Cadaver Of Dead   作:超輪

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七時限目 選択肢あり

ピーシェ「…っは!?…はぁ…はぁ……」

 

気付いたら意識を失っていた。火を付けておいたアルコールランプの燃料であるアルコールは少ししか減っていない。という事は約数分意識が無かった事を示す。

 

ピーシェ「はー……良かった。アルコールが半分になる前に意識が戻って……」

 

ピーシェは安心の息を軽く吐く。アルコールランプは半分を過ぎると爆発する恐れがある事を彼女は1年生の理科で習っているから、半分消費する前に覚醒した事が良かった。体が動ける今、近くの棚に手を指し伸ばし、手すり代わりに捕まってその場を立つ。

 

ピーシェ「……」

 

すぐ目の前にあるスライドドアを目視する。気絶する前、ピーシェは恐怖を感じさせる体験をした。その事が忘れられずにいた。怖いという感情が、自分の足を止めている。

 

ピーシェ「そうだ……ぷるるとを探さないと……」

 

ピーシェはふと思い出した。ぷるるとを探さないと行けないという事、それが今から前に進ませる、彼女が先を進む勇気をくれる。ピーシェは改めてスライドドアを見て、今いる場所から出ていこうと左手で戸へ行き、そして左側へゆっくりと開く。

 

ピーシェ「……」

 

左右の廊下を軽く見渡す。さっきまでみんなと居た場所と違って木造のボロボロの床と壁。ピーシェが見た死んだ魚の目の奴はこの廊下の右側へ進んでいた事を思い出す。

 

ピーシェ「右側には行きたくないな……」

 

来た道である右側の廊下には戻れない。むしろあいつには2度会いたくはない。ここは左側へと進もうと廊下へ足を踏み入れ、スライドドアを静かに閉める。

 

ピーシェ「誰か…いないの?」

 

床の音がギシギシと鳴る音、それに恐怖を感じながら小さな声で呼び掛ける。しかし当然なら誰からも返事は帰ってこない。とにかく先に進むしかない。まっすぐに長く続く廊下を歩み続けていく。そうしていく内、ようやく別の道が見えてきた。

 

ピーシェ「十字の別れ道……」

 

十字の別れた廊下の前にピーシェは立った。薄暗いが構造は最低限理解した。更にまっすぐ続いている廊下、左の廊下には廊下と階段があり、右の廊下には少し低い段差とその先には上履き置き場があり、頑丈に封鎖された大きな扉が存在している。一番印象深いのがこの封鎖された扉にピーシェが向かおうとすると……

 

ピーシェ「…ひぃぃ!?」

 

右側の廊下へ足を踏み入れようとした時 冷たい感覚に襲われた。神経全体がこの先へ進む事を本能的に拒んでいる。ピーシェはその正体が何なのか分からないが、危険であると自分に言い聞かせ、後に下がる。

 

ピーシェ「やっぱり階段を登ってみよう」

 

左側にある上に続く階段へと向かう。その際、少しずつ冷たい感覚がなくなっていくのを感じた。やはりあの上履き置き場は危ないとこ何だと自分自身が認め、近付かないと決心する。

 

ピーシェ「あ…そういえば、救急箱とかないかな……」

 

今になって思い出した。ピーシェは左太ももに怪我をしている。治療する道具がない今の現状は放置しかない。でも今思えばこの古臭い廊下、間違いなく環境が悪い。女性であるピーシェはそれを気にしているのだ。

 

ピーシェ「保健室……なんてあるかな?」

 

ここはどこなのかは分からないけど、本当のところ保健室はないと思った。何せヨーロッパ風の部屋やらリビングやら、何だか普通の建物じゃない印象がある。赤い怪物やら

死んだ魚の目やら、ここは一体何なんだろうか……

 

考え事をしながら歩いていると、すぐさま階段の前に立った。階段の先を見ると、やはり薄暗い事に変わりはない様子だった。

 

ピーシェ「行こう。立ち止まっちゃダメだよ、私」

 

自分に言い聞かせ、階段の初段に一歩踏み登っていく。そして登りきると左右に別れた廊下に出た。見た限り特に変わった感じはなくボロボロ……その時

 

いやあぁぁぁぁぁ!!

 

ピーシェ「っは!?」

 

右側から女性の悲鳴が聞こえた。

 

ピーシェ「っく!」

 

ピーシェは助けに行こうと右側の廊下を駆けていくと、またその悲鳴が聞こえて声が大きい、つまりその主に近付いているという事。

 

ピーシェ「どこにいるの!今助けるから!」

 

走りながら言うと、前のスライドドアが1つ空いている部屋を見つけた。おそらくそこに女性がいると思い、向かって勢いのまま入ると……

 

ピーシェ「……は……あ……?」

 

そこには、後ろに向いて座っている大きな青い怪物と黒板前に血まみれの女性が倒れていた。薄暗くあまり見えないが、これはもう……。その時、怪物はピーシェが漏らした微かな声に反応し、後ろに振り向いた。

 

ピーシェ「……っ!?」

 

その怪物は大きな口ををしており、何かを食べてるように見えたが、それが何なのかよく見る事で分かった。その怪物は……血まみれの女性の腕を食べていた。身の危険を感じたピーシェはすぐその場から離れようと来た道を全力で走って怪物から逃げる。

 

ピーシェ「はぁ!はぁ!……はぁ!」

 

登ってきた階段を通り過ぎてずっとまっすぐへ逃げていく。奥の奥まで行くと、1つ開けっ放しのスライドドアを見つけた。ピーシェは迷わずそこに入り、颯爽とスライドドアを閉めて鍵をかける。

 

ピーシェ「ん……ふ…はぁ…」

 

息を整えて、身を潜める。後ろを振り向かずに走って来たから追ってきてるかは知らない。でも念には念を持って、息を殺して隠れる。

 

ピーシェ「…………」

 

自然に息が整われてから約3分。廊下から特に変わった音が聞こえない。多分追ってきてないだろうと思ったピーシェは盛大に息を漏らし、安心した。

 

ピーシェ「助けられなかった……な……」

 

ピーシェは初めて見てしまった。状況が状況だけあってすぐには分からなかったが、あれは、間違いなく殺されていた。怪物に捕食されて殺されていた。映画やアニメの産物ではない、本物の死体を生まれて初めて見てしまった。

 

ピーシェ「う…く…」

 

胸元が苦しい。吐き気を抑えようと我慢しているが、苦しい、苦し過ぎる。恐怖が更にピーシェを襲い、精神が削られていくこの状況も苦しい……。早くぷるるとを見つけないと……とその時。

 

???「1人で何泣きそうにしとるん?可愛いお姉さん」

ピーシェ「え?」

 

男の声が聞こえた。その声がどこから来た物か視線を動くすと、この部屋の奥に設置された1つの椅子に座っている1人の男性がいることに気づきその声主だと認識する。

 

???「どないしたんや?何かから逃げて来たように見えたんやけど?」

ピーシェ「え、えと……君は?」

???「あ、すんまへん、自己紹介がまだやったな」

 

その男は、椅子から立ち上がり、ピーシェに向かって歩きながら自己紹介をする。

 

ガルド「わいはガルド、ガルド・ガルムズオムって言うや」

 

名前はガルドと言う男。金髪の髪色と白と紺色のファンタジックな制服を来たその男がピーシェの前に立つと、姿勢を低くして手を指し伸ばしてきた。ピーシェは指し伸ばしてくれた手を握り、引き上げてもらって自分の自己紹介を始める。

 

ピーシェ「私は…ピーシェ、よろしく。ガルドさん」

ガルド「あ〜待った。さん付けはいらんで。気軽に呼び捨てでえぇで」

ピーシェ「え…と。じゃあ、ガルド」

ガルド「おう。よろしゅうたのんまっせぇ、ピーシェ。それで、改めて聞くけど、どないしたんや?」

ピーシェ「実は……」

 

ピーシェは今までに起きた事、友達とはぐれてしまった事をすべて話す。

 

ガルド「そんな事が…あったんやな……」

 

ここに迷い込んでからここまでの流れを聞いたガルドは顔を伏せながら同情の言葉を交わす。

 

ガルド「実はわいもそのような感じやで」

ピーシェ「ガルドも?」

ガルド「そうや。わいの友達と例のリボンのおまじないをやったんや、そんで急に床が崩れてそこに落ちていったら。こんな訳の分からんボロ部屋に迷い込んだ。それ以後一緒にリボンのおまじないをした友達の姿が見えへん」

ピーシェ「そ…なんだ」

ガルド「それでこの部屋で頭の整理をしていたんやけど、突然誰かがここに入って来て、今に至るやで」

ピーシェ「そうだったんだ。ごめんね、邪魔しちゃって」

 

一連の流れを聞いたピーシェはガルドに軽く謝ると。

 

ガルド「ピーシェが謝る事やないで、だから気にせんでオーケーや」

 

ガルドは両手でピーシェの両肩にぽんと置いて落ち込みを慰める。ガルドの行動にピーシェは少しびっくりしたが、気分が晴れたかのように微笑みを見せる。

 

ピーシェ「そっか」

ガルド「おう」

 

 

 

一方 ネプテューヌとアイエフは……

 

ネプテューヌ「どうしよう……ノワールとはぐれちゃったし、来た道は奇妙な事に真っ暗だし、流石に怖くなってきちゃったよ……」

アイエフ「ちょっと、私まで怖くなるから言わないで…」

 

2人が居る場所は別の建物に繋がっている一本道の廊下に居る。壁に設置された窓は外の様子を写していて、下を見下ろすと 高さがおよそ三階分くらい、外の様子は一面曇と暗い世界になっていて、地面は見える限りまで連なる森外の状況も普通ではない事を認識した2人もそれに対して動揺を隠せない。一本道の廊下を半分まで歩き抜いた時、ネプテューヌは後ろから何か冷たい感覚を感じた。

 

ネプテューヌ「あいちゃん…」

アイエフ「待って…言わなくても分かるわ」

 

どうやらネプテューヌの言いたい事はアイエフにも分かっていたらしい。背後から感じる冷たい感覚、何故だが全神経が「後ろを向いてはいけない」と命令されている。

 

ネプテューヌ「でも…何か気になる」

アイエフ「や、やめなさいよ!前だけ向いて逃げるわよ!」

 

アイエフはネプテューヌの片手を掴み、強引に引っ張り出して、奥の廊下まで駆けていく。端まで行くと扉が見えてきた。そこまで向かい、扉を開けて中に入ると、さっきまでとはまるで別の建物と思わせるところに足を踏み入れた。

 

ネプテューヌ「な…何ここ……すっごい雰囲気の変わりようなんだけど……」

 

一言で言うならボロ屋敷。穴が空いている床や壁、窓ガラスなど、さっきまでいた綺麗な建物とは大違いな構造をしている。

 

アイエフ「お、落ち着いて。まず整理するわ。さっき外の様子を調べたら、確か私達がいる階層は三階だった」

ネプテューヌ「う…うん。そもそもさ、ノワールとはぐれた時は、一階に居たんだよね?」

アイエフ「そうよ。あの後、1度も階段に登らないで歩いてきたわ。それにもかかわらず、私達はどういう訳か三階にいた」

ネプテューヌ「うん……。ていうか、頭の中がごちゃごちゃに……」

 

いやあぁぁぁぁぁ!!

 

アイエフ「っ!?」

 

状況の整理をしている時だった。女性の悲鳴が廊下を響き渡った。

 

アイエフ「今のは!」

ネプテューヌ「もしかして誰かが…」

 

どこにいるの!今助けるから!

 

悲鳴に続くようにもう一人女性の声が聞こえた。その声は2人がよく知ってる、ピーシェの声だった。

 

ネプテューヌ「今のは…ピー子!?」

アイエフ「っ!?ちょっとネプ子!急に走らないで!」

 

ネプテューヌはピーシェがいる下の階層に行こうと走り出し、下に続く階段を探しに行ってしまった。アイエフは急いでネプテューヌの後を追う。

 

ネプテューヌ「ピー子!ピー子!!!あ!階段!」

アイエフ「くっ!」

 

右側に下に行く階段を見つけたネプテューヌはジャップして一気に降りていってすぐ右へ曲がって言った。アイエフは2段ずつと下っていき、ネプテューヌが向かっていった右へ駆けていく。

 

ネプテューヌ「っ!?」

アイエフ「もう、急に走り出さないで!ネプ……」

 

ネプテューヌは右へ曲がった直後に止まっていた。すぐ隣に寄ってアイエフが話しかけたところで言葉が止めた。何故なら左のスライドドアから1体の青い怪物が正面に立っていた。怪物の口の周りは地で染まっており、人間の腕はみ出ていてぶら下がっている。彼女達は、始めてみてしまった怪物に顔色が悪くなり出す。

 

ネプテューヌ「ん……」

アイエフ「う……」

 

あまりの恐怖に言葉が出ず、生唾を飲む。青い怪物はじっと彼女達を見ているが、その時、ぶら下がっていた人間の腕を残さず全て口の中に入った瞬間、骨が噛み砕かれる音が数回鳴り出した。

 

ネプテューヌ「ひぃ!?」

 

ネプテューヌはその痛々しい音に反応し、一歩ずつ後ろに下がっていき、アイエフもゆっくりと下がる。

 

ゴックン……

 

青い怪物は食した腕を飲み込んだ。それを合図にネプテューヌは走り出し、アイエフは少し遅れて全力で怪物から逃げる。

 

ネプテューヌ「く!」

アイエフ「はぁ、は!」

 

グルアァァァ!

 

彼女達が逃げていく事を認識した青い怪物は雄叫びを上げて追いかけ始めた。その状況に彼女は焦りと恐怖が精神を削る。

 

ネプテューヌは下って来た階段を二段飛びで登っていき、左右に別れた廊下に出る。

 

ネプテューヌ『どっちに行くべき?』

 

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