ラフィールの修技館時代   作:いち領民

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ラフィールの修技館時代 第38話

ファリースがラマージュの元へ行くと、そこには、兄であるドゥビュースもその場にいた。

 

 

「あら、お兄様、お久しぶりですね。元気そうですね。どうしたのです?」不思議がるファリース

 

 

「ラフィール、実は言うと、そなたに言いにくいことなのだが、ドゥビュースは、そなたのラフィールという名前を変えて欲しいというのだ。理由は、わかると思うけど、孫のラフィールと同じだと色々問題があってな。上皇会議でもそなたの方の名前を変更せよという通達が来たのだ」不満たらたらのラマージュ

 

 

「すまぬ。妹よ。だが、そなたは30年以上も冷凍カプセルで寝ていた間にすでに次の皇帝はドゥサーニュと決まっている。当然、そなたも皇帝候補からはずれているというわけだ。そして、上皇会議ではパリューニュ子爵のラフィールの方が皇帝候補として重要であり、同じ名前でしかも皇帝の娘がいては、紛らわしいという判断をされたのだ」ドゥビュースもこの事態に困っていた。

 

 

「そうなのですか?でも、これは、母上から与えられた名前ですそう簡単に変える気はないのです。陛下」ファリース

 

 

 

「ラフィールよ。私もこの決定には不服だが、実は言うと、そなたは上皇会議では、『サタン事変』の責任者の一人として抹殺せよという意見もでたのだ。もっとも、それは、スポールの・・・ヤフェトの血をひいていることの影響もあるのだが、そなたが、今回の騒動でまったく責任が無いというのも真実ではない。つまり、その責任をとらせる代わりに名前を変えるというので上皇会議では決着したのだ」説得にかかるラマージュ

 

 

「そう・・・・確かに。あの後、私に対しては、まったく、お咎めがなかった。それは、単に皇帝の娘だからと思ったけど、復讐をきっちり果たす帝国がそう簡単に許すわけないか」と少し落ちこんだ様子のファリース

 

 

「その件に関しては、ダリシュに感謝しないといけないぞ。ラフィール。今回の『サタン事変』の最終報告で、そなたを擁護したのはダリシュだったのだから。あのとき、上皇方に対して、彼の堂々たる態度は、驚いた。それだけでなく、そなたの件に関して納得させたのだから。このことに関してはそなたの母であるがゆえに発言権が私にはなかったので、なおさら助かった。」優しくファリースの髪をなでるラマージュ

 

 

「そうなのですか。わかりました。『サタン事変』での私の処罰として、名前を変えるのはしょうがないであろ。それで、名前の候補はなんです?母上」とようやく納得するファリース

 

 

 

「まぁ、これがリストである。そなたが自分で決めるがよい。」そういって、名前候補の名簿を渡すラマージュ

 

 

その名前候補には、ラフィーア、ラウール、ラシュア、ライア、ラスーフ、ラムリア、ラジェリアなど、数多くの名前があがっていた。

 

 

 

 

「私……」

あまりの数の多さにファリースは困惑した。

 

「あまり困るようなら、二喬に手伝ってもらうがよい。ある程度は絞れるであろ」

とラマージュが言う。

 

「しかしあくまで自分の名前。決断はじぶんでせよ」

とドゥビュース。

 

 

「判りました。自室で考えます」

ファリース自身は名前を換えたくなかった。折角ラマージュに付けて貰った名前を換えなくてはならぬのは、耐えがたい苦痛だった。

 

「ふー、とりあえず、気分を変えるために、ダリシュに感謝を伝えておくか。」

そういって、ファリースはクリューノでダリシュを呼んだ。

 

 

「ファリース子爵殿下、お久しぶりです。それにしても、どうなさいました?僕に何かご用でもあるのですか?」と通信の向こうのダリシュは不思議そうな表情をしていた

 

 

「母上から上皇会議での報告の様子を聞いた。私は、処分されそうになったのをそなたが擁護して、ほとんど不問に近い対処になったときいたからな。とにかく、そなたに百万の感謝を。」

 

 

「殿下、ありがとうございます。まぁ、あれは、私の個人的な主観のために行ったことですし、これ以上『サタン事変』の犠牲者も出すこともないと思ったのです。」穏やかに話すダリシュ

 

 

「そうか、ところで、名前変更の件はそなたが提案したのか?」

 

「はい、そうです。殿下。ある上皇の方が不問とういうのは、さすがに無理だという主張したので、一応、それなりの罰を考えよと言われたのです。まぁ、名前変更は、殿下にとって、耐えがたいのであれば、十分、罰となりますしね。話の展開上、それに決まったのです。ですが、僕の中では、名前変更は、罰というより新しい人生の転換期のきっかけと思っていただければ、幸いなのです。」ダリシュ

 

 

「なぜ、そう思うのだ?このラフィールという名は母上が私に与えてくださったものだ。そう簡単には、ゆすれない。」不満を言うファリース

 

 

「そうですか・・・なら。次の名前は決まったようなものですね。実は、そのリストには皇帝陛下が考えられた名前が一つだけあります。僕は1回見ただけで、その名前はわかりましたけどね」と悪戯っ子の笑みをするダリシュ

 

 

「なんだと・・・・。だが、母上はそのことは一言も言わなかった」その発言に驚き、リストを見なおすファリース

 

 

「この件に関しては上皇会議でも口を出すなといわれたので、何もいえないのです。ですから、非公式にその名前を候補の中に入れたみたいです。でも、陛下もわかりやすい名前を入れたものだと思いました」と完全にダリシュは見ぬいていた。

 

 

「そなた、今すぐ、おしえるがよい。母上が考えた名を。」と必死になるファリース

 

 

「残念ながら、それは、上皇会議の意思に背くので直接は教えられませんがヒントだけ・・・・。殿下は前の名前のラフィールという名前をとても気に入ってらっしゃる。ならば、それになるべく近い名前を考えようというのが陛下の愛情ではないでしょうか。」もったいぶるように言うダリシュ

 

 

そのダリシュの言葉を聞き、ファリースは名前の候補リストを穴が空くようの面持ちで凝視して考えた。

そして、ある結論に達した。

 

 

「(やはり、この名前しかない。ラフィーア・・・・・。アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・ファリース子爵・ラフィーア・・・・。とても、しっくりくるな。ダリシュの言うことが確かなら、これが母上が考えた名前だ。)」ついに決心するファリース

「やっぱり、その名前にしたんだ。上皇会議では口止めされているから言えないけどね、なんだかんだ言っても、お母さんの愛が判っているじゃない」

と、クリューノを覗き込みながら大喬が言う。

 

「……。そなた、どう思う?」

と、いつの間にやってきたのか判らずに驚いているファリース。

 

「う~ん。私は母さんと同じ名前が良かったな。死んでしまった人の名前なら、付いていても問題は無い。でも、殿下は、殿下。私には強制できない。さぁ、陛下に報告を」

と、笑顔で送り出す大喬。

 

こうして、ファリース子爵の名前問題が終わった頃、ナシーカもレトパーニュ大公爵との決闘&交易交渉も見事に成功させて、男爵家は今まで以上のスポール一族とのつきあいが深くなり、ペネージュは、ナシーカをスポール一族の一員として認めただけではなく、高く評価するようになった。

 

 

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