GS横島争奪大作戦   作:右近

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先に謝っておきます‼ご免なさい‼
前半部分は、ノリと勢いだけで書いたので許してやって下さい。(悪ノリし過ぎたと思ってます。)
後半は出来るだけシリアス調にしたつもりで、南武編も佳境に入りました。
そして遂にあの人がちょっとだけ登場してます。
それでは第7話の開演です。

※UA10000突破有り難うございます。こんな拙い小説ですが読んでくださる皆様のお陰でここまで行きました。有り難うございます。



第7話~スリーピング・ビューティー‼~

雪之丞が見守るなかどちらかともなく駆け出す。ピートはスピードを活かした接近戦で勝負を決めようとするが、相手も着いてくる。押してはいるものの、強引に攻撃してくるので、防御も考えないといけないピートは攻めきれず、状況は膠着状態になる。

 

「はぁっ‼」

 

このまま長引いてはまずいとピートは掛け声と共に右ストレートを放つ。相手も当然の様に打ち返して来るが両者の拳は相手を捉える事は無かった。

 

【説明しよう。ピートはパンチ囮に、相手があわせて来たところでバンパイアミストを発動し間合いを取った。単純にバックステップだと相手に反撃の隙を与えてしまうのでひと手間加えて確実を期したのだった】

 

「大丈夫か?」

 

もう一度間合いを取ったピートに雪之丞は声を掛ける。

 

「交代はしないぞ」

 

ピートは雪之丞が言わんとする事が判るので、先に答えを言う。

 

「よくいったなピート…それでこそバンパイアハーフだ」

 

横島?の台詞をしれっとパクる。本音では闘いたいのだが、先に言われては交代しろとも言えないので、雪之丞なりの強がりだった。

 

「ツカウ・ヒト・チガウ」

 

「「話せたのかよ‼しかもツッコミ⁉」」

 

話せた事も驚きだが、まさか的確に突っ込まれるとは思いもよらなかった雪之丞の顔が、みるみる赤くなる。

 

「こっ、攻略法は見つけたから次で決める‼」

 

いたたまれない状況に思わず走りだす。

 

(あっ、穴を掘始めた…これ以上はまずい早くしないと)

 

横目で雪之丞を確認し、決意を改める。出任せで攻略法があるとは言っていない。先程の攻防で若干の異変を見つけていた。

 

軽快なステップで揺さぶりながら的を絞らせず、左腕を執拗に攻撃する。先程までとは明らかに速度が上がったピートの攻撃に徐々に反応が遅れだした。後はピートが先に倒すか、雪之丞が埋まるか時間との勝負になる。

 

「ゾンビのクセに…タフだ」

 

同じ轍は踏むまい。出かかった最後のセリフを辛うじて飲み込み踏みとどまった。

 

(はっ⁉雪之丞がこっちを見てる‼ヤバい穴堀のスピードが上がった⁉)

 

動き回って攻撃をしているため、雪之丞と視線があってしまった。その瞳は酷く濁り[憎しみで人が殺せたら…]と物語っている。

 

雪之丞の体が腰の辺りまで地面に隠れた頃、闘いにも変化が現れていた。

 

(もう少しだ。もう少しで…)

 

最初の3連撃と次の攻防で、ゾンビの左腕の動きが僅かに悪くなった事に気が付いての攻略法が実を結びだした。

 

何故だかは判らないが、霊能力が使えるゾンビは通常よりも格段に頑丈だったが、ダメージの蓄積は免れない。更にゾンビ故に痛みを感じる事も無いので異変に気付けない。ピートは攻撃の手を休める事無く左腕を狙う。そしてついに決定的チャンスが訪れた。

 

「今だ‼バンパイア昇竜拳‼」

 

反撃をしようにも左腕が全く動かなく、無防備に体の正面をピートに向けてしまった。その隙を逃さず顎を打ち砕いた。ーYOU WINー

 

「雪之丞‼」

 

ピートは勝利の余韻に浸る事無く、雪之丞の救出に向かう。足首から上は穴の中に入っていて、危うく無駄死にさせるとこだった。

 

「大丈夫か雪之丞‼」

 

救出に成功したピートは雪之丞の状態に話し掛けるも、未だ死んだ魚の目の如く光は無い。

 

「…どうせ俺は噛ませ犬だ…アイツみたいにギャグキャラにもなれねー…半端者なんだ…」

 

(荒みきってる⁉そんなに恥ずかしいならしなきゃよかったのに…)

 

雪之丞の延々と続く愚痴に苦笑いのピートは、このままでは埒が明かないと意を決した。

 

「雪之丞‼、今のままだと【世界jr.食いもの空中に上げて口でキャ~~~ッチ選手権優勝】の僕には勝てないぞ‼」

 

雪之丞の為とは言え恥ずかしい。このまま霧になって消えてしまいたい位だ。慣れない事はするもんじゃないと霞行く体で考えていると

 

「俺が勝てないだと⁉いや、勝つのは俺だ‼」

 

負けず嫌いの雪之丞が復活した。ピート決死のボケは見事なスルーを決めて。

 

その後暫く、2人は互いのキズを舐め合い落ち着いたところで施設を目指して歩き出した。

 

 

目の前にある二階建ての施設に、2人の霊感はざわつく。それでも周囲を警戒しながら中へと進む。所々壊された形跡があるものの、全体的にはまだ綺麗だった。

 

「どう思う?雪之丞」

 

「何とも言えねーな」

 

警戒しつつ部屋を調べて行くが、目ぼしい資料などは発見出来ず、大掛かりな罠の可能性も出てきた。

 

「それにしても、人の気配が全くしねーな」

 

「確かに、これだけの施設で何も居ないのは変だ」

 

一階を探し終えたところで一息入れる。見つけたのは、壊れた檻位で人間はおろか研究対象であろう動物や妖怪の類いも見つけられ無い。

 

「ぼちぼちやろうぜ。探してたら何か解るだろ」

 

「そうだな。次は二階か」

 

休憩を終え、階段を昇り二階へ行く。そして最初の部屋で漸く手掛かりを見つけた。

 

「ピート、これを見てくれ」

 

そう言いながら1冊のファイルを手渡す。そこには今までに造った物が書かれていた。最初は抗病原菌マウスや超耐性コックローチ等の改良に始まり、スカベンジャーの製造、そしてゾンビの製造と改良もあった。しかし、人型ゾンビの記録は無く、まして改良型ゾンビに霊力を使えるタイプの記録も無かった。因みに、鳥型のスカベンジャーを逃がしたと記載してある。

 

「さっきのゾンビは何だ?ここに書いてるやつとは全く違うぞ」

 

「極秘ってやつじゃねーか?こんな所で研究してるくらいだしな。次の部屋いくぜ」

 

ピートの疑問も雪之丞は楽観的思考で片付けてしまう。それよりも他の資料を探しに部屋を出て行く。ピートはファイルを小脇に抱えて後を追う。

 

次の部屋では何も見つけられず、その次の部屋は管理室だった。防犯カメラの映像が映るモニターを見て漸く人が一人も居ない事に気が付く。

 

「一体どうなってんだ?電気は通ってるのに誰も居やがらねー。やっぱり罠か?」

 

「それは無いと思う。罠だったらこんな資料を置か無い。もっと他に理由がある筈だ」

 

次は雪之丞の考えをピートが否定する。ファイルの内容と闘ったゾンビの違いに違和感を感じていた。

 

管理室を出て次に入った部屋は試験場のコントロール室で、ガラス越しに見える試験場は半壊している。

 

「なぁ、これ使えるか?」

 

「教会には無いけど、学校の授業で使ってるから一応…」

 

雪之丞が指差すほうにパソコンがある。中の記録が見れれば判るかもしれない。ピートも授業でしか触ったことが無く、雪之丞に至っては初めてになる。何があるかわからないが、現状は自分達以外誰も居ないので、おそるおそるパソコンを起動させた。

 

「ダメだ。パスワードが掛かって見れないな」

 

「そんなもんテキトーにやれば何とかなるだろ?」

 

「間違ってたら何が起きるかわからない。今は他の資料を探そう」

 

パスワードの壁に阻まれては、優秀なGSと言えど太刀打ち出来ない。何とかなると言ってはみたものの、自分より詳しいであろうピートの提案に2人は証拠となる資料探しを再開する。

 

再開してから数分、決め手となる資料は未だ見つからないが、試験場のコントロール室だけあって戦闘データはかなり置いてあった。その殆どは対人戦を想定したデータだが、最後の一つだけは紛れもなく対GS戦のデータだった。

 

「雪之丞、これを見てくれ」

 

「どうした?…GSを実験台にしてるぞ⁉」

 

「それだけじゃない、日付も一週間前だ」

 

「最近までしてたのかよ⁉でも、GSが失踪なんてしたらニュースになってるよな?あれの直後で注目されてんだから」

 

「多分…モグリのGSだと思う。霊能力が使えても無免許なら一般人だから」

 

ピートにとって言いにくい事だが、言わなければならなかった。それが事実だから

 

「…チッ。クソッ」

 

手渡された資料には、アシュタロス事件のどさくさに紛れてモグリのGSを詐欺まがいで連れて来たか、拉致したと思われる。自身もモグリで活動しているだけに他人事で済ませれない状況だが、それよりも今、仲間に気を使わしてしまった自分に腹が立つし、あの事件で究極の選択を迫られ、かけがえのない人を犠牲にしてまで友が救った世界がこれでは、2人の想いを踏みにじられた気がしてふつふつと怒りがこみ上げて来た。

 

「雪之丞、今出来る事をしよう」

 

当然ピートも怒ってはいる。バンパイアハーフの自分は

格好の研究材料になるだろう。人と人外の配合例なのだから。それでも今すべき事を見失わず資料を探す。

 

 

 

「この施設で、人造魔族の研究もしてたみたいだな」

 

室内に紙を捲る音だけがしていてが、遂に雪之丞は重要な書類を発見する。

内容は、霊破片の培養で新たに魔族や妖怪の製造指示で、霊破片がこの施設にも届いているとの事だった。

 

「これは見つけないといけねーな」

 

「それと書類を一緒に持って帰ろう」

 

書類と何処かに保存されているだろう霊破片を持ち帰ればオカルト防止法違反の強力な証拠になるだろうと、2人はコントロール室を出て霊破片を探し始める。

 

「それにしてもよ、魔族や妖怪が簡単に制御出来ると思ってるのかよ」

 

「どうだろう。何かしらの措置はすると思うけど、難しいと思う」

 

二階の部屋を見て回るも給湯室や食堂、更衣室といった部屋しか無く、霊破片を保管してる様には見えなかった。そんな時、ふと雪之丞は疑問を口にする。ピートも造った魔族等が自分達を襲う可能性があるので、対策はしている筈だが、簡単に出来るとは思っていない。

 

「こんだけ探しても見つからねーって事は、どっかに隠し部屋でもあるんだろうな。壁でも壊すか?」

 

「それはさすがにマズイ。もう一度探そう。何処かにある筈だ」

 

どんな仕掛けがあるかも判らない状態で壁を壊せば、何が起きるか判らない。次は見落とさない様にもう一度探し始める。

 

コントロール室を重点的に探すも、新たな証拠はおろか手掛かりも見つからず、自然とパソコンに目が行く。

 

「あれ、どうにかならないのか?」

 

「パスワードが判らない事には」

 

どうしたものかと悩む2人。暫くの間唸り声が響いていたが

 

「そうだ‼更衣室だ‼」

 

「いきなり何だよ⁉更衣室ならさっきも調べたろ」

 

ビックリした雪之丞は、ピートの考えがわからなかった。

 

「パスワードだ‼もしかしたら更衣室に書いてあるかもしれない。さっきまで霊破片を探してたから、忘れてた」

 

「おい⁉ちょっと待て‼」

 

一人で納得したピートは雪之丞の制止も聞かず、更衣室に向かい、仕方なく後を追いかけた。

 

雪之丞が更衣室に着くと、既にピートは手当たり次第ロッカーから荷物を引っ張り出して探してる。

 

「雪之丞は隣の更衣室を探してくれ‼手帳に書いてると思うから‼」

 

「横って、おっおい⁉何で俺が女性更衣室何だ‼」

 

横島なら言われるまでもなく率先して探しに行ったであろうが、雪之丞は女性を神聖視している節があるので仕事とは言え躊躇ってしまう。

 

「別れて探すのが効率がいい。どっちかにあるはずなんだ‼」

 

ピートは集中し過ぎて雪之丞の事が見えていないし、タチが悪い事に言っている事もあながち間違っていないので、雪之丞は精神的に追い詰められ、もうひと押しで女性更衣室を探すところだったが、幸運が訪れる。

 

「ピート、コレがそうじゃねーのか?」

 

足もとの手帳を拾い上げ、表紙を捲ると【reincarnazione】書かれていた。

 

「転生って意味のイタリア語だ。他は何が書いてあるんだ」

 

ピートは手帳を雪之丞からもらい確認していく。

 

「どうして人が居ないか判ったぞ。この施設は破棄された後だったんだ」

 

「破棄ってどういう事だ⁉」

 

「今から読む」

 

ピートは手帳に書いてある事を喋り始める。そこには、元々はゾンビの研究をしていた事、最近人造魔族の研究が始まった事だった。

 

「で、破棄の理由は」

 

「どうやら、対人戦の時、GSが死ぬ間際に自分に呪いを掛けたみたいだ。それでGSは霊能力が使えるサイキックゾンビになって試験場を破壊。想定外の事で対処が出来ず施設を破棄したって書いてる」

 

「じゃあ、さっきのゾンビは」

 

「そのGSだろう。霊力を使えるゾンビなんて他に知らない」

 

手帳に書いてあった経緯に憮然とする。しかし、過去を変える力が無い2人は次の犠牲者を出さない為にも捜査を再開した。

 

「パソコンだな」

 

「あってるか判らないけど、やるしかない」

 

後悔は後でも出来る。決意を秘めた瞳の捜査官が2人誕生した。

 

コントロール室に戻りパソコンを立ち上げる。モニターにパスワード入力画面が出ると、ピートは慎重に【reincarnazione】と入力した。

 

「よし、これで内容が見れるぞ」

 

そのままピートは起動したパソコンのデータを確認する。

 

「どうだ、何か判ったか?」

 

「待ってくれ。僕も慣れてないんだ」

 

雪之丞が急かすのも判らないでもないが、ここに来てミスをすることは出来ない。ピートはより慎重に操作する。

 

ーカタカタカタカタ

 

キーボードを叩く音が室内に響いて数分、やっと霊破片に関するデータを発見した。

 

「既に、培養を開始してる。…場所は地下だ」

 

「本当か⁉でも、地下にどうやったら行けるんだ?」

 

「待ってくれ。探してみる」

 

霊破片の培養は既に始まっている。異界と言え人造魔族が完成していて、何かの拍子に人界に出て来るかもしれない。状況は一刻の猶予も無い事態になっていた。

 

「判ったぞ。試験場から地下に降りれるみたいだ‼」

 

「よし、行くぞ‼」

 

2人はコントロール室のガラスを壊して試験場に降りる。防犯システムなど言っている余裕がない。

 

試験場はゾンビが暴れてかなり壊れていた。地下に続く扉もひしゃげて開かない。

 

「チッ、退いてろピート‼」

 

雪之丞は扉をみるやいなや、魔装術を展開して殴り掛かった。

 

「オラオラオラ‼」

 

かなりの強度があったはずの扉だが、雪之丞のラッシュの前では意味が無く、あっという間に地下に続く階段が現れた。

 

階段を降りた先は大きなカプセルが整然と並んでいて、最奥にある物だけ仄かに発光している。

 

「奥のだけ稼働してるみたいだな。他のは何にも入ってねー」

 

「凄い魔力だ。でも前に感じた事がある気がする」

 

臨戦態勢をとり不意討ちを警戒しながら奥へと進む。本来はここで破壊するべきなのだが、いやすべきだった。

 

そして最奥にあるカプセルの中身を確認した2人は驚愕した。

 

「まさか⁉」

 

「どうして⁉」

 

「「ルシオラなんだ‼」」

 

カプセルの中に居た魔族は、自分達の仲間の彼女で、恋人との未来の為に創造主に反旗を翻し、恋人の為にその一生を終えた、【蛍魔ルシオラ】だった。

 

「どうする…」

 

「僕には…出来ない」

 

現状は危険な存在だが、本人を知っているだけに躊躇ってしまう。どんな形であれ生き返った事にはかわりないが、前と一緒かは判らない。起こして確認しようにも、魔族の本能で暴れられたらそれこそ徐霊対象になるし、何より横島が悲しむところを2人はもう見たくなかった。

 

重苦しい雰囲気が辺りを覆い時間だけが過ぎて行く。精神的疲労が増え、ピートがつい壁に手を付けた場所にスイッチがあり、カプセルが開くと同時に、ルシオラの瞳もゆっくりと開いていく。




前半部分どころか、全部ご免なさいに訂正します(汗)
サブタイは最初からこれに決めてたので、詰め込み過ぎて、無理がある展開だと自分でも思ってます。ただ、早くルシオラを出したかったんです。(爆)
南武編からスタートした事で、この流れは予想出来たと思いますが、いい意味で裏切れる様に頑張ります。
今後の予定は、南武編が終わったら、UA10000突破を記念して特別編をアップしようと企んでおります。
そちらも併せて、次回までしばしのお待ちを。

※誤字脱字の指摘、並びに感想も気が向いたらで良いので書いて頂けると励みになります。
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