体育館の横に建っている運動部の部室塔。
2階の一番奥にあるのが私たち女子バスケットバール部の部室だ。
いつもなら朝練に励む部活どうの生徒しかいないはずだが今日だけは違い朝練のない部活の生徒もちらほらと見受けられた。
「うっわ…にぎわってんねぇ…」
「そうだねぇ、どの部活も必至だねぇ」
首にヘッドホンをかけている少女、
階段をのぼりながら練習着姿のバトミントン部の生徒が制服姿の生徒と一緒にいる姿を見つける。その姿を見て李衣菜は「はぁ…」とため息をつく。
「こりゃ1人も来てくれないかもなぁ…」
「ひ…1人も!?それは困ります!!
何とかならないんですかりーなちゃん!!」
「いや…何とかしてって言われてもなぁ…」
目を少しウルウルさせながら聞いてくる少女、
「まっ、いざとなったらかな子が試合には出てくれるってさ」
「私そんなこと言ってないよ!?」
マネージャーであるかな子をいじりながら部室の前につきドアを開ける。
「おはようございま「おっそーーーーい!!!!」うへぇ…」
「ねぇ!!何分
6分だよ!!6分!!カップラーメン2回ほぐれるんだよ!!」
「カップラーメンって2回もほぐすんですか?」
「そこうるさい!!口答えした罰で卯月は今日の走り込み2倍!!」
「か…勘弁してくださいぃ」
自分のうちから持ってきたであろううさぎ型の座椅子に寝そべりながら怒っている卯月達より二回りくらい小さい少女、
「杏ちゃんだって今日お迎えに行ったら『杏はまだ春休みだから今日はお休み~』って言って起きてすらいなくてきらりを20分も待たせたにぃ?」
「それは今関係ないじゃん!!だって今日が入学式なんて知らなかったんだもん」
関係ないのか?という疑問はあったが卯月のように走りこみ2倍にされたらたまったもんじゃないと李衣菜はぐっと言葉を飲んだ。
「それできらりさん。昨日の夜急に『明日早く学校に来てほしい』っていうチャット送ってきたのは何でですか?
まぁ何となくは予想はつきますけど」
「あ~!!すっかり忘れてたにぃ☆
みんなには新入部員を集めてきてほしいにぃ☆」
「やっぱり新入部員のことだったんですね」
きらりが集合をかけた理由を理解しかな子が返答する。
それと同時に杏が立ち上がり卯月達を人差し指を勢いよく前に出す。
「1人ね」
「え?1人だけでいいんですか?」
「新入部員『今日中に1人につき最低でも1人』連れてきてね」
「あ…やっぱりそうですよねぇ」
「もし1人も連れてこれなかったら…そうだなぁ…
『シャトルラン100本』やってもらおうかな」
「ひゃ…100!?それはさすがに…」
「大丈夫安心して、杏もそこまで鬼じゃないよ。
シャトルランなんかに貴重な練習時間を割くのはもったいないのはわかる。だから練習終わった後にやってもらうよ。
あっ、もちろん1日でね」
「ちょっと期待して損したよ!!
鬼!!悪魔!!杏!!」
「HAHAHA!!
何とでも言えばいいさ!!
言い忘れてたけど卯月、シャトルランも走り込みに入るからね」
そういって杏は出口のほうに逃げるように走り去っていった。
「あっ杏ちゃ~ん!!
ごめんねぇ杏ちゃん捕まえるからきらりも行くねぇ」
そういってきらりも部室から走り去っていった。
「行っちゃった…」
「杏さん完全にきらりさんから逃げていったね…」
「あの…ひとつ質問良いですか?」
卯月が右手を上にあげ二人に質問する。
「杏さんが最後に言ってたことってどういう意味なんですかね?」
「最後?かな子、なんて言ってたか覚えてる?」
「えっと確か『シャトルランも走り込みに入るからね』だっけ?」
「そうです!!それです!!
あれってどういう意味なんでしょうか?」
「あ~それは多分、卯月は『走り込み2倍』っていう罰を受けてるからシャトルランも2倍。
つまり『シャトルラン200本』になるってことじゃないかな?」
「『シャトルラン200本』?」
その言葉を聞き卯月は少しずつ理解していったらしい。
そして卯月の表情がどんどん曇っていく。
「やばいやばいやばい!!卯月のいつものカワイイ顔がどんどん萎れていってる!!」
「卯月ちゃん落ち着いて!!悪魔で新入部員連れてこれなかったらの話だよ!!」
「そ…そうですよね!!新入部員連れてくればいいんですよね!!
よ~し!!島村卯月がんばります!!」
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「外にでてみたけど…」
放課後、昇降口の前で仁王立ちしながらげんなりとした顔をして李衣菜が呟く。
「やっぱりバトミントン部が一番人気だねぇ」
バトミントン部にどんどん捕まっていく新入生を見ながらかな子が呟く。
それもそのはず、女子バトミントン部は昨年県大会に出場しており順位は3位だったがここらの地域の中では一番強いのでバトミントンをしに集まる新入生も少なくはない。そして尚且つバトミントン部は男女合同で行っている部活なので青春を謳歌したいという新入生にも人気なのである。リア充爆破しろ。
「それでもバスケをしに来てくれた子もいるはずですよ!!
絶対にそんな子を見つけてみせます!!」
「……すごいやる気だね。
それでこのまま一緒に行動する?」
「いや別々に行動したほうがいいとおもうな。
広い範囲を探せたほうがいいと思うんだけどどうかな卯月ちゃん?」
「いいと思います!!」
「OK!!じゃあまた後で部室で会おう!!」
そう約束をして3人は別々に分かれていった。
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side:かな子
「うぅ…やっぱりみんなで一緒に行動したほうがよかったかなぁ…」
かな子は変わらず昇降口の前で新入生を勧誘していた。いや、勧誘していたというには少々語弊があり勧誘しようとしていたが誰にも声をかけられていなかった。
「もっと積極的にならなきゃなぁ…
りーなちゃんは誰とでも話せるし卯月ちゃんは天然だからそういうの気にしなさそうだし…」
そんなことを呟きながら周りを見渡しまだ部活が決まってなさそうな生徒を探す。
「きゃっ…」
「ん?」
前を見ずに歩いていたら誰かにぶつかってしまったらしい。
前を見るとツインテールのどこか幼げな少女が立っていた。
「ご…ごめんなさい。全然前を見て歩いてなくて…」
「い…いえ、わたしもちょっと疲れてて…」
疲れててという言葉を聞いて少女トートバックをふと見るといろいろな部活のチラシがたくさん入ったファイルを見つけなんとなく疲れている理由を察した。
と同時に彼女のトートバックに四つ葉のクローバーとバスケットボールがデザインされたキーホルダーを見つけた。
「あの、もしかしてなんだけどバスケ好きなの?」
「えっ…いや、好きというか…」
「あっごめんね。そこについてるキーホルダー見てそう思ったんだけど違ったかな?」
かな子はそれとバックについているキーホルダーを指さし尋ねた。
ツインテールの少女はううんと首を振り「大好きです!!バスケ!!」と否定の意を示した。
「本当!?
私バスケ部のマネージャーなんだけどもしよかったら女バスに入ってくれないかな?」
「え…いや、でも…わたしみたいなおどおどした子でもいいんですか…?
その…もっと運動神経のよさそうな子のほうが…」
ほらそこにいる子とツインテールの少女はバトミントン部に勧誘されている女の子を指さす。
その女の子はがたいのいい如何にも運動できますといった感じの子だった。
その子を見てかな子はう~んと頭を横にひねる。
「確かにあの子もいいかも。
でも私は『バスケが好き』とか『バスケをやってみたい』っていう子が入ってきてくれたほうが嬉しいかな?
ってマネージャーが言ってもあんまり説得力がないかな?」
かな子のその言葉に「そんなことないです!!」とツインテールの少女は返す。
「マネージャーさん…わたし何かでよかったらその…バスケ部に入れてくれませんか?
ちゃんと戦力に…なるかわからないですけど…」
その言葉を聞きかな子はパァ…!!と顔を明るくする。
そしてツインテールの少女の手を両手で握り目を輝かせた。
「ありがとう!!歓迎するよ!!
あと私の名前は『マネージャーさん』じゃなくて三村かな子!!
これからよろしくね!!あなたの名前はなんていうの?」
「は…はいっ!!わたしは――――」
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side:李衣菜
「さーてどうしよっかなぁ…」
李衣菜は校舎の中に入り新入部員を探そうとしていた。
がどのようにして新入部員を集めるかという点で悩んでいた。
「屋上で『バスケ部に入ってください』って叫ぶとかロックかも…!!
いやでも先生に怒られたら嫌だしそれはやめとこう」
と呟きながら歩いていると後ろから「多田李衣菜~~~!!」という叫び声が聞こえてきた。
「ん?」と李衣菜が後ろを向くとそのその叫び声の主らしき人が突っ込んできた。
「痛った~!!もう、誰だよ~」
「えへへ…ごめん、勢いつけすぎちゃった」
李衣菜が顔を上げるとそこには眼鏡をかけたショートカットの少女がたっていた。
「お前は……ごめん誰?」
「も~~~~!!まぁ何となく予想はついてたよ…」
そういって少女は眼鏡を外した。
「この顔なら見覚えがあるにゃ?」
「あっ!!もしかしてどこかで会ったことある!?」
「だからさっきからそういってるにゃ!!」
李衣菜のボケにショートカットの少女は怒り出す。
「ごめんごめん。
んでどこで会ったかな?」
「忘れたとは言わせないにゃ…
李衣菜チャンとは小中と試合で対戦してるにゃ」
「試合?もしかしてあなたバスケ部なの!?」
「そうにゃ、バスケ部にゃ。
そうだよね…やっぱりみくのことなんて覚えてないよね…
李衣菜チャンは天才、みくは凡人だもん。しょうがないよ…」
ショートカットの少女は少し涙ぐみながらとぼとぼと帰ろうとする。
しかし『せっかくの新入部員になるかもしれない人材をこのまま帰らせるのはいけない。シャトルラン嫌だし』という本能が李衣菜を突き動かし少女を引き留める。
「待って!!ごめんね!!
可愛くってつい意地悪しちゃったんだ」
「可愛い!?みくがかにゃ!?」
予想していたよりもはるかに勢いのある反応に思わず「お…おう…」と中途半端な返事をしてしまう。
「あれだよ、確か
「そうだにゃ!!なんだ李衣菜チャン本当はみくのことに注目してたにゃ!?」
「当たっていた…!?いやなんでもない気にしないで!!
う…うん!!そうだよ!!注目してた!!あは…あははははは…!!」
このとき李衣菜があげた『優霊中学校』は適当に対戦した覚えのある中学校を上げただけで本当に目の前の少女のこと覚えていたわけではなかった。
しかし相手の少女は『李衣菜チャンがみくのことを注目してたなんて…!!』と目をキラキラさせながら喜んでいた。
李衣菜はこれはチャンスといわんばかりに少女に畳みかけ…
「もしよかったらあなたもバスケ部には「入るにゃ!!李衣菜チャンとみくがいれば100人力にゃ!!」お…おう…」
…ようとしたのだが返り討ちにあっていた。
「まぁこんなところで立ち話も何だし部室に行こうか。
あ…名前聞いてもいいかな?」
「みくの名前かにゃ?みくの名前は――――」
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side:島村卯月
校門まえで勧誘しようと考えていた卯月は…
「あなたバトミントン部に入らない!?」
「いやいやテニス部はどう!?楽しいよ!!」
「そんなのよりバレー部はどうかな?ほら、ドーナツあげるよ!!」
「食べ物で釣ってるんじゃないわよ!!そんなので釣られるのドナキチだけよ!!
ねぇねぇソフトボール部に興味ない?」
「球技なんかより剣道部で一緒に汗を流さない?」
「こんなかわいい子を汗臭くさせようとしてんじゃねーよ!!
それよりも水泳部で一緒に青春しない?あっこの際マネージャーでもいいよ!!」
「はぁ!?水泳部にはマネージャー1人いるだろうが!!
それよりもサッカー部のマネージャーにならない!?」
「君はサッカーよりも野球のマネージャーほうが似合うよ!!
絶対に甲子園に連れていくからさ!!」
「私は
…新入生と間違われて逆に勧誘されていた。
「バスケ部…か…」