孤児院に来て十ヶ月が過ぎたころ、俺は誠士郎と共に買い物に来ていた。
「なぁ、誠士郎。」
「何だ、イッセー?」
俺が名前を呼ぶとすぐに誠士郎は聞き返してくる。
「今日の昼飯って何だったっけ?」
俺がそれを聞くと、誠士郎はこう言って来る。
「今日は確か焼きそばだったはずだ。」
誠士郎の言葉を聞いて俺はこう言った。
「焼きそばか…目玉焼き付くかな?」
俺がそう言っていると、誠士郎が呆れながらこう言って来る。
「お前は食べる事にしか興味が無いのか?もっと楽しい事があるのではないのか?」
その言葉に対して、俺はこう言った。
「無いな、今のところは。」
それを聞いた誠士郎は大きく溜息を吐くのだった。
誠士郎SIDE
全く、こいつときたら食べ物の事にしか興味が無いとは…。
私の事はどうでもいいというのか?
あの時みたいにかっこいい姿を見せてくれないのか?
私は孤児院でいじめを受けていた、理由は女なのに男の格好と名前をしているからという理由からだった。
あの日もいつものようにいじめを受けていた私を助けてくれたのは、他でも無いイッセーだった。
しかも、奴の手には羊羹丸々一本が握られていて食べながら私を助けたのだ。
その時に私はあいつに、兵藤一誠を好きになってしまったのだろう。
この想いは今伝えるべきではない、私の心の隅に閉まっておこう。
「早く買い物を済ませるぞ、イッセー。」
私がそう言いながら振り返ると、イッセーはこう言って来る。
「おう、誠士郎。」
満面の笑み付きで。
私は今、幸せだ。
俺と誠士郎は買い物を終えて孤児院に戻っていくと、そこには見知らぬ車が置かれていた。
俺はその車から嫌な臭いしかしなかったので、誠士郎に気づかれないように両側のミラーを破壊した。
そして、孤児院の中に入ると、そこには縄で縛られた孤児院の子供と銃を持った男達が数人。
俺は誠士郎の口を押えて音を消して茂みの中に体を隠す。
「んー、んー‼」
口を塞がれて暴れる誠士郎に俺はこう言った。
「誠士郎、大人しくしろ。今、俺達が見つかったら終わりだ。」
それを聞いた誠士郎は冷静さを取り戻し、こう言って来る。
「どういう事だ、イッセー。」
誠士郎の言葉に対して、俺はこう言った。
「つまり、俺達は銃を持った奴らにはまだ気づかれてねぇから今の内に警察に通報しに行くんだよ。」
それを聞いた誠士郎は声に出さず、首だけで頷く。
「よし、誠士郎はまずこれに着替えろ。」
そう言って俺が出したのは女の服だ。
「まぁ、何処から出したのかは聞かん。だが、何故貴様がこの状況下でそれを持っているのかを聞きたい。」
誠士郎は青筋を立てながらそう言って来る。
「それはあとで教えよう。だから、さっさと着替えろ。」
「何故、着替える必要がある?」
俺の言葉に対して、誠士郎がそう言って来る。
それに対して、俺はこう言った。
「お前の名前は男物の名前だ、それを逆手に取る。」
それを聞いた誠士郎は察したのか、俺から服を受け取って着替え始める。
「イッセー、こっちを見たら殴るからな。」
「いいから早く着替えろ、バカ。」
俺は誠士郎が着替えている間に、銃を持った奴らの方を見てみる。
すると、男達はまだこっちには気づいて無いためか、見向きもしていない。
「よし、まだこっちには気づいてねぇな。誠士郎、着替えれたか?」
俺がそう聞くと、誠士郎はこう言って来る。
「あぁ、それでこの次はどうしたらいい?」
そう言って来る誠士郎に対して、俺はこう言った。
「まず、俺が囮役として先に出る。お前は俺が出た後、すぐに警察に向かってくれ。」
それを聞いた誠士郎は反論してくる。
「駄目だ、お前が危険すぎる。」
そう言ってくる誠士郎に対して、俺は肩に手を置きこう言った。
「大丈夫、俺を信じろ。」
俺はそう言いながら誠士郎の目をはっきりと見る。
その間、誠士郎は顔を赤くしていた。
何故だ?
「じゃあ、作戦実行すっぞ。」
「あぁ。」
こうして、俺と誠士郎の作戦が始まるのだった。
俺は茂みから飛び出し、大声で叫ぶ。
「ただいまー‼」
それを聞いた全員が俺の方を見てくる。
「オイ、アノガキヲツレテコイ‼」
すると、一人の男がもう一人の男に俺を捕まえる命令を出してくる。
全員の視線が俺に集中している中で、俺の出て行った逆方向から誠士郎が警察に向かって走り出した。
そうして、命令を受けた男が捕まえに来るが、俺はその男の睾丸に向かって渾身のアッパーカットを放った。
モロに睾丸にダメージを受けた男は口から大量の泡を吹きながら気を失ったのだった。
「コノクソガキ‼」
それを見た男達は一斉に俺に向かって襲い掛かって来る。
だが、俺はその男達には眼も暮れずに男達に命令を出していた男にへと向かっていくのだった。
そこに、司令塔の男が銃を俺に向けてくる。
そんなことはお構いなしに司令官の男の睾丸に向かって頭突きを喰らわせたのだった。
司令塔の男は充分過ぎるほど勢いの付いた頭突きを睾丸で受け止めたのだった。
「OH MY GOD‼」
司令塔の男はそう叫びながら気絶したのだった。
残された男達は背を向けていた俺に向かって来るところで、誠士郎が連れて来た警察が男達を確保した。
俺はそれを見て、地面に座り込むのだった。
すると、誠士郎が話しかけてくる。
「大丈夫だったか、イッセー⁉」
そう言って来る誠士郎に対して、俺はこう言った。
「おう、俺は無傷だぜ‼」
そう言いながらグッドサインをする。
それを見て、誠士郎は安堵の息を漏らすのだった。
こうして、俺と誠士郎による作戦は成功に終わったのだった。
だが、数年後孤児院は取り壊しとなってしまい、当時所属していた子供たちはバラバラとなってしまった。
俺と誠士郎は数年過ぎた時には中学生になっていた為、二人暮らしをするためにアパートを借りてバイトしながら暮らしていた。
そして、俺と誠士郎は最近共学校となった駒王学園にへと入学する事となった。
次回からは原作突入です。
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