠隼!今はこんな姿だけど、これでも『結晶鳳凰(クリスタルフェニックス)』様の従者なんだからね!!」

「結晶鳳凰?」

 

結晶鳳凰と効いた途端、蒼蘭と射鳴刀は驚いたように目を見開いた。

 

「結晶鳳凰様だって!?」

「何だとぉお!?」

「え?な、何なの?そんなに驚いて………?」

 

急に大声を出す二人にビクッと身を引くユウスケと、興味深そうに話を聞く士。

 

はたして、宝珠隼の正体とは?

 

次回を待て!

 




獣羅将・堕悪殻魅碇のモチーフはもちろんカラミティですが、それに『Gガンダム』のデビルガンダム四天王のグランドガンダムと「仮面ライダーOOO」のガメルが入っています。
ガメルはライダー要素として入れていますが、実は『SEED』のブーステッドマン専用機とマスター以外のDG四天王って共通点が多い事に気がつきまして、そこからの選出です。他の羅将も一人を除いて同様の選出になっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。