何時も有り難う御座います。右近です。
今回は予定通り戦闘回ですが・・・
まぁ、そう言う事です(爆)
それでは、披露宴を開宴します。
「こっちか」
手にしている文殊【探】が指し示す方角に向かって走る横島。ヒビが入っているアバラがズキズキと痛むがそんな事はお構い無しだ。次こそは守ってみせる、もうあんな思いはしたくない。強迫観念にも似た決意が突き動かす。
令子を乗っ取ったチューブラー・ベルは、高層ビルの屋上から東京を見下ろしていた。
美智恵に寄生していた時は知性も無く、増殖して宿主を喰い殺し、次の宿主に寄生する。それを永遠と繰り返すだけの存在だが、今回は違う。
初めから一緒だったので、令子の成長と共に自身も成長した。知性を付け、バレない様に少しづつ力を蓄えた。それでも危険が無かった訳ではない。コスモプロセッサで令子の霊体が破壊されそうな時は蓄えた力を使って令子の霊体を保ったりもした。それも今日で終わりだ。令子の霊力を使えば広範囲の人間に寄生出来る。世界を憎しみと悲しみ、恐怖のどん底に。これこそ悪魔の本懐と言えよう。
まずは手始めに東京だ。
令子の口角が不気味につり上がったところで漸く追い付いた。
「なにもんか知らねーけど、美神さんは返してもらう」
右手にハンズ・オブ・グローリーを展開した横島が立ちはだかる。
厄介な奴だがここで始末すれば後が楽になると、近くにあった鉄パイプを拾い霊力を通す。凄まじい霊力の奔流に驚く横島目掛けて襲いかかる。
ーガン!!
「うぉ!?、なんちゅー力だ。まともに喰らったらヤバイぞ」
不意を突いた攻撃も、回避の天才である横島は身体を捻って何とか避ける。幹竹割りで振り下ろされた一撃は床を抉り、その衝撃を受けた横島は態勢を立て直すべく距離を開けた。
「何とかしてアイツの弱点を突き止めないとな」
ハンズ・オブ・グローリーを棒状に変え対策を考える。敵とは言え、身体は令子なので出来れば手荒な真似はしたくない。
「文殊は後3つ。状態がわからんだけにホイホイと使えんな」
苦笑いを浮かべながら相手を見据え、左手にはサイキックソーサーを展開した。
不意を突いた筈だが簡単に避けられた。流石現役最強とも言われる事もある。チューブラー・ベルは鉄パイプを構え直し、もう一度斬りかかった。
ーキン!!
ーキン!!
ーカン!!
ーカン!!
チューブラー・ベルの猛攻が続く。横島は防御に徹して攻撃はしていない。今までもこれくらいの敵なら、簡単に倒せる実力はあるのだが、令子に傷を付けたくはないのとアバラのヒビが痛み思うように動けない。
「クッソ、右手が痺れてきた」
数百合もの攻撃を防いだ右手の感覚が無くなっていく。さっきは咄嗟に出来た回避行動もアバラの痛みを庇ってか正面から受けていた。
フィールドを縦横無尽に動き場をかき乱して自分のペースで闘う横島にとって今の戦況はヤバい。
かといって令子を殴る事を出来る筈もなく、ただ耐えるしか無かった。
チューブラー・ベルが攻撃して横島が受ける。終わりの見えない闘いは、少しづつ横島に傷を付けていく。
もう少しだ…最強と言われたGSでも所詮はこの程度。このまま殺してしまうのは簡単だが、こいつを支配すればもっと楽になる。寄生しても抵抗する力も殆ど残ってないだろう。
チューブラー・ベルは攻撃を一旦止めて、距離を開ける。次で最後だと言わんばかりに口角を吊り上がる。
その時令子は僅かだが光が見えた。右も左もわからない闇に包まれた場所に届いた光に導かれる様に動き出す。
徐々に明るく拡がっていく光の先で見たのは、傷付きボロボロになった横島だった。
「ヨ…コシ…マ…ク…ン…?」
朧気な意識の中で発した言葉。その一言が戦況を大きく変えた。
1番驚いたのはチューブラー・ベルで、支配してからは抵抗する素振りも無かった令子が急に表に出て来て一言とは言え喋った。予想外の事態に闘っている事を忘れてしまう。
横島も同様に驚くが、立て直しが早かった。
「美神さん!!」
闘い初めてかなりの時間が経つが、一言も話さなかった令子が初めて喋ったと同時に相手の動揺が見て取れる。呼吸もままならない状態だが、声の限り大声で叫ぶ。
「美神さん!!返事をしてくれ!!」
「俺の声が聞こえてるか!!」
「美神さん!!」
叫んでいるとある一つの事を思い出す。それは令子がコスモプロセッサーに囚われた時の事だった。崩壊しかけた令子の魂が復活を遂げた時の言葉。
「後で謝りますから赦して下さい」
「美神さんのシリコン胸ーーー!!」
「悪質なデマを流すなー!!それにあんた、しょっちゅう揉んでるでしょうが!!」
……………
………
…
帰って来た。不用意なカミングアウトと共に…
場にいたたまれない空気が充満する。横島や令子はおろか、チューブラー・ベルでさえ動く事が出来なかった。
「よっ、良かった。美神さん大丈夫ですか!!」
顔が赤くなりながらも必至にスルーして令子を気遣う。しかし、ナニカを思い出していて霊力も少し回復している。
「だっ、大丈夫だと言いたいとこだけど、このままだとまた乗っ取られるわ。だから聞いて」
横島の優しさが痛かった。飛びかかって来てくれたらボケで終わるが、今はそんな状況ではない。羞恥に耐えながら説明していく。
敵の正体はチューブラー・ベルで、霊体に寄生する悪魔だが、産まれる前から寄生していた事で同化に近い状況だと。
「美神さんと同化してる悪魔だけを切り離すなんて文殊でも出来るかどうか…」
説明を聞いて事態は一刻の猶予も無い事がわかる。何か良い方法がないか考えるもそう簡単には思い付かない。
「横島クン!!奴がまた呑み込もうと動き出したわ。次に私と入れ替わったら…」
最後は言えなかった。横島だけでも助かって欲しいが、同時にコワレル。だから、飲み込んだ。
(私をアナタの手で殺して)
「…いいえ、入れ替わる前に何とかしなさい!!」
「そんな無茶な事言わんで下さい!!」
横島は令子の命令にあたふたしながらも必死に考える。それを見て懐かしさと言い様の無い安心感が込み上がる。
(分離するにしてもイメージが浮かばん。しかも相手は美神さんと同化しかかってるし・・・同化?2つの物が1つになる事だよな。2つが1つ…外からはダメ…それなら内からは…)
何かを閃いた様だが横島は言い出さない。躊躇しているのがわかる。
「横島クン、思い付いたんでしょ?言いなさい。迷ってる時間が勿体ないの」
「でも…」
令子が問い質すも、言い出せない横島。切羽詰まった状況でも、自分を心配している彼は優し過ぎる。頼りなくも見えるが、心が温まる。はぁ~とため息をつき
「いいこと、私は美神令子よ。超一流GSの私が頼れるのは極少数で、その中でも1番信頼してるのはあなたよ、横島クン。それに私が信じる事も出来ない人と結婚すると思う?」
「美神さん…」
「私の旦那がそれじゃ頼りないわね」
「わかりました」
令子に諭された横島は決意に満ちた表情で文殊を2つ取り出した。
「今から文殊【合】【体】で美神さんと1つになります。メインは美神さんで、俺は中でチューブラー・ベルを見つけ出し徐霊。それまで負担が大きいですが耐えて下さい」
「誰に言ってるの?私は横島令子よ」
自信に満ちた表情の令子を見て、文殊【合】【体】を発動した。
やっぱり戦闘描写が難しくてかなりカットしました。
躍動感の表現力がある方が羨ましいです。
今回で特別編を終わるつもりでしたが、纏まり過ぎて続きを書くとモヤっとしたので今回は締めました。
合体状態で闘う事は無いです。強すぎるので(笑)
令子の中に入る手段でしかありません。それに2人ともボロボロで負担が増えただけです。
それでは次回も宜しくお願いします。