ポッターを取ったぞ   作:混沌とン

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力を扱えるようになったハリー


憎み憎まれ

 

 

今日はどんよりと灰色の厚い雲が空を覆っている。

何か不吉なことでも起こりそうだが、ここイギリスでは至極当前のことである。また、こんな天気でもこの少年の幸福感は害せないようだ。

「もう車くらいならたぶん浮かせられるよ!」

さっきまで捨てられた競技用自転車を浮かせていたハリーが、楽しそうにしゃべる。

「せやな~ハリーはん半端ないって~10歳でここまでの魔法使用なんてできひんやん普通~シュシュシュ」

街のはずれの寂れた公園にハリーはいた。

秋が終わりを告げようとしていて肌寒い風が吹く。

そのためもあってかより一層みすぼらしく感じられるこの公園は今日も閑散としていた。

ここはハリーとグリンが初めて出会った場所。

 

 

 

ハリーは最近調子が良い。何で?と聞かれれば少し迷うだろう。

同級生の友達ができたこと?

『ま、と、も』になれたこと?

今日もダドリーが分数の補習で放課後居残りだったこと?

ピアーズが体育のサッカーのテストでシュートを撃つときに『な、ぜ、か』後ろに引っ張られて盛大に転んで空振りしたこと?

マルコムがハリーの弁当にこっそり辛子を入れてダドリーズとクスクス笑って上機嫌に弁当を食べていると『な、ぜ、か』三三七拍子のリズムで2分間もむせたこと?

全部だもの!

「ハリーは~ん、気をつけんとダメでっせ~アハハ、でもおもろいな~シュシュシュ」

今日1日の報告を聞いたグリンが笑いながら言う。

「君が言うのなら分かったよ。」ハリーもニヤッと笑ってうなずく。

「いや、でもマルコメっちゅ~ヤツは自業自得でっせ~シュシュシュ」

「まあね。」クスクス笑ってハリーは続ける。

「だいぶ器用に使えるようになってきたよ。あれから制御できなくなるようなことはないし、バーノンおじさんなんか逆に怪しんでるぐらいだよ。」

「いや~ほんにほんに凄いでんな~

とにかく三三七拍子でむせさすなんて~

その発想に敬礼ですわ~シュシュシュ」

 

 

 

 

 

寒い冬がやってきた。校庭には雪が積もっている。

「やっぽー!」ユリアの友達で僕の友達でもあるフローナだ。

「うん。」

「はいそこ同じくやっぽーで返すとこー!やり直しー!」

このやり取りももう日常になっている。

「キャラじゃないよ...。」

「そのギャップがおもろいのにー。はい言うてー!」

「やっぽー...?」

「フッ...!!!アハハハハハハハハ」フローナが笑い声を上げる。

「自分が楽しいだけじゃないか..」まだ笑っているフローナを見て自分もおかしくなって笑う。

なんでもないことだけど僕は今幸せだ。

「おはよー」ユリアも到着した。朝、いつも僕らは仲良し広場に集まってチャイムギリギリまで話しているのだがこの日は集まるのが少し遅かった。

「遅かったじゃーん」

「うん。寝坊しちゃって。」

「ねえ、2人とももうチャイムが鳴るよ!」時計を見上げたハリーが言う。

教室まで階段ダッシュでかけあがるのも

なぜだか楽しく感じる。

 

 

 

 

いじめというのは、対象がいなくなればまた新しい人を見つけるらしい。ダドリーズの連中は、今では遠くからコソコソ悪口を言ってくるか、時々ハリーに軽いイタズラを仕掛けるのがやっとで、落ち着いていたのだが、しばらくすると今度はポルキスという同じクラスの少年が、いじめられ始めた。彼は気弱ではないのだが、少し気取ったところがあるらしく、それがダドリーズのお気に召さなかったらしい。もちろん、いじめを受けていた僕にとって、これは放っておけなかったので間に入って止めていたのだが...

 

 

 

「くそ、何なんだよアイツ...ヒーロー気取りやがって...」

 

 

 

 

「寒いねー」フローナが口癖のように呟く。

「それ何回目ー!」クスクス笑いながらツッコミを入れるユリア。

「寒いのに外にいる僕らって一体...」笑いながら何気なしに校舎を見たハリーが口を止める。

今誰かこっちを見てた...?気のせいか。

誰かがこっちを見ていてハリーと目が合うと奥へ移動していった気がしたのだ。考えすぎか。

 

 

 

ポルキスは階段を降りながら憎しみに包まれていた「くそが...女子に良い顔するために俺を利用しやがって...あんなやつ...ダドリーのデカブツが従兄弟だからってやられないだけなのに...」

 

 

 

 

「ピ、ピアーズ君...?」

「あ?なんだポルキス?」

 

 

 

 

 

 

誰かが僕に地味な嫌がらせをするようになった。

正直、ダドリーズよりもタチが悪い。

消しゴムがない...隣のジュリアさんに借してもらっていると次の時間、丁寧に机の上に戻ってきていた。

この時は、落としていただけなのかな...と思ったが...。

机や椅子に見覚えのない傷、落書き...机の上にはチ●コとでっかく書かれている...(誰なんだろう...こんな程度の低いイタズラ...)皆目見当がつかなかった。

掃除から戻るとただでさえボロボロな僕の手提げカバンが無惨な姿に変わっていた...ペチュニアおばさんは新しい物はくれない。犯人への恨みよりも、

これからどうしようかという気持ちが強かった。

ハリーはもうすぐ閉まってしまう家庭科室へ走った。家庭科室が開いているのは3時までだ。

ダドリーのお下がり腕時計を見る。あと五分...

ハリーはなんとか布をもらうことができた。

裁縫は得意だからなんとかなんとかなるけど...

「今日は徹夜か...」

それにしても誰なんだろう?ダドリーズの面々でさえもここまで陰湿なことはしなかったのに・・・

まさか逆恨みでこんなことを・・・?

 

 

 

 

 

 

教室に戻ってみるとなにやら騒がしい、見たところ僕の机の近くで集まっているようだ。

いや、僕の机だ。

僕に気づいた連中が「おい!ポッター!これなんだよ!」ピアーズがニヤニヤしながら雑誌をヒラヒラとふっている。なんだろう...え...これは...

「ポッターの机の中からこれがでてきたんだぜ!」ポルキスが隅で固まっている女子にも聞こえるように声を張り上げた。

ハレンチな表紙から察するにこれはエ●本だろう...

「何事だ?」先生がやってきた。

「ポッター君がこんなものを持ってきていました。」ニヤニヤを抑えきれないポルキスがピアーズの持っているものへ指を差す。

「...Mr.ポッター..来なさい。」

「僕じゃありま「来なさい。」

弁解の余地も与えられなかった。

先生お得意の、同じことを何度も何度も繰り返す説教をくらう。ホントに耳にタコができちゃうよ。

もっと悪いことに明日、

金曜日の放課後に親を交えての三者面談だそうだ。時間はバーノン氏の『貴重なご都合』があるため、

8時にダーズリー家でするそうだ。

 

 

 

 

 

 

この騒動は1日のうちに学校中に広がったようで、

次の日ハリーが通るたびにコソコソ指をさされて話されたり、おおっぴらに変態野郎呼ばわりされたりした。

あの2人も噂を信じるのかな。もし噂を信じたとして、周りの視線がある中それでも今まで通り仲良くしてくれるのかな。確かめるのも嫌だったので僕は2人を遠くに発見すると遭遇しないようにした。

帰り道、「ハリーーー!!」遠くから2人がやってくる。心の中でもしかしたら2人は...と期待が沸き上がった。

「どうして私たちを避けるの?」フローナが怒ったように言う。

「僕の言うこと信じてくれる?」

「本当は何があったの?」心配そうにユリアが尋ねてくる。ことの顛末を話すと2人は犯人をののしった。

「根性の曲がったクソ野郎だよ!」

「こんなことひどすぎるわ!」

が、ハリーは犯人のことなどどうでもよくなっていた。2人がこんな風に自分を気づかってくれているということだけでハリーは胸がいっぱいだった。

(冬がこんなに暖かいなんて)

「まあ、もし持ってても私はなーんも変わんないよ!てか本当はもってんじゃない?」ニヤニヤしながらフローナが聞く。

「僕はまず買うお金すら持ってないんだよ?」

呆れたように返すと

「お金があったら買うんでしょ?」ユリアもニヤニヤしながら聞いてくる。

「ハイハイあるだけ買うよ。じゃなきゃエ●本強盗だ。」

 

 

 

 

 

2人の優しさで気持ちが和らいだのも束の間、

8時からの三者面談...犯人への怒りが今、遅れてじわじわとやってきた...。

家でいることは耐えられなかったためいつもの公園でいつも以上に『ま、と、も』でない力を発散する。ブランコを2つとも全力で動かし、街灯をつけたり消したりした、冬の5時はうす暗い。

グリンを首に巻いて犯人へ毒を吐いていると...

「何を!!何をしてるんだぁ!!」

驚いて横を見るとポルキスとピアーズが道を疾走して遠ざかって行くところだった。

 

 

 

 

 

三者面談まであと1時間...気が重くなる。

バーノン氏が帰ってきた...。

プルルルル プルルルル電話が鳴る。

キャンセルの電話だといいなあ。

ペチュニアおばさんが出た。おばさんは電話の時にいやに高い声を出す...「はぁい!ダドちゃんね!ちょっと待ってね!ダッダー!」ダドリーがずれたズボンを上げながら歩いてくる。キャンセルの電話ではなさそうだ...「おう。おう。おう。アイツが?おう。おう。首に?おう。おう。よくやった。」ガチャリ

(はあ...低学年の子の首に傷でもつけたのか...)

「お父さん、アイツ、ヘビ巻いてる」ダドリーが僕を指差してしゃべる。今グリンは物置部屋にいる。一瞬意味が分からなかったがハッとした。バーノンおじさんはまだ理解してないようだ。「ダッダーや?どうゆうことだい?」「アイツが緑のヘビを巻いてたって。ピアーズが見たって、ヘビ。お父さん、アイツ、ヘビ、飼ってる。」

ハリーは駆け出した。物置に向かう。「グリン!!行くよ!!」「ん~フゴフゴ」

「待たんかい小僧!!」バーノンおじさんが怒声をあげる、襟を捕まれた!「あの抜け殻はそやつのだったのか!!よくもワシの家でそんな――」バーノンおじさんの手がするりと滑った。

ハリーは外へ飛び出した。捕まってはいけない。

がむしゃらに走る。

冷たい空気で肺が痛い。耳が悲鳴をあげている。

顔の筋肉が固まったようだ。

どれほど走ったのだろう。

気づけば山のふもとにまで来ていた。

 

 

 

 

 

「見失ったじゃと..」

「はい...私もハリーが家を飛び出したのが見えましたので後をおったのですが...信じられないかもしれませんが...ダンブルドア...あの子は自分の周りに何か保護呪文のようなものをかけて走っていたんですよ...ような、といいますのも完全ではなかったものなので。」

「10歳で魔法の統制...」

「ダンブルドア...あの子の環境は酷いものです...それに...あの子はもう十分なくらい辛い目にあってるんです...ですからもう「今はまだダメじゃディーダラス」

 

 

 

 

 

 

 

ハリーとグリンは眠っていた。あれからだいぶさまよった2人は小屋を見つけて、そこで暖をとって眠っていた。「まさかハリーはん火の呪文まで使えるとはね~シュシュシュ」

「ありゃ、もう寝てる~睡眠秒読み~てか~おやすみ~シュシュシュ」

 

 

 

 

 

 

 

ハリーは気弱そうな男を見上げていた...

「ご、ご、ご主人様、そ、それでは、わ、私にた、魂をす、す、す、捨てろと...?」

蚊の鳴くような声で嘆いている...

俺様とて本望ではないというのに...

「捨てろとは言うとらん。お前の魂の一部だけだ。魂の一部を俺様の魂と入れ換えるのだ。」

しばらくうじうじしていたがようやく決したようだ...

「ハリーはん!!ハリーはん!!」

額の傷跡が痛い...ハリーはグリンの声で目を覚ました。体に悪寒が走る。「ずっとうなされててんで~!」

「もう大丈夫だよグリン...ありがとう...」

暖炉に目をやるともう火は消えている。

 

 

 

 

 

この家出騒動以来いよいよハリーは外出が禁止になった。まあ出ようと思えばいつでも出れるのだが...

それに今は学校に行きたくなかった。

ダドリーがユリアとフローナも僕のあの姿を見たということを親切にも教えてくれた。

これは嘘ではないだろう。

なぜならピアーズとポルキスを怪しいと踏んだ2人はピアーズとポルキスをつけていたらしい...

こんな話ダドリーの脳みそでは作れない。

そんなことよりもグリンを飼う事が認められたのが何よりもの救いだった。バーノンおじさんは認めたくないといったような表情だったが「あの輩が...」とか「こやつめを飼うのを認め...わしは絶対に反対だが...しかし...」などとぶつぶつ言っていたが何のことだろう。

 

 

 

 

 

卒業式も終わり(もちろん僕は学校に行っていない)夏休みに入った。

セカンダリーからは学校に通えるのだが、行きたいとは思わない。自分は普通とは違いすぎるのだ。

 

 

 

 

 

 

今日も変わらぬ日常...郵便を取りに行く...水道料金の封筒(これを破いて捨ててしまったらどのくらい怒られるかなあ)ともう1つ分厚い封筒だけだ。変わった封筒だなあ。ハリーは凍りついた。目がおかしくなったのかな2度3度4度読み返す...確かにこう書いてあった。

 

 

 

 

~階段下の物置部屋

ハリー・ポッター様~

 

 

 

 

 




だいぶ急ぎ足のつもりだったのですが...
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