魔物使いのハンドレッドクエスト   作:兵庫人

147 / 266
第百四十六話

「あっ、戻ってきた」

 

 アルハレムとアルマが真紅の髪の女性を見ているとセイレーンの魔女が二人が戻ってきたことに気づく。

 

「ちょっと遅かったね。何かあったの?」

 

「いや……。アルマと少し話していたんだけど……彼女は?」

 

「ふ~んふふ~ん♪ おっ宝♪ おっ宝~♪」

 

 アルハレムは階段を降りて広間にいるセイレーンの魔女に答えてから真紅の髪の女性に視線を向ける。真紅の髪の女性はアルハレム達に気づいていないのか、今も鼻歌を歌いながら骸骨の人形達の残骸を集めていた。

 

「ん? ああ、コイツ? コイツはアタシと一緒に貴方達をここに連れてきた魔女だよ。『ワイバーン』の魔女。……いや、『ドラゴンメイド』って言った方がいいのかな?」

 

「ワイバーン!?」

 

「しかもドラゴンメイド……!」

 

 セイレーンの魔女の言葉にアルハレムとアルマが絶句する。

 

 ワイバーンとはこの世界に生きる全ての魔物の中で「最強」とされている魔物「ドラゴン」に属している種族の一つである。ワイバーンはドラゴンの中では下位に位置する種族だが、その実力は他の魔物とは比べ物にならず、魔物の中でも上位の存在とされている魔女にも匹敵するとされている。

 

 そしてドラゴンの一族は、千年に一度に人間の女性に似た姿と輝力を操る能力を持った、魔女の個体を産むという伝説がある。この伝説にあるドラゴンの血を引いた魔女こそが「ドラゴンメイド」である。

 

 ドラゴンの戦闘能力の高さに加えて輝力を操ることができるドラゴンメイドは、もはや「生きる災害」と言っても過言ではない。つまり種族的には下位のドラゴンであるワイバーンとはいえドラゴンメイドである真紅の髪の女性は中位、あるいは上位のドラゴンに匹敵する力を持っていると言うことで、セイレーンの魔女の話を聞いたアルハレムの額に一筋の冷や汗が流れた。

 

「彼女がワイバーンのドラゴンメイド……?」

 

 言われて見れば真紅の髪の女性の頭部には二本の角が、臀部には鱗に覆われた尻尾と、翼と脚以外にもドラゴンを連想させる要素があった。

 

 そして真紅の髪の女性、ワイバーンのドラゴンメイドの一見華奢に見える四肢には想像できない程の力が宿っていて、その気になればアルハレム達など一瞬で挽き肉にする事できるだろう。しかし……。

 

「ふ~んふふ~ん♪ おっ宝♪ おっ宝~♪」

 

「……とてもそうとは見えませんけど」

 

 今もアルハレム達を気にもとめず、鼻唄を歌いながら骸骨の人形達の残骸を集めているワイバーンのドラゴンメイドからはその様な驚異は感じられず、アルマは呆れたように呟いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。