まず、階段下の物置部屋に向かう。
慎重にドアを開けて分厚い封筒を投げ入れた。
「おい小僧!遅いぞ!」
リビングからおじさんの声がする。
不安を抱きつつ何もない風を装って水道料金の封筒を渡す。
少ない朝食をかきこみ、ダーズリーの面々が食べ終わるのを待つ。
食器を洗い、テーブルを拭き、洗濯機をかければ朝の仕事は終わりだ。
結局、物置部屋に戻ったのは9時過ぎだった。
「これ良いのか~い渡さなくてさ~シュシュシュ」
(そうか、グリンはアルファベットが読めないんだな)
「これ、僕宛なんだ。間違いでもないはずだよ。だって、階段下の物置って場所まで書いてあるんだもの。」
「ハリーはん宛に?」「そうみたい。」
「ユリアちゃんとフローナちゃんはハリーはんと やっぱり話した~いって思うとんちゃうけ~?シュシュシュ」
「うーん...。」
「ワイも気になるで~開けて~な~開けて~な~!」
丁寧に破き中を見る...
立ち上がった獅子と蛇、鷲、熊に囲まれて大きくHの紋章?のようなものが目に入る。
そして...
~ポッター殿~
~この度ホグワーツへの入学を許可されました~
なんだ...これは...
さらに
・1年生は競技用箒の持ち込みは禁止です。
・持ち込めるペット(フクロウ、猫、ヒキガエル、鼠)
・ローブ(最低2着)
・大鍋は厚さ......
...............
なんだこれは...?
「な~な~おせえてや~シュシュシュ-マークみたいなんついてるけどなんてなんて~?」
「入学許可証だって...」
「ほえ~これがね~じゃあユリアちゃん達のじゃなかったんね~ふ~ん。てことわ~ハリーはんついに学校デビューってやつやねんな~シュシュシュ」
「これグリンがよく話してるやつなのかな?」
「まさしくそれやろ~ね~」
「僕ってホントに魔法使いだったんだ...」
下には必要な教科書リストが載っている...
「教科書がいろいろあるみたい」
「な~んかワクワクするでんな~」
「えぇ...なんか薬の材料がいるらしいけど...」
「どしたん~?」
「河童の爪垢?とか涙草草?とか本当にあるの...?
からかってるようにしか思えないんだけど...」
「書いとるからにはあるんやないの~?とにかく河童の爪垢は存在するしな~シュシュシュ」
「え...河童ってたしか日本のモンスターだよね?
ダドリーの持ってた『世界のイカれた奴ら』っていう本で見たことあるけど...でもあれ創作もんだよ?」
「ワイ会ったことあるで~!あれ~話したことなかった~?」
「へぇ...そうなんだ...」
「あ!信じてへ~ねんな~?ほな話したるでえ!
あれはワイがま~だアフリカおったときでな~
昼間あっついけ~川に水浴びに行っちったら先客がおって~そこでガラガラっちと河童が話しょ~て~
まあそれがガラガラっちとの初対面な~
ガラガラっちの話しはしたん覚えと~やろ~?」
「うん。たしか一緒に売人に捕まっちゃったガラガラヘビのお友達だよね?」
「そ~そ~ほんでな~そいつカッパのくせに蛇語話しよって~話し聞いとるとな~なんか日本からオイル船?って~のに乗ってきて~中東っつ~の?に来て~なんかいろいろあって~スズメ運河?とかゆうとこ泳いで~アフリカ着いたとか言うてて~ってことがあったんな~」
「スエズ運河だね...いるんだ...河童...」
いろいろと情報が入ってきて混乱しそうだ...
いるのか...河童...
あらためて紙に目を下ろす...
これ...箒なんて誰も好き好んで持って行かないだろう...
競技用って...お掃除大会でもあるのだろうか...
「ハリーはんもちろん行くんねやろ~?」
「うーん...」
手紙のふざけたような内容に、疑心が拭えない・・・
自分は果たして行っていいのだろうか...
あまりにも分からない事が多すぎる...
「他にどんなこと書いてるか聞かせて~な~」
ハリーは最初から、書いてある文を全て読み聞かせた。
「ペットにヘビはダメなんか~ま、ワイもそろそろ自立せんとな~」
「君はペットじゃないよ。それに向こうで僕に友達ができなかったらどうするのさ?」
「ハリーはん、み~んなここに行く子はハリーはんと同じなんやで~友達できるで~」
「まあそれはいいとして...こんなのどこに売ってるんだろう...あっ!」
ハリーはある箇所に目を止めた。
・ローブ(最低2着)
「ん~?どしたんな~?シュシュシュ」
「ローブって書いてある!ほら!家の近くによくローブ着てる変な人がいたでしょ?」
「ワイは公園以外いっつもハリーはんの服の下に隠されと~き~な~外は見てへんよ~」
「そうだった...あのね!今日だってペチュニアおばさんが窓から外を見て『あのみょうちきりんな人達またいるわ』って言ってたし...でもあの人達......うん!間違いないよ!きっとあの人達、魔法使いなんだ!」
ハリーは脱出の機会を伺っていた。
自ら庭のベンチを拭いたり、
庭の散水ホースの蛇口を磨く仕事をかってでた。
庭からならすぐに外へ出られる。
今日は火曜日なのでバーノンおじさんは仕事で出掛けている。
ダドリーは取り巻き達と遊びに行っている。
問題はペチュニアおばさんだ。
チャンスはおばさんが2階の掃除をしているときと、買い物に出掛けた時だ。
最初のチャンスがやってきた!2階から掃除機の音が聞こえてくる。
ダッシュで庭から家の前に出た。
さっそく少し遠くにローブ姿の人を見つけた。
腕時計を見ながら、つま先をトントンしている。
ローブ姿の人物がこちらを見た。
ハリーは早足で近付いていく。
どうやら女性のようだ。
(えっとまず「こんにちは。魔法使いの方ですか?」だ、よーし...)
が、3メートルくらいの距離になった瞬間に困惑した表情を見せバシッという音とともに消えてしまった...。
驚かせてしまったのかな...?
ヘスチア・ジョーンズは先ほどのことを
目の前のヒゲの長い老人に話していた。
「気付かれてしまったかもしれません...すみません」
「かまわんよヘスチア。
ハリーにはもう手紙を送ってあるしのう。
護衛ももう必要ないじゃろう。」
勝手に外へ出ていた事がバレてハリーは、
トイレ掃除をさせられていた。
(そういえば僕...教科書を買うお金も持ってないや...)
「ちゃんとやってるの?それが終わったら次は洗面所を磨きなさい。分かったの?」
「はい...」
トイレ掃除を終えて、洗面所を磨いていると...
(おばさんは神経質すぎるんだよ全く...これ以上どこを...)「ひやゃあああぁぁ!!」(...ん?)
おばさんの悲鳴の原因はフクロウだった。
様子を見に行くとおばさんが震える手で手紙を開けている。
ガチャッ「ただいま、今帰ったよペチュニアや」
「あなた!大変よ!これを読んで!」「ん~?」
手紙を読み、おじさんの顔が赤から紫に...そして青白くなった...
「連中の思うようにはならんぞ!!」バーノンおじさんは落ち着きをなくしてウロウロ歩き回り何度も立ち上がったり座ったりを繰り返している。
「小僧!物置に入っとれ!!」
ついに自分は物置待機となった。何があったんだろう?気になる。
「学校のことかな?」「それしかないわな~シュシュシュ」
ーーー
ここに来るのは二度目だ。一度目は赤ん坊が置いていかれるのを見届けたのだが、今回はその赤ん坊をこちらの世界へ連れてくるように説得しにきたのだ。
一筋縄ではいかないだろう...
なんせゴテゴテのマグルだ...
深呼吸をしてベルを鳴らす。
ーーー
リビングではミネルバ・マクゴナガルとバーノン・ダーズリーが舌戦を繰り広げていた。
「あの子はイカれてなんかいません!あなた方からどんなに酷い扱いを受けようとここまで耐え抜いてきました!」
「あんたらが押し付けておいて何を言うとるんだ!ここまで育ててやったことにあやつは感謝するべきだぞ!イカれた問題児のコワッパめをいまだにここに住まわせてやっとんだからなぁ!!」
「そこまで厄介者だと思うのなら尚更あの子をこちらで!来年の夏までホグワーツで預けることに異論はないでしょう!」
「これ以上イカレポンチのお前らみたいな連中を増やしてたまるか!!」
両者は無言でにらみ会う...
ハリーは聞き耳を立てずとも十分に会話を聞き取ることができた。
(なんかすごい言いあらそってるなあ...)
ーーー
コンコン。
しばしの静寂の後、ノックする音が聞こえてドアが開いた。
「はじめまして。わたくしはミネルバ・マクゴナガルと申します。あなたがホグワーツ魔法魔術学校で学びたいかどうかでこの方は納得していただけるそうです。」
(こんな場所に入れられてかわいそうに...)
「!!」
物置から明るい場所に出てきたハリーを見てマクゴナガルは言葉を失った。
頬がこけて痩せ細っている。
(まさか食事まで...)
気を取り直して問いかける
「どうしますか?」
ハリーはポケットから紙を取り出す
「これのことですよね?」
バーノンの目が衝撃に見開かれる...
「小僧!...どこでそれを...!」
「今はそんなことどうでもいいでしょう。
さあポッター、どうしますか?」
正直、ハリーは迷っていた。
この学校をまだ完全に信用できている訳ではない...
しかし...このままセカンダリースクールに行って普通の男の子として一生を暮らすか、それとも勇気を出してこの学校にするか...
チラリとバーノンおじさんを見てからマクゴナガルに視線を戻す。
「僕、ホグワーツに行きたい。」
次の朝、マクゴナガル教授が迎えにきてロンドンへと向かった。
「僕、あの、えっと、ホグワーツで、えっと、その、ちゃんとやっていけますか?」
「あなたは魔法を制御できますね?」
「はい...少し...。」
「その年でそれは十分すぎるくらいすごいことですよ。」
まだ不安気な表情を浮かべているハリーを見てか、マクゴナガルは腕を伸ばした。
「なら適性を試してみますか?」
「はい!」自分の力を試すことは嫌いじゃない。
「わたくしの腕を掴んでください。」
「それではいきますよ...3...2...1」
へその裏から引っ張られるような感覚がしたかと思うとどこかのバーに到着していた。
「この付き添い姿あらわしは子供は魔法への耐性のなさから普通魔法酔いするものですよ。」
「マクゴナガル先生様、こっちですだ」
ひげもじゃの大男が手を振っている。
「ここからは、ハグリットが案内してくれますよ。
ハグリット、では、この子をお願いします。」
「えっと、おはようございます。よろしくお願いいたします。」
「おうハリー!わしゃハグリットだ!おめぇさんに会ったときはまだほんのちいせぇ赤ん坊だったんだがな!成長しちょるな!」
「僕と会ったことがあったんですか?」
「ああ!おめぇさんはまだ赤ん坊だったんだ!おめぇさん目はリリーの目だな!顔はどっちにも似てねぇなぁうん。まあどっちかっちゅうとリリーよりかもしれんなぁ。」
僕はハグリットからいろんなことを聞いた。
両親が死んだのは交通事故ではなかったこと。
両親が莫大な遺産を残してくれていたこと。
ホグワーツのこと。
僕と同じように魔法のことを知らないで育った子もいて、その子達でもちゃんとやっていけるということ。
そして、闇の魔法使いヴォルデモート卿が両親を殺し、その後僕を殺そうとしてなぜか消え失せたこと。
ダイアゴン横丁という魔法界の商店街のようなところで、学用品の買い物をするべく、いろいろな店を回った。
魔法薬の材料を売っている店では
「おいおい!人面犬の睾丸が12シックルだー?ちとボッタクリすぎじゃねえのか?」
金髪の男が叫んでいる。
結局、ハリーは、
見た目の10倍も中が広い仕組みになっているトランクを、ハグリットから誕生日祝いとして買ってもらい、
(ハリーにとって初めての誕生日プレゼントだった。)
魔法薬の材料、杖、大鍋、ローブ、教科書とその他使えそうな本(大量)を買って買い物を終えた。
帰り道、ウィーズリー家の方達と出会った。
「アーサー!買い物か?ほれ、こっちはハリーだ!」
「おおハグリット!こんにちはハリー」
「こんにちは」
同い年のロンと出会った。
彼も今年からホグワーツらしい。
家に着いた僕はひたすら勉強を始めた。
元々、ペーパーテストだけはみすぼらしい格好のハリーにも先生はちゃんとした点数をつけてくれていた
ので勉強が好きで得意だった。
「頑張らなきゃ」
きたるべきホグワーツでの授業に向けて...
次の朝、4羽のフクロウからかなり重そうな荷物が届いた。
「フクロウめ!!今度来たらぶっ叩くぞ!!」
物置に入って中を見てみると...
『ナイスガイのナイスな食事』
『太れる野草100選〝転がりすぎ注意〟』
『初級少年の変身術魔法理論だビローン』
の本だった...
差出人の手紙を読むと
『少年よ、大食漢願望を抱け。
追伸 ホグホグワツワツな食事が君を待っとるよ。
この本は謝罪の気持ちじゃよ byワシ』
とだけ書いてある...
今からでもセカンダリーに変えれるかな...
次回投稿は4月以降です。