照らされていない扉
ノワールは真っ直ぐ続く廊下の先にある扉へ逃げる。
ノワール「お願いだから、鍵は開いてて!」
鍵は掛かっていない事を願って、右に続く廊下を通り過ぎていく。そして扉の前に付いた。後ろにはもう赤い怪物がいる。
ノワール「お願い!」
急いで扉のドアノブを握って開ける。すると幸いな事に鍵は掛かってはいなかった。
ノワール「良かった!」
迅速的にドアの先へ入るとその先は部屋じゃなく、また真っ直ぐ続く長い廊下に足を踏み入れた。廊下全体はボロボロに古びていたが、ノワールは追い掛けてくる赤い怪物から必死に逃げる為、全力で走る。
ノワール「っ!」
しかし現実は最悪だった。扉の先に入れた瞬間は希望が湧いたが、その希望は一瞬で粉砕された。そこにはまた別の怪物が居た。黒い影と血で塗られた剣を持っている何かに鉢合わせしてしまった。
ノワール「い、いや……」
後ろに逃げても赤い怪物がいる。前も怪物、殺される……。そう思ったノワールはもはや逃げ場はないと思い、その場で座り込んでしまった。
ノワール「ごめんなさい……みんな……」
覚悟を決める為目を瞑ろうとしたが、座り込んだ事を最後に体が動かなくなった。
ノワール「こんなの……ないわ……」
ノワールは目の前の黒い影が、血塗られた剣をゆっくり振り上げるのを見るだけ、徐々に死が迫って来る感覚を味わう。その感覚がこれまでに無いくらいに怖い。
ノワール「あ、あ……」
剣は完全に上がって、最後はノワールに向かって振り下ろすだけになった。
ノワール「ユニ……ごめんなさい……」
そう言った瞬間、剣が振り下ろされた。刃がノワールの頭まで迫ってきた。その途端だった。
ユニ「お姉ちゃん!お姉ちゃんってば!」
ノワール「え?」
ユニ「アタシに剣道を教えてくれるって言うのに、なんでぼーっとしてるの?」
ノワール「え、あ……そ、そうね」
気付いた時にはノワールは剣道場に居た。周りはユニだけで他には誰もいない。さっきまでは殺されかけたはず……。
ノワール「夢だったのかしら?」
ユニ「お姉ちゃん?やっぱり止めにして、今日は帰る?」
ノワール「え、えぇ。ごめんなさい。ユニ」
いつの間にか着ていた剣道服を着替えに自分のロッカーへ移動する。
ノワール『本当に夢だったのかしら?』
そう言いながらロッカーを開けて、剣道服を脱ごうとした時だった。
ユニ「夢じゃないよ。お姉ちゃん」
ノワール「え?」
後ろからユニの声を聞いて、その場で振り返るとそこには、血塗られた剣を振り上げたユニが立っていた。
ノワール「っ!?」
言葉を発する前は剣が振り下ろされ、ノワールの上半身を縦に切り裂いた。切り裂かれ一瞬にして亡骸に変貌したノワールその場で崩れるように倒れた。大量の返り血を浴びたユニは壊れたかのように笑い出し、体から黒い影がゆっくりと放出される。そしてユニ本人の声と悪魔のような声が重なるように、死んだ彼女に向けて言葉を喋る。
ユニ?「お前は死んだ…アタシを置いて………くっくっく……」
BAD END