ここは紅魔館にある図書館。本を借りに来る妖怪は滅多に居ない。というか貸してくれない。まあ、霧雨 魔理沙は勝手に持ち出すのだが……
「むきゅう……」
パチュリー・ノーレッジ。この図書館の主。
動く図書館などと呼ばれている。その彼女が、唯一図書館の出入りを許可しているのが、〇〇だ。
「ん、またその口癖か?パチェ」
「うるさいわね、いいじゃない別に……」
ムスッとした顔でパチュリーはそう言う。〇〇はこの様に、パチュリーをいじるのが好きなようで、一日に三回はしてるらしい。
「あはは、そうだな。で、見つかったのか?お目当ての本は」
「まだよ、だからあなたを呼んだのよ。あなたも一緒に見ないといけないもの」
「俺を呼んでまで見たい本ってなんだよ……てか何で俺がパチェと一緒に見ないと駄目なんだよ……」
「黙って探しなさい」
「はーい……はぁ……」
〇〇は大きなため息をつく。ちなみにその本を探すのに今日で三日目だった。そろそろ体力に限界が来ていた〇〇であった。
「なあパチェ……帰っていい?」
「むきゅっ!?駄目よ、帰っちゃ駄目!最後まで探しなさい!」
「だってこれだけ探してもないならさ、もうここにはないんじゃ……」
「そんな筈は……」
パチュリーは今にも泣きそうな顔でそう言う。それを見た〇〇は、少し悪い気がして、探すのを続けた。
とはいっても、ここまで探しても無いとなると、本当に無いと〇〇は内心思っていた。
と、その時パチュリーが大きな声を上げた。
「あ、あったわ!これよ!」
「お、本当か!?良かったじゃないか!どれどれ……?」
しかしその本の表紙には名は書かれておらず、それだけではどんな本かはわからなかった。
「パチェ……これはどんな本なんだ?」
「まあ、見てなさい」
パチュリーが本を開くと、ページは一つしかなく、そのページには魔法陣が書かれているだけだった。
「じゃあ、〇〇。この魔法陣に左手の薬指を添えてみて?」
「ん、こうか?」
魔法陣の中に薬指を添える。さらにそれと同時にパチュリーも薬指を添える。
そうすると、魔法陣の中から赤い糸が出現し、二人の小指に巻き付けられた。
その時、〇〇はある事に気付いた。
「パチェ、これってまさか……」
「ふふ……それは口に出して言わない事。それがこの本の使用条件よ」
パチュリーは微笑み、〇〇の口に人差し指を添えた。
そう、左手の薬指は結婚指輪をはめる指。さらに、小指に赤い糸ということは……
「パチェ、お前ずるい奴だな?知ってたのか?」
「知らなかったらなんの魔法かもわからないわよ」
「……やられた。じゃあ、パチェも言っちゃ駄目だな?」
そう言って〇〇もパチュリーの口に人差し指を添える。
二人は顔が真っ赤だった。と、そこで小悪魔が図書館に入ってきた。
「あの、パチュリー様……あ、お取り込み中でしたか……」
小悪魔はそそくさと図書館を後にした。
「……取り敢えず魔法ストップしようか」
「そうね……」
本を閉じ、その本を見える所に片付ける。二人は顔をしばらく黙ったままだった。
「……なあパチェ、人間の俺なんかを選んで良かったのか?」
「その質問には答えないわ……恥ずかしいもの……」
「これは、絶対噂になるよな……」
「そうね……」
しかし、二人がこの魔法を使ったことがバレるのは時間の問題であった。
それは勿論、小悪魔がバラしたからだ。そして、小悪魔がボロボロの状態で発見されるのは翌日の話。