『青の牙』マスター専用特殊戦闘艦『影船』1番艦・ラシェールの操舵室
「ミルフィーユさんの連絡で、父達は、3組に分かれたみたいだ。よし、今が絶好のチャンスだ。ユーリル、ラシェールで軌道城館に乗りこむ。発進してくれ。」ついに決断するダリシュ
「わかったわ。兄さん。頭環も標準タイプに戻したわ。兄さんも戻してよね。」そういって、頭環を変えて、操舵するユーリル
「わかったよ。さてと、ユーリル、軌道城館に入る前にちょっとした仕事をしてからいこう。敵の主砲にできるだけ接近してくれ。3箇所あるから、大変だけど、まずは真ん中の主砲、次に、右、そして、最後に左に接近してくれ。」すばやく指示するダリシュ
「わかったわ。兄さん。」
そして、ラシェールは、軌道城館へ向けて、突撃した。
「ねぇ、兄さん、どうして、今のタイミングで突入するの?理由がしりたいわ」左手で船を巧みに操舵しながら聞くユーリル
「理由は簡単、敵の人間脳を使ったシステムの弱点をついたのさ。敵は、戦力を分散させるために3組みにしたようだけど、その分、監視能力も3つに分けなければならない。それだけ、注意力が内部の父達に向かえば、自然と外の敵に対する射撃の精度や連続性も落ちるよ。ファリース子爵殿下のときよりは確実にね。同時に多くのことを人間の脳でこなすには限界があるということさ。ユーリル」
「わかったわ。じゃぁ、兄さんの指示どおり、主砲に接近するわ。私の腕を他の人達に見せてあげる」
そういって、敵の主砲や副砲の雨のような攻撃をかいくぐって、ラシェールは真ん中の主砲に接近した。
ダリシュの言ったとおり、軌道城館『ザラス』の主砲や副砲の射撃の精度も連続性もファリース子爵殿下のときより落ちていた。そのため、ファリースの腕にはわずかに落ちるユーリルも敵の主砲にたやすく接近できた。
「兄さん、あと3秒ほどで、防御磁場を潜り抜けて、敵の主砲に最大に接近できるわ。」
「ユーリル、それを0.5秒ほど遅らせて、近づけてくれ。」指示を出すダリシュ
「わかった。兄さん。」兄の意図を理解して、指示どおり接近するユーリル
そして、軌道城館『ザラス』の主砲の最大接近した。その瞬間、主砲のエネルギーはためられて、まさにラシェールに向けて発射される直前だった。
「今だ。反物質ミサイル発射」そういって、ラシェールの主砲をダリシュが軌道城館の『ザラス』の主砲の発砲直前の高エネルギー帯にミサイルを撃ちこんだ。
その瞬間、敵の主砲は反物質燃料と高エネルギーが融合して大爆発を起こした。
そして、それとまったく同じように、左右の主砲も破壊してしまった。
「陛下、敵軌道城館の主砲沈黙しました。しかも、たった1隻の攻撃です。これで、突撃体制にいけます。それにしても、あの操舵といい、射撃のタイミングといい。神業に近いと思います。『青の牙』は化け物ぞろいです。陛下。」情報参謀
「たしかに、射撃の方はすごいが。操舵の方は、ラフィールの方がわずかに上回っていたぞ。(だが、あのハーデスの娘、孫のラフィールと同じ歳ですでにあのレベル、末恐ろしいな。)」感心するラマージュ
ラマージュが艦橋から外の様子をうかがっているうちにラシェールは、ファリース達とが乗りこんだ埠頭とは反対側にある軌道城館の宇宙港から侵入した。
「陛下、主砲は沈黙させました。僕とユーリル、それに各マスターこれより、敵軌道城館に潜入します。それでは陛下気をつけて。」そういって、ダリシュから通信は切れた。
「気をつけて?どういう意味だ。まぁ、いい、とにかく、主砲はなくなった。全艦隊突撃体制に入る。ファラムンシュ参謀長いいであろ。敵の主砲は沈黙したのだから」決断するラマージュ
「はい、陛下。後方のサタン艦隊を『青の牙』が倒してくれたおかげで、弾薬や燃料、そして人員の補給も完璧です。万全の体制でいけます。」ファラムンシュも同意する
「では、全艦隊、敵軌道城館に向けて、突撃。いいか、敵の防御システムを構築している区画を集中放火せよ。情報分析はすでに、アクリア諜報員のデータによって、なされている。それを元に攻撃する。」指揮丈を奮い、突撃命令を出すラマージュ
すると、敵・軌道城館『ザラス』に異変が起きた。
「陛下、敵の1区画が分離されました。それが我が艦隊と軌道城館の間に入り壁のようになっています。そこから…・。一人乗りの小型艇が多数出撃を確認。我が艦隊に急速接近してきます。」通信参謀が状況を説明する。
「まだ、私達を楽させてくれないのだな。その区画と小型艇を全部破壊せよ。」素早く命令するラマージュ
「小型艇、次々と艦隊に向けて特攻して自爆してきます。これでは、自殺行為です。信じられません。」悲痛な声を漏らす通信参謀
「どうやら、敵は人間ミサイルを使いだしたみたいですね。洗脳したアーヴを使い、反物質燃料をたっぷりつんだ一人乗りの小型艇にのせて、敵の艦にぶつけて破壊する。たぶん、機雷よりは数は少ないはず。だとすると、目標はこの旗艦ガフトノーシュのみ。陛下、ここは、旗艦ガフトノーシュを最優先で防御する陣形をすすめます。」冷静に状況を分析するファラムンシュ参謀長
「く、わかった。そなたの策に従う。それにしても、敵は次々と卑劣な手を使ってくる。絶対、サタンは破壊しなければ、ならないな。」敵の非人道的な戦術に怒りをつのらせるラマージュ
こうして、再び、外では激しい戦闘が行われている頃、3組に分かれたラフィール達も激戦を強いられていた。
「なんだ、この敵の量は。今までこんなに居たか?」
とラフィールは言う。
「確かに普通の量じゃないわ。でもこの人達動きが機械兵士にくらべて遅いわそれに、罠が物凄く多いわ。あ、ラフィールちゃん、そこに地雷があるわ、気をつけて」
剣の舞を使っていると、突然鮮血を浴びた。
「えっ……!」
そう、そこにいたのは洗脳された訓練生だったのだ。
「なんと酷い事を」ラフィール。
「私の方が…酷いかもしれないわ。私は…彼女を殺した、ラフィールちゃんと同じくらいの大親友だったのに…殺してしまった」
自己嫌悪にとらわれるナシーカ。
「この者は私も知っている。まだ敵に殺されなかっただけましだと思う。(これも…ある種の洗脳か)」
ラフィールは敵の卑怯さに拳を握った。
,二人が躊躇している間に敵の集団がどんどん近づいて来た。よく見ると、全員が見覚えのある顔をしていた。
「くっ、仕方がない」
ラフィールは一番近くにいた敵に銃口を向けた。
「撃っちゃ駄目ぇ!!」
ナシーカがそれを掴んで銃口を敵からそらせた。
「ナシーカ、手を離すがよい。そなたの気持ちは分かる。しかしこのままでは・・・」
「分かっている。だけどみんなを殺すなんて出来ないよ!」
「ではどうすれば良いのだ!殺さずに勝つ方法があるとでも言うのか!?」
「それは無い・・・・・・・・・・・あっ」
ナシーカは何かを思い出した様な顔をした。
「・・・・・・・あるのか?」
「昔、お祖父様と一緒に軌道商店街に行った時、暴漢の集団に因縁をつけられた事があって、結局最後は乱闘になったんだけど、あの時お祖父様は素手で一人の怪我人も出さずに勝ったの。後でどうやったらそんな事ができるのか聞いたら、人間の脳に衝撃を加えて振動させるとその人は一時的に気を失うらしいの。それを利用したってお祖父様はたしか言っていたわ」
「そなたはそれをすることができるのか?」
「分からない。私はその一回しかそれを見たことはないし、ましてそのやり方を教えてもらった訳でもないから。でも、見よう見まねでならできるかもしれない」
,「もしそなたが失敗したら…、その時は……」
「判ってる……」
ヤフェトと比べると力が幾分劣る。その為ナイフの峰で衝撃を加える。
「やった、出来たよ。ラフィールちゃん」
一時的ではあるが、戦意を失ったのは確かだった。半分くらい敵を気絶させたところで、唯一1人だけ洗脳が解けた。偶然だったのかそれとも叩く場所がよかったのかは判らなかったが。
「ナシーカさん、私…どうしてここに?」
「詳しい話はあとよフォズちゃん。行きましょう」
気絶した敵から武器を手渡すナシーカ。
真っ直ぐ歩いたら、部屋があり、その中は無重力で、見た目人間が2人乗るのがやっとの超小型突撃艦が置いてあった。
「これに乗れと言うのか。この者はどうするのだ?まさか放置できまい」ラフィール
「乗れない事は無いと思うわ。私より小柄だから」ナシーカ
結局3人で乗った。中は以外に広く、4人は乗れるであろう空間がそこにあり、椅子は5つあった。
「最期の難関は空中戦か」
と、ラフィール。
「最期にしては短いわ。外からはもっと広かったわ、多分もっと先があると思うんだけど?」
ナシーカは不思議に思っていた。見た目より狭い軌道城館。見た目よりも広い超小型突撃艦。
「一体何がどうなっているの?ここは何処?殿下もナシーカさんもどうしてこんな所にいるの?ナシーカさん、その血は一体どうしたの?どうして二人とも武器を持っているの?一体どうして・・・・・」
洗脳から解放されはばかりで何も知らないため、二人に矢継ぎ早に質問するフォズ。
ラフィールとナシーカはこれまでの経緯を説明した。話を聞き終わるとフォズは
「大体分かったわ。つまり、そのサタンっていうのを破壊しないといけないのね」
「そうだ。協力してくれるか?」
ラフィールは尋ねた。フォズは
「もちろんよ」
と言った。
「ありがとう」
とナシーカ。
「そなたに感謝を」
とラフィール。こうして新たな仲間ができた。
「初めての空中戦になるだろうけど、誰が操舵する?私は無理だわ」
とナシーカ。
「私も無理よ。ホバリングすらまともにできないのよ」
と、フォズも諦めた。
「しょうがないな、私が飛ばそう」
ラフィールは仕方なく操舵席に座った。ナシーカは銃座へ。フォズは書記席へ座った。超小型突撃艦とはいえ、各椅子に名前が無く、役割が名前となっていた。
「私の可愛い殿下、貴方も見方が出来たのね。私は我が娘よ、仲間になったのは。ファリース子爵殿下には話したけど、私は娘がいたのよ。でも事故死と聞いて、私は親には向いていないと思って、ユーリルを渡したの」
と、プラキアから通信が入った。どうやら3隻同時でないと発進できない様になっていた。だが、プラキアが着いてから5分かかったが、もう1隻からは何の通信も無い。
「ねぇ、アクリア諜報員、ファリース子爵殿下たちは、まだなの?あれくらいのトラップなら簡単に突破しているみたいよね。」銃座に座って隣の操舵席にいるミルフィーユに話しかけるプラキア
「うーん、もしかすると、こっちにこないかもしれません。ヘルマスターは、この手の示された道を通るのは嫌いなので、どこか壁に穴をあけて、私達とは違うルートにいったのでしょう。」状況を分析するミルフィーユ
「え…・。とすると、この船は動かせないということ?」妙に不安になるプラキア
「別に問題ないですよ。もし、今すぐ発進したいならシステムをいじりますよ。それより、私はここで待っているのです。」プラキアに愛くるしい笑顔で答えるミルフィーユ
「え、何を?」とプラキアが言った瞬間、状況に変化が現れた。