IS~転生者は頑張って生きるそうです~(凍結) 作:赤い変態
まずは原作主人公対セシリアです
「・・・で、基礎的な事を教えてくれと?」
「頼む! 箒が相手だと剣道の稽古しかやらないから、肝心のISについて学べてないんだ!」
代表決定戦前日、食堂で晩飯を食っていた俺は、一夏にISのについて教えてくれと頼みこまれていた。
・・・ああ、そういや当日まで剣道の稽古しかやらなかったんだよな・・・・・・。
「別にいいが、もう殆ど時間は無いぞ?」
「アドバイスでもいいから!」
むぅ、教えろと言われてもなあ・・・・・・とりあえずアドバイスだけでも言うか。
「そうだな、まあ俺から言えることは『相手の動きの一つ一つをよく観察しろ』だな」
「相手の動きを?」
「ああ。―――例えば相手が銃で攻撃してくる時、どこを見れば回避できる?」
「・・・砲身?」
「正解。砲身の動きを常に見ていれば、発射する前に銃弾やビームが走る方向を予測出来るからな」
ちなみに、これを逆手に取って敵を撃破する方法が存在する。
簡単なもので例えると、
まず最初にわざと避けやすいバズーカ等で攻撃し、避けたところで実弾より早いビームで仕留める、という戦術だ。
つまり、相手の動きをこちらでコントロールしてハメることが出来る、というもの。
・・・まあ、これは初見じゃないと通用しないからあまりお勧めできない。
理想的なのはビット兵器を使ったオールレンジ攻撃だったりする。
「なるほど、勉強になったぜ。ありがとな、凪」
「困った時は助け合いってな。ま、明日はお互い頑張ろうぜ」
「おう!」
・・・さて、明日の代表決定戦でイレギュラーなことが起きないことを祈ろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
代表決定戦当日、第三アリーナ。
対戦の組み合わせはセシリア対一夏を一番初めにして、二番目にセシリア対俺、最後に一夏対俺ということになった。
だが・・・・・・
「専用機、まだなのか?」
「そうらしいな」
「ということは、向こうの不戦勝か・・・」
「・・・訓練機でもいいから絶対に勝て、一夏」
一夏の専用機がまだ届いてない。
ちなみに、今の会話は一夏と箒のモノ。
俺はというと、武器とストライカーのチェックをしていた。
使うのは練習の時に使っていた組み合わせで行くつもりだ。
・・・さて、そろそろ一夏の専用機が来るタイミングだと思うんだが・・・・・・。
「織斑く――――ん! 専用機が届きました―――!!」
山田先生が大声で叫びながらこちらに向かってくる。
「織斑、すぐに準備しろ。いいか、ぶっつけ本番でモノにしろ」
「男たるもの、この程度の障害、乗り越えて見せろ。一夏」
「とりあえず、昨日言った通りに相手の動きをよく見ろ、そうすれば活路は見えてくるぜ」
「ああ!」
織斑先生、箒、俺の言葉に頷き、ピット搬入口の向こうに行く一夏。
俺達も後に続く。
「これが―――」
そこには『白』があった。
「これが織斑君の専用機、『白式』です!!」
しかし、こうして本物を見ると美しいな。
大型のスラスターやブースターが目立ち、装甲は薄め。
見ただけで高速戦闘用の機体と判断できる。
「すぐに装着しろ、フォーマットとフィッティングは実戦の中で済ませろ。いいな?」
「はい!」
言われた通りに『白式』を装着する一夏。
ふむ・・・負けるか、それとも勝つか。
アドバイスをした身としては勝って欲しいところだ。
「よし・・・ISのハイパーセンサーは問題なく動いてるな。一夏、気分は悪くないか?」
「あぁ、大丈夫だ千冬姉。いける」
「そうか・・・」
織斑先生は少しだけ安堵したような顔をする。
・・・やれやれ、どっちもブラコン・シスコンだな。
ヒュンッ!
「・・・あの、なんで出席簿を投げるんですか?」
「なにやら余計なことを考えてたみたいだからな・・・・・・一夏、行ってこい」
「了解!」
「負けるなよ?」
「ああ。・・・・・・箒」
「ん、なんだ?」
「・・・行ってくる」
「あ・・・ああ、勝ってこい」
最後に箒との会話をして、一夏はアリーナに飛び出した。
さあ、見せて貰うぜ?
凪side out
一夏side
「あら、逃げずに来ましたのね?」
「逃げる? 冗談は止してくれ」
アリーナ中央に来ると、蒼いISを装着したセシリアが待っていた。
ハイパーセンサーから相手の機体の情報が送られてくる。
―――――ISネーム、『ブルー・ティアーズ』を確認。
戦闘タイプ中距離射撃型。特殊装備あり。
見るとセシリアの手には二メートル近い銃器、『スターライトmkⅢ』というレーザーライフルが握られていた。
「最後のチャンスをあげますわ」
「チャンス?」
「私が勝つのはすでに明白。今、降参したら許して差し上げてもいいのですよ?」
そう言って目を細めるセシリア。
同時に『白式』から、向こうがセーフティを外したという情報が送られてくる。
「そういうのはチャンスって言わないぜ?」
「ふん、残念ですわ。それなら・・・」
セシリアが『スターライトmkⅢ』を握っている手をこちらに向ける。
「・・・お別れですわ!」
銃口が光った瞬間、俺は射線上からギリギリのタイミングで抜け出す。
キュインッ!
耳をつんざく様な音がしたと思うと、さっきまで俺が居たところに光が走っていた。
・・・危ない、避けて正解だったな。
「ふん、初撃を避けたからって、隙を見せては意味がありませんことよ!」
続けざまに精密射撃が飛んでくるが、すべてギリギリで避けていく。
・・・銃身さえ見ていれば相手が撃つ方向は分かるんだ!
昨日の凪のアドバイスでどう避ければいいかは理解している。
(サンキューな、凪!)
「く、ちょこまかと!」
だんだん激しくなる射撃。しかし、精度は少しながら落ちてきているような気がする。
(そろそろ仕掛けるか?)
そう思い、『白式』の武装を調べるが・・・
「(な、剣だけ!?)」
他にないか、もう一度調べるが、表示されるのは一振りの近接ブレードのみ。
・・・仕方ない、素手でやるよりはマシだ。
近接ブレード『名称未設定』を呼び出し、展開する。
「射撃型のわたしに対してブレード? 笑止ですわ!」
再び銃撃の雨を降らせてくるセシリア。
距離は約二十数メートル。攻撃を避けながら相手に一太刀浴びさせるのはかなり苦労しそうだけど・・・・・・。
「やるしかないよな!」
ここで引くのはらしくない。
銃撃の雨の中、俺は飛び込んだ。
一夏side out
凪side
ふぅ、冷や冷やさせられるが、なんとか避け切ってるようだな。
一応昨日の話でした時のことは覚えているようだな。
「すごい・・・織斑君、今のところ被弾率ゼロです!」
「一夏め、やるではないか!」
山田先生が驚いたように報告する。
箒もそれに対し、嬉しそうな顔をする。
「しかし、何故あそこまで・・・」
織斑先生だけは顔を顰めて、一夏の回避行動に対して疑問を持つ。
・・・ま、その辺は説明しておくか。
「簡単な事ですよ、銃身さえ気を付けて見ていればどこを撃ってくるかは分かるんですから」
「・・・お前の入れ知恵か?」
「ええ・・・まあアドバイスをしただけですが」
「・・・そうか」
俺の説明に納得したのか、織斑先生は再び一夏とセシリアの戦いに目を向ける。
ちょうどその時だ、セシリアがビット兵器、『ブルー・ティアーズ』を使ってきたのは。
凪side out
一夏side
くそっ!
なんだアレ!?
セシリアの背に浮いていた四機のフィン状のパーツが攻撃してきやがった!
とりあえず、一度距離を開ける為にセシリアから離れる。
「ふふ、初見でこの『ブルー・ティアーズ』の攻撃すらも避け切るなんて・・・あなたが初めてですわ」
なるほど、あの自立機動兵器(ビット)の名前も『ブルー・ティアーズ』って言うのか・・・。
「では、フィナーレといきましょう」
その言葉と同時に四機のビットが四方から攻撃を開始してくる。
辛うじて避けるが、どうしても一機か二機の攻撃は避け切れずに、シールドエネルギーや装甲で防御する。
「漸く当たりましたわね!」
四機からの包囲を抜けても、セシリアのライフルによって動きを封じられる。
くっ! どうすればいい!?
この状況を打破するには!
・・・その時、急に昨日凪から貰ったアドバイスが頭に浮かんだ。
『相手の動きの一つ一つをよく観察しろ』
『どこを見れば回避できる?』
『砲身の動きを常に見ていれば・・・』
・・・そうだったな。
さっきまでは、そうして避けてきたんだからな。
ありがとうな、凪。
最初にビットの砲口を確認する。
よし、ある。
すぐに四機の射線が見えてくる。
次にセシリアのライフルの銃身を確認。
これの射線も考えて、回避ルートを模索する・・・・・・見えたっ!
四機の時間差攻撃を避け、追い打ちを掛けるようにくるセシリアの射撃も避ける。
「これを避けた!? ま、まぐれですわ!」
「・・・どうかな!」
再び同じような攻撃が来るが、もう意味はない!
回避することである程度の余裕ができ、セシリアの動きを注視する。
(あれ? そういえばビットで攻撃してくる時、何故同時にライフルで攻撃してこないんだ? それにライフルで攻撃してくる時も・・・)
―――! そうか、分かったぜ。
四機のビットの攻撃を掻い潜り、一機をすれ違いざまに一閃。
更にそのまま遠心力を生かし、ちょうど背後に来たもう一機も斬る。
「な、なんですって!?」
「大体分かった。ビットで攻撃してくる時、お前自身は動けない・・・・・・そうだろ?」
一気に肉薄し、セシリアに斬り込む。
それに対し、すぐに後方へ避けられるが、今ので漸くシールドエネルギーを削ることが出来た。
「ちぃっ! ティアーズ!」
セシリアが残りの二機に命令を出すが、攻撃してくる前に落とす。
これで後はライフルだけ。
だが、向こうも近接武装を持ってるかもしれない。
だけど、今がチャンスだ!
一気に加速し、ブレードを振り上げ、セシリアを攻撃する。
――――しかし、
「―――ティアーズが四機だけと、誰が言いました?」
スカート部分から何かが飛び出す。
斬り込む瞬間、それの形状を見てすぐに分かった。
―――ミサイルだ。
それが着弾した瞬間、俺は爆発と光に呑み込まれた。
一夏side out
セシリアside
ふぅ、何とかなりましたわね。
最後の二機、至近距離で使ったせいでわたくしまでダメージを食らいましたが、
煩い男を黙らせることが出来たんですもの。良しとしましょう。
・・・それにしてもあの回避行動、ただの素人があそこまで出来るなんて・・・。
それに斬り込む際にこちらを見ていたあの真っ直ぐな眼差し・・・・・・。
「・・・まぁ、それについては後で考えましょう―――――あら?」
ハイパーセンサーを確認すると、まだあの男のISの反応が・・・。
「っ! まさか!」
未だに煙に包まれている場所に目を向ける。
漂っていた煙が吹き飛び、その中心に純白のISの姿が・・・・・・。
そしてハイパーセンサーに新たな情報が送られてくる。
―――対戦機『白式』、一次移行を行った模様―――
まさか、さっきまで初期設定で戦っていたというの!?
セシリアside out
一夏side
「これは・・・」
『白式』の装甲が先ほどまでと比べ、より洗練されたものになっていた。
それに装甲に受けていたダメージすら消えていた。
『白式』から送られてくる情報を確認すると、初期化と最適化が終わったという知らせがあった。
要するに、正式に俺専用機になったってことだ。
ブレードも変化していて、名前を確認すると、『雪片二型』と表示された。
『雪片』・・・まったく、最高だ。
千冬姉の剣を受け継ぐ剣。これほど嬉しいことはない。
「まったく、最高の姉を持って俺は幸せ者だ」
「な、なにを―――」
「これでようやく俺は!」
千冬姉を守れる!
『雪片二型』を構え、一気に最大加速してセシリアの懐に飛び込み、一閃。
瞬間、『雪片二型』の刀身が光を帯び、そして―――――――
ビ―――――――――――――――――ッ!
『試合終了。両者ともシールドエネルギーが同時に尽きた為、この勝負、引き分け』
「「・・・は?」」
引き分けという結果に俺たちは暫しその場から動けなかった。
一夏side out
凪side
「まったく、あの馬鹿者め。あれだけ持ち上げて置いてこれとは・・・」
織斑先生はうんざりとした様なことを言ってるが、その顔は少しだけ安堵しているように見えた。
箒はというと、心配して損した!という顔をしている。
まったく、素直に安心しておけよ。
・・・まあしかし、まさか引き分けるとはな。
うん? でもたしか原作では一夏が負けてセシリアにフラグが立つんじゃなかった?
・・・・・・まあいいか。
それよりも次は俺の番だ。
準備しておかないとな。
「頼むぜ、『アウトフレーム』」
首に掛けている白いペンダントに手を伸ばす。
さあ、デビュー戦と行きますか!
次回はオリ主対セシリアです