IS~転生者は頑張って生きるそうです~(凍結) 作:赤い変態
後悔はしてない。
あ、電話越しだけど彼女が出ます。
凪side
「まさか、松坂牛弁当まで出てくるとは…恐るべし、IS学園」
晩飯を食べ終わり、俺は一夏の部屋に向かっていた。
ISの基礎技術の復習をさせるためだ。
……それにしてもあの日替わりマル秘弁当、なかなか侮れない。
だが何故俺以外は頼まないんだろう?
皆、駅弁が嫌いなんだろうか?
「っと、着いたか……ん?」
『最っっっ低! 女の子との約束をちゃんと覚えてないだなんて、男の風上にも置けない奴! 犬に噛まれて死ね!』
『あ、おい鈴!』
1025室、一夏と箒の部屋の前に着くが何やら騒がしい。
とりあえず中に入って何が起きたか確認しな――――
バタンッ!!!
「ぐぅ!?」
いきなり開いたドアと壁に挟まれ、そこで俺の意識は途絶えた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「…つまり、約束をちゃんと覚えてなかったから鈴に叩かれた上に、泣かせたと。そして何故か箒まで怒ってると」
「…ま、まあそういうことになるな……」
「一応聞くが、覚えてるのか? 本当の約束の内容」
「いやそれが……」
「覚えてないのか」
「『腕が上達したら酢豚を』ってとこまでしか……」
「はぁ……」
あの後すぐに気が付き、俺は今、食堂で一夏から話を聞いてる。
どうも鈴との約束をちゃんと覚えて無かったようで、怒らせてしまったそうだ。
箒が怒ったのも多分、相手の約束を覚えてなかった一夏への呆れからだろうな。
やれやれ、ここまで来ると不治の病同然だな。コイツの鈍感さは。
「どうすればいいんだ…?」
「その位は自分で考えろ。…まあ、素直に謝って、約束の内容を教えて貰った方が妥当と思うが?」
「…だよな。……よし、とりあえず今度謝ってみるか。話はその後にってことで」
「そうしとけ。じゃあ俺はこれで」
「おう、サンキューな、凪」
とりあえず今日はそこまでにして、互いに自室に戻っていった。
翌日、クラス対抗戦の日程表が貼り出されていた。
一夏の一回戦の相手は――――――鈴だった。
五月。
あれから一週間経ち、鈴は一夏に顔を合わせるたびに機嫌を悪くしていき、一夏も謝ることが出来ずにいた。
そしてこの前、第三アリーナで一夏相手に『ゲイルストライク』の操作練習をやろうとしてた時、偶然鈴と出くわしたんだが……。
一夏が鈴に対し、言ってはならないことを言ってしまった
『貧乳』
これによって鈴が激怒、一夏に宣戦布告してしまった。
多分、試合当日まで顔を合わせて貰えないだろう。いや、合わせたとしても一夏は無事では済まないだろうな。
そんで現在、クラス対抗戦二日前の土曜日。
俺は自宅に戻っていた。
『ゲイルストライク』のマルチパック対応化の作業を行うためだ。
今のままではシールドとエールの二つのストライカーしか装備できず、ストライカーシステムを最大限に使うことが出来ない。
まあ、『アウトフレーム』を使えばいいことなんだが、今後の原作イベントを考えると『ゲイルストライク』も使えるようにしておいた方が良いしな。
「……っと、完成。これでシルエットも使えるな」
色々と考えているうちにマルチパック対応化も完了し、すぐに装備するストライカー・シルエットを設定する。
「とりあえず、ストライカーは『エール』『シールド』で、シルエットが『フォース』『ソード』かな。で、念の為にライフルを一丁っと」
シルエット三種の内、ブラストを装備に入れなかったのは、あまり必要がないからだ。
正直、『アウトフレーム』にランチャー装備で事足りるしな。
「しかし、これでいよいよ『アウトフレーム』と『ゲイルストライク』の差が無くなるな。
どうしたものか……」
装備が豊富でどんな戦局でも戦える『アウトフレーム』。
近接戦闘主体で、圧倒的スピードで相手に迫ることが出来る『ゲイルストライク』。
まあ、交互に使っていけばいいか。
『アウトフレーム』は普段使うとして、『ゲイルストライク』は緊急時でとか。
「ま、その辺は追々考えるとして、飯でもするか」
時計を見ると夜の八時。
ちなみに作業を始めたのは朝の十時半。
…結構籠ってたんだな。
一階に下りてチャーハンを作り、リビングで食べようとテレビを付け、ニュース番組を見る。
しかし、一人で食う飯って久しぶりだな。
IS学園に入ってからは常に誰かと一緒に食うことがあったからな。
『…続いては各国のISに関するニュースです。フランスのデュノア社が第三世代機の開発に目途が立った模様です』
「あれ、たしか原作では殆ど出来てないんじゃなかったか?」
ニュースの内容に俺は首を傾げる。
まさか、俺という異分子が存在する時点で原作が変わってきてるのか?
…いや、まさかな。たかが一人増えたところで早々物語が変わる訳ないし――――
『どうもデュノア社が開発するのは今までの発想を覆すような物になるとのことです。
現在判明してるのは全身装甲であることと、『ハイペリオンG』という名前が付けられている事だけで――――』
「……」
その一言に俺は一瞬、言葉を無くした。
…『ハイペリオンG』って、アレだろ。
『ハイペリオン』の試作量産型じゃなかったっけ?
あれ? まさかロリ神が言ってた『余計なものが混じった』って、こういうことなのか?
……冗談じゃねぇ、つーことはアレか? シャルロットがアルミューレ・ルミエールを張りながら一方的に攻撃するっていうのか?
……マジで洒落にならん。
『―――また、この機体の設計を担当したのは世界的に有名なIS技師、高天原那美さん(37)で――――』
「ぶふぅっ!!?」
今度はその設計者の名前を聞いてチャーハンを噴いた。
お、お袋が設計!? しかも世界的に有名なIS技師だと!?
っんなの、初めて聞いたぞ!?
つか、うちの母親は何勝手に―――――
『あ、今緊急の情報が入りました――――現デュノア社社長、アルフレッド・デュノア氏(51)が逮捕された模様です。どうも、フランス政府幹部との不正金の遣り取りがあったようで、
更に愛人との間に出来た娘さん (15)を男子としてIS学園に送り込み、男性操縦者である二人とその機体のデータを採取しようと画策していたそうです。
また、その娘さんは数々の虐待を受けていたそうで現在、高天原那美さんの下で保護。
養子として引き取ったとのことです。
あ、更に情報が入りました。どうやらデュノア氏の不正を通報したのは高天原那美さんのようです』
「…………は、はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?」
……何をやってんだ、あの人はぁぁぁぁぁぁ!?!?
ガンダムSEEDの外伝機体を設計しただけでなく、デュノア社長を引きずり落とし、更には原作ヒロインのシャルロットを救った上に養子にしただとぉぉぉぉ!?
ということはアレか!?
この前メールにあった、義理の姉なる女の子ってシャルロットのことかよ!!!
何勝手に原作ブレイクしてんだよ、あの母親は!!!
PLLLLL…
「…まさか」
電話が鳴り、相手を確かめると今テレビで報道されてた母の名前が。
とりあえず出るか…。
「……もしもし」
『あ、凪? テレビ見た? ママちょっとやり過ぎたわ♪』
「やり過ぎ所じゃねぇ! 何社長を降ろしてんの!? しかも養子にするって子の正体が驚きだよ?!」
『でも、昔から姉とか妹が欲しいって言ってたじゃない。別に構わないでしょ?』
「いや、でもやり方ってもんがあるでしょうが普通!」
『普通なんて糞喰らえよ、そんなもの』
「いやダメでしょ! …つうか、IS技師ってどういうことだよ。初耳なんだが」
『ああ、そのこと? 言ってなかったかしら?』
「IS関連としか聞いてねぇよ」
『そうだったかしら? あ、今シャルロットちゃんとドライブ中なんだけど、話しする?』
「一発免停食らうぞアンタ…まあ代わってくれ」
少し間を置いて、電話の向こうの相手が代わる。
『も、もしもし?凪君…だっけ?』
「あ、はい。そちらがシャルロットさんか?」
『は、はい…』
うん、マジでアニメで聞いた声と同じだ。
シャルロット本人だとすぐに認識できた。
つうか、彼女が義理の姉になるのか……。
『ええと…僕のことはある程度那美さん『ママって呼んでね♪』…お、お母さんから聞いてると思うけど…』
「ああ、はい。今ニュースでも取沙汰されてたんで大抵のことは理解してますよ」
『…いいの? こんな僕が君の家族…義理の姉になるなんて…』
…どうやら、自分の素性を知ってる俺が受け入れてくれるかどうか不安のようだ。
まあ、原作でも一夏達に受け入れてもらえるかどうかで不安だった気がするしな。
まあいい。それよりも今は彼女の不安を取り除こう。
「構いませんよ? むしろ家族が増えるんだ、大歓迎だよ」
『! で、でも!? こんな僕が――』
「こんなも何も、『あなた』は『あなた』だ。あなたはもう『シャルロット・デュノア』じゃなく、俺の新しい家族だ。だから過去なんて関係ない」
『――――――、』
「…っと、なんだか慣れないこと言ったから恥ずかしいな」
ああ、何主人公みたいなセリフ吐いてんだ俺。
こういうのは一夏がいうようなセリフだろ。
『ううん、恥ずかしいことなんてないよ。―――ありがとう、受け入れてくれて』
「そ、そうか……まぁ、よろしく。シャルロットさん」
『うん、よろしく。凪君』
『もう! 義理といえ姉弟になるんだから、そう畏まった呼び方なんてダメよ!』
「おい、お袋。なに回線に割り込んでるんだ。つうか何で俺のケータイ、二人同時に会話できるんだ」
『わぁ!? な、那美さん! 前、前!』
『ママと呼んでよ…っと!…簡単な事よ凪。だって凪のケータイは二年前に改造済みだもの♪』
「何さり気なく息子のケータイ改造してんだよ」
『ん~、暇つぶしに?』
『な、那美s『ママって呼んで欲しいな♪』…母さん、暇つぶしでそういうことはやらない方がいいと思うんですけど…それにケータイ会社にバレたら―――』
『その辺は大丈夫!バレ無いように細工してるから♪』
「アンタ本当に近い内捕まるぞ!?」
『まあまあ♪ それよりも凪? たしか送り主不明のIS、二機持っているんでしょ?』
「へ? あ、ああ。つうか、なんで知って――」
『知ってるかって? もちろんIS学園のホストコンピュータと凪の部屋のノートパソコンをハッキングして―――』
『本当に捕まりますよ!?』「本当に捕まんぞアンタ!?」
お、恐ろしい。
IS学園をハッキングしたこともだが、それを出来るお袋がチート過ぎて恐ろしい。
ていうか、何気にシャルロットとハモったな、俺。
『大丈夫大丈夫♪ 凪のISのデータしか覗いてないし、それに痕跡ひとつ残してないから♪』
「いや、だからそういう問題じゃなくて――――ああ、もういいやなんか。
で、二機も持ってるがそれがどうかしたのか?」
『その内の片方、『アウトフレーム』だったかしら? そのコアをくれない?』
「え、いや、それだと『アウトフレーム』が使えなくなるんだけど…というかコアをどうするつもりなんだ?」
『大丈夫よ、今凪の部屋のノートパソコンにあるデータを送っといたんだけど、そのデータ通りに作業すれば一つのコアで二機使うことが出来るわ。あと、コアは私が作っている機体のコアにしたいのよ』
「色々と聞きたいことが一気に増えたんだが…どういう機体なんだ?」
『凪の『アウトフレーム』のデータを見て参考にした機体よ。
その名も――――ライゴウガンダム』
「……は?」
『もちろんシャルロットちゃんの専用機よ♪』
こ、この人は…何で外伝機体なんかを―――じゃねぇ。
まさかのライゴウガンダムかよ!
驚いたよ、またも本編主役機じゃないことに!
あれか、姉と弟で仲良くストライカーを交換しながら戦えというのか!?
! まさか、シルエットまでとか言わないよな!?
「…まさかとは思うが、マルチパックも導入してんじゃ―」
『モチのロンよ♪シルエットやウィザードとかもOKよ』
「はぁ…」
やっぱりか…。
『あ、あとライゴウガンダムの為に三つの新型ストライカーを作ったから、凪も使いなさい♪』
「あ、ああ…」
おい、あの三つも作ったのか。
どんだけ高性能なんだよ、うちの母親。
その内『天災』と意気投合しないだろうな?
激しく不安なんだが。
『とりあえず、IS学園のクラス代表戦の二日目か三日目あたりに一度シャルロットちゃんと日本に戻るから、それまでにコアの方。よろしくね♪』
「はいはい、了解」
『え、ええと…頑張ってね?』
「シャルロットさん、ありがとう…そして待ってますよ」
『う、うん!』
『さて、それじゃ最後に一つ凪に注意しておくことがあるわ』
ん? いきなり真面目になった?
「なんだ?」
『―――あなたの『アウトフレーム』と『ゲイルストライク』のデータ、私以外の誰かにコピーされてるみたいよ』
「な!?」『ええ!?』
どういうことだ? まさか…亡国企業とでもいうのか?
『詳しくは分からないけど、ストライカーシステムだったかしら? それのデータも全部ね』
「…忠告ありがとうよ、お袋」
『あら、褒められちゃった♪これはご褒美に何かあげなくちゃ!』
『わああぁぁぁ!?!? な、那美さん! スピード! スピード!?!』
『それじゃあ凪? 頑張りなさいよ! バ~イ♪』
プツッ!
「ふぅ……それにしても、シャルロットが義理の姉になって……さらにはお袋の職業がIS技師。そんで二機のデータが、か…………色々あり過ぎてパンクしそうだ…」
とりあえず、自室に戻ってお袋から送られているであろうデータを確認、実行に移すのをやってしまおうか。
「こりゃ、徹夜確定だな…」
食器を片づけ、自室に戻る。
ああ、…もう少し普通の家庭に生まれたかったな…。
「…ん? お袋がアレなら、親父はどうなるんだ?」
凪side out
???side
とある国の森林区域。
一人の男性がその森の中をビジネススーツ姿で歩いていた。
「う~ん、ここの空気は実にすばらしい。那美さんや凪、それに新しく家族になったシャルロットちゃんと一度でいいから一緒にハイキングに来たいなぁ!」
ずんずんと森の奥深くへと進んでいく男性。
どうやらとても家族のことが好きのようだ。
しばらく歩いていくと前方に煙が漂っていた。
「む、焦げ臭いな…何か燃やしているのか? おや、あれは…」
何かを見つけたのか、駆け足で煙が発生してる方向へ向かう。
「これは…戦闘でもあったのか?」
周囲は木や草が炭と化しており、所々に薬莢が転がっていた。
「うぅ…」
「! 大丈夫かい!?」
ふと声がした方へ顔を向けると、白髪に白いワンピースを着た少女が倒れていた。
見たところ、十歳か、十一歳だろうか。
ワンピースの所々が破れてたりするが、特に目立った外傷は無いようだ。
「だ、誰…ですか?」
「(日本語?)僕は高天原武、偶然ここを通りかかって君を見つけた。
君、名前は分かるかい? それとここで何があったのか教えてくれるかい?」
「…名前はありません。それと、わたしはただ逃げていただけで…」
「そうか…よし、では君に名前をあげよう」
「? くれるんですか?」
「ああ、ないと困るだろう? そうだな…よし! 今日から君は空。高天原空だ!」
「くー…。たかまがはら、くー…?」
「ああ、そうだ。くーちゃんだ! そして今日から僕の家族だ!」
その後、男性はフランスで待っているであろう愛する妻とこの前新しい家族になった娘の下へ、新しく家族になる少女を連れて帰る。
「あ、凪に新しい家族が出来たって報告しないと!義理の妹が出来るって♪」
……高天原家の家族は更に増えていく。
???side out
≪オマケ≫
「…で、これが今度襲撃させる無人機?」
「ええ、当初用意していたモノよりも高性能かつ、完璧なステルスシステムを搭載してます。ハイパーセンサーやどんなセンサーにも反応しません」
「そしてこれが、『イレギュラー』の機体データを参考にしたモノかしら?」
「はい! これにはどんな機械さえ制御下に置くことが出来るウイルスを搭載したISです。もちろん、ISすらも操れるかと…」
「恐ろしいわね、こんなモノすら搭載予定のあのISは…」
「ですが、この機体の武器はまだ完成までには少し時間が掛かるのと、『アレら』でも適応できなかったので、誰かを乗せないと…」
「そう、なら『彼』を乗せましょう」
「! 『彼』をですか!? ですが『彼』はまだ調整中、まだ“エム”を乗せた方が安全かと…」
「これは『あの方』からの提案よ」
「『あの方』ですか…わかりました、調整をしてきます。『彼』への命令はどうしますか?」
「そうね…できるだけ隠密に、データ収集。バレた際は即撤退よ」
「わかりました。ではこれにて…」
「NダガーN、そして『神と人間の契約』という名を持つIS…フフッ、楽しみだわ」
家族が増えるよ!
やったね凪!