Fate foreverseensomeday 作:画星大河
かつて戦争があった。
聖杯戦争――――あらゆる願いを叶える「聖杯」を求め、魔術師達が殺し合う、名の通り、戦争。
その聖杯戦争と言う抗争は過去に5度起きてるらしい。らしい、というのは結末がわからず、聖杯そのものがどうなったのかわからない、と言う事だ。
――――ある者は願いを叶えたといい。
――――またある者は願いを叶える前に聖杯が壊された、と言う。
「そんなモンがホントにあるなんて信じてるのかお前は」
少し目付きがキツい髪の毛を茶髪に染めた少年が目の前にいる歳が同じくらいの少女に言う。
「この地に残されたお伽噺だよ。吉羅君もさ、ロマンがあって素敵だと思わない?この話し」
目をキラキラさせながら少女が言う。吉羅と言われた少年は表情を変える事なく、頭をバリバリと掻きながら口を開く。
「何百年も前のお伽噺だろ。それに結末がわかんねぇし、わかってる事実が魔術師って呼ばれてた奴等が殺し合いをしてたって事だけだろ」
俺はやだね、と最後に吉羅は付け足して言った。それを聞いてた少女はぶーっと頬を膨らまして言い返す。
「吉羅君はホントに夢がないんだね。そんなんだからひねくれた思考しか出てこないんだよ」
「現実を見てるだけだピーターパン女。俺はオメーみたいに頭の中が常にフルーツじゃねぇんだよ」
「そのピーターパン女って次言ったら殺すから。私には木谷文美って名前があるんだから」
木谷文美と名乗った少女がギロりと吉羅をにらみつけてそう言う。どうやらピーターパン女と呼ばれるのが相当嫌なのか、拒絶反応を見せる。
しかし、吉羅は本当に興味無さげにその顔を見つめ返す。
「ワリィな、俺はオメーみたいにロマンス溢れる思考なんて持ち合わせちゃいねーんだ。そんな話しに現(うつつ)をのかすくらいならバイトするぜ」
なんて事を言ってのける吉羅。
文美はしばらくにらみつけていたが、表情を一切変える事がない吉羅を見てはぁ、と重いため息を吐いた。
「…なんか言い合ってる私が馬鹿みたいに思えてきた」
「そーだろそーだろ。現実見てた方が楽しい事いっぱいあるしな」
そういう事じゃないんだけど、と言おうとしたが永遠と話しが続きそうなので、文美は口を紡ぐ。
「まぁ、叶えたい夢は自分で叶えたいもんだ」
「え?吉羅君にもそういうの、あるの?」
「…あのな、俺だって人間だぞ?それくらいある」
「じゃあその夢って何さ」
「秘密」
そう言った吉羅は相変わらず表情を変えてないが、何処か寂しさを感じさせた。文美はそんな吉羅を見てふーん、と興味無さげに反応した。
「おっと…もうこんな時間だ!塾に間に合わなくなっちゃう!そろそろ行かなきゃ」
「…あ?お前確か火曜日は塾がなかったんじゃなかったのか」
「わ、私は勉強家だからね!テストが無くても勉強はするし!断じて前のテストが悪かったわけじゃないし!」
コイツ、馬鹿なんだなぁと明らかに嘘見え見えの言動を見て吉羅は思う。
「じゃあ吉羅君もバイト頑張ってね!また明日学校で!」
「おー」
無気力な返事を文美に返すと文美はホントに急いでるのか走り出した。
タタタタ…と足早に走る文美の後ろ姿が小さくなるまで吉羅はジッと眺めていた。
「聖杯戦争、ねぇ…」
やたら気になる単語が何故か、頭の中でぐるぐると回っていたため