IS~転生者は頑張って生きるそうです~(凍結) 作:赤い変態
入院やら海外へ飛び回ったりで書く暇が無く、ここまで遅れてしまいました。
待ってた読者の皆様、誠に申し訳ありませんでした(土下座
では、コラボ編3話、どうぞ。
※今回からシールドエネルギーをS・Eと表記することにしました。
no side
―――ちっ、スラスターを切って無理やり離れやがったか!
修夜と距離を開けてしまった凪はスピードを維持したまま無理やり機体を旋回、即座に状況を確認、整理する。
彼我の距離はおよそ200m強。…それなりの余裕が出来た、と言える程でも無い。
むしろこの程度の間なら仕切り直しと言った方が妥当だろう。
なら――
「…打って出られる前に、こちらから仕掛ける……!
『ゲイル』、『アウト』!」
『いつでも行けるよ! 『アウト』!』
『了解!』
『アウト』と『ゲイル』に指示を出し、修夜を正面に捉えスラスターを全開、再接近を試みる凪。
それに応える様に修夜も真正面から加速し、その機体の装甲が再び淡い光に包まれていく。
そして、修夜のIS『エアリオル』は再びその姿を変えていった。
群青色から橙色に変化し、背部にはより出力が高そうなバーニア、腕部や脚部には実体ブレードが取り付けられているのが確認でき、更にその手には巨大な大剣が握られていた。
―――機体形状からして格闘型……って、やばい!
「来い、『ゲイルストライクS』!」
再びの変化を目の当たりにし、その機体構成から危険を察知した凪は即座に『ゲイルストライクS』に機体変換。
激突する前に拳のブレードで大剣を受け止める。
「っ、おらぁ!」
修夜は『ゲイルストライクS』を見て一瞬目を見開くが、そのまま背部バーニアを全開にして凪を弾き飛ばし、そのまま勢いを殺さず突っ切って行く。
弾き飛ばされた本人は両肩の大型スラスターを吹かし体勢を立て戻し、即座にマルチパックとフォースシルエットに換装。機体を安定させる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『ゲイルストライクS』の登場で、観客席側の一同は再び唖然としていた。
明らかに先ほどの機体と違うように見えるのだが……。
「な、なぁ…拓海。…高天原さんの機体ってどうなってんだ?
明らかにストライカーシステムとかと違うよな、アレ……。」
一夏が拓海に、『アウトフレームD』から『ゲイルストライクS』への機体変換について、恐る恐る尋ねた。
「あぁ、あれは―――」
「別の機体に乗り換えただけよ。タイムラグ無しで」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?』
拓海を遮って出た那美の答えに空とシャル(高天原)以外の全員が驚く。
無理もない。本来別の機体に乗り換える等、戦闘中に行えることではない。
出来たとしても数秒のタイムラグが出来る筈なのだ。
「まあ詳しく説明すると、1つのコアで2機を運用してるから出来る芸当なの。
だから乗り換え自体は問題無し。
で、さらにそこへASBLシステムの応用版を組み込んだことで、タイムラグ無しでの機体変換を可能にしてるのよ」
「あ、ASBLって…」
「た、拓海……? まさか……」
一夏達の視線が拓海に集まる。
それに対し彼は一度溜息を吐き、言った。
「那美さんの言う通りだよ。凪君の機体には、うちが提供したASBLの一部データを元にした応用版が積まれてるんだ。
…正直、ここまで完成度が高いとは思わなかったけどね」
「提供して貰ったからには完璧な形で仕上げる…それが私のやり方よ♪」
実に『イイ笑顔』で、規格外はそう言い放った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、機体を安定させていた凪は、出来るだけ機体を修夜から遠ざけていた。
出来るだけ、向こうの性能を見極める為だ。
「…高機動形態があるなら、格闘特化型の形態があってもおかしくねぇか……。
しかもあの突進力…洒落にならんな……」
『まるで意志を持った弾丸だね……』
『対戦機、旋回して再び急速接近。備えてください!』
『アウト』の声を聞き、改めて気を引き締める。
そして再び接近してくる修夜に向かって飛翔し、正面から迎え撃つ。
修夜は牽制用の肩部散弾砲を放つが、それを凪は両肩の大型スラスターを小刻みに吹かし、多少被弾しつつも回避しながら接近する。
だが、大型スラスターの出力によって生み出される左右からの強力なGで全身が軋み……、
―――っ、耐えろ……! ちょっと開いただけだ、無視しろ…!
左胸から右脇腹までに走る激痛に対し、強打を入れることで我慢する。
そしてそのまま修夜に肉薄し、取り回しが効く拳と爪先のブレードで攻撃を開始する。
修夜もその切っ先を腕部のブレードと脚部内蔵型のレーザーブレード《デュアルクロー》で捌き、受け止める。
―――貰った!!
そして僅かに出来た一瞬の隙を狙って右腕の大剣《グラットントゥース》を振り下ろす。
「…ところがギッチョン!」
「な、…ちっ!!」
凪はバックパックをバックジョイントに換装し、作業用アームで《グラットントゥース》の柄と修夜の右腕を掴み、直撃を避ける。
そして同時に普段はめったに使わない頭部バルカンを発射、S・Eを削りながら右側の肩部大型スラスターを吹かし、一気に離脱しようとする。
「逃がすかよっ!!」
逃がす訳にはいかず、修夜は迷わず腰部のワイヤーランチャーを発射。
凪の両腕と胴に絡まり拘束すると同時に、高速で巻き取り始める。
そして輻射波動式パイルバンカー《クラッシュアーム》を呼び出し、そのまま凪に向かってバーニアを全開、突撃する。
「これで…決める!」
音速をも超える速度と高速で引き戻すワイヤーの速度の前に凪は対応出来ず、修夜の一撃を許してしまう。
その一撃は左肩に直撃し、肩部大型スラスターを粉砕。S・Eを大幅に奪う。
さらに衝撃の余波で、反対側のスラスターも機能停止になってしまった。
『S・E残量……320!? どんだけなの!?』
『今の衝撃の余波で反対側のスラスターの制御機構も機能停止!
マスター! これ以上あの攻撃を喰らうのは無理です!
近接戦闘は避けてください!』
『アウト』達がパニックに陥る中、凪は血が口に上がってくるのを感じながら軽く笑う。
「…はっ、それがどうした。 この位じゃなきゃ燃えないだろう?」
『え、ま、マスター!?』
「さぁ、いくぞ!!」
『アウト』の制止を振り切り、雄叫びを上げると同時に膝のブレードで器用にワイヤーを切断。自由になった右腕を振りかぶり、抉るように拳のブレードを振るう。
「ちょいさぁッ!!」
「しぶといっ!! 」
刃と刃がぶつかり合い、金属音が高鳴り、相応の衝撃が襲い掛かる。
凪は怯まず、渾身の力―――開いた傷が更に開こうが関係無いとでもいうようなパワーを込めてブレードを振るう。
…だが、それにつれ拳と肘のブレードの耐久度が落ち、刀身に罅が入って行くが、凪は気にせず打ち続ける。
対し修夜も凪の剣筋を初動で見切りつつ、
「……っ!」
フェイントも、力任せも、連撃も何もかも、受け止め受け流す。
火花が散り、音が鳴り撒かれ、拮抗し動きが進まない。
「――――ッハ!」
凪も一息入れ直し、より初動を加速させ、手数を増やす。
風切り音がさらに増え、火花と音がいっそう激しくなる。
「っ、やるなぁオイ! 本当にリハビリが必要なのかよ?」
「これでも少し前までベッドの上だったんでね、感覚取り戻すのに必要なのさ!」
《グラットントゥース》を撥ね退け、パキン、と両腕のブレードが砕け散ってしまう。
「―――疾っ!」
得物を失った凪は瞬時にアーマーシュナイダーを3つ取り出し、関節部分を狙い投擲する。
だがそれらは、修夜の薙ぐ様な腕の動きで簡単に弾かれてしまうが、その隙に凪は背後に回り込み、もう一本アーマーシュナイダーを左手に呼び出し、右手で腰のウイングソーを抜き持つ。
そしてそのまま流れるように、かつ最速の振りで刃を滑らせる。
「見えてるんだよ!」
しかし修夜は後ろを確認せず、その一太刀に対し身を前に少し倒すだけで回避。
そのまま回転し、ウイングソーを蹴り上げ、遥か後方へ吹っ飛ばす。
「―――悪いな、こっちが本命だ」
手元に残った武器は小さなナイフ。凪は間髪入れずそれを、自身の得物を蹴り上げた脚部装甲の隙間に打ち込む。
アッパーの要領で打ち込んだそれは、振動する刃をもってS・Eと装甲を削り、小爆発を発生させるが、一瞬にして砕ける。
―――打ち込んだ際の衝撃と、装甲に激突した際の衝撃に耐えきれなかったか。
まあそれでもだが……、S・Eを一定値削ることが出来た。無駄ではない。しかし……、
「……やってくれる。だが、その程度じゃないだろ…?」
しかし、相手は何事も無かったかのような振る舞いで、《グラットントゥース》を構え直す。
―――やはり軽かったか。まあ、そりゃそうだよな……。
ならば、と凪は決めた。腕部ブレードの基部を強制排除し、無駄な空気抵抗を無くす。
そして、左手に新たな武器、タクティカルアームズⅡLを展開する。
「いいだろう」
バックパックをシールドストライカーに換装し、左手に収まる赤き大剣を、やや右寄り下段で構え、右腕は刀身の側面にある取手を掴む。
此処こそが……、
「本当に、勝負所だ……!」
そう言いつつ、真正面から突っ込んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
凪が赤き大剣を新たに呼び出し、突撃してくるのを見て、修夜は下がる。
相手の動きを見て、見極め、回避動作の基準を調整する為に下がった。
「っ!」
大振りの一撃を、左に軽く、紙一重で避ける。大きくは動かない。
離れすぎれば相手はこちらに狙いを定めやすくなるし、足や手を狙われやすくなる。
交錯の瞬間、なるべく密着し、相手がこちらを狙えなくさせるのが常道だ。
耳のすぐ傍にまで風切り音が届き、一瞬肝が冷えるがそれだけだ。
凪の一撃は、こちらから見て左下から右上への逆袈裟。左に移動すれば、両腕を振った彼の背側に出ることになる。
修夜は凪の背後に回り込みながらその動きを観察する。
―――え、こいつは……
腹部に目が行き、ある事に気付いた。直後、
《マスター!》
「―――!? くっ!」
凪の左腕がこちらに振り切られ、銃の様な物で追撃を掛けてくる。
いきなりの事に一瞬、動作が遅れ、光弾が装甲を削る。
威力はとても低く、ダメージはそこまで無かった。だが……、
―――何時の間に…?!
凪が新たに武器を呼び出す瞬間は無かった筈。
だが、その疑問は次の追撃で納得する事となる。
左腕を離し、右腕だけで持っているであろう大剣…、その柄部分が見当たらない。
そして気付く。今彼が持つ銃の正体に。
―――あの大剣の柄が銃になってるのか! 面白いギミック積んでやがる…!
凪の右腕が僅かに動くのを知覚し、思考は其処までにしておく。
右腕だけで振る大剣の刀身部分を、グラットントゥースで迎え撃つ。
上手く振るえないのか、刃では無く、刀身の腹で薙ぎ払いの一撃を放ってくる。
その軌道は、確実にこちらの頭部を狙って来てるが、逆に狙い易くもある。
グラットントゥースで刀身の腹を叩き、そのまま狙いを外させようとする。
「っと、それは頂けんな!」
凪がそう言った瞬間、その赤い刀身は二つに割れた。
修夜が刀身の腹を叩くより早く、だ。
途中まで割れたかと思うと、刀身は途中から折れ曲がり、鋏状になってグラットントゥースを素通りし、的確にぶち込もうと襲い掛かる。
「――――!」
修夜は迎撃をキャンセルし、左に加速する。凪の背後へ。
少し体を後ろに反らせることで、鋏状になった大剣を避ける。
眼前を通った際、ガキンッと閉じたのを確認し、
―――危険すぎる!
だが避けた。
そのまま凪の背後に回りきると同時に、肩部散弾砲をありったけ叩き込んだ。
「全弾もってけ!」
「……!」
凪は咄嗟に、シールドストライカーのアームを稼働させ、シールドで防ごうとするが…少し遅かった。
超至近距離での散弾砲。
その弾丸の、防ぎ切れなかった8割が凪に襲い掛かる。
『S・E残量120! 危険領域です!』
瞬く間に『ゲイルストライクS』のS・Eが減っていくのを確認し、決断する。
―――この距離……ちっ、被弾覚悟で決める!
凪はタクティカルアームズⅡLをアローモードに変形させながら反転。
散弾砲の雨が止まり、修夜が左腕を振りかぶるのが見えた。
…肩のスラスターを破壊したあの一撃が再び来る。
そう判断するよりも先に体が動き、アローモードに完全移行した大剣を突きつけ、
「「――――終わりだぁ!!!!」」
声が重なり、それぞれの一撃を放つ。
修夜はクラッシュアームを凪の胴に密着させ、全弾打ち込み、凪は全身に衝撃が襲うのを感じながら、引き金を引いた。
『…S・E残量0。僅かな差で、私たちの負けです……』
―――ピィ―――――――――――――ッ!
『アウト』の声が、対戦終了の合図と重なった。
こんな感じで次に続きます。
仕事の関係で8月半ばかなぁ…(汗
そして龍使いさん、GHOST=大博さん。ご協力ありがとうございました&ここまで遅れて誠に申し訳ありませんでした(汗
次はもっと早めに仕上げます(汗