同じく2月12日。部屋の中でとある艦娘が一人悩んでいた。
彼女の名は風雲。目立った戦果こそないものの、数多の作戦を熟した縁の下の力持ち。
緑の腰あたりまで伸びるポニーテール、薄い緑目。恰好はタイをつけた一見中学生程度でその印象通りに体はあまり成長していない。
「そろそろバレンタインね…どうしよっかなー…」
少女は頭に手をあててベッドに腰を下ろす。
「手作り…?いや…けど…市販はなんか嫌だし…」
と、少女は顔を上げて決心をした。
「まぁ、やらないと上達はしないものよね!今こそ提督に「うまい」って言わせちゃうんだから!」
そう言い残して彼女は間宮の所に基本的なチョコの扱い方を聞いて、キッチンへと向かった。
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2×5に並べられたキッチン用品一式。一つ使った形跡があり、あたりには甘いお菓子のにおいがする。
「他の娘も提督にチョコ渡したりするのかしら…ま、まぁいいわ。さて…何を作ろうかしら…」
顎に手をあてて彼女は考える。
「あまり背伸びしない方がいいわよね…かと言って溶かして固めただけじゃ違うし…そうわね…」
「チョコのケーキ…とかどうかしら…いいわね、それにしましょう!」
「えっと…とりあえずチョコを刻もうかしら…チョコは冷蔵庫にあるかしら…?」
冷蔵庫へと小走りして開ける。そこには苦いチョコから甘いチョコまで、様々な種類のそれがあった。
「な、何がいいかしら…ちょっと食べてみようかしら…」ポリッ
「ふむふん…苦っ!こっちは…ふんふん…んん、甘さも丁度いいわね、これにしましょう」
「えっと、とりあえず刻もうかしら…えっと包丁は…あった。…いやな気がするわね…絆創膏を用意しておきましょう」
ポケットから絆創膏を取出す。
「チョコをまな板の上に置いてっと…さて、刻もうかしら。刻み方はいつも通り猫の手でいいかしら…」トン、トン
「…あ、手にチョコが…もっとスピード出さなくちゃダメね…ちょっとペースを上げてみようかしら」トントントン
と、包丁は狂う。中指の第一関節にめがけて落ちて行った。
「…いぎゃ!またやっちゃったか…洗って絆創膏を貼ってっと…うん、上手く貼れた」
「…やっぱり曲がりづらいわね…猫の手はやめましょう」
と、その後は何事もなく、大きさは歪だが刻む作業は終了した。
「さて、次はチョコね…そうだわ、生クリームを混ぜて…あれ、名前なんだったかしら…まぁいいわ、作りましょう」
「まずは生クリームを沸騰させて、チョコと混ぜるのよね。生クリームもたしか冷蔵庫にあったわね」
と、冷蔵庫に向かって生クリームの入ったパックを持って帰ってくる。
「鍋…これでいいわ…さて、沸騰するまで待ちますか…よいしょっと」
近くにあった席に座る。
「ふふ、提督が喜んだ姿を想像したらなんか面白くなってきた!…ふふん…ふふっ!」
「そうね…まずは渡し方よね…」
何を考えたのか。
「提督にばれないように市販のパッケージにいれて買ったものだわ、って渡しましょう…そうすれば提督の感想も素直に聞けるしいいわね…」
「そして提督がパッケージを開けて驚くの!俺の為にありがとう、って!そしてチョコのケーキを口に入れて…おいしい、って!ふふっ!きゃー!」
「…はっ!いやいや、そうじゃなくって…それ実は私が作ったの、っていって今こそ提督を驚かすの!…よし、これだわ!」
生クリームは既に沸騰していた。
「そういえば提督ってお菓子も作れるのかな…?いつも料理おいしいし…たしか昔料理を習ってたって…ちょっと難敵だわ…」
「まぁいいわ!私が頑張ればいい話だし!あ、そろそろ沸騰する頃かしら…うん、大丈夫そうね」カチッ
「あれ、こんな量少なかったかしら…?まぁ気のせいよね。次はチョコと混ぜるのよね。器にチョコいれて…」
「そこにこの生クリームをいれて…混ぜる、っと…」
だが、想像していたつやがあり、なめらかな液状ではなく、分離してしまいぼそぼそとなってしまった失敗例がそこにあった。
「間宮さんが言ってたのってこんなのだっけ?…まぁ、作り方はあっていたしこれでいいわよね。これを型にいれて…」
…全然良くはない。まだまだ精進は必要なのだが…。さて、結果はいかに。当日までお待ちください。
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