武器と魔法と、世界とキミと。   作:菱河一色

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 彼女は、薄く笑みながら言った。

「本当はわたし、デザイナーになりたかったんだ」




第二章 Who am we ?
第一七話 自称、エルフ。


 昼過ぎのギルド本部は、案外にも閑散としていた。

 

 午前中は相当に騒がしいものの、来訪者の主層である冒険者の多くがダンジョン探索に出掛けると、ロビーは途端に静寂に満ち、職員の仕事は激減する。

 この時間帯にギルドに訪れるのは、明日に備え巨大掲示板を確認する者、早めに切り上げて換金、報告をする者、休業日に担当官とゆっくり打ち合わせを行う者、などだけで。至って緩やかな午後。

 

 穏やかな日差しが差し込むロビーの片隅では、いつものように話し合いが行われていた。

 

「――では、もう先日の負傷は」

「はい。ほぼ完治しました」

 

 大規模な『大量発生(イレギュラー)』から、一週間あまりが過ぎる頃。

 

 先の激闘を生き延びた冒険者、夏ヶ原司は、ギルド窓口受付嬢、ノエル・ルミエールの元へ、当事者としての事件の事情聴取を兼ねて、担当官への報告をしに来ていた。共に戦った他のメンバーは、パンテオンとカテリーナ以外はまだ経過観察処置止まりであり、今日は訪れていない。

 トルド・フリュクベリは全身に遍く様々な負傷を抱えており最も重症だった。イネフ・マクレガーもまた満遍なく傷を負い、切られた脇腹の治りが悪かったらしい。アルベルティーヌ・セブランの損害は比較的軽微ではあったが、腱の再生に時間がかかっていた。と、聞いた。

 

 それでも、命があるだけ十分すぎるプラスだ。誰も後遺症などが残らない見通しなので、尚更の事。まあ、回復薬なんてとんでもアイテムがある世界で、そんなことは考えるだけ無駄、なのかもしれない。先に挙げた人たち皆、もう治っちゃってるし。

 

 今回起こった『大量発生』での死者は推定で一五八人ほど。行方不明は死亡と同列に扱われる。その総数は初回に比べると随分減った、しかし、それでも、それが由々しき数値であることに変わりはなく。

 

「死亡数に対して、その影響を受けた、新冒険者の流入数の減衰率が問題でして」

「ああ……最近減ってるって言ってましたね」

 

 迷宮に潜り、一発当ててやろうと意気込んでオラリオを訪れる冒険者の数が少なくなってきているのだ。それはもう、歴史上に類を見ないほどに。

 そんな異変がなんだ、やったろうじゃねえか、という気概を持ってやって来る者もいないわけではないのだが。彼らの大半は、いざという時に真っ先に死者に数えられてしまうし、むしろそういう人々が死亡数を底上げしているとも言える。

 

 悪循環は止まらない。

 

 冒険者を志し、オラリオに旅立っていった若者たちのほとんどばかりがこぞって無残に亡くなっている、という現実を知れば。楽して稼ぎたいとか思っている者、だけでなく、将来有望な強い新人ですら。

 

「ここに来なくなってしまう、と」

「それに通常時の死亡数も合わせれば総合で大幅なマイナス、冒険者の数自体が減少傾向にあります」

 

 大手【ファミリア】が無くなったり、遠征隊が全滅したり、といった時とは話が違う。問題はこれが一過性のものではないということ、つまり、原因を取り除かない限りいつまでも状況は悪化し続けるだろうこと、である。

 

 迷宮都市の名を冠してから初めての異常事態に、オラリオは対面していた。

 このまま放置していれば次第にダンジョンに潜る者がいなくなっていき、果ては冒険者という職業そのものが消滅するかもしれない。

 

 非常にまずい、と、神ウラノスも思った、のかどうかは知らないが、ギルドが各大手【ファミリア】に調査依頼を発注し始めた、という噂も広まりつつある。

 冒険者が持ち帰ってくる魔石の関連事業で経営を成り立たせているギルドとしては、まさに死活問題なわけだし、きっと褒賞も豪華になるのだろう、と、中小【ファミリア】も張り切って調査に乗り出している、らしい。

 

 かといって。まだ構成員が司一人の【ブリュンヒルデ・ファミリア】にできることはないし、新人担当官のノエルにも言えることはないのであって。

 

「なんとか、出来ればいいんですけどね……」

「ナツガハラ様が気に病む必要はありませんよ。大手に任せましょう。死なないことが最優先です」

 

 自分にはどうしようもないだろうことは、わかっている。わかってはいる、のだが。

 

 それでもやはり、気にせずにはいられない。だってこれは、恐らく『原作』に出てこない要素だ。

 

 この世界が『原作』のものと違うということを示唆しているのか、取り除かねば『原作』に合流できない異物の存在を表しているのか、それとも。

 知りたい、そして出来ることならば解決に導いてしまいたい。しかし、俺はどこぞの主人公のような特殊なスキルも、チートも持ち合わせていない。普通の冒険者と何ら変わらない、正真正銘の一般人に過ぎない俺が処理可能な事ではないことはわかる。わかってしまう。

 

 だから、せめて。

 

「それはそうと、入団希望者候補の件……も、芳しくないですよね」

「残念ながら。やはりこの情勢ですと、どうにも厳しいものがありますね」

 

 仲間、特に同【ファミリア】の新しいパーティメンバーが欲しい、のだが。現実はそううまくはいかないもので。

 

 今回、『大量発生』を切り抜けられたのは、共闘者が多くいたからだ。誰一人欠けたって助からなかっただろう、それほどに数はモノをいう。

 パンテオンやイネフさんなど他【ファミリア】の人たちとは偶然組んだだけだし、トルドやシーヴさんたちともいつも一緒にいけるわけではない。いわば固定メンバーが必要だと、そう思い至るのは必然だった。

 

 しかしそもそも母数が小さくなっている時点で、俺たちのような弱小に好き好んで入ろうとする物好きがいる確率は相応に下がるし、その内訳を考えると更に下がる。それはもう地を這うような推移が描けるほどに。

 

 ヒルダさんことうちの主神様は、勧誘活動に関しては全面的に任せてくれと言ってくれてはいる。俺を探索に集中させてくれるための措置だろう、が。彼女の実績の面からしてみると、申し訳ないが不安でしかないのも実情だ。

 

 総合すると、時期が悪い。それに尽きる。

 

 それに、一応戦乙女同盟にも入っているし、協力関係はある、現状もそう悲観するようなものでもない、のかも知れない。

 これは、仲間を得るのはまだまだ先になりそうだ、とノエルさんと苦笑いを交わすと。

 

「あのー、はにゃしの途中失礼にゃんだけど、ちょっといい?」

 

 彼女の肩を、ぽんぽん、と、横から叩く手が一つ。

 それなりにギルドに通い詰めて話なり資料の貸し出しなりしている俺は、小さいその手の持ち主を知っている。

 

「? なんでしょう」

「あ、にゃツガハラさんも聞いてくれます? というかあにゃたの方におはにゃしがありまして」

 

 猫の獣人(キャットピープル)のナターシャ・ロギノフさんは一歩引こうとしていた俺を独特のあざとい言葉遣いで呼び止めた。

 トルドの担当官をしていたりする、ギルド窓口受付嬢の中でもマスコット的存在として非常に親しまれている彼女は、似つかわしくない困ったような微妙な表情を浮かべている。何かあったのだろうか。

 

「俺にですか、なんでしょう」

「実はですね……あちらの方にゃんですけど」

 

 ナターシャさんが手で指し示した方向には、目を疑うような美少女が、いや、間違いなく美少女だと確信させるような人物が、佇んでいた。

 

 白いローブ、目深なフードに遮られ顔は窺えない。しかし僅かに覗く金色に輝く頭髪と、纏う荘厳な雰囲気は、生物として、生命体として美しいということをこれでもかと主張してくる。

 

 この不思議な空気を、ツカサは何度か味わったことがあった、気がした。そう、リュー・リオンや、パンテオン・アブソリュートと初めて出会った時に、感じたものと同じような、少し違うような。

 

「冒険者を希望されてまして。それで、にゃツガハラさんが所属している【ブリュンヒルデ・ファミリア】に興味がある、と」

「うちにですか?」

「ええ、まあ、そうにゃります」

 

 まさかの展開に、内心動揺が止まらない。確かに仲間が欲しいとはいったものの。

 と、いうか。驚きというよりかは、どちらかといえば疑問の方が大きくもある。ローブの女性(多分)には申し訳ないけれど。

 何故うちなのか。今の冒険者事情に鑑みても、これはどう考えても不自然だ。それとも、彼女もまた原作ベル君のようなケース、なのだろうか。それなら納得出来なくもない、むしろそのパターンくらいしかないのではないかと思っていたくらいだし不自然では、ない、といえる。

 

 訝しげな視線を向けていることが相手にも伝わったのか、場の空気を読んだのか、美しく洗練された動作で彼女は無造作にフードの下からその頭部を現す。

 

「エリン・ヴァランシーだ。ナツガハラ、といったか。貴方への質問が少々あるのだが、構わないか」

 

 程よく吊り上がった琥珀色の双眸、つんと高い鼻筋に、凛とした声調を形作る薄い唇、腰の辺りまで真っ直ぐ伸びている、眩い光を放つ金髪、すらりとした細い胴、腰の括れ、胸のささやかな膨らみ。彼女を構成するすべての部分がこれでもかと美しさを表現している。

 

 神威を感じ取れない俺は、この場にノエルさんやナターシャさんがいなければ神かと思い込んでいただろう。それほど、までに。

 

「大丈夫、ですけど……」

 

 当然、そんな美少女と目を合わせられてどもらないはずがない。ヒルダさんならまだしも。

 

 そのごついブーツからは考えられないが、全く足音もなく、一歩、二歩とこちらに近付いてきた彼女は、おもむろに指を三本、立ててみせる。なんか良い匂いがする。

 

「我々が訊きたいことは三つだ。まず一つ目、【ブリュンヒルデ・ファミリア】は探索を主活動としている【ファミリア】か?」

「そう、ですね」

「では次だ。【ブリュンヒルデ・ファミリア】に所属する団員は貴方一人のみか?」

「は、はい」

「三つ目。【ブリュンヒルデ・ファミリア】は結成されてからそう日が経っていない【ファミリア】か、またそれはどのくらいの期間か?」

「できてから約四ヶ月半、くらいだと思います」

「そうか、成る程……」

 

 矢継ぎ早に質問を飛ばしてきたエリンさんは、口を閉じると、顎に手を当て何やら考え込む。

 

 なんだったんだ、今の三つは。何を求めているのだろうか。いや、それより、妙に意識の端に引っかかったのは、彼女の自称。確か、「我々」と言っていた。

 

 呆気に取られていると、同じく困惑している様子のノエルさんが俺の肘をつつき、「戦乙女同盟(あれ)」を言わなくていいのか、と目で訴えかけてきた。

 

「あ、えと、うちは戦乙女同盟というものに加入してまして。同じく戦乙女(ヴァルキュリヤ)が運営する商業系やら幾つかの【ファミリア】と友好関係にあります。一応」

「ふむ。それは、それで都合が良い、かも知れんな」

 

 俺の言葉を受けて、エリンさんは何処かに納得した表情を見せたかと思うと、一人で深く頷く。

 

 俺たちの周囲には、あまり関わりがあると思われる人物は見当たらない。だとしたら彼女には、別行動をとっている仲間がいる、ということ、だろうか。

 もし複数人であるならば、先の問いかけの意図を多少なりとも推測出来るようになってくる。例えば、弱小であるこの【ファミリア】を乗っ取ろうとしている可能性、等も、有り得る。

 

 警戒、しなければ。

 

「では、貴方の主神に会わせてくれ。話がしたい」

「……わかりました」

 

 ここからはギルドの介入はない。俺とヒルダさんとこの美少女、エリンさんの三者の話になる。正直不安しかないが、やるしかない。

 嘘を感知出来るヒルダさんがいれば、それなりに交渉は有利に進められるはずだ。少なくとも、俺が一人で臨むよりはずっと。

 

 

 この出会い、吉と出るか、凶と出るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、それでは。面接を始めたいと、思います」

 

 俺の主神は、至ってにこやかに会話を開始した。

 

 四人掛けのテーブルの一辺に俺とヒルダさん、対辺にエリンさん。結局、帰路に彼女が誰かと合流することはなかったし、連絡を取り合う様子も見られなかった。だからといって、警戒を解くわけではないが。

 

 前回、『箱庭』での時は、ヘリヤさんカーラさんエイルさんの三柱がいたため、実は俺はヒルダさんの交渉能力をあまり把握できていない。まあ仮にも神なので大丈夫、だとは思う。

 あらかじめ要件は話し合ってあるし、エリンさんの「我々」発言のことも伝えてある。その上で、流れはヒルダさんに任せる。

 

 目標はもちろん、新団員の獲得。

 

 仲間が増えるのは純粋に嬉しい。相手の素性が分からない以上はまだ数の面でしか言及できないが、場合によっては【ファミリア】そのものの活動の幅が広がる可能性すらある。

 

 避けなければならないのは、もしこのエリンさんが俺たち【ブリュンヒルデ・ファミリア】を乗っ取る、あるいは騙すかして罠に嵌めようとしていた場合の被害だ。

 まだうちは団員が俺一人だけなので、どこかの一般的な団体がその気にでもなれば、簡単に壊滅してしまうだろう。逆に、そのためにメリットが見出せない、というのもあるが、動機などは些事に過ぎない。

 

 前もって『戦乙女同盟』を出したのは、単なる判断材料の追加、だけでなく、そのような危惧への抑止力として働くことをも期待してのこと、だったのだが。

 

「よろしく頼む、神ブリュンヒルデ、ナツガハラ」

「うん、よろしくね。それじゃまずは、簡単な自己紹介をしてもらえるかな?」

 

 それにしても。面接というものにはいい思い出はない。ある奴などかなり少数派だとは思うけど。

 現世での、特に大学受験の苦しみが思い出され、俺はまったく関係ないことに胸を痛ませる。

 

 そんな俺とは違い、エリンさんは実に落ち着き払った様子で語りだす。

 

「名はエリン・ヴァランシー。オラリオ(ここ)には、知見を得る為に訪れた」

「ん、それじゃあ、短期間の滞在を希望してるってこと?」

「いや。半永久的に留まるつもりだ」

 

 横目で捉えている限り、ヒルダさんは嘘を感知していない。

 神威が効かない俺の嘘も破れるのだから、恐らく神のその能力は絶対的なもの。信頼できるはずだ。

 

 だと、すると。少し、引っかかるのだが。

 

「ほうほう。じゃあどうしてうちに? こう言っちゃなんだけど、普通はこんな零細より大手に行くところじゃない?」

「規模が小さい方が、都合が良いと考えた結果だ」

「その都合、って?」

「大きい組織では個人の自由が利きづらい。そういった点で、融通が利く、という意味だ」

 

 他にも、なんとなく。態度の面でも、気になるところが。いや、気に食わないとかそういう話ではなく。

 

 うちを選んだ理由がやけにさらりと流されたが、まあ確かに、理屈は通って、いる、のか?

 

「なら、放任主義のところは考えなかったのか? 【ソーマ・ファミリア】とかさ」

「そういったところは、積極的に「奥」を目指そうとしていない。我々の目的に合致していない為、候補には入れなかった」

「えっと、「奥」って……ダンジョンの下層のことか。まあ、そうだろうが……目的?」

「先ほども述べたように、見分を広めることだ。迷宮についての知識を深めたい」

 

 ヒルダさんが何も言わないということは、嘘はないということ。

 正直、ただエリンさんを迎え入れるつもりならば、こんなに問いただすべきではないのかもしれない、とも思う、が。入団すれば、こんなに小さい組織なのだから、どのみち明かすことになるだろうし、結果としては変わらない、と考えていてくれることを願うしかない。

 

 そんなことを、いまだに主神に大きな隠し事をしている俺が願えたことではない、だろうが。

 

「それは、探索をして名を上げたい、とか、一山あてたい、とかじゃなくて。情報収集がしたい、ってことでいいの?」

「認識としてはそれで差支えない」

「……個人的に謎の解明が出来ればそれでいい、のか?」

「有益な情報は適宜公開される方が都合が良いとは思っているが……ああ、外部の者と共有するのか、ということだな?」

 

 まずい、踏み込み過ぎてしまったかもしれない。察しが良いのか、想定していたのかはわからないが、反応が鋭すぎる。

 露骨に警戒していることが伝われば、下手したら交渉決裂どころか【ファミリア】の存亡が危ぶまれかねない。今更だが余計な口出しはせず、ヒルダさんに丸投げした方が良い気がしてきた。

 

「正直に言っちゃうと、私たちはまだあなたを信頼できていないの。不確定だったり不安な要素があればどんどん突っ込んでいくけど、いい?」

「【ファミリア】に加入する以上、それくらいは当然だ、一向に構わない。要求に応じて我々の如何なる情報も開示しよう」

「話が早くて助かるわ。じゃあまず、話の続き。あなたは外部の何らかの組織に属しているか、から訊かせてくれるかな」

 

 面倒くさいやりとりは終わりにしよう、とばかりに二人はさっさと進めていく方向に切り替える。

 いまの言葉だけで、十中八九、組織ぐるみでここを乗っ取られてしまうことを恐れている、という意図が伝わってしまうだろうが、もう仕方ない。ごめんなさい。

 ここまでの感じからいって、彼女の返答はまず間違いなく肯定。知識を得ても保存する先がないのも気になったし、何より「我々」という一人称。逆にひけらかしているようにも思えるそれは、何を思っての発言なのか。

 

「我々は……そちらが言うところの『組織』には、入っている、ということになるだろう」

「その表現の真意は?」

「一般にはそう呼称するだろうが、我々はそうは認識していないからだ」

 

 俺たちから見れば組織であり、彼女からしてみれば組織でない。そんなところか。そんな風にわざわざわかりにくくする理由はわからん。

 

 それにしても。不気味なことに、彼女は先ほどからずっと微動だにしていないし、その上、物音一つ立てていない。なんか、機械のような冷徹さ、とでもいうのだろうか。そんな印象を受ける。

 

 とても、人間では、ない、ような。

 

「それは、後々訊くであろう『我々』という人称とも関係がある。オラリオに別の仲間がいるか、という問いにも繋がる」

「それだけで大体のことに説明がつくようになるってことね」

「まあ、そういうことだ」

 

 彼女は、人間(ヒューマン)でないようには見えない。少なくとも、俺からは。

 

 ドワーフのようにそう筋肉質ではなさそうだし、アマゾネスのように肌が褐色ではなく、獣人に特有の身体的特徴も一切ないし、当然ながら小人族(パルゥム)でもない。唯一ありえそうなのがエルフ、ではあるが、()()()()()()()()ので、それもない。はず。

 

 それでも感じる、この違和感はなんだ。

 

「我々は一であり、全である」

 

 なんだ、哲学かなにかか。

 

 俺は胡散臭さに眉根を寄せるが、ヒルダさんはその逆に、より真剣な眼差しを彼女に向ける。

 

「要するに、組織は我々であり、我々自体が組織。そこに個人などという概念は介在せず、全てが単独で組織である故に我々は、我々という言葉で線引きをしている」

「ん、なるほどね」

 

 口頭で色々と小難しいことを言われても、俺にはよくわからない。ヒルダさんはしっかり理解出来ているらしいが、せめて文章で示されないと俺には無理だ。

 初めから思ってはいたが、彼女、結構、面倒くさい類。堅物、という言葉が似合いそうな感じ。

 

 さっきは否定したけれど、あの種族に似ているように思えてくる……。

 

「よって、組織には属している。ここには仲間はいない。何故我々がそう言うのかは――」

 

 その瞬間、彼女は面接もとい会話が始まってから、初めて。定型ではない行動をとった。

 

 少し目を閉じ。ゆっくりと開く。

 

 外見的には確実に人間であろう彼女は、その薄い唇を小さく動かし。言葉を解き放つ。

 

 

 

「――我々が、『エルフ(elf)』であるからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オラリオ北東北、住宅街寄りの区画。

 竃の女神ワクナの眷属たち【ワクナ・ファミリア】が経営する食事処、「竃」。主に一般人向けに開かれているその店舗で、今夜は冒険者たちの声が響いていた。

 

「僕はトルド・フリュクベリっす。やー、嬉しいっすね、エリンさん、よろしくっす!」

「此方こそ。あと、敬称は出来れば止めてくれ。好きじゃないんだ」

「了解了解! 私はロザリー! よろしくね! こっちの愛想悪いのがー」

「……シーヴ・エードルント」

「キッカ・カステリーニ! あたしもキッカでいいよ! というかエリン超美人! お人形さんみたいに完璧じゃん! ちょっと、さ、触らせてもらってもい、いいですか……?」

「丁重にお断り申し上げる」

 

 集まっているのは、『戦乙女(ヴァルキュリヤ)同盟』の【ファミリア】の面々。

【ヘリヤ・ファミリア】からはトルド、ヒメナ、グスタフ、【カーラ・ファミリア】からはシーヴ、モニカ、キッカ、【エイル・ファミリア】からはロザリー、ヨシフ。あとは【ブリュンヒルデ・ファミリア】の二名、そして各神々、計十四名。

 

 いわゆる、歓迎会、というやつである。

 

「二人目二人目、めでたいねえ。飲もうぜ飲もうぜ」

「そうねえ。ここは奢ってあげるから飲みましょ~」

「いや、主催はうちだしそれは流石に悪いよ」

「遠慮すんなよ。どうせ飲みたいだけだろうし、気にしなくていいと思うぞ」

「ええ……」

 

 店内は実質貸切と化しており、二十人入るかどうかというところに、各々が好きなように座っている。

 中央の大テーブルには新入団員のエリンと、彼女を取り巻く社交性の高い面々、四人席には女神たち。そしてカウンターに俺、ヨシフ、ヒメナさん。

 

「急だったのに、わざわざありがとうございます。えっと、大丈夫ですか? うるさすぎたりとか」

「全然構わないよ、むしろ大歓迎だ。いつもこんな感じだし、賑やかな方がこっちも楽しいし」

 

 どう見ても小学生としか思えないほどの体躯を持つ女神ワクナは、一端の神らしく、不釣り合いなほど大人びた穏やかな笑みを浮かべてくれる。

 

 原作の女神ヘスティアが割と子供っぽい面が多い印象なので、それを更に幼くしたような容姿の彼女には何とも言えない違和感を覚えてしまう。失礼だから絶対言わないけど。

 

 わいわいと盛り上がっている皆の声を聞いていると、こちらとしても楽しくなる。

 

 結局、エルフを自称する少女、エリン・ヴァランシーは、俺たち【ブリュンヒルデ・ファミリア】に入団する運びとなった。不安要素がないわけではなかったが、彼女は敵意も害意も一切持ち合わせておらず、信用に足るとヒルダさんが判断した。

 その決定に意を挟むつもりはない。むしろ任せた方がいいだろう。そういう方面は、俺より彼女の方がずっと優れているだろう。本職戦乙女だし。

 まあそんなこんなで、主に『戦乙女同盟』への通達を済ませ。歓迎会をしよう、という提案が女神たちの間であがり。そういえば【ワクナ・ファミリア】が経営する店があったはずだ、頼んでみよう、となり。その翌日の夜。

 

「おうツカサ、来てくれたのか。ありがとな」

「……どうも」

 

 赤髪の青年と、言葉少なな小人の女性が、料理の皿を運びつつ言葉を投げかけてくれる。負傷は、もうどこにも見られない。

 

「是非とも、今後もご贔屓に頼むよ~」

「はい、もちろん」

 

 過去二回の『大量発生』(イレギュラー)を共に生き抜いた仲間であり、原作のキャラクターに酷似した外見を持つ不可解な二人、イネフさんとカテリーナさんが給仕に動き回る。それが佳境に入ったと見るや、ワクナさんは店の奥へ駆けて行った。

 

 聞く限り、【ワクナ・ファミリア】の眷属は現状四人。ワクナさんも合わせて計五人で切り盛りしているらしい。残りの二人は厨房だろうか。

 

 見かけだけでなく、その声も、恐らく人格も。俺が知っている人物達と被る部分が非常に多いこの【ファミリア】は、俺からしてみれば不可解極まりない存在であった。善人であることはほぼ確定してはいる、がしかし、「なにかある」こともまた、同様に確からしい。

 

 現状、何のために、どうして俺がこの世界にいきなり来てしまったのかについての手掛かりは何も無いのだ。

 そのために、まず調べてみるべきは、原作との乖離が起こっている点。一つ目は言わずもがな『大量発生』であり、二つ目は今の世界のオリジナルキャラクターとでもいえる人物たち。前者は俺単独での攻略が困難なため、今出来ることは自明に後者のみ。

 その中でも最も特異であると思われるこの【ファミリア】にならば、何かあるのではないか、と目星を付けている。リリルカ・アーデやヴェルフ・クロッゾに似た人物がいるなら、女神ヘスティアに似た竃の女神がいるならば、きっと。

 

「ナツガハラさん、ですか?」

 

 

 原作主人公、ベル・クラネルに似ている人も、いる可能性が高い、と。そう、考えていた。

 

 

 白髪に赤目と、まるで兎のようなカラーリングの少年が。

 

 

「仲間がお世話になったようで。どうもありがとうございます」

「ぁ……いえ、こちらこそ。それに、俺一人の力ではなかったので」

 

 少しだけ。呼吸が乱れる。予想はしていてもやはり頭が追いつかなかった。

 

 料理を出し終えたのか、厨房から出てきた一人の青年が笑みかけてくる。

 

 歳は、俺と同じくらいだろうか。二十前後くらいに見える。落ち着いた穏やかな雰囲気を纏い、立ち振る舞いも爽やかで自然。しかし声はそれなりに高く、特徴的な感じ、というか松岡さん。白い髪は恐らく原作より長めで、どちらかというと中性的な印象を抱かせる。紅い瞳に宿った幾許かの憂いは、大人っぽさを醸し出す。

 

 ヴェルフ・クロッゾに対してのイネフ・マクレガーと同じく。ベル・クラネルが成長したらこうなるだろうな、というその人物は、すっと手を差し出してきた。

 

「それでも、貴方のお陰でうちの団員が助かったのは事実です。【ワクナ・ファミリア】団長として、感謝を」

「恐縮、です。えっと」

 

 彼の手が、俺の右手を力強く、それでいて優しく握る。

 

「クロッシュ・ソナーです。【ウルスラグナ・ファミリア】の方たちにもお伝えください。ここにお誘いいただくのも歓迎しますよ」

「紹介しておきます」

 

 前に会ったことのある、原作キャラクターのリュー・リオンさんとはまた別の。圧倒的なまでの存在感を放つ彼は、明らかに俺なんかとは格が違う、それだけはすぐにわかった。

 

 少なくとも、Lv.1ではない。2か3かはわからないが、纏うオーラは強者のそれ。か弱い兎など、連想できるはずもない。

 でも、如何に中身が違おうとも、何かしらの関係はきっとあるはずだ。こんなに原作主要キャラ達に似通った人々がいて、偶然でした、では済まされないだろう。

 気になる、というよりは。これは、()()()()()()()()()()()要素では、ないのか? これは、前の『大量発生』と同じく、原作の世界とズレている部分なのではないか?

 

「では、僕はこれで。まだ仕事がありますので」

 

 確かめようかどうか、訊くかどうか。俺が意を決する前に、クロッシュは厨房へ戻っていってしまう。

 

 その背に、声をかけることは、できなかった。

 まだ、わからないことが多すぎる。この世界に来て四ヶ月、生活に慣れるのには十分な期間だが、理解するには短すぎて話にならない。

 彼がもしベル君と関わりがあるならば、女神フレイヤは、ゼウスは、ヘスティアはどう関係してくる? 他のメンバーは、ヘファイストスやソーマ、タケミカヅチは? 世界のシステムと直結している神々はこれの一端を担っているのか? 俺がここにいることと何の因果があるんだ?

 

 わからない。

 

 手がかりも心当たりもヒントも何もない現状では、動きようがない。ゲームの中ではないのだ、セーブも出来ない以上は全て一発勝負、そんな、間違えれば即終了の可能性があるうえやり直しがきかない状況で、無闇に行動するのは自殺行為にも等しい。それは勇敢ではなく無謀という。

 先の見えない暗闇に足を突っ込むのが、怖くて仕方がない。捉えどころのない恐怖が、俺の声を喉の奥に縫い止めていた。

 

「ツカサ、どうかしたのか?」

 

 俯いて固まっていた俺の顔を、ヨシフが訝しげに覗き込んでくる。彼の手を視界に認めたところで、思考が回り出す。

 

「あ、いや……なんでもない」

 

 本人達に直に訊くのも、他人にその疑問や思考を漏らすことも、してはならない。何に繋がるか知れたものではない、危険は極力避けるべきだ。

 かといって、不自然な反応をしておいて本当に何もないというのも相当に怪しいし。どう返したものか。

 

「クロッシュ・ソナー。通称『鮮血の兎(ブラッド・ラビット)』のクロ。探索において名を馳せたLv.3ともあろう強者が、何故最近になって飲食店経営なんかに興じているのか、気になっている。とか」

「え」

「ほう」

 

 答えに窮しているところに、ヨシフの向こうからヒメナさんの独り言じみた言葉が飛んでくる。はっとして目を向けるも、しかし彼女はもうスープに口をつけて前を向いていた。

 これは、助け舟、ですか。

 

「そう、不思議なことではないとは思うけど、な。シーヴさんの例もあるし」

 

 シーヴ・エードルント、【カーラ・ファミリア】団長の彼女は、服飾関連の仕事をしたくてオラリオに来たし、今は店も開いている。残念ながら本人は別の部署を預かっているのだが、それはまた別の話。

 けして珍しいわけではない、はずだ。探索系だけが【ファミリア】じゃない、【ヘファイストス・ファミリア】や【ゴヴニュ・ファミリア】のように鍛冶を生業とするところや、【ディアンケヒト・ファミリア】のような店舗系や【デメテル・ファミリア】という農業系まで存在する。形は多種多様、自由だ。

 

「まあ、そうだろうね。でも、確かに。気になるところはあるね」

「……だな」

 

 先ほどのヒメナさんの情報からすると、彼はシーヴさんのように成り行き上、というわけではなく、望んで探索系【ファミリア】につき、レベルを上げたように思われる。

 だとすると、そこには転向理由があるだろう。その点は割と、気にはなる。本筋ではないにしても。

 

「トラウマ、だとしても。多分うちには来てないね。応対した覚えがないよ。……話も、聞いたことはないかなあ」

 

 ヨシフが所属している【エイル・ファミリア】は、一般人には病院として、冒険者には精神のリハビリ施設として運営されており、彼はそこで経験を活かして主に働いている。仕事上、同業者と情報を共有する機会も多いはずで、クロッシュが訪れていれば彼の耳には入るだろう。

 

 いや。

 

 他の病院の精神科にかかっているのかもしれないし、治す気がない可能性だってあるし、そもそも原因はまったく違うことかも知れない。

 

「限界を感じたとか、諦めたとか、満足したとか。引退の原因はいろいろあるからなあ」

「僕としては、申し訳ないけど、勿体無い、って思っちゃうな。やっぱりさ」

 

 冒険者の大半が辿り着けないとされているLv.2を上回るLv.3。そこまで到達していながら、彼はそこで降りた。

 探索に行きたくても行けない奴もいる。そういう人間からしてみれば、とんでもなく贅沢な選択に思われて仕方がないのだろう。

 

 ヨシフの眼は、クロッシュに何を写したのか。

 

 俺には、わからない。

 

「平気だったら、パーティでも組んでもらえないかと思ってたんだけどな」

「厳しいねえ」

 

 解消してからしばらく経つが、やはり、未だにスハイツさんと組んでいたときの感覚は忘れ難い。

 圧倒的強者に背を守ってもらえる安心感。それがあるから俺は積極的に戦闘をこなしていけた。短期間での大幅なスキルアップに繋がった。その意識が残っていたから、前の『大量発生』を生き残ることが出来た。

 

 だがしかし、そうは言っても頼り切ることもよくはない。あのまま続けていれば、スハイツさんのような格上に帯同してもらわなければすぐ死ぬような奴に成っていた可能性も十分にある。

 そんなわけで、今回はクロッシュと組めないということは、俺にとってはよかった、のかも知れない。

 

「ま、トルドももうすぐいつものように出掛けるだろうし、しばらくはエリンさんと二人かなあ」

 

 それでも、一人でないというのは相当大きい。

 相手が弱かろうが強かろうが、関係はない。弱ければ慎重になるし、フォローにまわる必要が出てくる。人数が増えること自体が、生存率の上昇に直結するのだ。

 油断しないこと、身の丈に合った冒険をすること、などがまず前提になってくるが、それでも精神的にはだいぶ楽になることは間違いない。

 

「もう彼女の実力はみたのか?」

「いや、まだだ。明日あたりシーヴさんと一緒に初探索の予定……なんだけども」

 

 俺だけではやはり難しいかも、ということで、付き添いをしてもらうことになっている。俺には、『付き添う側』の経験が皆無だから。

 しかし。ちらりとテーブル席の方へ目をやると。

 

「もう一杯」

「はーい」

「……シィ、そろそろ止めたら? 明日迷宮(ダンジョン)行くんでしょ?」

「やめときなロザリー、無駄だって。わかってんでしょ、こいつ飲み始めたら止まんないんだから」

「ん、大丈夫。まだいける」

 

 当のシーヴさんは、もう何杯目かわからないお代わりをワクナさんに追加注文しては即飲み干す、を延々と繰り返している。

 明日、本当に大丈夫だろうか? 一抹の不安がよぎるのだが。

 

「そーだもっといけシーヴ! どうせエイルの奢りなんだ、飲め飲め!」

「おいおいあんまり煽るなって。ほらヒルダからも何か……って、寝てるし」

 

 場の雰囲気的にも、実力的にも。今のシーヴさんを止められる人はいない。いくらいつもは温厚な人とはいえ、酔ったLv.3に近付くのは危ない。

 

 あの様子だと、きっとまだまだ飲むつもりなのだろう。夜は始まったばかりだ。

 

「駄目かも、しれないな」

「一応、覚悟はしておくか……」

 

 普段は冷たく凛としているシーヴさんの顔は明らかに紅潮しており、その目はとろりとろりと揺れて、心なしか狼耳もくたりと垂れているようにも見える。あれは多分無理なやつだ。

 

 二人でも、なんとかなるとは、思うけれど。

 

 苦笑いを浮かべながら、身体をカウンターの方へ戻そうとする、その刹那。ぞわりとした感覚が、全身を駆け巡る。

 

 

 空になったジョッキたちが並んでいる向こう。いつの間にか、輪の中心から外れていたエリンさんと、ふと目線がかち合う、というよりは。わざと、()()()()()

 

 

「……!」

 

 気付けば、周囲の喧騒が既に遠ざかっていく。賑やかな居酒屋の内装が、他の人物たちが、色褪せて、存在が希釈されていく。

 

 世界が、狭まって。俺と、エリンさんと。二人だけに、なる。

 

 温度がどうとかの話じゃない、醒めきっている。完全に据わった眼というものを、初めて直視した。

 

 釘付けにされたように、目を逸らせない。逃げられない。彼女に、囚われている。黄褐色(アンバー)の瞳が、俺を縛り付けている。

 

 怒っているような? 違う。

 

 軽蔑し、嘲笑うような? 違う。

 

 落胆、しているような。何か、中身を、奥底を、覗き込まれているような。

 

 この世ならざる一対のそれを、どう形容したらいいのだろう。

 

 

 そう、これは――

 

 

「おうツカサ、ちょっといいか?」

「! あ、なん、でしょう」

 

 肩を叩かれ、硬直が解ける。驚くべきことに、何秒間にも、何十秒間にも感じられたその一瞬がまるで嘘だったかのように、エリンさんはトルドと向き合って話をしている。ずっと、そのままだったかのように。

 

 眼の錯覚でも、幻覚でもない。確かにあったはずのその時間は、消え去っていた。

 

 エリンさんの目に呑み込まれそうになっていた俺を引き戻したイネフさんは、先程までとは少し違った様子で。

 

「あー、その、敬語はやめてくれ。なんかむず痒くなっちまう。っと、じゃなくてだな。いや、それもあるんだが」

「?」

 

 妙な態度で言葉に詰まる彼は、困ったように顔を歪める。

 

 頭を掻き、顔を俯けるイネフさん……イネフ。の、身体に隠れるようにして、カテリーナさんが若干怯えるような面持ちで此方を見詰めているのにも気付く。

 

 二人揃って、何か用だろうか。一応、礼とか恩とかそういうのは無しにしようという事の運びにはなっていたはず、だけれども。

 

「えぇと、前もって言っておくが、これはこの前の事とは直接的には関係ねえし、聞いてくれてもくれなくても構わねえ。実質的にはただの俺らの我儘みたいなもんだからな」

 

 それを踏まえた上で頼む、とイネフは続ける。

 あれ、こんな展開はどこかで読んだ気もするぞ、と思った時には、次の句は紡がれていた。

 

 

 

「俺たちを、お前のパーティに入れてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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