魔物使いのハンドレッドクエスト   作:兵庫人

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第百二十話

「うう~。アルハレム様、酷いですよぉ……」

 

「酷くない。馬鹿なことを言おうとしたお前が悪い」

 

「私もマスターに同意します」

 

 叩かれた頭をおさえて恨めしげに言うリリアに、アルハレムはハリセンとなったアルマで自分の肩を叩きながら答えると、柄尻の宝石から聞こえてくるアルマの声も主の意見を支持する。

 

「………」

 

「我が夫、の、言う、通り。リリア、の、自業、自得」

 

「第一、裸になったリリアにつきまとわれてはアルハレム殿も外を歩けんでござろう」

 

「そうですね。リリアさんが旦那様の為に色々と考えているのは分かるのですけど……」

 

「本当に君達は仲がいいよね」

 

 レイア、ルル、ツクモ、ヒスイが自分達の主とサキュバスの魔女とのやりとりに苦笑をしていると、それまで黙っていたローレンがアルハレムに話しかける。

 

「魔女の魂を持つ様々な武器に変型するインテリジェンスウェポンだなんてアルハレム君もいい特別報酬を貰ったね」

 

「ええ、俺もそう思いますよ」

 

「うんうん。そう言ってもらえるとおかーさんも嬉しいですよ♪」

 

 アルハレムがローレンに答えると、用意されたお菓子を食べていたイアスが得意気な顔で頷いてから魔物使いの冒険者を見た。

 

「それにしてもアルハレムさんは中々に興味深い人ですねー」

 

「興味深い? 俺がですか?」

 

「そうですよー。今までにも魔物使いの冒険者はいましたけど、アルハレムさんほど魔女さんと仲良しさんはいませんでしたからねー。普通の人間さん達は魔女さん達を恐がるか、魔女さんのナイスバディが目当てな人ばかりで、とても仲良しさんとは言えませんでした。……まあ、時々は違う人もいましたけど」

 

 そこでイアスはチラリと横目でリリアを見る。流石は外見は子供の女の子だが中身はこの世界を創造して今まで見守ってきた創造の女神。リリアがサキュバスとヒューマンの神官との間に生まれたこともお見通しであるらしい。

 

「だからリリアさんを初めとするたくさんの魔女さん達とお友達となっているのはアルハレムさんが初めてでおかーさんはとっても興味深いのですよー♪」

 

「そうなのですか?」

 

「そうなのですよー♪ って、アレレ? ……どうやら時間のようですねー?」

 

 何かに気づいた風に言うイアスの体を見ると、子供の姿をした女神の体は少しずつ透明になっていて、ぼんやりとだが向こう側が見えていた。

 

「え? イアス様の体が透けている?」

 

「………!?」

 

「どう、いう、こと?」

 

「にゃ? イアス様、一体何が起こっているのでござるか?」

 

「イアス様? 大丈夫なのですか?」

 

 リリア達五人の魔女も驚いてイアスを見るが、女神はそんな彼女達に安心させるような笑顔をみせる。

 

「大丈夫ですよー♪ 実はおかーさん、子供達の前に姿を現してお話しする時間が限られていて、そろそろ時間切れみたいなんですよ。それじゃー、アルハレムさん、アルマさん、おかーさんはそろそろ帰りますけどこれからも頑張ってくださいねー♪」

 

「はい。ありがとうございました」

 

「了解しました。創造していただいてありがとうございます」

 

「御母様!」

 

 アルハレムとアルマが別れを言うイアスに礼を言うと、ローレンが飛び込むように女神の前にひざまついてその手をとる。

 

「御母様! そんなことを言わずにもう少しだけ……あと十年くらい一緒にお話ししましょう! なんでしたら王都の城に御母様の部屋を用意して、精一杯のおもてなしをさせてもらいますのでどうか!」

 

「ローレンさんは相変わらず甘えん坊さんですねー。そんなに寂しがらなくてもおかーさんはいつでも皆を見守っていますし、ローレンさんがこれからもクエストブックのクエストを頑張っていたらまた会えますよー。それじゃー皆さん、さよーならー」

 

 必死の形相でここに留まるように懇願するローレンに、イアスは優しく微笑むとその体は空気に溶けるように消えてしまった。

 

「お、御母様……? う……ああ……。ウァアアァアアアアアアアァァアアァァアアーーーーー!」

 

 そして目の前で自分が敬愛する女神が消えてしまったローレンは、まるでこの世が終わってしまったかのような絶望の表情となって泣き崩れてしまい、アルハレムを初めとする部屋にいる者達は絶望の涙を流す王子からそっと視線を逸らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「客観的に見て気持ち悪いと判断します」

 

「しっ!」

 

 とある武器から一人の女性の声が聞こえてきたが、幸か不幸かその声を聞いたのは武器の持ち主である青年だけであった。

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