IS~転生者は頑張って生きるそうです~(凍結)   作:赤い変態

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実にお待たせいたしました;

約3カ月ぶりの投稿…リアルでの忙しさやその他諸々の事情で本日まで遅れました(汗

今まで待ってくれた龍使いさん、GHOST=大博さん、読者の方々、申し訳ございませんでした!

次話については可能な限り早めに投稿しますので!(土下座


世界を越えた出会い……4話:そして休暇へ…

―――そうか、負けたか

 

対戦終了の合図が響く中、反芻するように事実を認め、受け入れる。

機体の損傷個所…主に左肩と胸部、腹部の装甲は醜く膨れ上がっていて、修復するには数日掛かるような状態だった。

凄い性能だった、だがそれ以上に彼の――修夜の技量は凄かった。

 

―――だがその技量に押された御蔭で、感覚は戻ってきた

 

そして課題も見つかった。

負けたのに一石二鳥とは、実に良い。

 

―――彼ほどの手合いに出会えた事、感謝すべきだな。それと、彼自身にも…

 

そこまで考えた時、当の本人が武装を格納してから凪に近寄ってきた。

対戦も終わったので、頭部装甲を解除しておく。

 

「大丈夫か?」

「あぁ、一応…と言いたい」

 

そう答えつつ、もう一度腹部辺りを見て確認した。

良く見ると破壊された腹部装甲の隙間辺りに血が流れた痕があった。速度の出し過ぎで生じたGに耐え切れず傷が開いたのであろう。

もう乾いている辺り、一応血は止まっているようだ。

 

―――無茶をした結果だな…

 

脇腹を押えながら、凪は苦笑した。

 

「まあ、途中で勝ちに急いで速度出し過ぎたせいかな。傷が開いたのは…」

「病み上がりの人間が無茶するなよ」

 

修夜は呆れた表情を浮かべながらも、肩を竦めた…その時だ。

 

『そうです! 大体、あの時私たちの警告を聞いておけばこんな事には…!』

『マスターは実に馬鹿だなー。二次移行後の私の速度を把握し切れてないとかさぁ…』

「うぉっ」

 

ずっと黙っていたAI達、アウトとゲイルが愚痴を溢しながらホログラフィーで出来た姿で凪の両肩に現れた。

それを見た修夜は軽く驚いた様子を見せたが、すぐに冷静な態度に戻り凪に尋ねた。

 

「…こいつらって、もしかして凪の機体の?」

「お察しの通り…AIだ。後で紹介しようかと考えていたが…まあいいか。

 白い方がアウト、青い方がゲイルっていう」

『どうも、アウトです。先程は御見事でした』

『どもっ!ゲイルだよ♪』

 

凪の紹介に合わせ、AI達も挨拶をする。

真逆の性格をしたAI達の挨拶に軽く返事を返しながら修夜は、どうせならシルフィの事も紹介しようと考えつく。

 

「じゃあ、俺の相棒も紹介しておくか。――シルフィ」

《はーい》

 

そしてアウト達と同じ様な登場の仕方で、緑色の髪をした小さな少女が現れ修夜の右肩に立つ。

アウト達と同じAIか、と瞬時に理解した凪に対し、その妖精の様な少女が挨拶をする。

 

《エアリオルのAI、シルフィだよ。よろしく、アウト、ゲイル》

『はじめまして、アウトです。よろしくおねがいします、シルフィさん』

『以下同文で、ゲイルだよ! よっろしくぅ、シルフィちゃん♪』

 

互いの肩の上で自己紹介をするAI達。

それを横目で見つつ、凪は感慨深く呟く。

 

「世界が違えど、AIがいるISが同じように存在するとは……実に興味深いな」

「言っておくが、俺以外にもセシリアがAI持ちだぜ」

「ほう? なら、後で紹介願え……」

 

修夜との会話に盛り上がり掛けていた凪が、修夜の方に顔を向けた瞬間に言葉を切った。

いや、正確にはその目はもっと後ろ……那美や拓海達が居るのとは真逆の方向にある観客席の方を見ていた。

 

「おい、どうしたんだよ? 後ろに……あぁ、なるほど」

 

気になって釣られる様に、後方の観客席に視線を向けると、4人の人影を見つける。

それは凪がまだ出会ってない、IS学園の制服を着た五反田兄妹と御手洗一馬、そして凪も知る人物、布仏本音がいた。

良く見ると彼らはこっちを見て驚いたような表情をしている。本音はいつも通りニコニコしてるように見えたが…。

 

―――どうやら、見られたようだな……。一応、説明しておく必要があるなぁ……

 

凪の事について、あまり周囲に喋らないように頼んでおかないと……と、そんな事を思いつつ凪に話しかける。

 

「なぁ、あの4人だが……」

「……判っている。とりあえず、説明が必要って事だろう?」

 

額に手を当て、空を仰ぎながら呟きながら凪はピットに戻っていった。

修夜も、拓海にも説明して貰った方が良いかもと、考えながら後を追った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「…つまり、お前さんは並行世界から来た……ってことか?」

「そういう事になる…。まあ、同じ人物が二人いる時点から理解できると思うが……」

 

那美達が集まっている観客席にて、五反田兄妹と数馬、本音に自分の正体を説明していく凪。

最初は二人いるシャルやくー達を見て結構驚いていたが、凪の説明を受けている間に大分落ち着いて話を聞いていた。

 

「―――という訳でまあ、数日ほど此方に厄介になるって訳なんだ。さて…じゃあ改めて、挨拶をするか。

高天原凪だ。短い間だが、宜しく頼むよ」

 

一通り説明を終え、改めて挨拶をしてから握手を求める。

弾達は互いに顔を見合わせながら、ちょっと躊躇してから弾が最初に手を差し出した。

 

「俺は五反田弾。まあよろしく頼むぜ? それとさっきの戦い、凄かったじゃねぇか。

 後で色々と教えてくれよ!」

「妹の五反田蘭です。…修夜さんとあそこまで渡り合えるとは、驚きました」

「俺は御手洗数馬、よろしくぅ! あ、そうそう! 機体見せてくれねぇか?」

「布仏本音だよ。よろしくね~」

 

そして蘭、数馬、本音と言った順番で挨拶を済ませる。

それを見届け終えた修夜は、一応彼らに釘を刺しておく。

 

「お前ら、判ってはいると思うけどこの事は他の奴らに口外すんなよ?

 凪達に迷惑が掛かるからな」

「わ、判ってるって! ちったぁ信用しろいっ!」

 

慌てる弾を見て大丈夫かなぁ…と思いながら凪は苦笑する。

そして、今度自分の世界の方の弾達とも会ってみようかなと考えを膨らませながら、さっきから疑問に思ってた事をぶつける。

 

「そういや弾君達も機体はあるのか?」

「あぁ…実はまだ無ぇんだ、これがな。ISを動かせると判ってから色々とゴタゴタがあったからよ」

 

少し困ったような顔をして返答してきた弾。よく見ると蘭や数馬も微妙な顔をしている。

それを見て凪も察した。

立て続けにISを動かせる男性が見つかれば、色んな所からアプローチが掛かる。

研究素材としてや、自国のパイロットして迎え入れようとしたり…。その際に何らかの方法で無理やり取り込もうとする輩もいる筈で……。

 

―――まだ中学生の筈である蘭さんが居るのもそう言った関係から保護する為か…

 

どんなに拒もうと、身内を人質に取られれば受け入れるしか無くなる。

それらから逃れる為に、事前にIS学園側へ特例として入学しているのだろうと、凪は推理した。

たぶん、数馬君も似たような具合だろう…そう思い即座に謝罪を入れる。

 

「…済まない、どうやら気軽に聞く事じゃ無かったようだ」

「いや、構わねぇよ。こうなっちまった以上、覚悟しなくちゃいけねぇからな。

というか、機体がロールアウトしても手元に来るのはもう少し後になりそうなのが現実でなぁ……」

「そういう訳で、高天原さんが謝る必要は無いですよ。私達の問題なので……」

 

数馬と蘭が謝らなくていいとフォローする。

部外者の自分が謝っても意味が無い、これ以上は彼らに失礼だと思い顔を上げる。

そんな状況を見て修夜は、

 

「この話はここまで。もっと明るい話でもしようぜ?」

 

と、言いつつ凪と弾の背中を叩く。

彼の気遣いに気付き、二人は軽く苦笑した。

互いに出会ったばかり、これ以上は暗い雰囲気など無用だ。

とりあえず何か話題でもと考えたが……。

 

「はーい、皆。ちょっといいかしら?」

 

那美が手を叩きながらその場の全員を注目させた。

いつも通り…いや、それ以上の笑顔を浮かべながら全員の視線が向くと「ふふふ…」と笑い声を上げた。

…猛烈に嫌な予感がする。

彼女からの被害、主に並行世界からのハッキングなどに遭っている拓海と日常から精神的被害に遭っている凪、そしてある人物によって何かとこういう事に鋭くなった修夜達3人は同時にそう感じ取った。

 

―――…逃げたい、でもそうなったら止める人が居なくなるし……嫌だなぁ

―――こっちの世界に来る前に釘は刺しておいたが……激しく不安だ

―――な、なんだ? まるで師匠がもう一人いるようなこの悪寒は……

 

三人がそんな思いを馳せていると、何を思ったのか数馬が那美に近寄っていった。

 

「おぉ! そこの綺麗なお姉さん、貴方は一体どなたですかっ!?」

 

まさかの口説きだった。

いや、確かに那美の見た目は20代前半と間違えるくらい若い方だが、それを口説くのはどうだろう…。

修夜達は「またか」という感じに呆れ、凪は口をあんぐりと開けたまま固まった。

一方、那美は頬に手を当て微笑みながら丁重に断った。

 

「あらやだ、お姉さんだなんて♪でも残念、私人妻で、子持ちなの。ごめんなさいね」

 

凪とシャル、空を指差して困ったように答える。

だが彼はそれでも諦められないのか、一度落ち込むようなそぶりを見せてから再アタックを掛ける。

 

「なんと!? ……だがしかし、実に御美しい!

 貴女に旦那様がいなければ、真っ先に名乗りを上げたかった……!

 …いや、だが今でも間に合う! どうでしょう、この後昼食でもご一緒にぃぃぃあたたたたた!?!」

「お前っつー奴は! もうちょっと節操というモンを知りやがれってんだ! 

ちょっとこっち来やがれっ!」

「あぁ~! お姉さん、是非とも私めとぉぉぉぉぉ…………」

 

本格手に来口説きに掛かった数馬だったが、間に弾が入り込み彼の首元を掴み観客席の入り口へと消えていった。その際、彼は最後まで未練垂れ流しで那美を誘っていたが…。

とはいえ、これで邪魔は居なくなった。

皆、那美の言おうとした事を聞く為に意識を戻した…………戻したのだが、

 

「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」

 

何ともいえない空気が、場を支配していた。

特に凪は自身の親が同世代の男子にナンパされた事に対して多少思考がフリーズし、彼側のシャルと空に肩を揺すられているが正気に戻るまで時間が掛かりそうに見える。

とりあえず、場の空気を変える事と、仕切り直しと言う事で拓海が那美に何を言うつもりだったのか問い質す。

 

「那美さん、一応聞きますが…何をするつもりです?」

 

嫌な汗を垂らしながら、恐る恐る窺う彼の問い対しその笑みをさらに輝かせる。

その瞬間、拓海は聞くんじゃなかったと後悔した。

 

「あらあら♪ そんなに気になるのかしら♪

 じゃ、考えてたのよりもっと盛大なのを発表しましょう♪」

 

確実に終わった……。もう乾いた笑い声しか出てこない……。

拓海は共に頬を引き攣らせ、それを見た修夜も嫌な予感を感じつつ身構える。

それ以外の面々は、二人はどうしたのだろうかと首を傾げながら那美の言葉を待つ。

因みに、凪は未だにフリーズしたままだ。

 

「ふふふ、実は只のパーティーとか考えていたけど…何か盛り上がって来たわ♪

 よし、このメンバーで今から温泉行きましょう! あとこの場に居ない、白夜さんも一緒で! 勿論私が全部奢るわ!!」

『おぉっ!!』

 

両手を広げ、背景に花でも舞ってそうな雰囲気で仰々しく宣言する那美。

それを聞いて凪と修夜、拓海を除く全員が歓声を上げる。

 

「なんだ、温泉かぁ……って、師匠も一緒だとっ!?」

 

那美の粋な計らい宣言、だがその内容にあった人物の名前を聞き、修夜は動揺した。

不味い、何がと言わないが不味い予感がする…!

内心焦りまくる修夜。それに対して内容を聞き終えた拓海は思ってたよりもマシなものと分かり、心から安堵した吐息を吐いた。

 

…結局、凪が立ち直ったのはその数分後だった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

那美の温泉へGO発言から数十分後、皆準備の為に自室へ戻っていた。

既に着替えなどの準備を終えた修夜は今、拓海の部屋に居た。

 

「で、どうだった? 凪君と戦ってみた感想は」

 

拓海は今回得られたデータを纏めながら、壁に寄り掛かっている修夜に質問する。

問われた本人は少し考える素振りを見せ、思ったことをそのまま述べた。

 

「そうだな……。全体的に見て高機動戦寄りの万能型、しかし近接戦闘は多少技量不足…といったところか。

他にも、意外な方法で迎撃、攻撃してくるところから奇襲とかが得意そうに見えるな」

 

そう言って先程の対戦を思い出す。

ミサイルをライフル弾に命中させて誘爆、他の弾をその爆発の威力で無効化するという戦法や、打ち抜いたビームサーベルから放出された波状のエネルギーすら攻撃に使う等…。

普通はやりそうにない方法を取る当たり、知略も高いと見える。

シルフィも呆れたような、疲れ気味の声で自身の意見を伝える。

 

《というか、平然と自身の攻撃手段を減らすあたり、次の一手が何なのか分かり辛いったらありゃしないよ》

「なるほどね。でも今回使った武装以外にも色んな武装があると言うし……、次も勝てるかい?」

「そう簡単に勝たせるかよ。アイツの本気がどれ程かは知らないが…、そう簡単に勝ちを譲るほど俺は甘くないぞ」

 

「そう言うと思ったよ」と返し、作業が終わったのか椅子から立ち上がって軽く伸びをする。

 

「さて、と…。準備も終わったし、行こうか」

 

拓海は手際良くデスクの上に広げていたモノをアタッシュケースに収め、傍に置いていた着替えが入った鞄を抱える。

修夜も自身の荷物を持ち、軽く息を吐く。

 

「おう。…しかし、俺達も温泉に連れてってくれるのは嬉しいが……師匠もとはな…」

「那美さんが言うには、先に目的地で待っていて貰うってさ」

 

その発言を聞いて、どこか不安な気持ちになる。

少なくとも、弄り倒される覚悟だけはしておいた方が良いかも知れないと腹を括る。

そんな修夜の考えを察したのか、拓海は苦笑する。

 

「まあ修夜が考えてる事も解るけど…今は楽しんでおこうよ」

 

拓海の言葉に、苦笑を返し「そうするか」と答えながら部屋を後にした。

 

 

 

 

 

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