遅れてすみません、インフルエンザにかかっておりました。
少々・・・いやかなり強引です、セイバーの願いのところとか切嗣の所とか。・・・啓蒙を高めよ・・・私の描写していない所すら見える程に・・・・・・(ヤーナム探索楽しいれす)
前回の話を少し直しました。何故かショウ君が平然と皆の前で十二の試練の名前出してるのを発見し、口が滑ってるじゃないか!と思いまして、その部分を「特異な体質」に変更してあります。病み上がりで直した部分なので、てかこの話も病み途中に書いたものなので寧ろ矛盾が出来てしまってるかもしれない・・・。
「よく集まってくれた・・・・・・さぁ、早く始めよう・・・。」
僕達は再び杏里聖の家に来ている。・・・・・・しかし、いや、見間違いなどではない、と思うんだが・・・。
「ね、ねぇ切嗣・・・なんだか杏里聖のようすが・・・」
「そうだね・・・なんていうか、こう・・・燃え尽きてる?」
そう、なんていうか性根燃えつくしたみたいな・・・。彼の言う「魔力補給」・・・確か彼の魔術よりも効率が良いとか言っていたが、それはつまり・・・にしたってあんな真っ白になるかい?
「ね、ねぇ、パパ?やっぱり私の魔力上げましょうか?」
「いや、良い。ダイジョウブダ」
「カタコトになってる!?」
・・・キャスターの言葉を聞く限りだと魔力が不足しているのだろうが・・・、その割には元気はありそうだ。
「ふぅむ・・・それ程の名器であったか・・・どうだ、1度余と「エリザベート魔力をくれ、アイツ殺せない」ふはははは!元気はあるようで安心した!」
・・・はぁ、このライダーは何処までも自由な奴だなぁ。
さて、気が緩んでいる、気を持ち直すとして・・・本当に彼は願いを叶えられるのだろうか?僕らマスターの願いは聞いてなかったが・・・。
「一つ、質問がある。」
ケイネスが胸の前まで手を挙げ、注目を集める。
「何なりと聞くといい。その質問に答えることで信頼を得られるのなら安いものだ」
聖はケイネスの方を向き、ケイネスの目を見つめ、そう答えた。
「では。・・・・・・例えば、私の願いが貴様との由緒正しき正々堂々とした決闘であるとしたら・・・貴様はその首を縦に振るのか?」
ケイネスの問に、聖の表情が僅かに動く。それはまるで意図していなかった、思いもよらぬ、といった感情の現れに見えた。
「ほぅ・・・・・・。いや、すまないな、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、俺は貴方を過小評価していたらしい。」
真顔で、真剣に聖はケイネスにそういった。・・・過小評価?どいうことだ?
「それはどういうことだね、杏里 聖」
ケイネスの眉が吊り上がる、希代の魔術師を過小評価していたなど、流石としか言いようが無いが。
「てっきり『魔術師としての箔付け』などの願いと踏んでいたが・・・どうやら違ったらしい。いや、良いとも。戦おう、それで貴方の願いが叶うというのなら。だがその前に他の者達の願いを叶えてしまわねば、妻も苦しそうだからな」
聖の視線に釣られ彼の妻の方を向いたが・・・ツヤツヤしていてむしろ御機嫌にみえる。
「汝に問おう、目の前に有るは万能の聖杯ぞ。汝、願いは何か。汝、我に何を求むるか。」
マユが神々しくも禍々しい魔力の奔流の様ななんか凄いオーラを放って大袈裟な演技のように両手を広げている。俺の気分は授業参観で子供の演技を見に来たお父さんだろうか?まぁ妻だけど、目の前の。
前回の聖杯戦争では魔力も技量も足りなくて全く何も出来なかったが・・・今回は魔力は有り余るほど・・・あったんだけどなぁ・・・。神代の食事で魔力をある程度回復したはいいのだが、マユのこの世全ての悪が聖杯の魔力に呼応しないようにそれはそれは沢山の魔法を使って頑張った結果再び魔力が尽きた。
「おおぉ・・・!こりゃまた凄い・・・。」
まずはイスカンダルだ、彼奴の願いは受肉、一番簡単だからな。ちなみにエリザベートは今朝受肉させた。その時は平気だったからな、さっさと終わらせなきゃ行けないんだ。いつこの世全ての悪が目覚めるかわからん!
「さぁ征服王、早く願いを。いつ暴走するかわからん」
「んん?相わかった!・・・万能の聖杯よ、数多の英傑の希望よ!余の願いは一つの個としてこの世に根を下ろすこと!受肉を望む!」
「願いは―――――――――聞き届けた。」
マユの黒髪が扇のように広がった。そこから放たれる魔力の濁流がイスカンダルを飲み込んでいく。
「ぬぉお!?」
魔力が渦を巻き、暴風が吹き荒れる。
いやぁ、・・・アレのせいで家の内装がががが・・・・・・oh…、なるほど・・・やっぱり城買うしか・・・。
「ライダー・・・否、征服王イスカンダルよ。汝の肉体は確かに個として根をおろした。しかし、その根は貴様を縛り付けたりはしないだろう。何なりと、好きに生きるが良い。」
「ハッハッハ!そうとも!縛れるなどごめんよ!余の方からしがみついてくれる。さて、目下の敵はクリントンだなぁ。」
・・・・・・うん、・・・こいつを受肉させて良かったのか少し心配になったぞ?
・・・さて、次にセイバー・・・と言いたいんだけど・・・セイバーの願いは叶えるわけには行かないんだよねぇ。
だってマユと会えなくなってしまうわけですからね?流石に叶えさせるわけには行かん。俺が幸せになる事が相棒の願いだったわけで、幸せにならなきゃ行けないんすよ。
「では次は私が」
アルトリアが目の前に肉を吊り下げられたライオンのように喜び勇んでマユの前に。
「まて、アルトリア」
「?どうかしましたかショウ」
マユと俺を交互に見て、しかし、話しかけられたのなら答えねばと葛藤し、こちらに向き直るアルトリア。
「貴女の願いを叶えるわけには行かないんだ」
アルトリアにとって、それは死の宣告よりも恐ろしいものだろう。わかっていて尚、それも聖杯を目の前にして告げる俺は糞野郎だと思う。
「なっ!・・・な、何故ですか杏里 聖・・・。」
ほら、呼び方が戻った。好感度が下がった▼ってな。
「理由は簡単だ、俺がマユに出会えなくなる。ただそれだけだ。力で解決するのもまた良し。俺は魔法使いとして『全力』をもってお相手しよう」
セイバーが何かをいう前に、俺は「だがその前に」と話を繋いだ。
「貴女には会って貰いたい人・・・・・・いや、騎士がいる。」
「騎士?・・・・・・ランサーの事ですか?」
「否、彼のクラスはバーサーカーだ」
「なっ!・・・バーサーカーと会わせるのには何の意味があるのですか・・・?」
んー?そこはもっと罵られるかと思ったがね、割と信頼はされてるのか?よくわからなんなぁ人付き合いは。
「彼はクラスこそバーサーカーだが、狂化は俺が解除してある。」
「・・・・・・会ってどうしろと」
まぁそこは知らんのだけども。バーサーカーが会いたいって言ってただけだし。・・・すっごい暗い顔で。・・・わざと殺されに行かなければいいなぁ。
「アルトリア、貴女の願いはその騎士と話した後にしてくれないか?その後も貴女の願いが変わらない様であれば、全力でお相手する。」
「・・・ぐっ、・・・ええ、わかりました。鞘の無い私では貴方の全力とやらには勝てそうにない」
・・・鞘、あるんだよなぁ・・・後ろのマスターの中に。
「彼は教会の墓地に居るそうだ。行ってくれ」
「では、次にランサーの願いを叶える。」
杏里聖はそう言ってランサーの方を向いた。ふん!これでやっとランサーの本性が見えるというもの。全く何が『主に仕える事こそ我が願いです』だ、胡散臭い。どうせ最後に裏切る腹づもりだったのだろう、だがその打算も規格外の魔法使いによって無駄になったわけだ。
「いえ、高名な魔法使いよ。俺の願いは主、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト様に仕える事。願いは既にかなっております。」
・・・なんと、まだ白を切るか。そう思った私だったが聖杯の言葉には驚かされた。
「嘘偽りの無い願いは聞き届けた。ショウ、この場合は受肉でいいのだろう?」
「あぁ、受肉させてやれ。」
それは不味い!サーヴァントだからソラウと少なくとも壁があったというのに!受肉したらもう押えが効かんだろう!
「まっ!ぬぅお!」
待てと言う前に暴風が吹き荒れ、ランサーの受肉が完了してしまった。お、おのれぇ・・・。血管が額に浮き出るほどの怒りを、しかし見られているために抑える。
「主、私は・・・・・・。受肉したとしても、主の使い魔として、騎士としてお守りいたします。」
もうコイツの願いはソラウを私から奪うことなのではと思い始めたぞ。昨日も私の前でソラウの視線を独り占めにしおって!あぁなぜなんだソラウ・・・!なぜこんな顔だけ一文無しなんかに・・・おのれ呪いの黒子め!あのホクロ引きちぎってやる!
「いっ!?痛いです主!?わ、私に何か至らぬ点が有りましたでしょうか!?」
「えぇいそのホクロが邪魔だ!受肉なんぞしおって!寝とる気だろ!私からソラウを奪う気なのだろう!」
「ちが!違います主ぃ!すべてはこの呪いが悪くて!」
「だから取れと言っているんだこの馬鹿者!」
「持って生まれた呪いなのです!取りたくても取れませんっ!」
「さて、では・・・・・・そうだな、アイリスフィール。貴女の願いは?」
アイリスに俺が問いかけると、アイリスは一瞬キョトンとした後考え始めた。まぁ予想だと切嗣とイリヤと幸せに暮らしたいとかそんなんだろ。
「・・・・・・イリヤの・・・イリヤと私達が一緒に暮らせるようにならないかしら?」
ふむ、つまり寿命やら体質やらを諸々治せってことやな?『出来るか?マユ』『もちろんだ。私を誰だと思ってる』『嫁』『・・・』
「・・・叶えようその願い。【人の肉体を手に入れる】でいいか?」
するとアイリスが首を横に振り、否定する。
「ホムンクルスで構わない。あの子も半分はホムンクルスだから。私の寿命を縮めている理由は小聖杯にあるわ、だからそれを取り除いて欲しいの。」
・・・・・・ふむ、だがそれだとアインツベルンからの必要性が無くなって庇護を受けられなくなるな。どうすべきか、その後の安全は保証できないぞ今のままだと。
「待ってくれアイリ、それではアインツベルンが何をしてくるかわからない。イリヤを人質にとられている以上迂闊には・・・動けない。」
切嗣がアイリスを説得し、願いはお預けとなったようだ。ううむ、さっさとイリヤを助け出すべきだったか。
「では切嗣の願いはイリヤの救出か?」
マユが嫌な笑みを浮かべ切嗣に問いかける。やばいな、この世全ての悪が表面化し始めている。
「・・・いや、僕の願いは「あらゆる戦乱と流血の根絶、恒久的な平和」だ。・・・叶えられるかい?」
切嗣のセリフにマユがニタリと笑う。うわぁ、やべぇよ、そろそろ制御ガガガ。切嗣もそれに気が付いているのか冷や汗が垂れそうになってる。まぁ正直近くにいるだけで重力が増したんじゃないかって位の魔力が迸ってる訳ですからね。十二の試練を全開放した俺よりは威圧感ないにしても恐ろしい物は恐ろしいのです。
「だとさ、私の愛しき夫よ。どうするんだ?」
正しく妖艶な笑みでこちらを見るマユさん。あぁ!なるほど。聖杯は1人の願いしか叶えない、だから今までライダーとかの願いは全て俺の願いとして処理してきたわけか。だから聖杯の所持者は俺、俺の考えつく平和の方法が実行されるわけか。
うわぁ、思いつかねぇよ。流血が無いとか手術の時平気なの?とかくだらねぇ事しか思いつかねぇよ。
「無理かククク。無理なんだな?」
嬉しそうですねぇ?おのれゲス嫁、だが、それがいい。じゃなくてむむむ・・・。
「どういう事だ杏里聖」
うげ、ゲス・・・くないか今回の聖杯戦争は俺が先回りしたから特にゲスい事してないし。
「・・・聖杯は持ち主の願いを叶える。この場合は俺だ、それはわかるな?そして、聖杯は持ち主の考えうる方法でしか願いを叶えることは出来ない。そして俺にはお前の願いが叶う方法が思いつかない」
切嗣は俺の言葉を聞いて絶望、とは行かないものの、酷くショックを受けたようだ。
「そんな・・・聖杯は万能なんじゃ・・・」
そして、それを見て、聖杯マユは笑う。
「くっ・・・ふふふ。あはっ、あはは。ダメだ、堪えられないふふふ・・・・・・はぁ、はぁ。あー面白い。・・・まだわからないか?例え私が万能であったとしても、それを扱う人間は万能ではない。故に貴様の器で叶えられぬ物を叶えるなど無理な話よ。」
そしてそれは私を封じた偉大なる魔法使いでも同じ事。とマユは話をつなげる。
「人が、人である限り。争いを無くし、平和を得る事は出来ん。否、出来たとしたならばそれは人類の衰退、人類の絶滅を意味するだろう。人とは争いと常に共にあり、常に自らの血を被り成長した種なのだからな。」
マユがそう言って唖然としている切嗣に一歩近付いた。
「叶いもしない幻想を追う悲しき男よ・・・・・・そのような願いよりも、自らの小さな願いを願え、それならば叶えることも出来よう」
おっとぉ?トラウマ引きずり出して罵詈雑言のリンチを食らわせる何時ものコンボじゃ無いぞ?・・・・・・あ、俺が「出来る限り叶えてあげたい」的な事言ってたからか?うーむ、わからんなぁ、この聖杯戦争終わったら聖杯について調べるか、世界中回って。各町にはよったからルーラでチャチャッと回れるし。
「だが・・・僕はこの日のために・・・沢山、沢山の物を犠牲に・・・・・・」
跪き、わなわなと手を震わせ顔を覆う切嗣、その背中を抱きしめるアイリス。そして、マユはその2人の頭に手を置いた。
「背負え、担って見せよ。己が家族も、死した屍も。貴様の正義は万人を救う事よりも、家族だけを救っておれば良い。・・・ショウ?」
あいあいー、にしたってねぇ、切嗣さん相当な数の人救ってるぞ?・・・どうせ、「コイツらも結婚してるのか、じゃあ幸せにしなくちゃ」とかそんなくだらん理由だろう?願い叶えようとしてるの、いやー唯貴方の為の絶対悪はいい子やぁ。
「わかった。今日この瞬間をもって、衛宮切嗣及びアイリスフィール・フォン・アインツベルン、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは我が名、杏里 聖の名の元に庇護する!・・・・・・マユ、叶えてあげてくれ。」
ウシシシ・・・ドヤァ。さぁアインツベルンよ、イリヤに何かしたらコロコロしに行きますね?と言うことにして、今の宣言には実は裏があるんだ、・・・・・・ほら、城。城欲しいやん?俺は別にいらんが嫁が欲しいって言ってるから。
まぁつまり勝手に城住んじゃおう!って作戦な訳ですよ!
〈ショウ!私彼処にお城作ってもらいたいんだけど!〉
うお!?スキルかビビった!え?家の所に建てろと?〈そう、それであの人達に住んで貰えばいいのよ!〉お、おう。その考えは無かった。あの、残った物の有効利用をですね?
『頑張ってね!』・・・コイツ・・・念話に変えることで俺の考えから目をそらしやがった・・・だと?
「本当に・・・・・・叶わないのか・・・・・・?」
ん、まだ言ってたのか。悪いな、俺の想像力不足で。つってもいくら考えても多分出てこないだろう。ぽんと肩に手を置き励ます。
「死ぬまでにゆっくり考えろ。思い付いたのなら言ってくれればいい、俺も平和が好きなのだから。」
そう言って俺はウェイバーの元へ。ウェイバーが俺を見て肩を跳ねさせる。・・・俺そんなに怖いか?
「ウェイバー・ベルベット、君の願いを聞こう」
「ぼ!僕は!?・・・僕は・・・・・・願いなんて無い。本当は皆を見返してやろうと思ってたけど。・・・僕の願いは小さ過ぎる。それにわかったんだ。聖杯を使って叶える願いじゃない。これは僕が実力で証明することなんだ。」
ウェイバーは手を胸にあて、初めは緊張していたが、次第に力説へと変わり、聖杯を使わない事を俺に伝えてくれる。なんだ、ウェイバーの事だからこう言う場面ではギャグキャラとなって変な事を願うのかと邪推してたのに。・・・あ、見返したいなら俺と戦うか?死んでも生き返らせてあげるけど・・・なんか死んで生き返ったら強くなりそうじゃない?
「そうか、なら俺と戦ってみるか?死から蘇れば何か得られるかもしれんぞ?」
「ェ、エンリョシトキマス・・・」
「そうか」
次はケイネスか〜。・・・ケイネスか辛いなぁ、魔術殺しのランサーに俺のギラ系統と相性最悪のケイネス。まさに俺の天敵陣営だよな。
「ではケイネス・エルメロイ・アーチボルトよ。持てるもの全てを使い、足掻け。全力で殺しに来い。策を練れ、魔術を唱えろ、そして己が騎士を信頼して見せろ」
さぁ!来いよケイネス!色々と装備してかかってこい!・・・・・・・・・・・・てかさ、俺、魔力ないよな?・・・・・・エリザベートから貰うか。マホトラッ!
森の奥、少し開けたその場所で、3人は対峙していた。
その中の1人である元ランサー・・・ディルムッド。彼は目を瞑り、二つの槍と自らの主ケイネスとのラインを意識する。そして、数分前まで行われていたケイネスとの作戦会議を思い出す。
「・・・・・・・・・ランサー。真に私に忠誠を誓うと言うなら・・・・・・その
ケイネスに言われたその言葉はディルムッドを動揺させた、宝具とは英霊達の伝説の具現化、誇りの結晶なのだ。そして、思い出でもある。
「(我が主は・・・・・・やはり俺を信用してはくださらないか。)」
ディルムッドは内心溜息をつきたくなる。いくら尽くそうともケイネスは疑惑と警戒の目を、信頼と信用の目には変えてくれないからだ。しかし、非は自分にあると言うこともわかっている。呪いのせいにして目をそらしてきたがどっち付かずの自分が悪いのだ。ディルムッドはそう気持ちに整理をつけ、父から授かった槍を握りしめる。
少し間が空いてしまったがディルムッドは答えた。その間が槍に対する別れを告げ、父に謝罪をしているとはケイネスは思っていないだろうが。
「わかりました主よ。我が槍、はじめから貴方様に捧げております。如何様にもお使い下さい。」
跪き、破魔の槍をケイネスに差し出す。ケイネスはしばらく無言で跪くディルムッドを見つめていたが、やがてその槍を手に取った。
「ここに契約は完了した。」
ケイネスは踵を返し、杏里聖が待つ集合地点へと歩き始める。
「来るのだ、我が騎士よ。」
その一言にディルムッドは歓喜し、その背を追ったのだ。
ディルムッドは目を開く。目の前には主が睨む魔法使い杏里聖。その防御魔術を突破できる事はわかっている、戦闘が―――――始まった。
「ギラ」
まるで小手調べとばかりに放たれた光線はあの日とは比べ物にならない位小さく、面制圧攻撃でない限り、破魔の紅薔薇で難無く切り伏せる。
「風に乗れディルムッド!」
突風が吹き荒れディルムッドの背中を押す、更に身体強化がかけられる。
「有難うございます主!」
主に礼をいい、敏捷値を大きく超える速さで杏里聖に向かってディルムッドは走る。
「ベギラマ!」
先程より1回り大きな光線が放たれる。破魔の紅薔薇で無効化するには少し大きすぎ、しかし躱すのに苦労するものでもない。しかし、回避すれば主に魔術が当たってしまう。対魔力を持つ自分が盾になる他ない。そこまで考えた瞬間にはディルムッドの身体を風と水が覆う。そう、ケイネスの防御魔術だ。対魔力によって威力減衰された光線の光を風と水が屈折させ、熱を緩和する。
高速で動くディルムッドに強化や防御魔術を掛ける主のその腕前に感動しながらも、自らの責務を果たそうと再びディルムッド駆け出す。
「ほぅ・・・今のを防ぐか。ならば・・・ベギラゴン!」
終戦は近い、そう確信するほどに魔術の威力が上昇していく。最早神代の域に達した閃光の魔術はディルムッドとケイネスを飲み込まんと迫る。
「このケイネス・エルメロイ・アーチボルトをその程度の魔術で倒せるものかッ!」
風と水の魔術は光と熱の魔術を真正面から相殺していく。ケイネスがこれ程までの戦闘を行えるのはディルムッドとの変則契約の賜物だ。しかし、流石のケイネスでも至難の業なのか、その表情に余裕は見られない。
「行けるか!ディルムッド!」
ケイネスが必死の形相でディルムッドを見る。二種類の魔力系統を巧みに操り、魔力を湯水の如く注ぎ込み弱点属性を突いて初めて「相殺」。ケイネスはディルムッドに全てを賭けていた。
「ええ!もちろんです主!」
ルーラによって瞬く間に開かれた距離を強化された敏捷値が一瞬にして縮める、連射されるベギラマを左右に回避し、追い詰めて行く。破魔の紅薔薇の攻撃を躱され、必滅の黄薔薇の横薙が弾かれる。
「(くっ・・・やはり弾かれるか!)はぁぁ!」
「ルーラ」
悪寒が走った。
「(奴が転移する場所は!?俺を引き離したのはそういう事か!)」
踵を返し、ケイネスの元に走る。ふと、大量の魔力を感じた。
「我が名をもって命ずる!私を守れ!ディルムッド!」
ステータスが超大幅に強化され、ケイネスの前に転移する。目を見開く杏里聖にその破魔の槍を突き出した。
「なっ・・・・・・!」
しかし、槍は防がれる。魔術では無い何かに、いとも簡単に防がれた。
「(だが、刃が触れているなら魔術は使えまい!)うぉおおおおおおお!」
「!?」
まるで掻き消えるかのように加速したディルムッドの突きは周辺を抉り杏里聖を吹き飛ばした。物凄い勢いで杏里聖が飛ぶように転がっていく。しかし、フワリと姿勢を直し、初め対峙していた地点に戻る。
「ふむ・・・・・・流石だな。完璧に使いこなしている。」
杏里聖はその表情を変えずにそう賞賛する。
「持てるもの全てを十全に使いこなして初めて魔術師なのだよ。自らの配下程度使いこなせない訳がなかろう」
ケイネスもそれに冷や汗を拭いながらも答える、しかし、ディルムッドには確信があった。
「最後だ。ギラ――――――――――グレイド。!?」
戦況が大きく変化すると。
突如目を見開き動きを止めた杏里聖、その隙は小さく、しかし今のディルムッドには大きな隙だった。
流れる様な動作で、力の流れを完璧に把握し駆ける。少し遅れてケイネスの強化がより高性能な物に変わったのがわかる。力の加減を強化された肉体に合わせた。
「くっ・・・!」
ディルムッドは後退し距離を離そうとする杏里聖に破魔の紅薔薇を突き出す。しかし、その突きでは杏里聖は倒せない。だが刃を押し付けられた事で杏里聖は魔術が使えない。肩に押し付けられた槍を引き離そうと穂先を掴む聖だが、強化魔術すら無い聖では不可能だった。初めて聖の顔に焦りが見えた。
「(ここしか無い!ここに―――全てを賭ける!)」
確かな可能性が見えた。杏里聖を殺せると。
「我が養父アンガスよ・・・・・・!この誇り!砕かせていただく!」
ディルムッドは一瞬の瞑目の後、その詠唱を口にした。
「――――――
失わなければ得られない物があるとするのなら、それはディルムッドにとって何よりも重い信頼と信用。故に、1度その誇りを砕こう。ディルムッドは再び目を閉じた。槍にヒビが走っていく。
「(初めてこの槍を手に入れた時は、俺はどのような顔をしていたか、今では思い出せませんアンガス殿)」
槍を砕く事に後悔はなく、ヒビが大きくなる程に、懐かしさがこみ上げてくる。
「(随分と遠くまで来た・・・・・・騎士として、出直せるだろうか?)」
ヒビは凄まじい速度で石突きから穂先へと駆け抜けていく。ヒビが入り、光り輝く
「
破魔の槍から光が溢れ出し、周囲を眩く照らし出す。そしてその光に続いたのは轟音。強力な衝撃波が土や木、岩を抉り、破壊し、吹飛ばす。無秩序に暴れる濃厚な神秘は破壊の限りを尽くし、やがて静まり返る。
爆発で舞い上がった土や礫が降り注ぐ中、土煙が場に似合わないそよ風によって流れていく。気絶から目が覚めたケイネスは埋まっていた半身をなんとか掘り起こし、身の自由を手に入れる。
「ディルムッド、おいディルムッド!勝ったのか!ディルムッド!」
ケイネスは自らの騎士の名を呼ぶ、そこには確かな不安と焦りが滲んでいた。騎士は答えない、いや答えられないのか。ケイネスは焦る。
「おい!」
壊れた幻想によってばら撒かれた濃厚な神秘が彼の捜索を邪魔する。ケイネスは魔力による捜索を瞬時に諦め、爆心地へと走った。
そこにいたのは片腕を肩ごと失い気絶する緑色の騎士だった。上半身の服は全て焼き消えており、肉体には浅くない傷が刻まれていた。しかし、息はある。ケイネスはその場にしゃがみこみ・・・・・・そこで動きを止めた。
「(目的は達した・・・奴は杏里聖は倒せたのだ・・・・・・なぜ私はコイツを助けようとしている?・・・コイツを助ければどうなるかなど考えるまでもないだろう。ソラウは奪われ、恐らく私は――)」
そこまで考え、ふとディルムッドの伝説を思い出した。彼の死因は何だったか、それは主に見捨てられ、傷の治癒ができなかった事だ。ケイネスは葛藤する。
「(私は・・・どうすれば・・・奴なら・・・・・・杏里聖ならどうするか)」
何故か杏里聖が脳裏に浮かんだ。慈悲深き魔法使いならばこの瞬間どう対応するのだろうか。と。彼なら恐らく「寝取り騎士死すべし慈悲はない」と止めのギラグレイドをブチかます所だろうが。ケイネスや一般的な魔術師は杏里聖の本心や本性を知らない。故に、彼は救われないのだ。
「起きよ、ディルムッドよ。」
ディルムッドに回復魔術をありったけ施したケイネスは額の汗を拭いながらディルムッドに手を差し出す。
「・・・・・・ぁるじ?・・・あぁ・・・ぁぁ・・・良かった。私は・・・俺は・・・救われた。」
目を覚ましたディルムッドはケイネスの顔を見て安堵の表情をし、自らの状態を確認した瞬間、涙を流す。ディルムッドは畏れ多くも主ケイネスの差し出した手に掴まり立ち上がる。
「ふん、なにを言っているんだ貴様は。涙を拭け見苦しい」
「うぅずびばぜん!」
「私の服で拭くんじゃない!」
失った腕を抑えながら話すディルムッドにケイネスは頭を掻きむしりながら話しかけた。
「私は何故!貴様を助けたのかわからん!だから感謝などするな。一種の気の迷いに過ぎんからな。次、再び死ぬほどの重傷を負ったならば、助けんぞ」
ケイネスにとってこの言葉は嘘のない本心であったが、どうやらディルムッドにとって違うらしい。嬉しそうに泣きながら笑って返事をすると言う何とも器用な事をしてのける。
「あ"い"ッ!わかりばじだ主ぃ!」
「ええい寄るな!鼻水を拭け馬鹿者!」
ケイネスは自らの口の端が少しだけ上がっている事に気がついた。何を馬鹿な、そう思うケイネスであったが、もう少しだけ、このままにしようと思ったのだ。なにせ長年の目標であった杏里聖を超えたのだから。打倒したのだから、少しくらいコイツと笑ってもいいかも知れないと、そう思ったのだ。
だが、しかし。
「・・・見事だ・・・・・・ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、そしてディルムッド・オディナ。・・・ふふ・・・まさかたった一つの陣営に9つもの命を奪われるとはな・・・」
現れた。肉片すら残さず吹き飛ばしたと、そう考えていた男が。杏里聖が静かにつぶやく、しかし、それは静寂に包まれたこの世界に痛く響いたのだ。
「見事だ!そして認めよう、貴様らは俺の天敵だと。」
魔力の奔流が杏里聖から発生する。攻撃魔術でも魔法でもない。純粋な魔力量で、具体的に言うなら魔力より軽い気体が押し出され、空気に流れが出来ているのだ。これほどの力を何処で手に入れたというのか、ケイネスは考える、しかし、答えなど出るはずが無かった。
「化け・・・物め・・・!聖杯よりも・・・魔力保有量が多いだと!?貴様はどうなっている!!何をしたら!どんな事に手を染めればそうなれる!」
「主いいい!お逃げ下さいッ!!」
ケイネスは叫ぶ。自らに降り掛かる理不尽にでは無い。余りに離れていた壁に、その力が届かぬと知って嘆き、叫ぶのだ。
「神の悪戯に付き合わされろ。そうすりゃ強くなる。・・・死ななければな。ズッシード!」
杏里聖の全力の魔術が放たれた。その瞬間、ケイネスとディルムッドは肉塊へと成り果てた。重くなり過ぎた自らの頭部に肉体が押し潰されたのだ。
「・・・・・・はぁ・・・ビビったぁ・・・マユと会えなくなったらどうしてくれるつもりですかねぇ。ったく。・・・・・・うー・・・あー・・・どうするかぁ・・・・・・生き返らすか、折角願い叶えたし。」
杏里聖は1人で愚痴を言った後、悩みに悩んで2人の頭部を鷲掴みにし、歩き始めた。
「ランスロットには文句を言ってやる!なんであのタイミングで使うかなぁ!エリザベートを見習え!ってうわビビったマユさん?・・・・・・・・・了解だ、大丈夫、生きてるよ。・・・うるさい、今少し動揺してただけだ。」
超弱体化ショウ君とランサー陣営の戦いでした・・・なんか変な点はあるかな?
いくら直感EXの皆様と言えどショウ君が1度に8回も死ぬとは思わなかったのでは無いでしょうか?
あと願い叶えるのが少々強引なきがするのです、私の文才の無さに驚くがいい。
なぜ途中でギラグレイドが不発になったのか!まぁ皆さんわかると思いますが。
そして今回でケイネスが救われない理由が明らかになりましたね。そう、「ディルムッドが騎士としてケイネスに使えるから」です。彼はきっと髪の毛が無くなるまで悩む事でしょう。
そして明らかになっていくチート主人公。設定的にドラクエ魔力>型月の魔力であるため、ショウ君の魔力はとてつもなく多いのです。ドラクエ的なショウ君のステータスはHP40MP999。ですが、その設定のせいで、マホトラを使っても十分な魔力を補給出来なかったりするのです。更に十二の試練を装備し、アヴェンジャー、アーチャー、キャスター、バーサーカーを使役しているため、魔力の自然回復=英霊達に使う維持魔力。になってしまっているため、自然回復も出来ないのです、可哀想に。十二の試練がストック全快ならストック作りの為に魔力を奪われなくて済むんですが、生憎と嫁に1個取られてますし、流石にランサーが初めに奪ったストックは回復した設定ですが。
ちなみにマホトラで魔力を吸い取られたエリザベートさんは熱い息をしながらベットで倒れています。
あ、ちなみにズッシードで殺したのは結構意味を込めてます、わかるかな?
―追記―
マユさんまた載せるの忘れてた。でも下手だし・・・ノートだし・・・見逃してくれえ!
【挿絵表示】