魔法少女リリカルなのは Sunlight   作:朱槍

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長らくお待たせして申し訳ありません。
仕事が始まり新入社員として働き出したのは良かったのですが如何せん色々と上手くいかず現在軽い鬱病でございます。
まぁ、人によっては鬱病はただの甘えとおっしゃる方もいますが。
斯く言う私もそう思っていた一人ですので厳しい感想は甘んじて受けます。
ですがつい最近感想を送ってくださったドラパン様やすし好き様のようにこんな私の作品を待ってくださる方がいるのに無視なんて出来ません。
なので過去分だけでも少しづつ更新していこうと思います。
最新話はまだ4500文字程度なのでもう少し書いてから投稿したいと思います。
軟弱な若輩者ですが今後とも宜しくお願いします。


第3話 燃える空港

???

 

~Kazuki side~

ぶくっ・・・・ぶくっ・・・・

 

感じるのは不思議な浮遊感とゆっくりと沈んでいく感覚。

オレはぼんやりと目を開ける。

 

 

ただただ青く輝く光景。

その光景はなんだか美しく思えた。

次第に感覚が戻り始め冷たいと感じ始めた。

そして、オレの意識は完全に覚醒した。

 

此処は・・・・・・水中!??

 

そう意識すると次に苦しいという感覚が襲った。

長く沈んでたのか肺に殆ど酸素が残っていない様だ。

苦しい・・・・

オレは酸素を求めて必死に水面に向かう。

そして・・・

 

「ぷはっ!・・・ハァ・・・ハァ・・・・。」

 

大きく息を吸い足りない酸素を肺に取り込んでいく。

暫くして落ち着いたオレは顔に付いてる水滴を拭った。

拭った時に水滴が唇に触れて塩気を感じた。

どうやら此処は海らしい。

 

「いつまでも海に浸かってる訳にもいかないか・・・・。

 とりあえず近くに何があるか確認するか。」

 

オレは浮遊して空から辺りを見渡す。

すると大きな建物を発見した。

飛行機が着陸、離陸をしているところ見る限り空港の様だ。

 

「空港か・・・・。

 情報収集には打って付けか。」

 

そう言ってオレは空港に向かって飛んでいった。

 

空港

 

空港付近の人目のつかない場所で着地する。

態々人目のつかない場所を選んだのには理由がある。

それは此処が銀成市でない可能性。

変人・奇人が集まる町で有名な銀成市ならともかく。

日本なのかも判らない場所で飛んでる所を見られたらパニックどころの騒ぎではない。

それに碓氷の言った通りなら此処がオレ達が住んでいた所とは違う異世界の可能性もある。

色々と考えてるうちに入り口に到着。

建物を見上げると空港の名前が大きく掲げられていた。

 

「ミッドチルダ臨海第8空港・・・・・。

 ミッドチルダ?」

 

戦団関係で色々と他国を飛び回る事が多かったがミッドチルダなどという地名は聞いたこともない。

 

「まぁ、中に入らないことには始まらないか。」

 

情報を求めてオレは建物に入っていった。

 

中に入ってまず現在地の確認に向かった。

空港内にある地図帳を開き場所を確認する。

それを見て唖然とした。

 

「どうなってるんだこれ・・・・。

 他の国が存在しない・・・この世界は統一国家なのか?」

 

数枚ページを捲り地図帳を元の位置に戻す。

 

「と、とりあえず本屋で情報集めるか。」

 

本当なら現地の人とかに聞くのがベストだが言葉が通じるかわからない。

そもそも、なんて説明すればいいのか纏まらない。

(次元の狭間に飛び込んだら此処にいました。此処はどこでしょう?)

・・・・・ダメだ、下手したら病院に連れてかれそうだ。

幸い文字のほうは英語に似ていた為なんとなくだが読める。

しばらく探索していると幾つか気付いたことがある。

まずは話している言葉。

先程から結構な数の人とすれ違っているが話している言葉が殆ど日本語だった。

どうやらこの世界の主要言語は日本語の様だ。

もう一つは使われてる技術。

その最たる例がすれ違った一般人達が使っているアクセサリーの様な電子端末。

あのレベルの技術を一般に普及させてる所を見るかぎりこの世界の技術力はかなり高いようだ。

そうこう考えてるうちにかなり大きな本屋を発見した。

中に入り資料の欄のプレートを見つけ物色を始める。

資料の棚を見てオレは本に手を伸ばすのを止めた。

原因は資料の棚の大半を占めている単語。

 

[魔法]

 

再度、棚のプレートを確認する。

・・・・・やはり資料で間違いない。

オレは[ミッドチルダ式魔法入門編]を手に取った。

 

数時間後

 

あれから本屋を出て今は待ち合い席に座って休息をとっている。

数時間に亘る立ち読みで店員から物凄く嫌な顔をされたがこちらはそれどころではない。

 

「魔法、デバイス、管理世界に時空管理局・・・・完全に異世界だな・・・・。」

これまで調べた情報で多く出ていた単語を呟く。

そして、調べてる中で見つけた情報。

 

【次元漂流者】

 

どうやらオレはこれに該当するみたいだ。

「しかし、魔法に時空世界ね・・・まるでファンタジーだな。」

そう呟く。

だが、ふっと自分の事を振り返ってみる。

錬金術の結晶の核鉄。

それも錬金術の最終目的【賢者の石】の試作品【黒い核鉄】を命に替えた不老不死。

ある意味、存在がファンタジーな自分の事を思い出すと思わず苦笑いしてしまった。

 

「さって、これからどうしたようか・・・・・。」

 

一応、紙幣は持ってるがこの世界で使えるかは判らない。

そうなると自給自足になるのだが・・・・。

この近くで狩猟とかしていい所ってあるだろうか?

 

「悩んでも仕方ないか。

 とりあえず移動しつつ聞き込みをしよう。」

 

そう言って立ち上がると・・・

 

「あの、すみません!」

 

後ろから声がかかった。

振り向くと其処には薄紫のリボンをした青紫色の髪の少女がいた。

 

~Kazuki side end~

 

カズキは少女の姿を確認すると屈んで少女の目線に合わせる。

 

「ん?なんだい?」

 

「あの、ショートの青髪で薄いピンクのスカートを履いた

 茶色いポーチを持ってる10歳くらいの女の子を見ませんでしたか?」

 

カズキは顎に手をあてすれ違った人達を思い出していく。

暫く考えてからもう一度少女と向かい合う。

 

「いや、見てないな。」

 

「そう・・・・ですか・・・。」

 

少女は見るからに落ち込んでしまった。

 

「えっと・・・お友達でも探してるのかな?」

 

「いえ、妹です。

 少し目を離してるうちにはぐれてしまったみたいで。」

 

「そっか・・・・。」

 

「あの、ありがとうございました。」

 

「あ、ちょっと待って!」

 

「はい?」

 

走り去ろうとする少女をカズキは引き止めた。

 

「よかったら妹さん探すの手伝うよ。」

 

「ええっ!?」

 

突然の提案に少女は驚いた。

 

「いいんですか?」

 

「構わないよ。

 ちょうど、暇を持て余してたし。」

 

「ありがとうございます!」

 

「ところで名前を教えてくれないかな?」

 

「ギンガ、ギンガ・ナカジマです。」

 

「ギンガか・・・・。

 いい名前だな。ブラボーだ!」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

少女ギンガは少し恥ずかしそうに礼を言った。

 

「あの、アナタは?」

 

「ああ、すまないオレは武と・・・。」

 

カズキは名前を言おうとしたが急に黙る。

そんなカズキを見てギンガも不思議そうな顔をしている。

やがてカズキは再び口を開いた。

 

「オレの名前はブラボー。

 ガーディアン・ブラボーだ。」

 

互いの紹介を終え二人は少女の搜索を開始した。

 

~Ginga side~

 

ブラボーさんと妹の【スバル】を探し始めて30分くらい経った。

いったい何処に行っちゃたんだろう。

そういえばブラボーさん何で手伝ってくれるんだろう?

 

「此処には居ないみたいだ。」

 

「そうですか。」

 

聞いてみようかな。

 

「どうかしたかい?」

 

「え?」

 

「何か言いたそうな顔してるぞ。」

 

うわぁ、そんなに解りやすい顔してたの!?

今更、誤魔化せないし。

ええい!ままよ!!

 

「あの・・・ブラボーさんは何でスバルを探すのに協力してくれるんですか?」

 

「そうだな・・・理由は二つあるかな。

 一つは、協力する時に言ったけど暇を持て余してたから。」

 

「もう一つは?」

 

「キミが本当に妹さんが大切そうだったからかな。」

 

・・・・・?

どういう事だろう?

ブラボーさんは私が悩んでいるとすぐに説明してくれた。

 

「ギンガ。

 キミはオレの所に来る前にかなり探したんじゃないか?

 それも走りで。」

 

「ええ!?何でわかったんですか!??」

 

確かにそれなりに走ったけど私達は戦闘機人。

それに陸軍の士官学校に通ってるから普通よりスタミナもある。

ちょっとやそっとじゃ疲れないのに。

 

「左腕の裾に汗を拭った痕もあった。

 あとは、キミの目かな。

 どこか希望と不安の入り混じった目をしていた。

 それで、解ったんだ。

 キミは本当に妹さん、スバルちゃんが大切なんだなって。」

 

す、凄い。

観察眼といい判断能力といい。

この人何者なんだろう?

私が驚いているとブラボーさんが急に慌てだした。

どうしたんだろう?

 

「ご、ごめん!

 仕事柄、相手の事を分析するのが癖になちゃってるんだ!

 そうだよな、女の子だもんな。

 見ず知らずの男にじろじろと見られて気分がいいわけないよな。

 本当にごめん!」

 

ああ、なるほど。

私が驚いて黙ってるものだから気分を害したと勘違いしちゃったんだ。

ふふ、なんだか可笑しい。

 

「大丈夫ですよ。

 気にしてません。」

 

「そ、そっか。

 よかった~。」

 

「ふふ、ところで理由の続きは?」

 

「続き?

 ああ、そうだったね。

 オレにも妹がいるんだ。

 だから、妹が心配な気持ちは良く解る。」

 

「へぇ~、ブラボーさんにも妹が。

 どんな方なんですか妹さんって?」

 

「そうだな・・・・。

 明るくって優しいヤツだな。

 そして誰とでも仲良くなろうとするヤツだよ。」

 

「誰とでも?」

 

「誰とでも。

 アイツの前じゃ不良、超人、宇宙人、未来人、奇人、変人、蝶人なんて関係ない。

 知り合ったなら仲良くなろうとするヤツだったよ。」

 

なんていうか凄い人だな色々と。

というか何故超人を二回言ったんだろう?

 

「スバルちゃんはどんな子なんだい?」

 

「スバルは・・・・。

 その逆ですね。

 内気で気弱で人見知りが激しくてよく私の後ろに隠れます。

 けど、人を傷つける様な事が苦手なとっても優しい自慢の妹です。」

 

「そっか。」

 

ブラボーさんは私の頭に手を置いて優しく撫でてきた。

 

「なら、早く見つけあげないとな。

 お姉ちゃん?」

 

「はい!」

 

気恥ずかしさで少し顔を赤くしながら私はしっかりと返事をした。

そういえばさっき仕事柄の癖って言ってたけど何やってるんだろ?

折角だから聞いてみようかな。

 

「あの、ブラボーさん。

 ブラボーさんてお仕事何をされてるんですか?」

 

「どうしたの急に?」

 

「さっき仕事柄の癖で相手を分析してしまうって言ってたじゃないですか。

 だからどんな事をしてるのかなと思いまして。」

 

「ん~、何て言えばいいかな。

(戦団の事を話せるわけないし・・・。)」

 

ブラボーさんなんか言い辛そうだな。

もしかして聞いちゃ不味かった?

 

「あの、もしかして聞いちゃ不味いですか?」

 

「いや、そんな事ないんだけど・・・・。

 そうだな、【困ってる人達の味方】かな。」

 

「困ってる人達の味方?

 あの、もしかして管理局員ですか?」

 

「いや正直言っちゃうとオレは俗に言う次元漂流者らしい。

 だからこの世界では無職なんだよね。」

 

「え・・・ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!??」

 

「公共の場で大声出すのはあまり頂けないぞ。」

 

「はっ!」

 

ブラボーさんの言葉で我に帰る。

周りの人達が不思議そうな顔で私を見ている。

うう・・・恥ずかしい・・・・。

羞恥心で顔が熱くなる。

おそらく今の私の顔は真っ赤だろう。

それにしてもブラボーさんも人が悪すぎる。

まさかの次元漂流者。

そんな素振り全く見せなかったのに。

 

「落ち着いたかい?」

 

「はい・・・。

 ところで次元漂流者って本当ですか。」

 

「どうもそうみたいなんだよね。

 今日の昼近くにこの世界に跳ばされて来た。」

 

「その割には落ち着いてますね。」

 

「まぁ、心の整理する時間は十分あったしね。

 それにこの世界の言語はオレの世界の故郷の言葉と同じだし。

 使われてる字は英語って言う原語に近かったから情報収集は割と楽だったよ。」

 

「そうですか。

 そうだ、私達の父が管理局員なんです。

 もしかしたら何か力になれるかもしれません」

 

「いいのかい?」

 

「はい。

 スバルを探してもらってるお礼もしたいですし。」

 

「そうか、助かるよ。

 そうと決まれば早くスバルちゃんを見つけ・・・」

 

ブラボーさんが捜索の再開をしようとした瞬間。

 

 

 

 

 

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッン!!!

 

 

 

 

 

凄まじい爆発音と共に空港全体が揺れた。

 

~Ginga side end~

 

「くっ!?

 一体何が起きた!?」

 

カズキは急いで近くの窓から状況を確認する。

するとエントランスホール近くの倉庫から火が上がってるのが確認できた。

それと同時に周りの一般人達が慌て始める。

 

「か、火事だぁぁぁぁ!!」

 

「スゲェ爆発だったぞ!?」

 

「ま。まさかテロ!??」

 

「に、逃げなきゃ!!」

 

「此処も安全かわかんねぇぞ!!!」

 

爆発という出来事に場は混乱する。

さらに誰かが言った言葉【テロ】。

この言葉に場の混乱は加速し外に向かって走り出そうとする人々。

この場には係員の声はまったく届いていなかった。

 

 

 

 

 

「静まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

再びホールが揺れた。

カズキの怒声によって。

 

「慌てた移動をするな!!

 この場で怪我をすればそれこそ死ぬ可能性が上がるぞ!!!

 全員その場で深呼吸して落ち着け!!!

 係員!!!」

 

「は、はい!!!」

 

カズキの怒声に上擦った声で係員は返事する。

 

「マニュアル通り彼等を避難させろ!

 速やかにだ!!」

 

「はい!!

 皆さん私について来て下さい!!!

 慌てないで速やかに避難します!!!」

 

落ち着きを取り戻した一般人達は係員の後について移動する。

カズキはギンガに駆け寄る。

 

「ギンガ!

 キミも彼らについて行って避難するんだ!」

 

「ブラボーさんは!?」

 

「オレはこのままエントランスホールに向かう。

 人命救助とスバルちゃんを探す。」

 

「私も行きます!!」

 

「ダメだ!!!

 危険過ぎる!!!」

 

「陸士の訓練校で訓練は受けてます!!!」

 

「バカヤロウ!!

 訓練と一緒にするな!!!!

 第一キミに何かあったらキミの父親にオレは何と言えばいい!??」

 

「わかってます!!

 それでも!!!」

 

ギンガは一呼吸あける。

そして、しっかりと自分の思いを言い放った。

 

「姉である私が逃げて誰が妹を助けるんですか!!!

 安心させてあげられるんですか!!!」

 

「・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

睨み合う二人。

やがて、カズキは大きな溜め息を吐く。

 

「わかった。

 ただしちゃんとついて来い。

 あと、指示に従うこと。

 いいな?」

 

「!?

 はい!!」

 

カズキはギンガの返事を聞くとポケットから核鉄を取り出す。

 

「特殊核鉄[SS]起動!!」

 

特殊核鉄が展開する。

銀色の粒子はカズキの頭、手、足に纏わりつき形を形成していく。

やがて帽子、グローブ、ブーツが完成した。

その姿にギンガは驚きの表情をするが無視する。

 

「いくぞ!」

 

「ッ、はい!!」

 

二人は火の海と化そうとしているエントランスホールに疾走する。




[次回予告]
苦しかった。
痛かった。
寂しかった。
無力なわたしはただただ泣き叫んだ。
そんなわたしを救ってくれたのは。
【優しい姉】と【純白の魔導師】そして【白銀の戦士】。
わたしはきっとこの光景うをずっと忘れない。
次回魔法少女リリカルなのは Sunlight【炎を越えて】

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