触れた手は小さく、昔はもっと大きかった物だと。幼い頃からずっと一緒に居たような、そんな感覚だった。博麗の巫女は、小さな少女を目の前にして思案した。
とは言うものの幼少期にこの少女、ルーミアがそこに居たという記憶は無い。無いけど、今とは違う少女がルーミアがそこに居たよう気がする。まあ、この娘自体にそんな記憶は無いのだろうけど。と、霊夢はルーミアの手を取った。
「あんたの手って小さいわねー」
「そーなのかー?あんまり気にしたことないからわかんないや」
「そーなのよ」
頭を撫でると喜ぶ姿が微笑ましい。良く悪戯をしに神社に来るがそれはどんな厄介事でも何処か笑って許せる所がルーミアにはあった。
「あんたはいいわねぇ……悩み事が無さそうで」
「んー、確かに毎日が生きてて楽しいから、霊夢と居る時間が凄く楽しいから!」
胸を張る姿には笑ってしまう。呆れるよりもその微笑ましさがあるから。私もいつも笑っていられたら良いのに。霊夢はしゃがみ込み、再度ルーミアの頭を撫でた。霊夢の母親、先代の巫女は出来すぎた。霊夢は幼少期の頃から博麗の巫女という重荷を背負い、周りからは母親と比べられ、母親程完璧では無かった自分は鍛錬に尽くすことだけを目的とし、友達と呼べる者は魔理沙だけだった。だが、薄い記憶の中でルーミアが居て、共に食事を並べる家族の存在だったようなそうじゃないような曖昧な記憶が行き来する。
「霊夢、おーい。どしたの?」
「……何でもないわよ」
返答が雑過ぎたか、ルーミアは頬を膨らませる。
「むぅ、私には言えない事なの?」
「まぁね……」
「ほいっ!」
不意にルーミアの手が霊夢の頬に触れる。驚く程にその手は冷たく、指先の温度まで伝わってきた。
「冷たっ!?あんたねぇ……」
「霊夢のそんな顔見たくない、いつもの霊夢に戻ってよ」
意外と鋭いのか?相手が子どもだと思って甘く見るものじゃない。突っ込まれると面倒なので霊夢は笑顔を返す。
「はいはい、悪かったわね」
「適当だなぁ……なんか隠してる?」
こいつ……隠しきれない。鋭すぎないか。
「あんたには関係の無い事」
そう言ってルーミアの頬を引っ張る、意外と伸びるのなんの。必死に自分の手を解こうとする姿が可愛らしい。
「ま、あんたのそういうとこ嫌いじゃないわよ。心配してくれてありがとね、ルーミア」
「……よく分からないけど、元気になってくれたみたいだから、早速イタズラしてもいい?」
「はなからそれが狙いかこの野郎」
たまには、鍛錬に費やすよりも今この時間を、ルーミアと過ごしてみるのも悪くないかもしれない。