ラフィールの修技館時代   作:いち領民

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ラフィールの修技館時代 第16話

しばらく抱き合っていたが、少し気になる事を尋ねてみた。

「聞いちゃいけないと思ってはいるのですが、聞いてもよろしいですか?『ラフィール』という名前を聞くのを私は二度目だとおもうのですが……」

ヤフェト

「あ、ああ。別にかなわぬ。私の…娘の名前が『ラフィール』だったのだ。勿論、私が皇女だったころだが……」

とても言い難そうに言うラマージュを見て、聞かなければ良かったと、後悔した。

「操舵のウデは群を抜いて素晴らしかった。誰にも…この私よりも素晴らしい物だった。重力制御機関が無い当時でさえ、グラスの飲み物を零さずに操舵出来ていた。競技を控えていたので訓練をすると言ったまま、あの者は帰らぬ人となった。交通艇に良くある事故で片付けられたが……事故で亡くなるほど愚かな子ではなかった」

「多分…レオの仕業だろうな。偽造工作は誰にも負けない技術を持っていやがるからな」

ヤフェトはラマージュを見たときギョッとし、周りを見回した。幸いにも誰もいなかった。

「わ、私は……皇帝だ、誰の…為にも…泣かぬ……」

「その涙は…肉親の死を悔しがる“悔し涙”です。親として当たり前ですよ。娘が死んだ時に泣くのは。むしろ泣かない方がどうにかしていると思いますよ」

「・・・・・・」

ラマージュはただヤフェトの胸に顔を押し付けて泣いていた。

 

 

「プラキア、待たせたな」

部屋を出てきた二人。

「どうしたのですか?陛下。目が真っ赤ですよ」

「案ずる事は無い」

とだけ行って、専用艇に乗り込む2人。

(ラフィールに会いに行こうかしら)

今となった今ではお互い暇でしょうがなかった。

 

 

「あ、お姉さま。元気でなによりです」

と、ナシーカ

「ええ。ナシーカも。私の可愛い殿下は?」

部屋の奥の方を指差し、

「いま灌水浴室にいるわよ」

そして、浴室かラフィールは出てきた。湯浴みが終えて、3人でくつろいでいるところへシータが部屋へ入ってきた。

 

「プラキア卿、王女殿下、男爵公女閣下、ちょうどいいです。さきほど、私の上司から、許可をもらいました。レオと『青の牙』に関する情報を公開することです。」真剣な面持ちで三人見るシータ

 

「え、そうなのですか、わかりました。」プラキア卿、「わかった。話すが良い。」ラフィール。「わかりました。」ナシーカ

 

こうして、レオが『青の牙』の長の弟のタトゥースのクローンの一人であり、そのクローンを育てて、国をのっとろうとしているのが、「サタン」という擬似生命思考結晶体で、それが今回の騒動の中心であるということも話した。

そして、レオがいち時期、『青の牙』に所属していて、そのときの直属の上司が自分であることも説明し、そのときのコードネーム「ミラー」というのも話した。

 

「そんなカラクリがあったのか。根は深いな。レオを倒しただけでは、終わらないということか」ラフィール

「そうなのですか・・・。でも、シータさん。私が狙われる原因がシータさんかもしれないのは、正直ショックでした。でも、どうして、シータさんに自身を狙わなくて、私に・・・・」涙ぐむナシーカ

 

「それは、彼に聞いてみないとわからないわ。もっとも、昔から自分より弱い相手に対しては、強気に出るアーヴらしくない性格だったのは確かでしたわ。」考え込むシータ

 

「ねぇ、シータさん。今のが本題ではないのでしょう?その話なら私も聞いているし、殿下達に聞かせるなら、私がいないところですると思うわ。」シータの考えを見ぬくプラキア

 

「ええ、次から本題に入るわ。このことは、三人とも、特に男爵公女閣下には、かなりのショックでしょうね。プラキア卿も・・・」少し、憂鬱な表情を浮かべるシータ

 

「ねぇ、プラキア卿、あなたの母と遺伝子提供者すなわち、男爵公女閣下の遺伝子提供者と父君を殺したのは誰だか知っていますよね。」

 

「ええ、知っているわ。レオよ。そのため、私は彼に復讐を誓ったのよ。」決意しているプラキア

 

「となると、私もあなたの復讐の対象ね。当時、スポール・アロン=テルミラ・レーグルス男爵・デスバールを殺すように命令したのは、私よ。それと、あのあと、プラキア卿の母上が殺されたのは、レオが殺したことをプラキア卿の母上が知って、彼に復讐しようとしたけど、返り討ちにあったというわけです。」おもいがけないことを言うシータ

 

 

「なんと・・・・。どういうことなのだ。なぜ、ナシーカの父上を殺さねばならないのだ。」怒りをあらわにするラフィール

 

「・・・・嘘でしょう。シータさん。あなたは、私達を守ってくれたではないですが、なぜ、あなたが・・・・」涙ぐむラフィール

 

「理由をきかせてくれないからしら。納得する理由を。」唇をかみ締め、怒りを抑えるプラキア

 

「理由は、スポール・アロン=テルミラ・レーグルス男爵・デスバールが地上世界の領民政府に平面宇宙航行可能の船の技術を売ったからです。当時、彼は、大規模な交易に失敗して、何代かけても、返すことが困難な借金を背負ってしまいました。男爵閣下は、今度生まれてくる予定の娘にそんな借金を負わせるような苦労ある人生を負わせたくなかったみたいですね。それで、莫大な報酬と引き換えに平面宇宙航空可能の船の技術を売ったのです。平面宇宙航行可能の船を地上の民が作ったら死刑です。その関係者も。それは、裁判も行われず、証拠を見つけたら、即死刑という法なのです。関係者にアーヴがいたことは、驚きましたが、帝国法にのっとり、処刑しました。その役目がレオだったのです」シータ

 

 

「なんていうことを・・・・。でも、そんな記録は載っていなかった。事故死という扱いだったのよ。」一度も見たことがない父の記録を見たナシーカ

 

「それは・・・。私が気をつかったのです。男爵公女閣下、これを公にすれば、莫大な報酬も没収、男爵家もつぶれます。現レーグルス男爵のヤフェト閣下は、当時、ラマージュ皇太女の懐刀といわれほどの人物です。その息子が帝国の存在意義にかかわる法を破り、そのあげく、死刑になったら、大変な不名誉でしょう。だから、『青の牙』のクリューヴマスターとしての独断で、暗殺という形にしました。記録上では、事故死ですね。」淡々と説明するシータ

 

「では、私は逆恨みなのか。ファウスト教官」シータを睨むプラキア

 

「さあ。それは、あなたの判断に任せます。もっとも、『青の牙』を抜けた彼については、私は責任を持っていませんから、復讐しても問題はないわ。それとも、私にも復讐しますか?プラキア卿」普段の独特のある含み笑いをするシータ

「そのことは、お祖父様や皇帝陛下は知っているのですか?」ナシーカ

 

「たぶん、知らないでしょう。陛下の場合は、皇太女殿下の時代ですからね。陛下が調べれば、知ることができると思いますけど、それを調べる時間があるほど、陛下は暇ではないですからね。誰かが伝えなきゃ知らないでしょう。男爵閣下も知らないでしょう。不審な死とは思ったみたいですけど、当時の彼は、息子のことより、陛下と一緒に戦場に出ることに夢中になっていたからですね。」当時の状況を説明するシータ

 

「そうですか。なら、私はお祖父様たちには、伝えません。ラフィールちゃん、プラキア卿、お願いです。このことは、秘密にしてください。シータさんもです。」決意するナシーカ

 

「そうか、わかった。でも、ファウスト教官、なぜ、このことをいまさら伝えたのだ。秘密にしておいた方が良かったのではないか。」疑問に思うラフィール

 

「そうね・・・。レオの口からあなた達にいわれるより、ましだと思ったから・・・というのは、建前ね。本当は、男爵公女閣下と一緒に戦っているうちに、この秘密を告げたくなった。この子なら、真実を知っても、強く生きられる。そんな気がしたら。この真実を知っても、私と一緒に戦って欲しいと思ったから。」初めて、本音を言うような様子で話すシータ

 

「ふー・・・。シータさん。私もショックだったけど、なんとか立ち直って、思いきりレオをぶっ潰すわ。今では、共通の敵ですからね。一緒に頑張りましょう。」なんとか吹っ切れるプラキア

 

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