ここは、ナザリック地下大墳墓第六層、ほぼ全域を樹木がおおうジャングルであり、その中に、一際目立つ巨木があった。まるで天を突くかのように伸びているその木の高さは40メートルを超える。樹の内部をくり貫いて作られている住居は、地上8階にもなり中はログハウスを思わせる作りになっている。その最上階、樹の頂き付近にある部屋からの眺めは絶景であった。
部屋の中には開いた窓から木漏れ日がさしている。
そして中央に置かれた木の浴槽には、一面に湯が張られそこにはハーブと花弁が満遍なく浮かべられていた
マーレ・ベロ・フィオーレは、湯面から顔を半分浮かべると憂えた声で呟いた
「はぁ、アインズ様に、抱かれたいな………」
誰に対してでもない、只の独り言ではあったが、浴槽の反対側から気だるそうな声が返ってきた。
「ふ~ん、いいんじゃない。応援するよ」
姉のアウラ・ベラ・フィオーラである、彼女は、大してやる気も無さそうに答える。先ほどからアウラはボンヤリとした視線で大樹の中に迷いこんできた蝶を眺めている。その視線が、浴槽横の棚にあるガラス瓶で止まる。薄茶色の透明な液体に浸しされ中には何かが浮かんでる。アウラは不満げに顔を歪めマーレを一瞥する、
「もうマーレ、まだあんな物置いてたの、捨てちゃうか、本人に返しちゃいなさいよ」
「だ、駄目だよ、お姉ちゃん!そんな事しっちゃ」
湯船で見つめあう二人、そこには合わせ鏡の様に瓜二つな双子のダークエルフが居た。
自然とマーレの手が姉に伸び、その胸に触れる
「お姉ちゃん…」
窓からは光が射し込み日脚はタンポポの綿帽子が浮かび上がらせ、暖かい春の風が二人を横切る。
真に、そこは幻想的な森の妖精の住まいであった。
マーレの手には柔らかいアウラの胸の感触。それはマーレのモノと寸分の違いもない。
その手は何かを確かめる様にゆっくりとアウラの身体を這い下半身へと行った処でマーレは深いため息をついた
「はぁ………」
何から何まで同じマーレとアウラであったが、一箇所、マーレには有ってアウラには無いものがあったからだ。
身長100㎝と外見は10歳程度の体とは言えそこには明らかな性差が存在していた。
アウラは、マーレの意図が分からず呆然としていたが、何かを察したのか、得意のドヤ顔を見せる
「は、はぁん、分かった!アンタ、アインズ様に抱かれる前にアタシで練習がしたいんでしょ」
「え、ええ!! お、お姉ちゃん何を」
驚きとも恐れとも知れない感情がマーレの顔に浮かぶ。アウラは小悪魔系の笑みをマーレに投げかけた。
「アタシがアインズ様役だからね!いいわね」
アインズの名前にマーレの鼓動はピクリと反応する、かつて闘技場へ訪れたアインズから水を貰った時、そんな些細な事でマーレは恋に落ちたのである。マーレはアウラを見るとコクリと頷く。姉にとって弟とは玩具みたいなモノかもしれないがアインズ様との関係に役立つなら何でもしようと思った。しばらくマーレの股間を覗き込んでいたアウラだが、ふと首をかしげた。
「所で、アンデットのアインズ様に抱かれるってどうやってするつもりなの?」
アインズはアンデットでありその身体は骨で出来ている。マーレは、おずおずと座り直すと上目遣いに姉を見つめる。
「お、お姉ちゃん、もしかして本当に何も知らないの?」
マーレのそんな答えにアウラは不思議そうな顔をした
「アインズ様には、『アインズ棒』ってものがあるんだよ。」
「アインズ棒?」
始めて聞く言葉にアウラは更に首をかしげた。マーレは顔を赤く染めつつ、かつてプレアデス達から聞いた話をアウラに説明する
「と、とても、ふ、太くておっきい……モノがあるらしいよ。アルベド様にシャルティアにプレアデス達も同じ事を言ってたから間違いないよ」
それを聞き、アウラは胡散臭そうな顔をする
「アルベドにシャルティアねぇ……」
その時、
『時間だよモモンガお兄ちゃん』とアウラの腕時計が予定の時刻を知らせる
「大変!もうこんな時間、早く第9階層の玉座の間に行かないと」
「た、確か王国の王都に向かうアルベド様とアインズ様に追随する護衛を選ぶんだよね。」
時期にして王国と帝国との戦争の後。あの大虐殺から約2ヵ月たっていた。今日は、アインズ・ウール・ゴウンの建国の使者としてアルべドとモモン(アインズ)が王都に向かう日であった。まだ大虐殺から日も浅く恨みを抱く者の存在を否定できないため、更に守護者を1人護衛につけると言う事になっている。また、これに付き従えると言う事は、守護者にとってアインズとの数日間の密着旅行を意味しておりまさにご褒美でもあった。
二人はザバーっと浴槽からでると慌ててタオルをとり体を拭き体についたハーブの葉や花弁を落とす
「もう、マーレ!それはアタシの下着!間違えないでよ」
「ご、ごめんよ。お姉ちゃん!」
アウラはマーレから下着を奪い取りすぐさまに履く、マーレの下着とは刺繍された華のの柄の色違いであった。普段から男装するアウラも下着は女性用を着用していた。二人は着替えると飛び出すように慌てて出ていく。
玉座の間。ナザリック大地下墳墓最奥にして最重要箇所。そこは広く、壁の基調は白。そこに金を基本とした細工が施されている。天井から吊り下げられた複数の豪華なシャンデリラは7色の宝石で作り出され、幻想的な輝きを放っていた。壁にはいくつもの大きな旗が天井から床まで垂れ下がっている玉座の間という言葉が最も正しく、それ以外の言葉は浮かばない部屋である。
重厚な扉が開きアウラとマーレが駆け込んでくる。部屋では他の守護者は全て勢ぞろいし二人の到着を待っていた。
「「遅れて申し訳ありません」」
アウラとマーレの言葉に、至高の御方より遅れて到着した事に、コキュートスが檄を飛ばす
「遅イゾ、アウラ!………ト」
そしてその後ろの人物が目に入るとビクっとし急に声のトーンが落ちる
「マ、マーレ…………サ………ン」
アインズは、あっちゃーとばかりに額に手を充てる。コキュートスの様子がオカシイのにはアインズにも原因があったからだ。アインズは、数日前に第六階層の円型闘技場で闘技会を行っていた。アインズからすれば実践経験に乏しいナザリックの住人達に戦う機会と、また戦いを観戦する事でも経験をつませようと言う目的だったのだが。そこでコキュートスは、マーレにコテンパンに負けたのである。
相性と言うものがあるのでアインズは気にしてないが、最後は文字通り地面によって潰され、よくキッチンに出てスリッパで潰される例の虫の様になってしまったのである。
アインズにしても、こんなに守護者関係をかき乱す結果になるとは思っていなかった。
アルベドは皆が揃ったのを確認すると、アインズに一礼をし守護者達の方を振り返る。
「では皆、至高の御方に忠誠の儀を」
アルベドが言うとアルベドを前にし少し下がった辺りで守護者各員は一列になってシャルティアから順に一歩前に進み出し
「第1、第2、第3階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に」
「第5階層守護者、コキュートス。御身ノ前ニ」
「第6階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。御身の前に」
「お、同じく、第6階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ。お、御身の前に 」
「第7階層守護者、デミくウルゴス。御身の前に」
見事なまでに締麗な横並びで跪く。最後に 残ったアルベドが一歩進み出し
「守護者統括、アルベド。御身の前に」
アルベドは笑みを浮かべつつ跪く
アインズは全員から集められるプレッシャーに押されながらもつづける
「面をあげよ、ではまず良く集まってくれた。感謝しよう」
全員の頭が一斉に上がる、
「まず本日、王都に赴く件は知っていると思うが。ナザリックの使者として向かうのがアルベド、そしてエ・ランテルの代表として私ことモンンと、そのパートナーのナーベ。そして最後に守護者からもう1人護衛を連れていこうと思う」
素早くシャルティアが立ち上がり一歩前に出ると優雅に礼をする
「僭越ながらそのお役目、私めが引き受けたくありんす」
シャルティアはそこで一旦言葉を止め一呼吸おく。それを言えば、欲深いシモベに対し至高の御方が不快感を感じるのではと思えたからだ、だが勇気を振り絞り言葉を続けた。
「そして。も、もし可能な様でありんしたらご期待以上の働きをしたあかつきには、一つ頂きたい物がありんしす」
不敬ともとられかねない言葉に守護者達からざわめきが聞こえる。アインズは手を顎に充てると少し考えるような仕草をする。もともとアインズは部下の働きには褒美を出すべきと言う考えであったので問題はないのであるが一応考慮していると言うポーズであった。その間、後悔と懺悔で世界の終わりの様な面持ちで首を垂れるシャルティア…そんなシャルティアの哀願にアインズは答える。
「褒美と言う事か………よい、言って見ろ」
シャルティアの顔がパッと明るくなる。それは愚鈍なる自らの願いを聞き届けて叶えてくれた、至高の御方への感謝の思いを込めた視線だ。
「は、はい!僭越ながらアインズ様のア、アインズ棒を頂きたくありんす」
守護者全員に緊張が走る。アニメで言うと画面が6分割になり
カッカッカッっと各階層守護者の顔がアップに表示された感じである。ただアインズの頭の上には?の文字が浮かんでいたのではないであろうか。
哀願の思いを込めた視線がアインズに集まる中、デミウルゴスが優雅に一歩前にでる。
「アインズ棒は、ナザリックの秘宝、その名を出されたからには私も後には引けませんね」
「デハ僭越ナガラワタクシメモ・・・イ・イエ何デモアリマセン」
次に立候補しかけたコキュートスだが後ろを振返り、マーレの瞳に闇を見たのか辞退した。
「で、では、ぼ、僕もお供に立候補してよろしいでしょうか」
マーレが答えると、その横から小さな声で
「あ、あたしも立候補しちゃおうかな…」
「お、お姉ちゃん!さ、さっきと話が…」
アウラが照れつつも、おずおずと立候補し、姉の裏切りにマーレは泣きそうな声で抗議するが、アウラはそれを一蹴にする。アインズ棒に半信半疑だったアウラも欲しくなってしまったのだ。女の自分の方がマーレより有利ではないかと言う思いも有る。
そんな中、アインズは(ユグドラシルにそんなアイテムあったっけ?いや、名前からしてギルドメンバーが作ったユニークアイテムの事か)と話についていけてない様子だったが要約重い口を開く
「所でそのアインズ棒とは……」
とアインズが疑問を問いかけようとした時、ニヤリとしたデミウルドスと顔を赤らめたマーレが質問を遮る様に答える。
「アレの事でございます。アインズ様。プレアデス達が命名したのですが」
「ア・アインズ様が身近にお持ちの、あ、あの太くて大きい。あれの事です」
「ふ、太くて大きい……。あーあれか。も、もちろん最初っから分かってたぞ。あれの事か。」
何か勘違いしてそうなアインズだが、ここでアインズのNPCに弱みを見せない絶対者を装う性が詳細を確認する事を妨げた。全員の顔を見渡し、アインズは一息、いや数度呼吸を繰り返し
「よ、よかろう。働き大きい者には、アインズ棒を授けよう!」
そう自らの口で宣言してしまった。
熱狂的なファンの前で自らの抱かれる券を野獣達とも言える中に投げ出したのである。
それは巷の握手券の比ではなかった。
この宣言に守護者から歓喜がわき起こった。普段冷静なデミウルゴスも思わず拳を握りしめガッツポーズをとり。アウラとマーレは思わず抱き合い。シャルティアは歓喜を通り越して蹲ってしまった。アルベドも何やら別の世界に旅立ってしまっている。
「ご、ご要望とか聞いてもらえるのかな」
「では、私がセメでアインズ様がウケなどいかがでしょう」
「アインズ様のものを咥える想像をしただけで、もう下半身が限界でありんす…」
「子供の名前は何が良いかしら」
守護者達が勝手に各々の妄想の世界に入っている間にもアインズは話を進める。
「それでは今回の護衛だが、シャルティアは前回のゲヘナのおり王都で顔を見られていたな、デミウルゴスも同様にヤルダバオトとナザリックの関係を知られる恐れがある為、今回は控えるべきであろう」
シャルティアは、蹲ったままガクンと顎を落とし白目をむいている。デミウルゴスもガッツポーズのまま凍り付き。二人のそばを秋風が吹き抜けている様である。アインズは残りの守護者を見渡す、コキュートスは今回立候補してないので除外するとして、アウラは顔を赤らめつつコチラを上目づかいにチラチラみ、マーレは、神に祈るようにシャドウ・オブ・ユグドラシルを握りしめ悲壮感すら漂っている。アインズの背中に冷たい物が流れる感じがした。取りあえず引きこもりがちなマーレを外に出す方がガス抜きにもなって安全なように思えたのだ。
「よ、よし今回の護衛はマーレとしよう。
護衛と言っても、あくまでナザリックからモモンの監視役として送られてきている言う役柄だからな」
「お、お選び頂き、あ、あ、ありがとう。ご、ございます。ア・アインズ様をか、必ずお守り致します」
「うむ、宜しく頼むぞマーレ。ではいざ王都へ行くか」
崇拝する主人に選ばれたマーレの鼓動の高鳴りは天元突破している。
アウラはカクリと膝から崩れ落ち思わずマーレに嫉妬の目を向ける。
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魑魅魍魎の跋扈ずるナザリック。
アインズの貞操は守られるのか。アインズ棒は存在の有無は。