仮面ライダーディケイド—姫将軍と世界の破壊者—   作:オレの「自動追尾弾」

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第三話 過去

結晶鳳凰(クリスタルフェニックス)

 

天宮の守り神であり、善の象徴、あるいは光の化身とも呼ばれる。

 

武者頑駄無の歴史にたびたび登場し、その時代の武者頑駄無たちの手助けをしていたとされる存在。

 

 

 

 

 

「―――で、お前はその結晶鳳凰の従者だって言うのか?」

「いかにも。」

 

えっへんと威張るように胸を張る宝珠隼。どこからどこまでが胸なのかは不明であるが。

 

ここは、烈帝城内の研究施設。

士たちはここで、蒼蘭の持つ『八角の金帯』を鎧工廠から招かれた怒貫丸に調べて貰うべく訪れていた。怒貫丸が調べているその間に、施設の一角に集まって宝珠隼に話を聞く事にしたが、その前に結晶鳳凰についての説明を蒼蘭たちに聴いていた所であった。

 

「……まあ、従者と言っても、私は結晶鳳凰様の一部から生まれたって感じね。時空の歪みが原因で、結晶鳳凰様の力の一部が分かれて、私が生まれたそうよ。」

「成程。」

「それでつい最近、天宮に巨大な悪の気配が来るのを感じ取った結晶鳳凰様に命じられて、天宮の武者に力を授けるべく来たのは良いんだけど………」

 

しかし、突如として発せられた『邪悪な意思』に襲われてその力と意思が分裂してしまい、意思は今の、本人いわく『惨めな姿』に、力は8つの『頑駄無宝珠(ガンダムジュエル)』と八角の金帯に分かれてしまったらしい。

それを知った結晶鳳凰は、頑駄無宝珠はその力に相応しい8人の武者の元へ飛んだと教えられ、金帯を持つ者を『八珠の武将』とし、その武将の元に集いし8人の武者を『八珠の超将軍(やつじゅのちょうしょうぐん)』に選び探し出すという命を新たに受けて地上に降り、蒼蘭と遭遇して現在に至る、という事だった。

 

「……大体分かった。で、お前の探している『頑駄無宝珠』ってのは、これの事か?」

 

そう言って士は、懐から『信』の文字が浮き出たあの珠を宝珠隼に見せた。

それを見た瞬間、宝珠隼は声を上げた。

 

「あああああーーー!?それよそれ!アンタ、何で持ってるのよ!?」

「空から降ってきた。」

「俺も持っているけど………」

「ワイも。」

「俺も。」

 

そう言って、ユウスケや武ちゃ丸、射鳴刀も、珠を見せた。

 

「す………既に4人………八珠の武将の元に………!?」

「で、その八珠の武将ってのは………」

「姫さまやっちゅう事やな………」

 

全員が、空から降ってきた八角の金帯を受け取った蒼蘭を見た。その時、研究装置のある部屋のドアが開き、中からゴーグルを掛けた武者・努貫丸が出てきた。

 

「おお、怒貫丸殿。それで、どうでしたか?」

「うーん、この中に映像の鎧が収納されているのは分かったんだけど、それを取り出すのは難しいっぽいねえ………この中央の宝珠にかかった施錠(プロテクト)、そんじょそこらの大手企業のDBよりも強固だよ。」

「ま、当然よね。『八珠の鎧』を出すには、私と正当な所有者、つまり八珠の武将の二つがそろっていないと無理なのよ。」

 

怒貫丸の説明に、宝珠隼は翼を器用に腕組みのように組んで補足する。蒼蘭は怒貫丸から八珠の金帯を受け取ると、じっと見つめていた。

 

「ま、おかげで分かったぜ。俺がこの世界で成すべき事は、その『八珠の超将軍』になって、堕悪触過亜を倒す事だって事がな。」

「アンタは『信』の珠を持っているから、『信の超将軍』ってなるわね。」

 

実は第一話から今もずっと武将スタイルの士が、『信』の頑駄無宝珠を見つめながら言うと、宝珠隼が説明する。どうやら、珠に浮かんだ文字で称号が付くようだ。

 

「どうします、隊長?大将軍様や撃鱗将様に報告しますか?」

「うーん………どないしよ……」

「……兄上や撃さんは確実に反対するだろうな。天宮の危機と言え、私を危険な目にあわせられんとか何とか言ってな………」

 

蒼蘭たち三人がヒソヒソ話す。その時、研究施設の出入り口の自動ドアがバアン、と大きな音を立てて『押し』開けられた。

 

「当たり前だ!!」

「撃さん!?」

「手動で……!?」

「いくら天宮の危機と雖も、姫さまを危険な目に遭わせては亡き妃殿下に申し訳がない!」

 

郵便局に来た波紋使いのようなポーズでそう言う撃鱗将は、壊れたドアをそのままに、蒼蘭に詰め寄って手を出した。

 

「と言う訳で姫さま、それを此方へ。」

「撃さん、何も没収せんでも………」

 

武ちゃ丸が止めようとするが、撃鱗将は尚も八角の金帯を握る蒼蘭に迫りよる。すると、

 

(ファルコン)キィック!(あの発音で)。」

バキッ

「ぐお!?」

 

迫る撃鱗将に宝珠隼の飛び蹴りが炸裂、撃鱗将は吹き飛んだ!

 

「さあ蒼蘭、今の内に!」

「あ、………ああ。」

「姫さま!?」

 

宝珠隼の突然の行動に戸惑うも、釣られて部屋を出る蒼蘭。倒れた撃鱗将に宝珠隼がアッカンベーをして走り去るのを、呆気に取られながら一同は見ていた………

 

「ええい、あの鳥めが………!」

「撃鱗将様、姫さまは俺が。」

 

怒る撃鱗将を射鳴刀が宥め、蒼蘭を追いかける。ふと、士は気になった事を口にした。

 

「気になったんだが、お前たちは少し蒼蘭に対して過保護すぎやしないか?」

「む………?」

「いくら姫さまだからって、城に閉じ込めていたのが祟ったんだろうな、あの性格は………」

「う、うーむ………確かに、ワシも大将軍様もそれは感じてはいるが………」

 

頬を掻きながら言う撃鱗将であった。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

一方、部屋を飛び出した蒼蘭と宝珠隼は、庭の木の枝に乗って射鳴刀をやり過ごしていた。

 

「幾らなんでも、撃さんを蹴り飛ばすのはやりすぎじゃなかったか?」

「良いのよ、あのおっさん、いきなり『八角の金帯』を奪おうとしてくるんだもの!」

 

宝珠隼が怒った風に言う。射鳴刀が去って、周りに誰もいないのを確認した蒼蘭が木から飛び降りると、庭を歩きだした。

 

「………あ、そ、蒼蘭ちゃん………」

「ん、ああ、アンタか。」

 

ちょうどその時、蒼蘭の背後から夏海が息を切らしながら駆け寄ってきた。

 

「あの、士君たち、見ませんでしたか!?」

「ああ、あいつらなら今、向こうの方の研究施設にいるが。どうかしたのか?」

 

夏海の問いに答え、今度は蒼蘭が訳を聞く。

 

「いえ、いきなり士君と射鳴刀さんが走り出して置いてけぼりになって、追いかけたんですけれど、迷っちゃって………」

「………あー、その事なら、もう解決したぞ?」

「え!?」

 

擬音を付けるならば『がーん』であろうか、ショックを受けて口を開ける夏海。蒼蘭と宝珠隼が呆れていると、

 

「ああ、姫さま!!」

「げ、射鳴刀!?」

 

遠くから射鳴刀が走って来るのが見えて、蒼蘭は焦った表情で走り出した。蒼蘭がいきなり走り出した事に驚いた夏海だが、隣を走りながら聞いてみた。

 

「蒼蘭ちゃん、何かあったんですか?」

「ちょっと、頑固おやじから逃げてんのよ。」

「………まあ、そんな所だな。」

「姫さまーーー!」

 

射鳴刀から逃げながら話す二人。すると、目の前には白い烈帝城の城壁の角がみえた。夏海は底を右に曲がろうと思ったが、何を思ったのか蒼蘭はそのままスピードを上げて城壁に向かっていく。

 

「蒼蘭ちゃん!?」

「蒼蘭!?」

 

蒼蘭の行動に目を開く二人だが、蒼蘭は飛び上がって城壁の近くに植えてある松の木を掴むと、逆上がりの要領で城壁を飛び越えてしまった。

すぐ外には堀があるはずと思い、射鳴刀たちは城壁に上って見下ろしてみると、あらかじめ停めてあったらしい小舟に乗って堀をよじ登る蒼蘭の姿があった。

 

「ぬ、抜け目ない………」

 

射鳴刀は蒼呟いた後、城から出るべく門へと向かう。残った夏海であったが、不意に何かに掴まれて浮かびあがる感覚を憶えた。見上げれば、そこには自分の肩を掴んで飛び上がる宝珠隼の姿があった。

 

「え?ちょっと!?」

「いや、なーんか蒼蘭だけじゃあ不安だけど、私じゃあ役不足だと思うし、アンタも付いてきて貰うわよ。」

「何を勝手に!というか、意外と力ありますねあなた!?」

 

などと抗議している間に、夏海は蒼蘭の元まで運ばれてしまった………

 

「………そいつ連れてきたのか?」

「まあね。どうせ蒼蘭、行くアテないんでしょ?」

 

う、と言葉に詰まる蒼蘭。少し悩んだ末ん、夏海に向き直った。

 

「………すまないが、匿ってくれ。」

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

所変わって、堕悪触過亜の本拠地。

 

「ふむ………あの娘が堕悪吸裂樟に最後に放ったあの技は、非常に強力だ。大ショッカーの残したデータを見ても、ディケイドやクウガの技も同様か、それ以上のようだ。」

 

その中にある施設の一つ、堕悪殻魅碇専用の研究所で、堕悪殻魅碇はコンピューターで先ほどの戦闘の様子を見ていた。

 

「確かに強力で、尚且つ能力は未知数だ。ならば、その力を出し切る前に倒すまでの事。それに最適には………」

 

そう言うと、殻魅碇は椅子から立ち上がり、向かって右側の扉を開いた。そこには、錬金術を用いて堕悪化させた堕悪怪人の入ったカプセルが幾つもある、怪人プラントとなっていた。殻魅碇が端末を操作すると、カプセルの内4つから液体が排出されて開き、中にいた堕悪測定鏡を着けた怪人たちが出てきた。

 

「目覚めたか、堕悪嶺潤主(ダークレイウルス)堕悪血殺界(ダークブラッドサッカー)堕悪蜥蜴崙(ダークトカゲロン)堕悪射菩塗(ダークシャボヌルン)よ。」

 

殻魅碇の声にこたえるように、サソリのような頭に鎧を纏ったような姿の赤紫色の怪人と、青い身体に毒々しい黄緑色の斑点模様を持ち、体中にチューブを張り巡らせ単眼(モノアイ)を輝かせた怪人と、大きな二歩足のトカゲのような怪人、そして白クマのような顔で白い兜を被り、右手は漏斗のような形で上半身は鎖帷子を着てそこに幾つも四角い石ケンを装備した怪人たち、堕悪嶺潤主、堕悪血殺界、堕悪蜥蜴崙、堕悪射菩塗が頷いた。

 

「は。」

「ここに。」

「我ら四体、万全です。」

「何時でも行けます。」

「よし。目覚めて貰って早速なのだが、お前たちに命令する。」

 

怪人たちの目の前にモニターが現れると、そこには士、ユウスケ、そして蒼蘭の顔写真が映っていた。

 

「この三人を、抹殺するのだ。」

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

蒼蘭に匿ってくれるよう頼まれた夏海は、ひとまず『光写真館』へ蒼蘭と宝珠隼を連れていく事にした。

 

「へえ~、お姫様なのかいその子は?」

 

帰ってきた夏海にそう聞くのは、夏海の祖父 光 栄次郎である。栄次郎はキッチンの奥に行くとひょこっと顔を出した。

 

「あ、お姫様コーヒーは飲めるかな?」

「こ、こお、ひい………?」

「………おじいちゃん、飲みやすいようにカフェオレにしてください。」

 

首を傾げる蒼蘭を見て、夏海がそう頼んだ。栄次郎がキッチンに戻ると、夏海は蒼蘭を椅子に座らせ、宝珠隼は隣の椅子の背もたれで羽を休めていた。

 

「(キバーラはお出かけでしょうか?) それで蒼蘭ちゃん、お城で何があったんですか?」

「アンタ、意外と肝据わっているのね………仮にもお姫様よ?」

 

隣で呆れる宝珠隼を余所に、蒼蘭は少しうつむきながら話しだした。

 

 

 

 

 

「………成程、そんな事が…」

 

栄次郎に淹れてもらったカフェオレを飲みながら(ちなみに蒼蘭はおかわりするくらい気に入ったらしい)、夏海は事の次第を聞いていた。夏海は持っていたカップを置くと、蒼蘭に向き直った。

 

「………蒼蘭ちゃんは、何でそんなにお兄さんや撃鱗将さんたちに反発するんですか?」

「………」

 

夏海に聞かれ、蒼蘭はカフェオレの入ったカップを見つめながら俯く。

 

「………私は、」

「?」

「私は、守られてばかりな自分が嫌だったんだ………」

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

―――十年前 天宮

 

数十年間の平穏を破り、堕悪闇軍団(ダークヤミグンダン)の軍勢が天宮へ襲いかかって来た。

 

堕悪闇軍団。それは、武者頑駄無の世界に数百年終期で接近する小惑星『是断の門(ゼダンのもん)』内に存在する『超時空転移装置(ぶっとびシステム)』により呼び出された歴代の悪の武者を、『刕覇大将軍(トウハダイショウグン)』の時代より呼び出された堕悪魔刃頑駄無(ダークマジンガンダム)が束ねた、強大な闇の軍団である。

 

その侵攻は凄まじく、時の大将軍は、自らの妻と娘を隣国・赤流火穏(アルビオン)へ避難させる決断をした。

 

その日の深夜、蒼蘭と母は数人の護衛と共に恵亜須の町(エアーズのまち)の港に入っていた。

 

「母上………」

「大丈夫ですよ、蒼蘭。赤流火穏に着けば安心ですからね。」

 

怯える蒼蘭を安心させる母だが、内心、夫である大将軍の事が気がかりであった。

二人は護衛の武者に連れられて、港に停泊させた船まで後少しと言う距離になった、まさにその時だ。

 

「いたぞ!」

「大将軍の娘だ!」

「堕悪闇軍団!?」

「こんな所まで………!」

 

堕悪闇軍団の武者たちが建物の陰から何人も現れ、護衛の武者たちは刀を抜いて堕悪武者たちと斬り合いになる。蒼蘭たちは残りの護衛に連れられて船に向かう。

 

「ケケケーーー!!」

「しまった!?」

 

だが、無気味な笑い声と共に空からコウモリのような羽を生やした堕悪武者が襲いかかってきた。母は咄嗟に蒼蘭を抱いて庇うが、堕悪武者の刀はすぐそこ。

その時、

 

 

 

 

 

「危ない!」

 

 

 

 

 

 

ザシュゥウ

 

 

 

 

 

「………!?」

 

 

 

 

 

蒼蘭たち二人と堕悪武者の間に護衛の一人が割って入り、その兇刃に倒れた。

 

「あ………」

 

蒼蘭の、目の前で―――

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

蒼蘭は叫んだ。自分でも信じられないくらいの声で。

 

翼の堕悪武者は刀を振って血を払うと、再び二人に狙いを定める。しかし、突然前のめりに倒れた。その背中には、無数の手裏剣が突き刺さっていた。

 

「き、貴様―――!?」

 

他の堕悪武者が騒ぐ。そこには、赤黒い鎧に身を包んだ武者が一人、堕悪武者たちの真ん中に立っていた。

堕悪武者が刀を構えた次の瞬間、手裏剣や苦無が突き刺さり、堕悪武者は全員倒れてしまった………

 

「おお、お主は“影狼一族(カゲロウいちぞく)”の………!」

「大将軍さまの命により参った。遅れてすまなかった………」

 

その武者は、倒れた武者たちを見て申し訳なさそうに謝った。

 

「………いや、姫さまたちを守れただけでも良い。早くお二人を船へ。」

 

護衛の一人がそう言うと、二人は船に乗り、数人の武者は死んだ者を運んで行った。

蒼蘭は、赤流火穏に着いても、堕悪闇軍団が滅び、天宮に戻ってからも、ずっと俯いて塞ぎこんだままであった………

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「―――名も知らない者であるのに、その者は私と母を守って命を落とした………私は、何もできなかった………何もできず、見ている事しかできなかった………」

 

蒼蘭の話を聞いていた夏海と宝珠隼は、言葉を失った。まさか、蒼蘭にそのような過去があったとは………

 

「それからだな。守られてばかりの今の環境が嫌になったのは。守られるのではなく、守れるようになりたいと、そう思うようになったんだ。」

「そう、だったんですか………その事、撃鱗将さんたちは………?」

「たぶん、知らないな。私がこっそり鍛えているのは知っていても、理由までは、な。」

 

苦笑しながらそう言う蒼蘭。すると、夏海は何故か納得したような表情をして、

 

「ああ、だからあんな顔しているんですね。」

「………は?」

 

夏海の言葉に、蒼蘭が振り向くと、そこでは………

 

「うう、姫さま………」

「そのような思いを抱いていたとは梅雨知らず………」

「お、お前ら!?」

 

涙を浮かべた武ちゃ丸と撃鱗将を連れた士とユウスケが、部屋に入ってきた。

 

「い、いつからいたんだ?」

「結構最初の方から。」

「そこの姉ちゃんに、連絡してもろてな。」

 

ユウスケと武ちゃ丸に説明され、蒼蘭は夏海を睨んだ。そんな蒼蘭を見て、宝珠隼はやれやれとため息を着いた。

 

 

 

 

 

「姫さまの思いは分かりました。」

 

数分後、栄次郎に淹れてもらった煎茶を啜りながら、撃鱗将はそう切り出した。

 

「幸いにも、武者丸と射鳴刀も超将軍に選ばれております。護衛には十分でしょう。」

「じゃあ………」

「ただし、危険な真似はしないで下さいよ?」

 

そう撃鱗将は蒼蘭に注意した。武ちゃ丸も横で頷いている。蒼蘭と夏海は、ホッと胸をなでおろす。

 

 

 

その時だ。

 

 

 

ドゴォオオンッ

 

「うわ!?」

「何や!?」

 

突如、写真館が爆音と共にぐらぐらと揺れる。士と撃鱗将は動揺する一同と違い冷静に立ち上がると、写真館の出入り口を目指した。

 

 

 

 

 

|||||

 

 

 

 

 

「出てこいディケイド!!」

「そこにいるのは分かっているぞ!」

 

写真館の前では、数十人の赤兵奴と堕悪触過亜戦闘員、更に、両肩に巨大な大砲を背負った砲兵・惨宇頭(ザウート)三体を引き連れた堕悪嶺潤主、堕悪血殺界、堕悪蜥蜴崙、堕悪射菩塗が叫んでいた。堕悪蜥蜴崙が合図をすると、赤兵奴の一体がサッカーボール大の『芭里亜爆弾(バーリアボム)』を蜥蜴崙の目の前に設置した。

 

「出てこないのなら、この『芭里亜爆弾』をもう一発蹴り放つ!さっきは外してやったが、今度は本当にブチ込むぞ!」

 

アキレス腱を伸ばしながら叫ぶ蜥蜴崙。射菩塗たちも臨戦態勢である。

 

「おいおい………」

「どうやら奴ら、本気で俺たちを潰す気らしいな。」

「どうする?言うとおりにしないと、本当に放ってきそうだぞ?」

 

戸の隙間から様子を見ていた士たちは、そう漏らした。

 

「仕方ない。ここが爆破されたらたまらないからな。」

 

そう言って士が外へ出ようとする。だが、「待て。」と撃鱗将と武ちゃ丸に止められた。

 

「姫さま、我らもお供します。」

「撃さん!?」

「よっしゃ、いっちょやったるで!」

 

そう言って、二人は士を押しのけて外へ出た。

出てきた撃鱗将と武ちゃ丸に首を傾げる堕悪触過亜たち。最初に二人に声をかけたのは、血殺界であった。

 

「何だ、お前らは?」

「ふん、お前らを倒す者や!」

「何だと?」

 

堕悪射菩塗が怪訝そうな声を出したが、士たちが出てきたのを見て、考えを改めた。

 

「ほう、貴様らもディケイドの仲間であったか。良いだろう、まとめて始末してくれる。」

「笑わせるな。返り討ちにしてやる。」

 

そう言うと、カードを構える士。しかし、

 

「ゾナ~~~!」

ずみょん

「ゴ!?」

 

突然ゾナーがのしかかってきたため、変身は妨害される事となった……

 

「おおゾナー、来てくれたか!」

「ゾナ。」

「オイ!このデブ鳥さっさと退かせ!」

 

ゾナーの下敷きになった士が叫ぶと、ゾナーは武ちゃ丸と共に堕悪触過亜の前に立った。

 

「やいやいやい、堕悪触過亜!今からお前さんらを蹴散らすさかい!覚悟しいや!行くで、ゾナー!!」

「ゾナ!!」

 

武ちゃ丸の呼びかけに答えるように一鳴きするゾナー。そして―――

 

 

 

 

 

のしっ

「「「の、乗っかった!?」」」

 

武ちゃ丸の頭に乗っかった。その重さ故に、ゾナーにめり込んでいく武ちゃ丸であるが、当の本人は「シュシュム~~~」などと言って手を振っていた。

 

「え、シュ、シュシュム!?」

 

士とユウスケだけではなく血殺界たちまでもが戸惑っていると、突如ゾナーの目が光る。

瞬間、ゾナーの足が変わり腕が現れると、その顔はキリッと勇ましくなり、最後に羽のような前立てを持った兜が出現、そこには、眼帯で右目を覆った武者頑駄無の顔があった。

 

 

 

「武者将覚醒!武者○秘将軍(ムシャマルヒショウグン)!!」

 

 

 

武ちゃ丸、否、武者○秘将軍は、そう高らかに名乗った。

 

「よおっし!てめえら、久しぶりに本気で行くから、覚悟しておけよ!!」

「変わった!?つうか関西弁はどうした!?」

 

いきなりゾナーと合体(?) して姿を変えた武者丸に戸惑うユウスケだが、今度は撃鱗将が動いた。

 

「鎧召喚!!」

 

叫びと共に地面を殴ると、地面が盛り上がって撃鱗将を包み込んだ、そして、次の瞬間、

 

「学べよ!鍛えよ!そして悟れ!!」

 

その口上と共に土をブチ破り、頭部に龍の頭と角を模した金色の飾り、右肩には肩鎧を、背中には光の翼を身に纏い、腰には刀・烈旋改(れっせんかい)を差した姿があった。

 

「怒髪天変化!撃鱗将頑駄無!!」

 

撃鱗将の叫びに堕悪触過亜たちは戸惑う。士たちも負けじと、変身すべく構えた。

 

「蒼蘭!」

「ああ、私たちも!」

 

宝珠隼に言われ、蒼蘭は八角の金帯を腰に装着、握った左手を腰に当てて右手を左に伸ばしたポーズを取った。

 

「武者―――」

「「変身!」」

「着装!!」

「行くわよ!」

[KAMEN RIDE―――DECADE!!]

 

掛け声と電子音と共に、変身したディケイドとクウガ、そして『八珠の鎧』を身に纏った蒼蘭の姿があった!

 

「蒼蘭、推参!!」

「雑魚どもはワシが引き受ける!姫さまたちは怪人どもを!」

「分かった!」

「さあ、いっちょやってみようか!!」

 

宝珠隼の掛け声で、ディケイドたちは駆けだした。

 

戦いの時は今。戦いの時が来た。

 

次回を待て!

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