一方、そのころ、小喬と大喬は、ダリシュと食事を取りながら話していた。
「で、結局どっちと戦うの?私?それともお姉さん?私はどっちでもいいよ。両方でもいいし」
と、小喬は言う。
「遠慮しておくよ。大喬さん、いいですか?」
「ええ、今すぐにでも」
こちらも決闘の交渉をしていた。もっとも、スポールより早かったが。
こうして、ダリシュと大喬は、軌道公園特別広場を貸し切りにして、決闘を行った。
ダリシュは凝集光銃を抜き、連射をはかるが、すべて大喬の扇子によって、はじかれ、さらに、彼女はつづけて、例の衝撃波を連続してくりだし、ダリシュを襲った。
ダリシュもなんとか7発までは、よけたが、ついにくらってしまい、0.5ウェスダージュはとばされてしまった。
「ダリシュ君、なかなかやるわね。その衝撃波のダメージを減らすために後ろに跳んだでしょう。いい判断だわ。」どんどん戦闘力が向上するダリシュを誉める大喬
「そうですね。でも、大喬さん、強いですよ。さすが『闇の狩人』です。では、こっちも戦い方をかえさせていだきます。」
そういって、凝集光銃を置いて、懐から大喬とまったく、同じ扇子を取り出すダリシュ
「ダリシュ君、それ、どうしたの?」驚く大喬
「戦闘力はあなたがより、劣るけど、情報に関しては帝国一と自負していますから、僕は大抵の武器の素材とか性質とかは一度見れば、材料とかわかりますし、同じものを作る技術もあります。だから、この扇子も作りました。」にっこりと微笑むダリシュ
「確かに武器は同じでも技量はどうかしら?試させていただくわ」そういって、あえて、舞いによる接近戦を挑む大喬
二人の激戦が再び、始まった。
一方、レーグルス男爵家ではスポール流の決闘について考えていた。
「ナシーカよ。やはり、単なる勝ち負けでは、この次の決闘はきまらないと思うか?」腕を組むヤフェト
「そうですね。お祖父様、なにしろ、私達はスポール一族ですからね。それで、こういうことに関して、もっとわかりそうな人に相談しました。もうすぐ、ここに来ると思います。」相談役を呼んでいたナシーカ
「レーグルス男爵閣下、お久しぶりですわ。ファウスト・ウェフ=フーレア・シータ、公女閣下のお呼びできました。皆さん、元気そうでなによりです。事情は、だいたい聞いております。」紅の瞳で二人を見つめるシータ
「シータさん、よろしくお願いします。『青の牙』のスポールといわれているあなたなら、今回の決闘の意図とかわかりますよね。」真剣に尋ねるナシーカ
「ええ、わかります。まぁ、わかりやすく言えば、決闘という名の交易交渉をレトパーニュ大公爵閣下はのぞんでいるのでしょう。要するに戦いながら彼女は交易の話をまとめろと言いたいのでしょうね。」あっさりとペネージュの意図を読むシータ
「そんな・・・・。本当か、それは?」シータの突拍子も無い発言に驚くヤフェト
「よく考えれば、気付くでしょう。最初に公女閣下は、大公爵閣下に取引したいといったのでしょう。その結論を決闘でだすとも決まったのでしょう。でも、勝ち負けの判断を説明したのは大公爵閣下ではなく、その母君だったのですよね。決闘の相手は誰です?前大公爵閣下ではないでしょう?つまり、最終的には公女閣下がなされた取引の内容は決まっていない。つまり、それを話し合って決める場が決闘です。」裏の裏を読むシータ
「さすが、シータさんです。私もあそこで前大公爵閣下がでたとき、ちょっと、おかしいなと気づいていたのですが、そこまでは、読みきれませんでした。」
「ナシーカ、お前はそこまで、わかっていたのか?ふー、これは、交易に関してはおまえの方が才能があるとみえる。特にスポール同士ではな。」
「それで、どうします?あの大公爵ペネージュ閣下を戦いながら、しかも交易で満足させる取引を話し合わなければなりません。これは、けっこう、きついですよ。戦うことと交易の交渉をすること、これを二つ同時におこなわなければなりません。あと、1週間で彼女の満足できるレベルまでいけますかね」意地悪く微笑むシータ
,「“いける”のではなくて“いく”の。私はちょっと話たい相手がいるの」
そう言って、とある部屋に入っていった。
「今から丁度3年前、私は貴方を救いました。でも、それはこの為の準備だったの?」
と、アセーヌに言った。
「まさか。そんなまどっろこしい事をするようなバカじゃないわ」
3年前…………。
アセーヌは軌道公園を歩いていた。その時、暴徒に襲われ、とっさに懐から護身用のナイフを取り出そうとした際、服にひっかかり取り出せないでいた。暴徒の剣は真っ直ぐにアセーヌに向かってきた。
「くっ(やられる)」
その時、たまたま近くを通ったナシーカは、左手を後ろに振り、服の邪魔の部分を切り、右手で暴徒の剣を防だ。しかし、それは2撃目で、第一攻撃は直撃していた。しかし、傷は深かったが、急所は外れていた。そして、アセーヌは一命を取り留めたのである。
「言い忘れていたわ。あの時は有難う“交易”頑張ってね。命の恩人を」
とだけ言ってその部屋を去っていった。
「やっぱり、決闘は……交易手段なのね。判りました。受けてたちます。大公爵!」
と、自分に言い聞かせる」
一方、ダリシュたちは扇子同しで戦い始めた。ダリシュは先の戦いの戦況分析を瞬時に行った。かまいたちは、刀及び、その他を完全に振らなければ衝撃波は発生しない、と。金属と金属のこすれあう妙な音を立てた瞬間、ダリシュの扇子は両断され、もう一方の手に握られていた扇子を首元に突きつけられた。
「武器は強かったわ。でも、使い手としては不十分。なにもかまいたちは“1つ”じゃないわ。今のは、衝波斬と言って、剣とぶつかって初めて衝撃波が生まれるの。でもこれだけは言っておくわ、手加減をするのはやめてそうでないと私、やる気が失せるの」
「やはり気付かれましたか。では、遠慮はなしです」
と、ハーデスからもらった宝剣“美周郎”を取り出した。自分の身長をはるかに上回る大きさの剣であったが、重さはさほど無く、ダリシュには丁度よかった。剣を振り、手を持ち替えて反対方向へ振り返す。しかし、その瞬間を付いて一気に攻めより、大喬はダリシュに抱きついた。
「残念だけど、今の貴方には私を倒すのは無理だわ。貴方を殺したら後で大変な事になるから私も遠慮しておくわ」
「今の『青の牙』では私達二喬は倒せないわ。今度暇があったらやってもいいわよ、『青の牙』対『闇の狩人』。勢力的には劣るわね、当然。私達2人しか居ないんだから。もし委員長が大人になったら増える“かも”しれないけどね」
と、小喬も言う。
「『闇の狩人』…別名“二喬”か。皇帝よりも美しく華麗で優雅な容姿からは想像もできない強さがある、……か。見た目だけじゃなく強さも帝国一。父さんが二喬に惚れた理由が何となく判った…」
と、大喬の腕の中で呟くダリシュ。ダリシュは抱きつかれたまま5分は動けなかった。
「ねぇ、ダリシュ君。私に遺伝子を頂戴」
と言われるまで。
「いいえ、別にいやならいいの」
と、半分諦めている大喬。
「僕はまだ、そういう恋愛については、よくわからないのです。だから、答えを今出してといわれても困ります。でも、どうして、皆さん、僕に告白するのでしょうか?」不思議そうに大喬を見るダリシュ
「え・・・・。皆さん?もしかして、他に告白されたことがあるの?」
「ええ、マスターの方達の中でもいましたし、『青の牙』の人もいました。」
「人気者なのね」
と、涙をぬぐいながら言う。
「それでは、大喬さん、小喬さん、僕はこれから父さんの仕事を手伝わなければいけないので、これで帰ります。決闘、楽しかったですよ。また、今度、お相手頼みます。」颯爽と帰っていくダリシュだった。
「うん、わかった。また、今度」
うっとりとした表情でダリシュを眺める大喬
「姉さんもやるわね。ダリシュ君はまだ、15歳、やっと大人になりかけの時期じゃない。そんな子をたらしこもうなんて。」からかうように言う小喬
「うるさいわね。小喬。彼の良さがわからないの。まだ、恋愛経験はないかもしれないけど、近い将来、かなりのいい男に化けるわ。それは、確信できる。だって、あれだけの能力と才能を持ちながら、まったく、傲慢な部分がない。本当にアーヴには珍しいタイプ。その上、優しいし、いざとなったら、自分の命をかけて守ってくれる。それに、かわいいしね。私が抱きしめたときの反応顔を真っ赤にしてウブな部分見せて、本当にかわいかったわ。」
「そうね。あの年齢であの戦闘力は今の帝国ではいないでしょうね。ただ、私が彼を評価できるのは、ただ、彼個人の戦闘力でなく、それを過信していない。状況によっては、逃げることも常に考えて行動するし、無駄な戦いは絶対しないタイプよね。敵には絶対したくないタイプ。ハーデスよりは、優秀な人物になることは、確かよね」冷静にダリシュを分析にする小喬
こうして、二人でダリシュについての話に花を咲かせる二人だった。