シンデレラの籠球部   作:すずう

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プロローグ 『終わる舞踏会→新たな魔法』

卯月(うづき)!!速攻!!」

 

「はい!!」

 

 

(あんず)さんからパスが通る。

残り6秒、点差は1点のビハインド。

ハーフラインからゴールまでドリブルで一気に駆け上がる。

そして3Pエリア内まで入る。

 

 

「卯月!!ダメだ!!美波(みなみ)さんにパス…」

 

「……え?」

 

 

背後から杏さんが制止をするよう呼びかける声が聞こえた気がする。

しかし頭ではわかっていても無意識に動いてしまう体をどうすることもできずそのままレイアップの態勢に入る。

 

1、2。右足で踏み出し左足で跳ぶ。

その瞬間やっと背後から迫る相手の存在に気が付く。

 

完璧な体制で右手から空中に掬い上げられたボールはきれいにゴールに入るはずだった。

だがそれは背後から追いついてきた相手によって妨げられた。

 

高い音でブザーが体育館に鳴り響く。

56-57。

私たちの負けだ。

 

 

「…美波さん、私、私のせいで……」

 

 

キャプテンで今年3年生の美波さんのほうを向いて呟く。

美波さんは首を振りながらこちらに向かってくる。

 

 

「卯月ちゃんのせいなんかじゃないよ。これは私たちの実力がちょこっと足りなかっただけ」

 

 

そんないつも通りの美波さんの声で慰められてぽろぽろと涙があふれ出してきた。

 

 

「それよりも卯月ちゃんたちが入ってきてくれて最後にやっとこうしてバスケができてよかったよ。ありがとね。

来年、来年は絶対に県大会。ううん、きっとインターハイまで行ってね」

 

 

美波さんは微笑んで私たちにエールを送る。

その微笑みを見てかほかのメンバーも涙をこぼし始める。

 

 

「ほら泣かない!!みんなは来年もあるんだからこの敗戦をバネにもっと成長して来年頑張る!!ね?

はい整列整列!!」

 

 

私たちは涙を浮かべながらセンターサークルに集まり整列した。

そして相手に敬意を払いその後体育館を後にした。

 

 

こうして私たち灰被(はいかつぎ)高校女子バスケットボール部の『夏』は県大会まであと一歩というところを前にして終わった。

 

 

 

 

 

 

インターハイ予選から数ヵ月が経ち季節もすっかり変わり春になった。

創設4年目のこの灰被高校もすっかり桜で満開である。

 

そこに一人の少女が走ってくる。

 

 

「お~い!!卯月~!!」

 

李衣菜(りいな)ちゃん!!おはようございます!!」

 

「卯月ちゃんおはよう」

 

「かな子ちゃんもおはようございます!!」

 

「『おはようございます!!』じゃないよ…

早くしないと集合遅れちゃうよ!!私とかな子は先に行くからね」

 

「あ~待ってください!!私も行きます~!!」

 

 

そうして少女はもう一度走り出す。

 

 

 

 

「よ~し!!灰被高校2年生として島村卯月(しまむらうづき)頑張ります!!」

 

 

 

 

 

「卯月うるさい!!」

 

「ご、ごめんなさ~い」

 

 

 

 

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