IS~転生者は頑張って生きるそうです~(凍結) 作:赤い変態
出来の方は…まあ気にしないでくれると有難いです。
「おーい、凪ー!」
「反応が…何処にいるの? 凪…」
「凪兄さん…」
「本当にこの辺りなのか、箒」
「ああ、確かにここであいつと別れた」
「…潮に流されたのなら、捜索範囲を広げる必要がありますわ」
「だとしても、この場の全員で探すのも限界があるわよ」
福音を撃破した一夏達は、凪の捜索を開始していた。
箒が凪と別れた空域付近を海中と空中の両方から探すが、一向に見つからない。
ちなみに、『銀の福音』の搭乗者は空が抱えたままだ。
「不味いわね、もうすぐ日が暮れるわ…」
「くそっ、何処に行っちまったんだ!」
『誰を探している?』
「「「「「「「!?」」」」」」」
突如声が聞こえ、聞こえてきた方向に全員が向き直る。
そこに居たのは―――彼らは知らないだろうが、凪を落とした全身装甲のIS『テスタメント』だった。
いきなり現れた存在に驚くが、その機体から聞こえてきた声が男のものであることにさらなる驚きが全員に伝わる。
「何者だお前は!」
『お前たちが知る必要はない。用があるのはそこの篠ノ之博士が製作した『紅椿』と、貴様の『白式』だけだ。それ以外は――――――消えて貰う』
「させない!」
「空は福音の搭乗者を連れて下がっていろ!」
「はい」
仕掛けられる前にキャリバーン装備のシャルロットとバズーカストライカー装備のラウラが『テスタメント』に向けて攻撃を開始する。
『…ふん、貴様らには用はない』
それに対し『テスタメント』は背中のディバインストライカーを展開、大型アームにしてシャルロットを、右腕のトリケロス改の内側から取り出したハンドガンでラウラを攻撃する。
「うわぁ!?」
「ぐぅ!?」
「シャルロット! ラウラ! …よくもぉ!!」
「覚悟出来てんでしょうね!」
残りのメンバーも『テスタメント』に仕掛けようとするが――
『…面倒だ、じっとしていろ』
その言葉を発したと同時に全員の動きが止まる。
それどころか、強制的に武装が収納されていく。
「嘘!?」
「そんな、動かない!」
「これは…AICとは違う? 一体…」
『教えてやる、それはウイルスだ。どんな機械さえも支配下に置くことが出来る特別性のな。これで、もうお前たちのISは俺の許可なく動けない…』
そう言いながらトリケロス改の先端から刃を出し、一番近いところに居たラウラに近づいていく。
『さて…まずは貴様からあの男の所に送ってやろう』
「なっ!?……嫁に何をした!」
『言葉通りの意味だ。――では、』
『テスタメント』はゆっくりと右腕を振り上げ、ラウラはそれを見て機体を動かそうともがく。
「や、やめろ―――!!」
「クソッ、動け『白式』! 動いてくれ!!」
「っ! ダメ、通信さえ出来ない!」
「お願い、ちょっとでいいから動いて!」
皆が叫び、それを止めようともがく。
だがそれも徒労に終わり、そして――
『――死ね』
「っ」
振り下ろされる右腕。
その先にある刃は真っ直ぐ、ラウラを裂こうと降りてくる。
だが、それがラウラのISの装甲と体を裂くことは無かった。
「――させねぇぇぇぇ!!!!!」
ガキンッ!
高速で何かが二人の間に飛び込んで来て、『テスタメント』の右腕を蹴り、そのまま後方に吹っ飛ばす。
そして、ラウラを庇うように『テスタメント』に立ちはだかる。
そこに居たのは――
「ったく、人がいない間に俺の仲間に手を出すとか…余程死にたいらしいな」
腕部と脚部が目の前の『テスタメント』と同じで、額の中心に追加された小型V字アンテナ。
両肩にはソードとランチャーの両ストライカーの肩パーツ、背中にはエールをベースにシュベルトゲベール、アグニと五基の連結されたバッテリーが合体したストライカー。
そして、彼らが良く知る仲間の声。
―――――『アウトフレームD』、マルチプルアサルトストライカー装備。
『アウトフレーム』の二次移行を果たした凪だった
「「「「「「「凪(嫁、さん、兄さん)!?」」」」」」」
全員が揃って言葉を掛ける。
「よう、全員怪我はないか? …って、俺が言えた立場じゃないんだがな」
胸部アーマーの隙間から血が流れ出る。
どうやら傷が再び開き始めたようだ。
『貴様……何故生きている!』
「はっ、右腕を俺に消し飛ばされたお前が言えた口か?
…ま、俺の仲間が危険だってお告げがあってな。復活して来ただけだ。
……というか、なんで復活しているんだよ。右腕と武器」
『…貴様が知る事ではない。……しかし、折角生きていたというのに、性懲りもなくまたやられに来るとは……忘れたのか? こちらにはウイルスがあるというのを』
「それがどうした」
『……ふん、二次移行して調子に乗ったつもりか。いいだろう……死ね』
そう吐き捨て、腰のビームサーベルを引き抜き前面に向け突っ込んでくる。
それに対し凪はごく自然な動きで背中のシュベルトゲベールを手に取り、その一撃を防ぐと同時に左手でアグニを構え『テスタメント』に向け引き金を引く。
即座にトリケロス改で防ぐが、アグニの威力により吹き飛ぶ『テスタメント』。
だが、すぐに体勢を持ち直し凪に向き直る。
『…どういう事だ、ウイルスを感染させたはずなのに…何故動ける?!』
『テスタメント』の男から驚愕と動揺の声が上がる。
どうやらまたも彼にウイルスを感染させようとして、動きを止めた上で仕留めようと考えてたようだ。
「そんなの、答えると思うか?」
『…ならば、全力で排除するのみ!』
その言葉に反応するかのように海中から『バスターダガー』もどきと『ロングダガー』もどきが出てくる。
…どうやら待機させていたらしい。
「…まだ居たのか、こいつら」
『ふっ、さすがに三対一で他を守りながらは戦えまい』
「それはどうかな?」
シュベルトゲベールとアグニを構え、いつでも対処できるようにする。
『いつまで余裕でいられるか……いけ!』
『バスターダガー』もどきと『ロングダガー』もどきが同時に仕掛けてくる。
『テスタメント』は背後に回ってこようとする。
「…ったく、芸がないな――――そらよっ!」
まず右前方の『ロンガダガー』もどきに瞬時加速で接近して頭部を切り落し、左前方の『ロングダガー』もどきにはアグニと右肩からミサイルを発射し上半身を吹き飛ばす。
それが、一瞬の間に起きた出来事だった。
「いくら同じ手で来ようと――」
『貰った!』
僅かに出来た隙を狙って背後から接近し、左手のビームサーベルで刺し貫こうとする。
「な、凪ぃぃぃぃ!!」
その場に居た誰かが叫ぶ。
その時には、もう回避不可能な距離にまで詰められていて―――
「―――大丈夫だ、やられはしない」
『――な!?』
『テスタメント』のビームサーベルが背中に当たる直前に、『アウトフレームD』の肘から紺色のブレードが現れそれを防ぐ。
そして、そこから『アウトフレームD』の装甲とストライカーが別のものに変わっていく。
『ま、まさか三次移行!? い、いや…だとしても早すぎる!』
「そういやお前は『アウトフレーム』しか見てないか。…これは俺のもう一つの相棒、『ゲイルストライク』が二次移行した姿―――」
全身の装甲が一瞬で別のモノに変換される。
『ゲイルストライク』の肘と膝、拳と爪先に踵にとウイングソーの様なブレードが、脹脛にも大型のスラスターが追加され、色も青から紺色へ変化した姿。
背中のストライカーからシルエットになり翼のようなものが現れ、二つの砲塔とソードシルエットのエクスカリバーが二振り装備されたものに換装されている。
「――――『ゲイルストライクS(ソニック)』、デスティニーシルエット装備……俺もそろそろ限界なんでな、一気に決めさせてもらう!」
『な、何お―――ぐぅ!?』
『テスタメント』に振り向き、そのまま右の拳のブレードでトリケロス改を両断する。
『テスタメント』は破壊されたそれをすぐに廃棄し、両手にビームサーベルを持って距離を置く。
「逃がすかっ!」
だが、凪はそれを許さない。
背中のエクスカリバーを引き抜き、それを前に突き出した状態で瞬時加速、背中から光の翼を出し更に加速して『テスタメント』の懐に入る。
それに対し相手はビームサーベルで応戦しようとするが、
「甘い!」
エクスカリバーが受け止められたと同時に左足を動かし、爪先に付いたブレードで相手の片足を切り落す。そのまま膝を曲げ、その先に付いたブレードで『テスタメント』の腹部を貫く。
『!? ……く、舐めるな!』
「うおっ!?」
しかし、それでも『テスタメント』は動く。
背中のディバインストライカーを稼働させて凪を無理やり引き剥がし、瞬時加速を使って後方に退く。
既に『テスタメント』は片足を失い、腹にも大きな穴が開いていた。
だが、それでも…血は流れ出なかった。
「血が…出てない!?」
「なるほど、機械仕掛けか…」
『……これ以上は無理か……貴様、いつか必ず殺してやるからな!』
そう吐き捨てると同時に『テスタメント』は海中に潜り、消えていった。追い掛けるのは無理だろう、今の凪の体では。
そして、それと同時に凪以外の全員がウイルスの支配から抜け、凪の周りに集まってくる。
「凪!!」
「よう……終わったぜ」
「大丈夫なの!?」
「あー……うん、実は限界。ちょっと寝るわ」
その一言を言うと『ゲイルストライクS』は解除され、血濡れた凪が前のめりになって出てきて、それをラウラが慌てて受け止める。
「よ、嫁!?」
「ちょ、凪!?」
「血が出過ぎよ! 早く連れて帰らないと!」
「ど、どんどん血が出てきます!?」
「は、早く戻らないと!」
全員が慌てて旅館の方向に飛んでいく。
福音の搭乗者と、強くなって帰ってきた仲間を連れて……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『…派手にやられてしまったな』
一夏達が凪を連れて帰ってから二時間後、夜の海上で『テスタメント』が飛行してた。
任務が失敗となった以上、帰還するしかない。
もっとも、損傷が激しくて満足な速度も出せてないのだが。
『しかし、あの男…何者―――む、誰だ!』
「あらあら、ばれてしまったかしら?」
前方に小型ボートに乗った白衣姿の女性が居た。
……IS用のライフルの様なものを持って。
「あなたがうちの息子を落とした方かしら? そしてその友人や私の家族にも手を出した存在……やっと見つけたわ」
『なるほど…アンタがあの『規格外』か。…あぁ、そうだがそれがどうした? そんなライフルじゃ俺は倒せない』
「あら、それはどうかしら? えいっ」
那美はポケットからスイッチの様なものを取り出し、ボタンを押す。
それと同時に海中から四本の鎖が飛び出し、『テスタメント』を雁字搦めにする。
『ふん、こんなもので―――何、動けないだと?』
「うふふ、それ特別製なのよ。…さて、あなたの所為で帰ってきた凪はボロボロで即病院送り。それにみんなまで…覚悟は出来てるかしら?」
『待て、アンタの息子以外は――』
「あは、言い訳は聞きたくないわ……とりあえず、この『剥離剤』を撃って私はその機体を奪取、貴方は海の底ね♪」
『り、『剥離剤』だと!? や、やめろ!』
「嫌よ、それじゃ―――バイバーイ、『亡国企業』さん♪」
『な、何故そ―――』
バシュッ!
那美が持っていたライフルから変わった弾丸が打ち出され、『テスタメント』の装甲表面に着弾すると同時に電流が流れる。
『ガァァァァァァァァ!?!?』
やがて電流は収まって『テスタメント』は解除されていき、そのコアが那美の手に渡る。
そして、搭乗者は―――
ドボン…ぷかぷか…
「…やっぱり、脳みそだけの存在だったのね。まあ、それなら『限定的』に只の男でも動かせるんでしょうけど…最悪ね。
ま、これで凪達の仇も取れたし、コアも手に入って一石二鳥ね」
そう言いながら彼女はボートを『我が家』に向けて動かした。
…その場に、『テスタメント』の搭乗者だったものを残して……。
はい、やっと苦手なとこが終わった気がします。
さて、これからは夏休み編に入るんですが、まず先に3話ぐらい投稿してからその後にコラボ編も入れるつもりです。
龍使いさん、そちらの世界にお邪魔しますがいいでしょうか?
無理なら構いませんので。
さて、次回は設定です(またか)